−−−−八日目・その1
夢の中で誰かが自分に「さようなら」と言っていた。
誰かは忘れた、ただ……やっぱり自分は何も返すことが出来ずに呆然と立ちすくんでいた事だけを覚えている。
もう二度と会えないだろう、今は亡き誰か……。
( 'ω`)「……」
もう朝だった、日は昇り小鳥の声がする。
夜中に何度か起きた記憶はあるが、今ひとつちゃんと思い出せない。
また今日が始まったのだ。
( ゚∀゚)「お、今日はもう起きたのか?」
( 'ω`)「あんまり寝れた気がしないお」
( ゚∀゚)「早起きってのもたまにはいいだろ、ほら」
そう言ってジョルジュさんは僕にお茶を出してくれた。
飲むと一気に体が覚醒する、とてもおいしいお茶だった。
( ^ω^)「おいしいですお、ありがとうだお」
( ゚∀゚)「おう、もうちょっと待ったらメシ作るからな」
( ^ω^)「あ、それでジョルジュさん……」
後悔しないのか、そう自分に確認してから言葉を続けた。
( ^ω^)「昨日の……戦いの結果を教えて欲しいお」
( ゚∀゚)「内藤から聞いてくるとはな。覚悟は出来ているのか?」
( ^ω^)「はいですお」
実は覚悟とかそんなものの問題でないのは自覚していたりする。
ただ自分は……結果を聞くだけで"心の主"として動いたと満足したいだけなんだ。
もしくはその結果を聞いてまた何か思って、そこで自己卑下に浸りたいだなんだ。
自分を否定する事ほど楽な事も無い。
自分を否定するとは何もしなくてもいいことなのだから。
ただ布団に潜って「辛い」と言っていればいいだけなのだから。
( ゚∀゚)「昨日はドクシン側の圧勝だよ。
当然といえば当然だ、ドクシン側は被害なし、バーボン側は確かなことは分からないが20人以上は死んでいる」
(;^ω^)「20人……それは兵だけですかお?」
( ゚∀゚)「わけねーだろ、当然民間人足してだ。ショボンも相当おかんむりだな」
(;^ω^)「……」
ドクシンがまさかそこまで強攻なことをするとは……また心は揺らいだ。
そして今日は……更に進化しているのかもしれないのだから。
朝食を食べ終わるとまた色々な悩みが頭を舞った。
いや、そもそもずっと同じ事で悩み続けているんだが。
こうやってのんびりしている自分や"心の主"の責任を放棄しようとする自分。
バーボン国の考えとドクシン国の考え。
そして……ショボンを信じるなという事。
( 'ω`)「お〜……もうダメダメだお」
いつも同じ事ばかりで悩んで、いつも結果を出せずに悩んで自分を否定して誤魔化しているだけなのだ。
川 ゚ -゚)「おお、相変わらず腑抜けているな」
( 'ω`)「生まれつきだお」
川 ゚ -゚)「冗談だ、真に受けるな主様」
( 'ω`)「何の用だお?」
川 ゚ -゚)「いや、ショボンさんから言付かってな。
午前中に戦いを始めるから、主様にはここにいて欲しいそうだ」
(;^ω^)「ちょ……行くって言っても止めるんだお?」
川 ゚ -゚)「それが役目だ、申し訳ない」
(;^ω^)「……クーさん」
川 ゚ -゚)「クーでいいぞ」
( ^ω^)「そうじゃなくて、今までは別に戦いとかしていても特に何も言われなかったお。
それをあえて言うという事は……行くと危ないのかお?」
川 ゚ -゚)「ああ、危ない。死ぬぞ」
( ^ω^)「僕はドクシンの集落に行くだけだお。
戦場になんて行かないお、それでも……危ないのかお?」
川 ゚ -゚)「ああ、それが危ないんだ」
すぐに走り出したが、直後に腹への鈍痛があった。
倒れこむ自分をクーは支えてくれる。
( ゚ω゚)「おっ……おっ……」
川 ゚ -゚)「行かせない、絶対に。すまん、本当に……すまん」
そのまま壁にもたれさせられた。
そして隣にクーが座る。
まだ腹の痛みは抜けない、苦しい……。
そんな自分の目先に空をかける物体が見えた。
ヘリコプターなどとは違うそれは、恐ろしいスピードでバーボン国からドクシン国へ向かっていった。
(;゚ω゚)「おッ……!」
川 ゚ -゚)「始まったか……」
思考は完全に停止した。
---バーボン国側
その戦闘機の中には二人の男が乗っていた。
( ^Д^)「あー、どうも地に足が着いていないってのは怖いもんだな……
とりあえずもうちょっと運転慣れるためにしばらく旋回するぜ?」
(・∀・)「別にいいけど、せっかくだったら集落の少ないウツダ地方に行ってもらってもいいかな?
ミサイルの試し撃ちがしたいし、ドクシンにもいい威嚇になると思うし」
( ^Д^)「昨日はオレらの国の国民狙いやがったからな……目には目をには賛成だ」
そう言って進行方向を少し変えると、集落が見えてきた。
(・∀・)「高度を下げて」
( ^Д^)「おっけ、こんな感じか? 早くしてくれ」
(・∀・)「んー、ほいさ!」
ジエンがスイッチを押すと、戦闘機からミサイルが撃たれた。同時、爆弾を投下する。
逃げる人々が小さい、そして脆い。まるでゴミのようだ。
爆発音がいくつも轟くと、次のにはその集落は焼け野原となっていた。
( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー」
(・∀・)「狙いが少しズレたね……もう一回ミサイルの試し撃ちいいかな、次はシノー地方で。
進化して爆発が大きくなったからある程度なら爆弾で誤魔化せるけど、それも悔しいしねー」
そしてもう一つの集落も狙うと、簡単に焼け野原となった。
人が、物が、今までの進化が……まるで簡単に消し去られた。
( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー、この辺りの人達も、戦いとはずっと無縁だったのにな」
(・∀・)「そうだね、陸での戦いなら当然この辺りの人達は無縁でいられただろうねー。
だけどもう安全な所なんてこの大陸上には存在しn……ちょっとプギャーいい?」
( ^Д^)「ん?」
(・∀・)「相手も戦闘機を有するみたいだよ、合計3機。
ちなみにそのうち1機はバーボン国に向かってるね」
(;^Д^)「それはまずいだろ!」
(・∀・)「だけど内2機はこっちに向かってくるからダメだね。
その除去を最優先にしないとね」
(;^Д^)「こっちの機体は合計2機……
国で待機しているもう1機でちゃんとバーボン国に向かった機体を破壊してくれれば……」
(・∀・)「それよりも自分達だね、2対1……頑張ろうか」
(;^Д^)「そうだな、まずは自分達だな」
ジエンはプギャーに的確な方向の指示を出す。
(・∀・)「もうちょっと右かな……ああ、それは向きすぎ」
(;^Д^)「どうしてそんなに目がいいんだよオマエは……何も見えないぞ」
(・∀・)「おっけ!」
そしてジエンがスイッチを押すと、ミサイルが真っ直ぐに発射される。
しかしそれは相手の戦闘機の下をかすめた。
(・∀・)「おしい!」
( ^Д^)「お、ようやく俺も相手が見えてきた。……マジで2機だな、しかもこっちと型が違う」
(・∀・)「どっちが優れていようと関係ないよ、乗る人の腕だけはこっちの方が上だから」
( ^Д^)「いいこと言ってくれるね!」
プギャーは戦闘機を左右に大きく振って相手戦闘機の狙いを定まらなくし、翻弄を試みる。
相手もこちらに対し左右に分かれて狙いを定め難くした。
(・∀・)「横から狙うのはは中々難しいね、でも相手も横からは狙えないはずだからしばらく互いに様子見かな?」
( ^Д^)「できれば相手が運転に慣れる前に潰したかったが……そうもいかないか……。
とりあえずジエン、運転の下手な方を先に潰そう、その判断は任せる」
(・∀・)「おっけ!」
そして空中で距離をとり互いが互いを狙えない状況、旋回しながら様子見をする。
(・∀・)「あっちも二人乗りみたいだね」
片方が指示を出して、片方が運転する。
一人よりも犠牲は大きいが確実さをとったのだろう、人材不足だからてっきり一人乗りかと考えていた。
( ^Д^)「しかし一晩過ごすだけで相手もここまで乗りこなせれるようになるんだからな……
相手の方が進化の度合いはいいかもしれないな、乗り始めの操縦から違う」
(・∀・)「プギャーの才能を超えれるわけ無いよね?」
( ^Д^)「ああ、乗り始めは相手の方が上かもしれないが、オレを舐めてもらっちゃ困るね!
牽制しあいながらでもすぐに相手のテクニックを超えてやるぜ!」
そう言ってプギャーは相手の戦闘機のギリギリをすれ違うように運転する。
相手の乗組員が怖気づくかと思ったが、意外にもそのまま進んで来た。
そしてギリギリでそれらはすれ違った。
(・∀・)
( ゚д゚ )
(・∀・)「……プギャー、さっきの戦闘機は後回しにしよ」
(;^Д^)「そうだな、あの近距離のすれ違いを恐れない乗組員の度量は侮れないからな」
(・∀・)(……)
そして戦闘機は相手のもう一機に狙いを定めた。
ちょっと距離があるか……? いや、大丈夫だ。
ジエンはプギャーに操作を托すと、絶妙のタイミングでスイッチを押した。
ミサイルは相手方向にうまく飛んでいくが、相手もギリギリで気付いたか急降下を試みる。
何とか間に合ったようだ、相手はミサイルを避けた。
( ^Д^)「……だが終わりだな」
しかし戦闘機の先端を下に向けすぎたようだ。そのまま戦闘機の体勢を持ち直すことが出来ず墜落した。
( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー、一発かよyoeeeeeeeee!」
(・∀・)「……ねえ、プギャー。相手と無線で交信できる?」
( ^Д^)「ん、やってみるか?」
プギャーは幾つかスイッチをオンにして、機内に音が響く状態にして交信をしてみる。
しばらく雑音ばかりが不快に鳴り聞こえたが、少し経つと雑音は小さくなって……
( ゚д゚ )『そちrらから挨拶しにk来てくれるttとはgごt丁寧に』
若干のノイズ音と供に、挑発的なセリフが聞こえた。
(・∀・)「君は……昨日のヘリコプターに乗ってた人だよね?」
( ゚д゚ )『そういuうオマエはバーbbボン国nのスナイpパーだな?
銃撃s戦になっtてkからずっと先頭でt戦ってきた……違うkか?』
(・∀・)「そうだよ、君とは何か縁のようなものを感じるね」
( ゚д゚ )『d同感だ。そしてkここで決着をtつkけることにしようじゃnないか』
(・∀・)「同感だよー」
無線越しに確認した、互いのプライドとこの戦いにかける思いを。
これを制したものが勝つ、自身だけでなくその国が。
( ´_ゝ`)『あaー……そっちnの操j縦者。ちょっtとiいいか?』
( ^Д^)「ああ俺か、何だ?」
( ´_ゝ`)『オrレはこの二人の戦いをsしっかりとm見守りたいtと思う』
( ^Д^)「何か知らんけど俺も邪魔はしたくないな」
( ´_ゝ`)『そしてこnの二人の勝負をすrるu上で、大切なnのはoオレ達の操縦のu腕だ』
( ^Д^)「そうだな」
( ´_ゝ`)『今まdでの操縦がh本k気か? なrらば……残n念ながらオrレ達の勝ちhは確定するzぞプッ」
(#^Д^)「……いい度胸だな、安心しろや軽い腕ならしだ。
オマエこそオレが本気を出した途端に落ちてくれるなよ?」
( ´_ゝ`)『いらん心配dだnな。オレの名hはa兄者、オmマエは?」
(#^Д^)「プギャーだ。兄者とやら、最期に残したい言葉は何かあるか?」
( ´_ゝ`)『そnの時gが来tたら言うよ、何十n年と後のh話だろうgがな』
そして通信は切れた。
同時、互いの戦闘機は急旋回をして空中で牽制しあう。
(#^Д^)「ジエン……オマエの言うとおり確実に操縦してやるよ、だから……絶対に当てろよ?」
(・∀・)「うん、それは問題ないよ。操縦者の腕も勝ってると思ってるからね。
とりあえず少し高度上げてもらえるかな、それと爆弾落とすよ?」
( ^Д^)「オマエは本当ここ数日で隊長の器になったな……。
爆風で翻弄でもする気か? 好きにしてくれ。
俺も同じでオマエのことを信頼しているからな」
そして空の勝負も激しさを増していた。
どちらの国が勝つのか……それは誰にも分からない。
---中立VIP国
もう止める気なんて起きなかった。
どうしようもない、そればかりを考えていた。
川 ゚ -゚)「まだ……止めに行こうなどと思っているか?」
絶望、そして恐怖。
答えは当然NOだ。
( 'ω`)「……」
川 ゚ -゚)「主様……」
クーの言葉に返事も返さなかった。
それでも構わずにクーは言った。
川 ゚ -゚)「そろそろ、決断の時じゃないのか?」
そう、ちょうど自分もそれを思っていた。
これ以上の犠牲を出さないためには……決断するしかないのだろう。
−−−−八日目・その2
---バーボン国上空・ドクシン国側
(=゚ω゚)ノ「相手国の機体は、こちらには1機のみか……ちんぽっぽ、もう大丈夫だな?」
(*‘ω‘*)「大丈夫っぽ、ここは自分たちの勝利っぽ」
(=゚ω゚)ノ「よし」
ドクシン国の上空にバーボン国の戦闘機が出現したのを合図とし、ドクシン国も3機の戦闘機を発進させた。
内自分たち一機だけがバーボン国へ向かい、二機をドクシン国に現れた戦闘機の相手に回した。
そして我々はバーボン国上空で相手国の戦闘機と戦い、つい先ほど勝利した。
バーボン国上空を完全に支配した。
(*‘ω‘*)「これからどうするっぽ?」
(=゚ω゚)ノ「ある程度爆撃しておこう、これで相手を警戒させれれば
次からの戦いが防戦中心となって犠牲が少なくなるかもしれない」
(*‘ω‘*)「わかったっぽ」
(=゚ω゚)ノ「とりあえずショボンはいないだろうが彼のお城の上空を旋回するから、攻撃し易い方向を指示してくれ」
(*‘ω‘*)「頼んだっぽ」
---ドクシン国上空・ドクシン国側
ミンナ・兄者とジエン・プギャーの戦いは互いにミサイルを撃ち合う事は少なかった。
操縦者である兄者とプギャーが互いに相手の直線状を飛ばない様に意識していたのだ。
そしてミンナとジエンはそれぞれ運転の指示をしていた。
( ゚д゚ )「兄者、次は左方向に高度を変えずに旋回してくれ」
(;´_ゝ`)「OK、任せろ!」
流石の兄者も疲労を見せ始めたが、それは相手も同じだろう。
長時間の牽制合戦。
互いに少しのフェイントを入れたりして、相手の出方を伺いあう。
( ゚д゚ )「なんだ、相手は高度を上げたぞ……?」
(;´_ゝ`)「痺れを切らしたか?」
もうずっと牽制しあっていたが、とうとう相手が行動に出たのだろうか?
突如高度を一気に上げる。
( ゚д゚ )「高度を上げられるとは厄介だな、一方的に狙われ易い」
( ´_ゝ`)「こちらも高度を上げるか?」
( ゚д゚ )「……そうだな、だが敢えて相手よりも少し低い目で頼む」
ミンナの指示を受けると、兄者は高度を上げる。
すると相手の戦闘機はその自分たち向かって高度を下げて襲い掛かってくる。
(;゚д゚ )(ち、微妙にずれている……撃っても当たらんな……)
(;´_ゝ`)「どうする!? このままギリギリですれ違うか!?」
(;゚д゚ )「できるか?」
(;´_ゝ`)「既に一回したからな、多分大丈夫だ!」
そして相手の戦闘機を上にした形でギリギリにすれ違った。
通過すると激しい風圧が機体を揺らした。
(;´_ゝ`)「くぉっ……!」
(;゚д゚ )「おおおっ!」
一度機体が揺れると、上下してうまく安定しない。
兄者はすぐにそれの修正に全力を注いだ。
ガクンガクンと大きく揺れる機内、しかしそれはすぐに止まる。
(;´_ゝ`)「ふう、何とか……か」
(;゚д゚ )「相手を見失った、どこだ!?」
(;´_ゝ`)「!!」
機内が揺れていて、相手の戦闘機が目視出来る範囲から消えた。
何より上向きと下向きですれ違ったのだ、相手は下にいるはずだが……戦闘機はえてして下が盲点となりやすい。
おそらく相手の狙いは自分たちの盲点に入り込み、狙いを定める事だろう。
早く旋回してまた互いに牽制し合える状況を作らなければ。
(;゚д゚ )「兄j」
---ドクシン国上空・バーボン国側
( ^Д^)「m9(^Д^)プギャー、オレ達の勝利だな」
(・∀・)「そうだね、的確に素早く機体を動かしてくれたお陰で助かったよ」
( ^Д^)「いや、それでもあの状態から相手に命中させれるジエンの技量がやっぱりすごいわ」
二人は謙遜し合い、空中で爆発した相手機体を眺めた。
空中での戦い、負けた方には死しかない。
(・∀・)(好敵手にはまだ足りなかったね、ミンナ君)
そして機体は次第に高度を落としていき、再び陸の攻撃態勢に入る。
( ^Д^)・∀・)「!!」
すると今度は陸上の巨大な砲撃台からの攻撃が機体を襲った。
改めて下を見ると、こちらに向かっていくつも構えられている。
(;^Д^)「ち……これは厄介だな。
どうする? とりあえずこの辺りから離れるぜ?」
そしてプギャーとジエンを乗せた機体はスピードを上げてその地方を通過した。
(;^Д^)「とりあえずドクシンの中心地方を狙うぜ?」
(・∀・)「昨日のお返しだ、やっちゃおうか」
そのまま機体は目的の地域に到着すると、爆撃などでその集落を攻撃する。
相変わらず簡単なものだ、家などが集中しているからすぐにその場所は崩壊した。
(・∀・)「……うーん、でも誰もいないね」
(;^Д^)「マジか、避難した後って事か……どうする?」
(・∀・)「だったら避難している所を狙えばいいよ」
(;^Д^)「簡単に言うなよ、森の中に隠れているかも知れないし、山に穴を掘ってそこに避難しているかもしれないぜ?」
(・∀・)「ああ、避難場所ならそれっぽい所をさっきの戦い中に見つけたから大丈夫」
(;^Д^)「……」
(・∀・)「かなり見つかりにくく作られていたけど、それでも隠し切れなかったみたいだね」
(;^Д^)(オマエだけだよそんなの見つけれるのは……)
(・∀・)「それじゃ、行こうか」
ジエンはそう言いながらプギャーをその避難地区と思わしき所に案内した。
---中立VIP国
戦いはようやく終わったのか、爆発音や時折姿を見せた戦闘機はもう無かった。
そんな空をボーっと見ていた。
( ゚∀゚)「内藤、昼からはどっちかに行くのか?」
( ^ω^)「……ドクシン国に行くお」
やはり心のどこかでショボンさんを信じれなくなっている自分がいた。
とはいえ実際に自分でその戦いの爪跡を確認しに行かなくては。
ドクシン国へ向かうことはもう決めていた。
( ゚∀゚)「昼飯は食べれるか?」
( ^ω^)「ゴメンお、辛いお」
( ゚∀゚)「分かった。じゃあ変わりにお茶を準備するからそれくらいは飲んでってくれるよな?」
( ^ω^)「……ありがとうだお」
ジョルジュさんの気遣いはとても嬉しかった。
そして……お茶を貰ってからいよいよと覚悟を決め、自分はドクシン国へと向かった……。
そこはもう廃墟と化していた。
昨日までの進化はどうなったのか、どこへ行ってしまったのか?
進化はどこまでも果てしなく続くものだと思っていたが……違った。
過度な進化は今までの自分を破壊し始めるんだ。
己で己を制御し始めるんだ。
(;゚ω゚)「お……おおお……」
その町を見て思った。
もう何も無い町を見て。
戦闘機が出来て戦争を始めるこの状態で、わざわざ家に住む人間なんていないだろう。
きっと洞窟などで皆寄り添って震えながら毎日を過ごすんだろう。
『進化』が自分自身を制御した結果がこうなるわけだ。
今までの進化で手に入れた家や様々な武器はもう意味が無い。
意味があるのは現在の進化の最高峰である戦闘機だけだ。
(;゚ω゚)「おおおおおおぉぉぉ!!!」
誰もいないその場で叫んだ。
ニダーさんの家が崩れ落ちた後、周りの木々が吹き飛ばされた後。
異様な静寂と化したこの場。
(;゚ω゚)「おおおぉぉおおぉぉ!!!」
ただ力の限り叫んだ。
(;゚ω゚)「おおぉおおおおおぉおぉ!!!」
この行為に意味は無い、ただ自分が精一杯叫びたかっただけだ。
(;゚ω゚)「おおぉおおぉおぉおおッ!!!」
叫び声だけが虚しくこだました。そしてその場にうなだれた。
これが"心の主"の力なのか?
ここの人達はみんな死んだのか?
どちらの国が優勢なのか?
一体いつこの戦いは終わるのか?
自分はどんな結論を出すのか?
無数の疑問が頭を締め付ける。
しかし考えれる思考は無かった、ただ疑問だけを羅列していた。
どうして? 何が? いつ?
自分は辛すぎて狂いそうだった。
しばらく地面におでこを押し付けて、祈る形でいた。
ぐちゃぐちゃな頭を整理する気になんてなれなかった、相変わらず疑問ばかりを並べていた。
「落ち着かれましたか、内藤さん?」
突然声をかけられてハッとした。
思い頭を上げると、そこには見たことのある顔があった。
誰だったか……今ひとつ思い出せない、初めてドクシン国に来た時会った人だ。
( ^ω^)「……」
(=゚ω゚)ノ「ご無沙汰しています」
( ^ω^)「……死んだのかお? ……皆死んだのかお?」
(=゚ω゚)ノ「……とりあえず聞いて下さい、この集落に住む方々は一時別の場所にて待機しておりました。
ここは酷い有様ですが、血や死体などは無いでしょう?」
( ^ω^)「……お、本当だお」
バカみたいに興奮しすぎていたようだ、そんな事にも気付かないなんて。
そして死体という言葉に反応し、最後に会った時にしいが殺した相手の死体が頭に浮かび上がって気持ち悪くなった。
突然で申し訳ないと言って、その場で吐いた。
今日は何も食べていないのに……胃には色々と溜まっていた。
(;^ω^)「す……すみませんお……」
(=゚ω゚)ノ「いえいえ、大丈夫ですか?」
(;^ω^)「大丈夫ですお、それより皆はどこに避難しているんですお?」
(=゚ω゚)ノ「……」
そこで一瞬時間が止まったような静寂が訪れた。
何か悪い事を聞いてしまったのか?
この時はその静寂の意味なんて分からなかった。
(=゚ω゚)ノ「……私の説明の仕方が悪かったです、申し訳ありません」
(;^ω^)「おっ、おっ?」
(;=゚ω゚)ノ「いずれにしてももうこの町の住民は生きていません、全員死にました。
避難場所が相手に見つかり、一気に殺されてしまいました」
(;^ω^)「……お?」
自分の思考回路が一瞬止まって、その直後に恐ろしい憎悪が生まれたのが分かった。
(#^ω^)「どういう事だお、ニダーさんは? アプーは!?」
(;=゚ω゚)ノ「……ご存じないならこの場でお伝えします。
ニダーは2日前すでに戦死しました。アプーは本日に例外なく死にました」
(#^ω^)「バカにするんじゃないお、もうみんな死んでるんだお!?
なのにどうして期待持たせるような言い方したんだお!
怒るお、この国を嫌いになるお!?」
(;=゚ω゚)ノ「……申し訳ございません。ただ、これが事実です」
(#^ω^)「アプーを返せお、ニダーを返せおッ!!」
(;=゚ω゚)ノ「私だって……返して欲しいです……」
(#^ω^)「ふざけるんじゃないお、馬鹿にすんなって言ってるんだお!!」
自分の怒号を相手の人はずっと聞いて、返してくれた。
一方的な傲慢な怒りにも拘わらずに。
きっと相手の人のほうが辛かっただろうのに……その時の自分はそこまで考える余裕がないほどまで怒り狂っていた。
(#^ω^)「もういいお、オマエなんかじゃ話にならないお!
ドクオさんのいる所を言えお、ドクオさんと話するお!」
(;=゚ω゚)ノ「……した」
(#^ω^)「何言ってるかわかんないおッ!」
(=;ω;)ノ「ドクオさんは……し、死に……ました……」
また思考が停止した。
相手が何と言ったか、それを理解しようとしなかったんだ。
とうとう相手が感情を露にして泣き崩れた。
それまで一方的に怒られてくれてだけいた相手が、とうとう……。
自分は固まった。
相手がどれほど辛かったか、それも考えずに怒鳴りつけていた自分への嫌悪感。
だがそんな嫌悪感ですら小さく思えるほどの衝撃。
ドクオさんが……死んだ?
どこかで国王は死なない、そんなふうに考えていた自分がいた。
そんな訳ないだろう、国王だって人だ、自分と同じ……人だったんだ。
(=;ω;)ノ「あの方は……危ないというのに、国民のためだって……
避難したこの集落の人達と一緒にいて……それで……」
(( ω ))「お……おぉぉ……」
自分も涙がこぼれた。
再び力の限り叫んだ。
( ;ω;)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!!」
皆死んだんだ。
ドクシン国の大切な人達は……皆死んだんだ。
どうしてそんな事するんだ。
どうして殺すんだ、どうして殺しあうんだ。
ニダーさんのあの笑顔を見ることはもう出来ないんだ。
アプーのあの照れた顔はもう見れないんだ。
ドクオさんと会話を楽しむことはもう出来ないんだ。
最後に一目見たかった。
自分の記憶はもう淡い、皆の顔がすでに少しかすれていた。
もっと、ちゃんと皆を覚えていたかったのに。
本当に……もう会えないのか?
嘘だと言ってくれ、誰か……嘘だと言ってくれ。
中立VIP国に帰ってからもずっと泣いていた。
特に何も考えていなかった。
無心と言うわけではないが、ドクシン国での出来事以外考えれなかったんだ。
涙はどれだけ流れるものなんだろうかなんて考えた。
お茶を飲まなければこんなにも涙を流さなかったかもしれないのに。
どうしてこんなにも涙は流れるのだろうか?
涙が流れるほど悲しみは心にこびり付く気がした。
もうどっちの国が勝つかとかそんな事はどうでもいい。
どっちに心が動くとかもどうでもいい。
今は自分が辛いんだ、自分の事だけを考えて寝させてくれ。
そんな日ぐらいあってもいいだろう。
自分が辛すぎるんだ……胸が強くえぐられるんだ。
rもう今夜はずっと泣かせてくれ。
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