−−−−六日目・その2



---ドクシン国


('A`) 「いよう、今回も全ての指揮を任せる。決してバーボン国に引きをとらぬように頼んだ」

(=゚ω゚)ノ「はい、最善を尽くします」

(;゚д゚ )「……ドクオさん」

('A`) 「どうしたミンナ」

(;゚д゚ )「正直……自分は怖いです。この進化の度合いが、スピードが……。
   自分は火縄銃の時点で勝てると思っていました。
   なのに……今後どう進化していくのでしょうか?」

ミンナはその手に拳銃を持ちながら、ブルブルと震えていた。
普通に戦えばバーボン国のギコは最強とも言えた、勝てる気がしなかった。
同じ人間かとまで思っていたその相手も、銃を使えば他の人間と同じように死んだ。

そして、進化はそれからまだ止まらない。
むしろ加速している。

('A`) 「……悪いな、戦いに出るものからすればそうだと思う。
   俺も正直『銃』という存在で人というものの弱さを再認識した。
   抗う事もできずに、引き金一つで消えるんだからな」



  
(;゚д゚ )「はっきりと言って、これ以上の進化があれば人間は無力です!
   いいえ、今の時点でもう……!
   既に子供が大人を殺せる状態です、これ以上進化するなんて……恐ろしくて考えたくありません」

('A`) 「だったらオマエは子供に殺しをさせるのか?」

(;゚д゚ )「……!!」

('A`) 「オレがそれとも戦いに行けばいいのか?
   言いたいことは分かる、ただもうこの戦いは止められないよ」

(;゚д゚ )「……すみません」

その場は一瞬にして静かになった。
戦いは止められない、和解できるものなら和解しているのだろうから。

(=゚ω゚)ノ(……ミンナ、辛いのは一緒だ)

(;゚д゚ )「……あと、一つだけ気になったことが」

('A`) 「ん?」

(;゚д゚ )「ドクオさんには直接関係ありませんが、相手に……恐ろしいほどのスナイパーがいます。
   自分などよりはるかに格上です、いずれこの国の脅威となると思います」

(=゚ω゚)ノ「自分があとでその話は聞こう」



  
ドクシンの兵士はそのほとんどが疲労しきっていた。
銃という新たな武器の存在、戦闘では常に気が抜けない。
姿を見られたらそれだけで死ぬと言っても過言ではない状況。
そして連日の戦い。

そこに今のミンナのようにこれから先の心配などが合わさるのだ。
相手の武器が進化したら、それを初めに試されるのは自分達兵士なのだ。

ドクシン国に限ったことではないだろうが、兵の戦意は見る見る落ちていた。
それでも戦わなければならない……激しい重圧。

ミンナは話を終えると、すぐに武器を整備しに部屋を出て行った。

(=゚ω゚)ノ「相当滅入っていますね……」

('A`) 「いようはその点余裕そうじゃないか」

(=゚ω゚)ノ「余裕なんてありませんよ、ただ……
   進化が進めば進むほど、硬直状態には持って行き易くなっていると思います。
   それが今自分の考えです」

('A`) 「硬直常態か……アイツに通用するかな?」

(=゚ω゚)ノ「まったく、厄介ですよバーボンの王様は。
   あの頭が頂きたいものですね」

('A`) 「ドクシンの頭脳がそう言っていちゃいかんだろ」



  
(=゚ω゚)ノ「いえいえ、本当あの人には何度としてやられていますからね。
   正直自分がドクオさんの立場ならショボンと話し合いなんて出来ないですよ。
   裏があるんじゃないかって深読みし続ける気がします」

('A`) 「裏か……相手が裏を付いてくるならこっちはさらに裏を突けばいい話だ」

(=゚ω゚)ノ「裏の裏じゃ表ですよ」

('A`) 「ああ、だから表でいいんだよ」

ドクオはそう言うと部屋を出て行こうとする。

('A`) 「いようのやりたいようにやれ、オレたちは信用しているから」

(=゚ω゚)ノ「……はい、分かりました。ドクオさんはこれから?」

('A`) 「ニダーの代わりを兼ねて子守だ。ついでに内藤さんと少し話してくるよ」

ドクオは立派な部屋を後にして、ゆっくりと外への道を歩く。
たとえ住む所がお城になろうとそこに留まるつもりは無い、国民との交流を忘れない。
ドクオにはそれが正しいという絶対の考えがあった。



  
---中立VIP国


ショボンさんが帰ってからしばらくのんびりとし、食事を終えるとジョルジュさんから手紙を渡された。

( ゚∀゚)「内藤、ニダーからまた預かったぜ?」

中を見るとただ簡潔に『今日も来てもらえないでしょうか』と書いてあった。
何か話したいことがあるらしい。
そういえば昨日は子守をまかされてそれを放棄したっけ、それについても謝らないといけない。

ξ゚听)ξ「ブーン、どこか出かけるの?」

( ^ω^)「なんだかニダーさんが話あるそうだお、ちょっと行って来るお」

ξ゚听)ξ「暗くなる前に帰ってきなさいよ?」

( ^ω^)「そうするお、なんだかツンお母さんみたいだお」

ξ///)ξ「アンタの事だからまた変なのに絡まれるかもしれないでしょ!
   さっさと行きなさいよ!」

( ^ω^)「そうするお、行ってきますお」

ξ///)ξ「い……いってらっしゃぃ……」



  
---バーボン国、ドクシン国境界・ドクシン側


(=゚ω゚)ノ「よし、攻めるぞ」

皆が頷いた。

今までと違い、随分と静かな勝負だった。
それには『拳銃』という武器の存在が大きい。
これにより姿を隠しあう勝負になったのだから。

いようを中心として十人程度の部隊が静かに素早く移動する。
服が擦れる音、服と草が擦れる音、それ以外の音は存在しなかった。
移動中も気は抜けない、常に集中して音をかき集める。
大丈夫だ、自分たちが移動する音しかしない。


   パンッ


(;´_ゝ`)「……ゥッ!!」

発砲音と同時、兄者を激痛が襲う。
直撃したのだ、それでも防弾ジョッキのお陰で傷は無い。



  
(;=゚ω゚)ノ「オマエ達、散れ。既に誰かに見つかった」

静かな合図と同時、それぞれがあらかじめ決められていた方向へとバラける。
いようは兄者を支えて後方に引いた。

(;=゚ω゚)ノ(ミンナの言っていたヤツだろうな、一体どこから……)

決して木が多いわけではないが、大きな草木が茂っている。
ここを移動しているというのに……一体相手はどれだけ見渡せるというのだ。
ミンナが注意しろと言うわけだ、防弾チョッキが無ければ兄者は死んでいただろう。
そしてこの隊は混乱してしまってバーボン国の思う壺だった事だろう。

(=゚ω゚)ノ「兄者、大丈夫か?」

(;´_ゝ`)「大丈夫だ、少し骨が痛むが傷は無い」

(=゚ω゚)ノ「流石だな、とりあえず進行は残りのやつらに任せよう」

( ´⊇`)「ニダーさん、とりあえず攻めるぜ?」

(=゚ω゚)ノ「ああ、フォーメーションは崩さずにでたのむ」

再び静かな戦いが始まった。
そして見えない敵との恐怖が……。



  
(;´⊇`)「……」

防弾のチョッキの性能は知っている、相当ピンポイントで狙われでもしない限り撃たれて死ぬことは無い。
それでも見えない敵という圧迫はすごかった。
何より防弾チョッキが絶対安全とは限らない、疑ってしまう。

もしかすると自分の物だけが誤魔化した作りになっているのではないだろうか?
偶然露になっている箇所に銃弾が当たるんじゃないだろうか?
銃よりも進化した武器が現れるのではないだろうか?

あらゆる恐怖が足を鈍らせた。

一歩が重い、思うように進まない。
勇気を出して一歩進んでも、再び勇気を出してもう一歩進まなくてはならない。
まるで終わりが無いように感じた。

(;´⊇`)(くそッ……いっそ俺も撃たれて、後ろに下がっていたいぜ)

他の皆も同じ気分なんだろう、次に誰かが死ぬとしてそれが自分の確率は十分の一程度だ、きっと大丈夫だ。
そう思いながらまた一歩足を進めた。

   カチッ

(;´⊇`)「!?」

驚いて足元を見るが何も踏んでいない、石でも蹴ったのだろうか?
あまりに不自然な音が気になり足の裏を見ようと踏み出した足を上げた。


   ドォォンッ



  
(;=゚ω゚)ノ「爆弾か何かか!?」

突然の爆発、ただ何かが発射されたりする音は無かった。
爆弾にしても、投げられたりしたら声を出すだろう、それがまったく無かった。
一体何が起きた? この爆発の意味は?

  「ひぃぃ、何が起きたんだ!!」

その音に驚き、他の兵士もうろたえ出した。
これはマズイ、統制が取れなくなったら部隊は終わりだ。
すぐに落ち着けようと叫んだが誰も耳を貸そうとしない。


   ドォォンッ


そうこうしている内にさらにもう一度爆発が起きた。
この爆発だ、その中心にいたとしたらひとたまりも無いだろう。

とりあえず周囲の兵士を集めて一時退却した。
爆発により怪我をした者も何人といる、とりあえず作戦を練りなおす必要がありそうだ。

(;=゚ω゚)ノ(しかしまだ完全には引けない……何とかしないとな……)



  
---ドクシン国


( ^ω^)「それにしても、昨日行ったばかりなのに……ニダーさんは何用なのかお?」

歩きながら色々と考えた。昨日の戦いで何かあったのだろうか?

(;^ω^)「……」

もしかして昨日の戦いでニダーさんが死んだのだろうか、
そう思いながらもジョルジュさんがニダーさんから手紙を受け取ったと言っていたのを思い出した。

とりあえず朝からショボンさんと話したわけだし、昼からドクシン国に行くというのは良いことかもしれない。
片方だけに下手に心が偏らなさそうだから。

そして歩いてとうとうドクシン国の集落についた。同時に言葉を失った。

(;^ω^)「……」

昨日まではいくら作りが良くなっていたとはいえ、まだまだ小屋と表現するものが立ち並んでいたはずだ。
そこは完璧な家が幾つも並んでいた。
塀など無いし、無秩序に並んでいる点は現代とは違う、それでも……ほとんど現代に近づいているように感じた。

呆然と進化したドクシン国を見ていた。
そして無心でニダーさんの家に歩く。

位置的にはここがニダーさんの家だったが……本当にここでいいのだろうか?
小屋ばかりだった頃はあんなに親密だったドクシン国も、
家が立ち並ぶと個人は個人だとプライバシーを訴えているように感じた。



  
  コンコン

今まではノックなんてしなくても、外から中が見えたのに。
中からも外が見えて、いきなりアプーに飛びつかれたりしたのに。

どことなく寂しかった。

('A`) 「はいはいーっと、内藤さんかこんにちは」

ドクオさんが出てきて少し安心した。
たとえ住む所が立派になろうとも、やはりこの国は親密なんだなって思えた。

( ^ω^)「こんにちはですお、ニダーさんはいますかお?」

('A`) 「ああ、ニダーは今はいないんだ。とりあえず上がってくれ」

とりあえず家に上がることにした。
決して小さい家ではないが、さすがに子供たちが十人程度もいると狭く感じる。

(*ノωノ)「あぷー」

( ^ω^)「良い子にしてたかい、アプー」

とりあえず膝にアプーを乗せてゆっくりと座った。
その隣にドクオさんも座る。



  
('A`) 「子供の相手も疲れるな、そろそろ歳かね……。
   内藤さんが来てくれるとアプーが静かだから助かる」

( ^ω^)「ニダーさんに呼ばれてきたんだお」

('A`) 「ああ、それはオレがニダーに言ったんだ」

(;^ω^)「?」

('A`) 「内藤さんと、ちょっと話しておこうかと思ってな」

(*ノωノ)「あぷー」

ドクオさんは大きなあくびをした。
表情はまったくやる気が無いように感じられるが、それは現実のドクにも言える事。
覚悟を決めたりする時は決まってあくびをするんだ。

('A`) 「……どうですか? この国を見た感想は?」

(;^ω^)「正直めちゃくちゃ驚いたお、一日にして……こんなにも成長するなんて思っていなかったお」

('A`) 「これが"心の主"の力なんですよ、一日で家が出来て城が建つ。
   今更自分が言うまでも無いでしょうが」

(;^ω^)「……」

('A`) 「ニダーは今戦いに行っています」



  
(;^ω^)「マジですかお!? 今日も戦いが!?」

('A`) 「進化の度合いは今すごいことになっている。
   銃で殺されないように防弾のチョッキを着て攻めているが……
   それ以上の攻防がおそらく繰り広げられている事だろう」

(;^ω^)「それ以上……?」

('A`) 「爆弾とか、そういう領域ですね」

(;^ω^)「……爆弾」

爆弾なんて言われてもまったくピンと来なかった。
爆弾だけは現実でも到底お目にかかれない、戦争の番組なんかで見かけるがそれでもあまりに接点が無さ過ぎる。
ただそれでも、戦争の資料館で見た火薬の抜かれた本物の爆弾を見て……
言葉では言い表せないほどの恐怖を感じたことを覚えている。

それを見ただけで呪われたような気がした。

('A`) 「銃の時点で既に人間は無力となっていたんです。
   どれだけ体を鍛えても、子供に大人が殺せる状態なんです」

(;^ω^)「……。それを僕に話して、何が言いたんですお?」

('A`) 「もう……我々の国は限界が近いです……」

ドクオさんの表情は変わらなかったが、声は酷く覇気を失っていた。



  
('A`) 「戦いで新しい兵を投入しているものの、やはり前に立つのは古株の兵士。
   その古株の兵士が減ってきていているのです。
   人数が減ってきて、次に新しい武器で殺されるのは誰だろうか……それで戦う気力を欠如しているのです」

(;^ω^)「分かりますお、当然だと思うお」

('A`) 「今日も一人言ってきたんだ、正直信頼を置いていた兵だけに酷くショックを受けた。
   そいつは後方援護中心だからそんな事を言ってこないと思っていたが、
   もう今は後方だから安心だとかそういう概念が破綻してきているんだ」

(;^ω^)「人数的な問題では確かにドクシン国は不利だと聞いていますお。
   それが問題でこれ以上は戦いが辛いのですかお?」

('A`) 「主な原因はそれです」

( ^ω^)「実は今日ショボンさんと話したんだお」

('A`) 「ショボンと……!?」

( ^ω^)「それでどうしてアナタ方が"心の主"である僕に全てを委ねているかを聞きましたお。
   その感想としては、正直バーボン国の方が妥協している感じを受けたんだお」

('A`) 「そうですね。我々は普通に戦っていては勝ち目なんてありませんでしたから。
   ただ、我々はその上で……このような状況でも勝てないことは重々承知でした。
   "主"の心がどちらかに大きく傾く事など早々ないでしょう、ならば結局ものをいうのは兵の人数ですから」

(;^ω^)「……」

バーボン国が大きく発展した時にバランスをとろうとドクシン国に心が動いたのを思い出した。
どちらかに大きく動く事は無い、その通りだ。ならば人数がものをいうのも納得いく。



  
('A`) 「正直自分ですらこれ以上の進化というのは怖い……。それが兵なら当然だ。
   少なからずその恐怖を主のせいだと言う奴らは数多い。
   最も強力な武器は"心の主"なのです、それを先に手に入れた国が勝つのです」

(;^ω^)「自分……ですかお……」

('A`) 「我々は特に、アナタ無しでは勝てないのです。本当にすみません」

ドクオさんはそう言って頭を下げた。その頭を上げてくれとも言えずに自分は固まっていた。

('A`) 「それで、最後にもう一つだけお願いがあります」

ドクオさんは頭を下げたままだった。そしてその声は酷く震えていた。

('A`) 「もう……ここには来ないで下さい」

(;^ω^)「……お?」

なんと言ったか理解出来なかった。

('A`) 「言った通り、兵にとって主の存在というのは今まで以上に恐怖の代名詞となっています。
   もうニダーは兵なのです、今までのように客人として内藤さんを迎え入れれないんです……。
   この国に来るなと言うのではありません、ここに……この家に来ないで下さい」

ドクオさんの声も泣きそうだった。
自分が必要だと言った直後の自分を否定する言葉、言うべきかどうかかなり悩んだに違いない。

(*ノωノ)「あぷー」

無邪気なアプーの笑顔がとても悲しかった。



  
その帰り道はとても足取りが重かった。
バーボン国も、もうしいさんに合わせる顔が無い。
ドクシン国もニダーさんのためにもう来るなと言われた。

"心の主"が一体どれだけの力があるのか知らない。
ただ、どうしてこうも周りから嫌われなくちゃいけないんだ。
一体自分にどうしろと言いたいんだ。
どこに行けといいたいんだ。

( ;ω;)「ウッ……ウッ……」

僕は普通の人間なのに、他の人と何の変わりもないのに。
どうして自分ばかりがこんな辛い思いをしないといけないんだ。
憎い、自分だって"心の主"という肩書きが憎い。
こんな事誰も気付いていないだろう、どれだけ自分がこの肩書きに苦しめられているかなんて。

自分は何もしていないのに、もう来ないでなんて言われたんだ。
昨日まではあんなに仲良く一緒に話したのに……。

ニダーさんが頭の中に浮かぶと、悔しさよりもごめんなさいという思いがこみ上げてきた。
自分は何も悪くないはずだけど、それでもごめんなさいと。

存在自体が悪いのかもしれない、自己卑下でなくそう思ってしまう。
自分は存在してはいけない人間なのかもしれないと。

   ガサッ

( ;ω;)「……!」

突然隣の茂みから音がした。



  
( ;ω;)「誰だお!?」

そう言うと、茂みから出てくる2人の姿があった。

< のΩの>「なんだ、またアンタか……何の縁があるんだか……」

(`皿´ )「ああ、何もしないから怖がらなくてもいいぜ?
   アンタが金無いのは分かったし、アンタにはいい思い出が無いからな……」

それはこっちのセリフだ、突然出てきて何を言うんだこいつ等は。
一人感傷に耽りたかったのに台無しだ。

< のΩの>「悪いな、通りすがりのヤツをつけねらって金をせびろうと思っていたんだが、アンタならいいや」

(`皿´ )「とっとと先に行ってくれ、オレらだって無駄足は嫌いだ」

自分勝手だと思いながらも、文句を言ってまた剣なんかを振り回されてはたまったものではない。
しぶしぶといった感じで先に行こうとする。

< のΩの>「あ、アンタに一つ言いたいことがあるのを思い出した……」

今度は何だ、いい加減にしてもらいたい。

< のΩの>「ショボンには気をつけろ。アイツを信頼すると……痛い目を見るぜ?」

(;^ω^)「ちょ、それって……」

< のΩの>「じゃあな」

人の話も聞かずに二人は去っていった。一方的に自分の心にしこりを残して……。



ブーンの心が世界を左右するようです( ^ω^)

  −−−−六日目・その3



---バーボン国、ドクシン国境界・ドクシン側


突然の爆発で隊員を2名失い、1名が負傷した。
ドクシン側はとりあえず集まると話し合いを設ける。

(;=゚ω゚)ノ「それでは、ただ歩いているだけだったのか?」

(;゚д゚ )「はい、後方からちゃんと見ていました。こちらの兵が歩いているだけで突然爆発しました。
   ……いえ、少し立ち止まった気もします」

(=゚ω゚)ノ「……そうか、何となく分かったかもしれない」

( ´_ゝ`)「早いな」

(=゚ω゚)ノ「どちらかだな、木々の間に糸のようなものを張り巡らしてそれに引っ掛かると爆発するタイプか、
   地中に埋まっていてそれを踏んで足を上げた時に爆発するのだろう」

( ´_ゝ`)「なるほど、それは十分にありえる」



  
(=゚ω゚)ノ「決まった、次こそ完全に攻め込むぞ。手榴弾を一人3発所持しろ。
   ミンナは依然後方からの援護を頼む」

(;゚д゚ )「はい」

(=゚ω゚)ノ「とりあえず、爆発まで少し時間があったという事は分かっているんだ。
   糸のような仕掛けなら気にせず突っ切れば爆発までの間に逃げ切れるだろう。
   ただし地中に埋まっている可能性を考慮し、草や花の上を中心に動け」

( ´_ゝ`)「把握した」

(=゚ω゚)ノ「そして兄者を狙った者の処理はミンナに任せる」

(;゚д゚ )「……頑張ります」

ミンナは緊張して、そして覚悟を決めた。
おそらく自分がその姿の見えない敵を倒せるかどうかでこの勝敗は大きく変わるだろうから。
今の相手の中心は間違いなくそいつだ、そしてそいつは自分などよりも見渡しがきいて腕がいい。
自分はドクシンの中では右に出る者はいないとまで言われたスナイパーだ。
その自分が……足元にも及ばない。

心臓が大きく一回鳴った。
自分がヤツを越えないといけない。

改めて武器を整備し直した。
自分が勝つ、それこそが勝利への近道なのだ。



  
---バーボン国、ドクシン国境界・バーボン側


(・∀・)「さーて、次はどう来るかなぁー?」

ジエンは余裕を見せきっていた。
それは自分の力を信じているため、決して過信でない自信を持っていた。

剣を使う力も技術も無い、だから彼はその「千里眼」を利用してずっと監視部隊だった。
自分の無力は大いに感じた、相手が攻めてきたと知らせて後は兵たちに任せる、その後の自分は戦況の報告。
ギコやシラネーヨに憧れた、国を代表するその者達に。
だが自分にはそんな力は無い、彼らと肩を並べる事なんて……いつになっても出来るわけないと思っていた。

突然の木矢の発生、ここから彼は考えが少しずつ変化する事になる。
自分でも勝てるのではないか。
相手が鎧をしていようと関係ない、ならば露になっている顔を狙ってやる。
相手国に火縄銃が発生した時はさすがに驚いた。
ただ……どこかでそれを待ちわびていたともいえた、とうとう自分の時代が来たのだと。
相手国にあれほどの飛び道具がある、あれが自分達の手に入れば……きっと自分は最強になれると信じた。

その時は来たのだ。

狙撃銃を眺めつつ、口元がニヤついた。

これなら相手のアナルを狙って撃つことも容易い、それほどの凶器だった。

(・∀・)「次は……顔を打とうかなー?」

他にも狙撃する味方兵はいるが関係ない、自分が……決めてやる。



  
相手がこちらに向かってくるのが分かった。
まだこちらには気づかれていないつもりなのだろう、無駄だ。
人が動けば周りの草が動く、そしてそれはジエンの視界には明らかな違和感として現れる。

(・∀・)「草の上を歩いて、地雷を回避するのかぁ……そーだッ!」

ジエンは狙いを定めて……撃った。


   パンッ


   ドゴォォンッ


(・∀・)「びんご!」

狙い通り銃弾は地雷に命中し、爆発した。
気持ちがいい。
それで一瞬止まる相手の兵を見ると、自分一人だけで戦況をコントロールしていると思ってしまう。
事実そうなのだが。彼が引き金を引くだけで戦場の人々は大きな反応をした。

音だけの恐怖。

(・∀・)「ふふふ……面白いなぁ……」

さて、次の標的はどいつにするか。



  
   ドゴドゴォォンッ


(・∀・)「!!」

対してドクシン国は手榴弾で対抗してきたようだ。
どこに埋まっているか分からない地雷を誘爆させて、その土煙の中を即座に攻め込む。
しかも人数は多い、辺りから沢山の爆音が響いた。

(;・∀・)「……くそっ!」

土煙以上に地響きは厄介だ、それだけで狙いがぶれて思うように発砲できなくなる。

相手まではまだ数百メートルあるが、それがすぐ近くに感じた。ジエンは少なからず焦りを覚る。


   パンッ


(;・∀・)「!!」

さらに発砲音と同時、こちらの射撃兵の一人が撃たれた。
相手の射撃兵が狙ってきたようだ、だがどこから……!?

落ち着けば見つけられるのだろうが気ばかりが焦って見つけられない。
そもそもそれよりも先に、こちらに向かって走ってくる兵たちをどうにかしなくてはいけないのだから。

(;・∀・)「……これはしかたないなぁ」

ジエンはそう言うと、仲間達に退却命令を出した。



  
退却する仲間をよそに、ジエンは一人改めて銃のスコープを覗く。
そして撃つ。


   パンッ


   ドゴォォンッ


(・∀・)「よし」

それに足を止める相手、ここがチャンスだ。

もう一度撃った。


   パンッ


   ドゴォォンッ


ジエンの狙いは戦況が硬直する事だ。
これでこちらを警戒して相手が足を止めてくれればいい。

とどめとばかりにジエンは相手兵の顔を撃ち抜いた。
たじろいだ所でもう一人を狙い撃ちした。

そしてその場からひとまず退却した。



  
---中立VIP国


( ^ω^)「結局帰って来てしまったお……」

別に中立国に帰って来たくない訳ではない。
ただ……寂しさを感じたんだ。
ここだけしか自分を受け入れてくれないんだろうなって。

出来れば"心の主"とかそんな物無しでみんなに出会いたかった。
ギコさん、しいさん、マターリさん、ニダーさん、アプー、いようさん……もう会えないだろう人々。

ボーっと考え事をしていたらツンに会った。

ξ゚听)ξ「あら、思ったよりも早く帰ってきたのね」

( ^ω^)「……追い出されたお」

ξ゚听)ξ「は? とりあえずせっかくだし私の家来なさいよ」

( ^ω^)「セックスフラグktkr!」

ξ゚听)ξ「ぶち殺すわよ?」

(;^ω^)「冗談だお」

そのままツンの家にお邪魔することにした。



  
ξ゚听)ξ「適当に座って」

(;^ω^)「はいですお……」

小屋に入ると少し緊張した。
以前はまったく緊張しなかったはずだが……あれからツンを知ってしまって、少なからず意識しているのだろうか?

適当に壁にもたれて座ると、その横にツンも座った。
少しドキッとした。

(;^ω^)「えと、その……」

ξ///)ξ「何勘違いしてんのよ、話するんだから別にとなりに座ってもいいでしょ?
   アンタの隣がいいとかじゃないから!」

そうだ、ただ隣に座るだけなのに何こんなにも焦っているのか自分は。

そんなこんなで落ち着くと、ツンから話し出した。

ξ゚听)ξ「それで……何があったの?」

(;^ω^)「別に……」

すぐに隠したがってしまうのは自分の悪い癖か、出てきた言葉は酷くつまらないセリフだった。



  
ξ#゚听)ξ「話したくないなら無理にとは言わないけど、それでまた何か言われたら今度は許さないわよ?」

前に「ツンに僕の気持ちは分からない」と言った事をまだ根に持っているようだ。
でもそう言ってくれると少し嬉しい、嫌でも言うしかなくなるから。
こんな話を進んで聞いてくれようとする事が嬉しい。

( ^ω^)「今日ドクシン国に行ったらドクオさんが(全てを読むにはアナルアナルと書き込んでください)」

ξ゚听)ξ「……それで黙って帰ってきたの?」

(;^ω^)「でも無理だお、面と言われて辛すぎたお」

ξ#゚听)ξ「それで、ブーンはドクシン国をどう思うの?」

(;^ω^)「仕方ないって言うか、そんな事を自分に正直に言ってくれて――」

ξ#゚听)ξ「あ゙あ゙ーもうッ!!」

突然ツンは叫んで立ち上がった。
そしてセリフを探すように悩み始めた。

ξ#゚听)ξ「アンタさ、天性のバカなの?
   何が"心の主"とか関係無しで他人と付き合いたかったよ笑わせないで。
   結局アンタが一番気にしてるだけじゃないの」

(;^ω^)「……その通りかもしれないお」



  
ξ#゚听)ξ「ホント聞いてて腹立つわ、少なくともドクシン国はアンタを主としてでなく
   一人の人として接しようとしてくれてるじゃない。
   なのに結局主を一番意識しているのはアンタじゃないの」

言われて初めて気付いた、その通りかもしれない。
バーボン国は結構"心の主"を意識させられるが、ドクシン国ではそうでなかったように感じる。
結局自分が気にしていたから周りも気にしてしまったのかもしれない。
もっと自分が主の呪縛からとかれていたら……ニダーさんも兵になってからも話してくれたんじゃないだろうか?

自業自得なのかもしれない。
いや、あまりの都合よく考えすぎなのだろうか?

ξ゚听)ξ「アンタってさ、典型的に溜め込むタイプよね。
   それでふとした時に爆発して『実は今までも……』とか言い出すタイプ。
   はっきり言って困るのよね、周りとしてはそういうのって」

(;^ω^)「言い返せないお」

ξ゚听)ξ「これだけは覚えておいて、私たちは"心の主"なんて意識せずにブーンはブーンとして話している。
   そうじゃないとブーンなんてあだ名や、ジョルジュみたいに呼び捨てできないと思う。
   あーもう何言いたいのかわかんなくなってきた!」

そう言ってまた地団太を踏んだ。
そして頭の中でセリフを考えているようだ。



  
ξ゚听)ξ「とりあえず、アンタの家はここだから。
   私たちは迷惑なんて思ってないし、むしろ……その、ここにいて欲しいくらい」

なんだかまとまっていないけど言いたいことを一通りぶつけられた。
そしてここが僕の家だ、そう言ってもらえてすごく嬉しかった。
この世界に僕の居場所なんてないと思っていたから……。

ξ゚听)ξ「あーもう私自身も混乱してきた!
   ゴメン、なんだかもう良く分からなくなってきた、脈絡も全然無いことばっか喋ったし」

( ^ω^)「そんなことないお、一生懸命考えてくれるのが分かるお。ありがとうだお」

ξ゚听)ξ「それよりも……ショボンの方ね」

( ^ω^)「おっおっ?」

ξ゚听)ξ「一応言っておくけどね、ショボンはかなりの切れ者よ?
   何考えてるか分からないけど、とりあえずあまり相手の言う事ばかり鵜呑みにするのは私もいただけないわ」

そう言われても、今ひとつピンと来ない部分もある。
ドクオさんと話した感じでもショボンさんがある程度の妥協をして"心の主"に結果を委ねたのは本当のようだし、
本人と話をしていても『自己を貫く精神』と『相手を認める器量』を兼ね揃えている。
国民からの信頼もあって、王に立つ者の模範の様にも思えたのだが……。



  
しばらくするとジョルジュさんの家に行き夕食をご馳走になった。

その後に案の定ジョルジュさんからの報告がある。

( ゚∀゚)「今回の戦いは比較的に安全に終わったって感じかな?
   一進一退で結果的には停戦状態だ」

( ^ω^)「……人数的な被害はどうなってるお?」

( ゚∀゚)「ドクシン国が5名死亡、3名が重軽傷だ。
   一方バーボン国は1名死亡、2名が重軽傷。
   正直互いの国が行き詰っているって感じだな」

昨日に比べれば確かにそれは少ない数だった。
武器が進化することで人が多く死ぬだろうというのは安易な考えだったか。
意外だったも、死者が減った事は少し嬉しく感じた。
ただ、まだドクシン国が押され気味なのは残念だった。

( ^ω^)「……ジョルジュさん」

( ゚∀゚)「どうした内藤?」

( ^ω^)「明日から、もっと沢山詳しい情報をお願いしてもいいですかお?」

( ゚∀゚)「うーん……構わないが、個人的には内藤自身の足でそれぞれの国に移動して欲しいって思うんだが……」

ジョルジュさんは自分のためにそう言ってくれているのだろう。
それが分かるからこそ、胸に大きく響いた。



  
( ^ω^)「もぅ……」

( ゚∀゚)「?」

( ;ω;)「もう……僕はどこにも行けないお。
   ここが僕の家で、僕は引きこもりなんだお……。
   もうどこからも煙たがられて……でも自分のせいで……」

(;゚∀゚)「おい内藤、落ち着けって!
   詳しくは知らんが、何をそんなに……」

( ;ω;)「ゴメンお、お願いしたいお……」

ジョルジュさんはしぶしぶだろうが明日からもっと詳しい情報をくれると言ってくれた。
明日はどうしようか、もう中立VIP国に居座ろうか。

そうだ、そうしよう。
また必要になれば、それぞれの王様と話をすればいいんだから。

もう自分は……それぞれの国民や国兵とは乖離されてしまったのだから。



  
−−−−六日目・夜


嫌いな夜の時間がやってきた、この時間は昼に全然気にしなかった事が頭を舞って自分を混乱させるんだ。

変な山賊二人組みが言っていた、ショボンさんを信じるといけないという事。
もし本当ならば今の自分は危ない、かなりショボンさんを信じてしまっていたから。
ただ似たことをツンも言っていたからこそ真実味を帯びてくる。

そしてあの山賊が自分を混乱させるための、ドクシンの国の者でないかとすら思ってしまう。
それならばショボンを信じるなと言うのも納得できる。

だめだ、何をそんなに疑いたいのだ。疑えば済むとでも思っているのか?

( ;ω;)

ただ……無力な自分は、相手を疑いたいだけなんだ。相手の否を見つけたいだけなんだ。

自分を否定されて……もう来るなと言われて、それが悔しいから影で相手を否定し返したいだけなんだ。
根暗な人間だ、これが"心の主"だなんて笑わせる。


でも……自分だってただの人間なんだ。
皆と同じで、国王を尊敬して"心の主"を否定して自分の家を持って過ごしたい。

どうして自分だけが……こんなにも惨めな存在にならないといけないのだ。
自分の何をここまで否定されなくてはいけないのだ。

もう夜なんて来なくてもいいのに、こんなことを考えずに済むし、それぞれの国の進化だって無くなるのだから……。
もう太陽なんて登らなくてもいいのに。




前のページへ] 戻る [次のページへ