−−−−三日目・その1
(*ノωノ)「あぷー」
どすっ
( ゚ω゚)「AUCH!」
<ヽ`∀´>「おはようございます内藤さn……こらあぷー!」
(*ノωノ)「あぷー」
<;`∀´>「大丈夫ニダ?」
(;^ω^)「はいですお、むしろ女性に起こされるなんて最高の気分ですお」
突然あぷーに乗っかられて酷い目覚めとなった。
……などと言いつつ、実はかなり嬉しかったりするが。
こうやって慕ってくれることがすごく嬉しい。
その後は大人数でごはんを食べた。
この集落がすごく発展した、それはなんとなく分かったが目の当たりにするのが怖くて外には出なかった。
そしてごはんの後、あぷーと少し遊んでからここを出ようと荷物をまとめた。
<ヽ`∀´>「それでは、もう行かれるニダね?」
(*ノωノ)「あぷー……」
自分を引きとめようとするアプーを、ニダーさんは慌てて抑える。
(;^ω^)「アプー、また来るからいい子にしてるお?」
(*ノωノ)「あぷー」
<ヽ`∀´>「途中まで案内するニダよ」
そして外に出ると、圧倒された。
自分がいる小屋がまず立派になっている。
だけでなく田んぼが広がり、昨日は草原と化していたこの集落の間にちゃんと道が作られている。
似たようなレベルかもしれないが、明らかにバーボンよりもこちらの方が進化していた。
それがまた酷く悲しかった。
( ^ω^)(ギコさん……)
時間がたてば全ての出来事は風化する、それが良い記憶なら尚更。
既に頭の中のバーボン国での出来事は昔の話しのように霞んでいた。
人間なんてそんなものだ、感謝の気持ちなんてすぐに荒んでしまう。
だから誰も僕に逆らわないのだろう、だから皆優しくしてくれるのだろう。
嫌な記憶はいつまでも脳裏に焼きつくものだから。
こびり付いて……いつまでも離れないものだから。
(;^ω^)(蟻に巣と間違えられてアナルに進入された事は一生忘れられないお)
草の生えていない、少し凸凹とした道を歩いていくと正面からドクオさんがやってきた。
('A`)「おや、内藤さん。もうお出かけですか?」
( ^ω^)「はいですお、一度VIPに戻ろうと思いますお」
('A`)「VIPですか、あちらにはわかんないですがいるので何かあったら……」
( ^ω^)「VIPにドクシンの人がいるのかお?」
('A`)「ああ、それも説明しておきますね。
一応中立国を中心に我々は情報の伝達をしています。
そのため常に中立国には互いに情報員を設けているのです」
( ^ω^)「mjd」
('A`)「我々ドクシンからはわかんないですがいます。
ちなみにバーボンからはクーという女性がいるので」
( ^ω^)「何かあったときは頼ることにするお」
('A`)「はい、それではお気をつけて」
( ´_ゝ`)「……」
(;^ω^)「!!」
('A`)「どうしましたか?」
(;^ω^)「なんでもないですお」
('A`)「? それではニダー、しっかりと頼んだぞ。子供は少しだけならオレが相手しておくよ」
<ヽ`∀´>「ドクオさん自ら申し訳ないです……よろしくお願いするニダ」
国王自らが孤児の世話か……普通では想像できないことだと思った。
この町はやっぱり素晴らしい町だ、みんなが優しく協力的だ。
すぐそういった考えを打ち消そうとしてしまう自分に嫌悪した。
心を……動かしてはいけない。
無理に決まっているじゃないか。
<ヽ`∀´>「それではとりあえず、ここからは中立国ニダ。
ここをまっすぐ行くとすぐに新巻のいる集落につくニダよ」
( ^ω^)「わざわざありがとうだお、アプーによろしく言っておいてくれお」
<ヽ`∀´>「承知ニダ、内藤さんこそまた来てくださいニダ」
そう言ってニダーさんと別れた。
集落までは一本道、途切れる事無く凸凹道を歩いた。
そしてそのまま初めに来た集落についた。
すごく懐かしく、安心した。
唯一の安息できる空間かもしれない、自分の気持ちと戦わなくてもいいのだ。
ξ゚听)ξ「……」
そして偶然にも見知った顔に出会った。
(;^ω^)「おっおっ、えっと……久しぶりだお」
ξ゚听)ξ「……」
(;^ω^)「……」
困った、会話が続かない。
ξ゚听)ξ「……名前」
(;^ω^)「おっ?」
ξ゚听)ξ「……私の名前呼んでみてよ」
(;^ω^)「……ツン?」
忘れていて、とっさにクラスの女の子の名前が出てきた。
自分の好きな子の名前、その子ととても似ていたからつい。
しかし目の前の女の子は怒っていた。
ξ#゚听)ξ「……何? 勝手にあだ名?」
(;^ω^)「あうあう……あだ名が気に入らなかったかお?」
本名なんて忘れた、これで押し通すしかない。
(;^ω^)「とてもいいと思うお、ツンって」
ξ゚听)ξ「……まあいいわ。おじーちゃんに用事?」
( ^ω^)「とりあえず案内をお願いするお」
名前はどうでも良かったようだ、ならばあんなに拘らなくてもいいのに……。
つい2日前に来ただけなのに少し違って見えたその集落を抜けると、大き目の小屋が一つ見えた。
ξ゚听)ξ「おじーちゃん、主来たよー!」
中に入るとそう大声で叫ぶ女の子、その子の肩を叩いた。
ξ゚听)ξ「……何よ?」
( ^ω^)「……名前で呼んで欲しいお」
ξ゚听)ξ「アンタ名前なんてあったの?」
(#^ω^)「女を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだお」
初めて会ったときに名乗ったと思ったが……自分も記憶は曖昧だから口にはしなかった。
仕方なく自分から名乗ることにした。
おそらく自分が名前を答えれなければ怒られていたことだろう、まったく勝手な性格だ。
( ^ω^)「内藤ホライゾンだお」
ξ゚听)ξ「……はっ?」
( ^ω^)「……内藤ホライゾンだお」
ξ゚听)ξ「ワロスww」
(#^ω^)「」
どこまでも失礼な女だ、女にアルゼンチンバックブリーカーを仕掛けたいと思ったのは生まれて初めてだ。
名前は大切だ、名は体を現すともいうし、名前ばかりは変えようも無い。
自分も名前だけで将来アナリストになりたいと思った身だ、名の大切さはよく知っている。
親から貰ったこの名前をここまで笑われると酷く気に触る。
ξ゚听)ξ「それで、あだ名は?」
( ^ω^)「お?」
ξ゚听)ξ「あだ名よ、アンタが私をあだ名で呼ぶんだから私もアンタをあだ名で呼ぶ権利あるでしょう?」
少し驚いた。
あだ名……まさかここで言う事があるとは思ってもいなかった。
( ^ω^)「僕のあだ名はブーンだお」
ξ゚听)ξ「ブーン? 変わった呼び名ね」
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン
ξ゚听)ξ「キメェwwwww」
(#^ω^)「」
そんな事よりも、とりあえず荒巻さんと話をすることにした。
ツンがもう一度叫んだが反応は無い。
ξ゚听)ξ「とうとうボケたかなあのジジィ」
最近幻聴がよく聞こえるようになった、うん、幻聴がね幻聴が。
ξ゚听)ξ「あ、クーさん。おじーちゃん知らない?」
川 ゚ -゚)「ツンデレか、新巻なら散歩だぞ」
ξ゚听)ξ「なんだ、だったら待っていようかな」
外に出るとツンが知り合いにあったようだった。
クー……どこかで聞いた名前だ、多分バーボンかドクシンのどちらかの国の人だろう。
何より自分にはまだそこまで沢山知り合いもいないわけだし。
それよりも彼女の名前はツンデレだった、よくある事だが聞いて思い出した。
ξ゚听)ξ「ブーン、おじーちゃんは出ているみたいね」
川 ゚ -゚)「この者が"心の主"か?」
( ^ω^)「はじめましてだお、内藤ホライゾンだお」
川 ゚ -゚)「うむ、私はクーと言ってバーボンの者だ」
( ^ω^)「何かあった時はよろしく頼みますお」
川 ゚ -゚)「いや、こちらこそよろしく頼む」
固い握手を交わして、クーさんを見送った。
中々義理堅そうな人だ、クールで格好いい女性、そこにしびれる憧れるぅ!
ξ゚听)ξ「……」
(;^ω^)「なんですかお?」
ξ゚听)ξ「デレデレしてキメェwww」
(;^ω^)「う、うるさいお!」
危ない、女性と話できることが嬉しくてついつい顔に出てしまったようだ。
握手しただけだがいやいや今日は手を洗わないでおきたいと思うほどだ。
( ^ω^)「そういえば……ツンデレ?」
ξ゚听)ξ「何よ、ツンでいいわよ」
( ^ω^)「いや、勝手にあだ名で呼んじゃったから……ツンでもいいのかお?」
ξ///)ξ「べ、別にアンタがいいと思うって言ったからじゃないんだからね!」
(;^ω^)「把握したお。それでツン、これからどうするお?」
ξ゚听)ξ「とりあえずおじーちゃん待ちましょうか、どうぞどうぞ、勝手に上がって」
( ^ω^)「ありがとうだお」
ξ゚听)ξ「ついでだし、クー以外の情報員の人呼んできて紹介するね」
( ^ω^)「よろしくお願いしますお」
口は悪いけど、ツンはしっかりしている。
とても魅力的な女性だななんて思った。
( ^ω^)「ふぅ……」
何となくツンに乗せられているが、気持ちは落ち着いた気がする。
ここはすごく居心地がいい。
そう、心とか揺れ動くとかそんな事を考えなくていいから。
ツンの悪態ですら嬉しく感じてしまうほどだ。
(;^ω^)「Mの素質十分だお」
いや、そんな事パイナップルにヒップアタックした昔から明らかなことだが。
川 ゚ -゚)「主様」
(;^ω^)「うおおおおお!」
突然声をかけられて正直に驚いた。
一帯いつから自分の後ろにいたのか?
しかも主様って少しメイド喫茶とかぶっている、いきなりそんな声かけされたら驚くに決まっている。
川 ゚ -゚)「悪い、驚かせた」
(;^ω^)「いいですお、僕が勝手に驚いただけですお」
川 ゚ -゚)「うむ、少しいいか?」
( ^ω^)「何ですかお?」
川 ゚ -゚)「主様は……卑怯だという事を自覚していますか?」
( ^ω^)「卑怯を自覚?」
川 ゚ -゚)「アナタは何をしても誰にも咎められる事は無い、どこかで誰かが不幸になってもそれを知る術はない。
主様は絶対の存在だから、誰も機嫌を損ねさせるる事が無いだろう。
これを卑怯だと思ったことは無いか?」
(;^ω^)「……」
正直要点をつきすぎていた。
そう、まるで自分の悩みが見透かされているように。
自分はそれが辛いんだ。
誰かと腹を割って話する事もままならないんだ。
そう、自分は誰にも心配を掛けさせてはいけないんだ。
これが損しているのか得をしているのかすら分からない。
皆がある程度腹を割って話してくれる。
なぜなら上辺だけで会話をすることは、いつか自分の感情を害する事に繋がるから。
嘘はいつかばれる、悪事はいつか裁かれるのと同じだ。
自分の前では全てが白雉となるのだ。
同時、自分は自分の感情を表に出すことは出来ない。
否、自分の否定的な感情を表に出せないのだ。
そして自分は常に楽しい素振りを見せて周りの人を安心させなくてはならないのだ。
自分が笑顔でいれば周りの人間は皆幸せになるから。
そうだ、自分に誰も否定的なことをいう事は無い。
そして自分も誰にも否定的なことをいう事は出来ない。
これが卑怯と言うのか。
( ^ω^)「正直まだここに来て二日目、そんな事考えた事も無いお」
川 ゚ -゚)「……そうか」
この人は恐ろしい。
この人が怖い。
しかしそれを口には出さなかった。
生憎現実世界でイジメには何度とあった、ポーカーフェイスは得意だった。
( ^ω^)「でもクーさんの言いたいことは何となく分かるお」
川 ゚ -゚)「……。ならば一つだけ言わせて貰っていいか?」
( ^ω^)「はいですお」
止めてくれ。
心で思いつつも、現実では笑顔で返事する自分がいた。
川 ゚ -゚)「どれが自分の所為でどれが自分の所為じゃないか、そして他人を信じすぎないこと。
人間誰しも表の顔と裏の顔がある。
表ばかり見ていてもいけないし、裏の顔を詮索し続けてもいけない」
( ^ω^)「……クーさんはバーボンの情報員ですお?」
川 ゚ -゚)「……ああ」
( ^ω^)「だったらどうしてバーボンの国の人も怪しませるような事を言うんだお?
今までの人は自分に真っ向から向かってきてはくれなかったお。
自分の国を……自分を守ろうと必死で自分に語りかけてくれる人ばかりだったお」
( ^ω^)「ここで素直に話す事で僕に信じてもらおう……そんな話ばかりだったお。
だけど……クーさんからは損得感情を感じないお」
川 ゚ -゚)「……そうだな、一応これも話しておこう。
私はバーボンの情報部員であり、ドクシンの人間だ」
(;^ω^)「……?」
川 ゚ -゚)「情報部員は互いに相手国の者が勤める。
同時に、嘘の情報を流したりしないためにも本国との関係も断たれる。
その上でさらに、ほぼ中立の考えをする者が選ばれるのだ」
川 ゚ -゚)「だから私はあなたに対して平等の立場でいるつもりだ。
私の望みはアナタにちゃんとした結果を出して欲しい、それだけだ」
( ^ω^)「もう一人の情報部員も同じ考えかお?」
川 ゚ -゚)「ああ、わかんないですは私に比べ、かなりお人よしだがな」
( ^ω^)「……楽しみだお、正直こうやって普通に話しできるだけでも嬉しいお」
川 ゚ -゚)「ありがとう。さて……そろそろツンデレが来るから去るかな。
私は東の小屋にいる、いつでも話したいときは来てくれ」
( ^ω^)「ありがとうだお」
ξ゚听)ξ「ブーンちゃんといる?」
( ^ω^)「子供じゃないお、ちゃんといるお」
ξ///)ξ「別に心配だったとかじゃないんだから!」
( ^ω^)「どうでもいいお、情報員の人紹介してほしいお」
ξ゚听)ξ「……。
アンタもてないでしょ?」
(;^ω^)「前も聞かれた気がするお、余計なお世話だお」
ξ゚听)ξ「ま、いいわ。わかんないです」
( ><)「登場のタイミングがわかんないです!」
(;^ω^)(またなんだかイミフなキャラktkr)
わかんないですさんは背も高く、見た目は大人びた感じを出しているにも拘らず
話をして一発で子供っぽさに気付いた。
クーさんは見た目と同様にとても深い人だった。
長い髪の毛がその神秘性を引き立てていたが、それとは酷く対照的だ。
( ><)「ドクシンの情報員のわかんないです!」
(;^ω^)(名前なのかセリフなのかハッキリして欲しいお……)
(;^ω^)「心の主こと内藤ですお」
( ><)「よろしくしてほしいんです!」
(;^ω^)「いえいえこちらこそよろしくだお」
相手がすごく興奮しているものだからこっちまで緊張してきた。
お互いに汗ばんだ手で握手を交わす。
ξ゚听)ξ「……」
(;^ω^)(何か背中から殺意じみたものを感じるお……)
ξ゚听)ξ「もういいでしょ、それでこっちがジョルジュさん」
( ゚∀゚)「おー、よろしく内藤」
( ^ω^)「よろしくだお。ジョルジュさんはどこの情報員だお?」
( ゚∀゚)「ここだよ、一応中立国のVIPにも代表として必要だろ?」
( ^ω^)「把握したお」
なるほど、中立国の人だからジョルジュさんはこんなに気さくに話しかけてくれるんだ。
男から見てもその顔つきは男前で、第一印象は最高だった。
一言交わしただけで人の良さという物が感じ取れた。
( ゚∀゚)「そういえば新巻のじーさん探してんだろ?
オレのとこいるから来いよ」
( ^ω^)「それじゃあそうさせていただくお」
ξ゚听)ξ「私もついてくわ」
( ><)「私はどうすればいいのかわかんないです!」
ξ゚听)ξ「もう帰っていいわよ」
( ><)「クーさんと扱いの違いが酷すぎます!」
(;^ω^)(わかんないですさんは大変そうだお……)
/ ,' 3「それで、大体の状況は飲み込めたか?」
( ^ω^)「はいですお」
ジョルジュさんの小屋に行くと、荒巻さんが死んだように寝転んでいた。
起こしてとりあえずここ二日でバーボンとドクシンを一通り回った事を知らせた。
/ ,' 3「それでは後は知らん」
(;^ω^)「ちょwwwアンタいかにもヒントくれそうな位置づけなのにwwww」
/ ,' 3「後はワシよりもそれぞれの国の人と話したほうがよく分かるだろう。
でも辛くなったらいつでも戻ってきなさい、ワシらは客人としてもてなすぞい」
いつでも戻って来いと言ってくれた事には助かった。
辛くて……どうしようもなくなったら戻ってきてもいいんだ、
まるでこの中立国VIPが自分の実家のように感じた。
( ^ω^)「ありがとうだお」
/ ,' 3「それじゃワシはもう一眠りするから起こさんでくれよ」
(;^ω^)(アナルに空気入れ突っ込んで膨らませてやろうかこのジジィ)
ξ゚听)ξ「それでブーン、これからどうするの?」
( ^ω^)「うーん……とりあえずバーボンにまた行こうかって思ってるお。
一度ショボンさんの話を聞いてみたいお」
ξ゚听)ξ「ショボンねぇ……」
( ゚∀゚)「お茶を用意したんだが……もう出るのか内藤?」
ジョルジュさんがわざわざお茶を用意してくれた。
せっかくなのでご馳走になると、現実世界には劣るもここ数日で一番おいしい感じがした。
( ゚∀゚)「内藤、一応オレだけが全ての国への入国許可を持っているんだ。
もし何かあれば言ってくれ、伝言とかも受け付けるしさ」
( ^ω^)「色々ありがとうだお、今は大丈夫だけどまたお願いするかもしれないお」
( ゚∀゚)「ああ、遠慮せずに言ってくれよな」
はじめはちょっと傲慢な喋り方かとも思ったが、ちゃんと自分のことを考えて話してくれる。
敵を作らない人柄、この人なら唯一全ての国へ入国できるのも納得できる気がした。
ξ゚听)ξ「とりあえずバーボンまでは私が案内するわ」
川 ゚ -゚)「いや、私が送ろう。私ならバーボンの国の中まで入る事もできる」
ξ゚听)ξ「……」
いつからいたのか、突然クーさんが話に入ってきた。
(;^ω^)「えっと……」
川 ゚ -゚)「いいだろう、内藤?」
(;^ω^)「はい、よろしくお願いしますお……」
ついお願いしますなどと返してしまった。
いや、確かにクーさんのほうが安心なんだが。
ツンだとバーボン国の国境までしか入れないだろう。
昨日のドクシン国に入った時のように、まだ自分を知らない人に出会って
敵国の者と勘違いされて警戒されたのでは気分が悪い。
その点クーさんと一緒なら安心だろう。
(;^ω^)「ツンも気遣いありがとうだお……」
ξ゚听)ξ「別にいいわよ、送って行かなくていいならそれで手間省けるし。
アンタ、クーさん襲うんじゃないわよ」
川 ゚ -゚)「大丈夫だ、私は主様を信じている」
ξ#゚听)ξ「わ、私だって信じていないわけじゃなくて……!!」
(;^ω^)「と、とりあえず行ってきますお!」
叫ぶツンを傍目に、急いでクーさんとそこを出た。
ツンは怒りに任せて寝ている荒巻さんとジョルジュさんにあたっていた。
心の中で謝りながら、そそくさとそこを抜けた。
(;^ω^)(僕は何も悪くないはずだお……)
穴場という言葉に無駄に反応してしまった時の気まずさがそこにはあった。
---その頃、バーボン国
(´・ω・`)「うん、心の主もとりあえず一通り国を回ったみたいだからドクシンと戦いといこうか」
(´ー`)「分かったーヨ、頑張るーヨ」
(´・ω・`)「とりあえずギコを呼んできてくれるか?
国一の剣の使い手がいなくては話も進まないからね」
(´ー`)「呼んでくるーヨ」
(,,゚Д゚)「お呼びですか、ショボンさん」
(´・ω・`)「とりあえず落ち着いてこれを見て欲しい」
(,,゚Д゚)「これは……弓だけど今までの石弓とは全然作りが違うぞゴラァ」
(´・ω・`)「そうなんだ、ジエンに模範してもらおうと思う」
(・∀・)「それではいきますよー」
キリキリと手に持った弓を引くと、一気に離した。
ヒュッと音を立てると、矢は一瞬にして数十メートル離れた木に刺さる。
(;゚Д゚)「スゲェなゴルァ」
(´・ω・`)「うん、精度はそこまでよくないけど石弓に比べて十分に速く、飛距離が長い。
今回は後方からこれで支援してもらうから、ギコには剣対剣に集中してもらえると思う」
(,,゚Д゚)「これが技術の進歩か……」
(´・ω・`)「君が主を一泊させた結果がコレだよ、素晴らしい。
昨日一日頑張って練習させたけど、これくらいの精度が限界だ。
それでも間違って味方を打つ事は無いから安心して欲しい」
(,,゚Д゚)「オレは鎧するから矢に関してはいいけどよ、ドクシンの方も発展してるんだぜ?」
(´・ω・`)「大丈夫だ、そのために昨日ジエンには練習を重ねてもらった。
一日も経たずしてちゃんと狙える様になるほど甘いものじゃないよ。
あっちは不安定なこれを使うくらいなら、きっと石弓を使ってくると思う。
仮に同じ弓で来たとしても、一日修練しているこちらに明らかに分があるよ」
(,,゚Д゚)「把握したぞゴルァ。それじゃ、準備してくるぜ!」
(・∀・)「ふんふんふーん」
その横でジエンが放った弓は、見事狙っている木に命中した。
(・∀・)「鎧から覗ける顔にも当てれちゃうかもねー」
もう一発放った矢も、同じ木に見事刺さった。
(,,゚Д゚)「しい、それじゃ行ってくる」
(*゚ー゚)「アナタ、行ってらっしゃい」
出る間際にキスをし、ギコは家を出て行った。
残されたしいは一人で椅子に座ると、今日の夕食を考え出した。
せっかく旦那が頑張って帰ってくるのだ、それなりに豪勢な料理を振舞いたい。
ズキンッ……
(*゚ー゚)「ッ!!」
突如の腹痛、いや痛いのはお腹であってお腹ではない。
これはもしかして……しいは椅子から転げ落ちる。
何とかしないと、頑張って地面を張って玄関へ行こうとするが、そこまでも遠い。
(;*゚ー゚)「誰か……子供が、誰か……ッ!」
誰も、何も反応することは無い。
「死ぬ」、子供がか自分がかは分からないが、その言葉が頭に幾つも出てきた。
死なない、殺させない……!
それでも声は出ない、意識も朦朧としてくる。
声を出すどころじゃない、でも声を出さなければ誰か来てくれるわけが無い。
呼吸が出来ない、苦しい……それでも叫ばなければ……。
(;*゚ー゚)「だれか……ッ!」
意識が一気に飛んだ。
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