('A`)「……空が青いぜ」
放課後の屋上でセンチメンタルに空を眺める男がいた。
身長180pはありそうなすらりとした体躯、それに不釣合いに目つきの悪い不細工な顔。
伸びまくったまっすぐな黒髪とあいまって、
彼は、一見するとただのキモオタだ。
しかし、何を隠そうこの男こそがVIP高校始まって以来の大不良、
その名も鈴木 タケシ(すずき たけし)。通称ドクオである。
日系アメリカ人の彼は、どう見ても典型的な日本人の容姿を兼ね備え
なぜかニューヨークのスラム街で産声を上げた。
父の顔も母の顔も知らない。
そんな彼は、物心ついた頃から喧嘩三昧の日々を送っていた。
毎日が戦い。
負ければ死につながるそんな環境の中を、彼は生き抜いた。
彼は本来、喧嘩など好きではなかった。
しかし、周囲の状況のため喧嘩せざるを得なかった。
そんな環境に辟易した彼は、15歳の春、平凡で自由な生活を求め日本へとやって来た。
なぜか日本語もペラペラな彼は、AO入試ですんなりとVIP高校へと入学。
('A`)「これで普通の生活が送れる」
しかし、運命はそれを許さなかった。
「てめぇ、何ガンつけてんだよ!」
「キモオタのクセに背が高いなんて生意気なんだよ!」
日本に来てからも彼はなぜか因縁をつけられ、喧嘩三昧も日々を送った。
しかし、スラム街に比べれば日本の高校生はあまりに弱かった。
連戦連勝の彼は、ついにヤクザ養成高校と呼ばれ恐れられる
ラウンジ高校の番長と対決するはめになった。
('A`;)「日本にもこんな骨があるやつがいたとは……」
ラウンジ高校の番長は強かった。
だが、その勝負は警察が駆けつけたため決着が付かず、結局引き分けとなった。
しかし、そのおかげで彼の名は一気にとどろいた。
そして気が付けば彼は、VIP高校の番長と呼ばれるようになっていた。
やがて彼に喧嘩を売る者もいなくなり、
ドクオは望みどおりの平凡で静かな生活を手に入れた。
('A`)「毎日がこんな風に過ぎていけばいい」
ドクオはそう思った。
何事もなく、この屋上を渡っていく風のように
ただ悠々と過ぎていく日々がたまらなくいとおしかった。
しかし、今日学校に登校した彼は信じられない光景を見た。
,.:::.⌒⌒:::::ヽ
(::::::::::::::::::::::::::::)
(:::::::::::::::人::ヽ::::ノ
(::: ヽ(^ω^):::::: ) < HAHAHA!
ヽ ノ―━
└━
ジャジャ――ン
('A`;)「な、なんてファンキーなんだ……」
アフロヘアのクラスメイツの姿に彼はアンビリーバボーした。
('A`;)「お、俺もあんなファンキーな髪型にしたい……」
それは、自分に流れるアメリカ人の血がそう思わせるのだろうか?
しかし、冷静なもう一人の自分が言う。
ファンキーな髪型にしてしまうと、この平穏な日々が失われてしまう、と。
('A`;)「どうすればいい……どうすればいいんだ……俺は」
ドクオは一日悩んだ。
しかしドクオは自分の中に湧き上がる熱い血の情動を抑えられなかった。
ドクオは、自分に金魚の糞のごとく付きまとう
わかんないですに、ブーンを呼び出すよう命令した。
('A`)「空はイイ……俺もあの雲のように自由に生きたい……」
ブーンを待っている間、ドクオは空を眺めていた。
不細工な顔に似合わず、彼はロマンチストだった。
ポケットに手を突っ込み、彼は空を見上げ続ける。
すると、背後の扉が「ギギギ」と音を立てて開く。
('A`)「……現れたか」
ドクオは静かに振り返った。
(;^ω^)「な、なんの用かお? ドクオ君……」
振り向いたドクオに、ブーンはおどおどとした調子で話しかける。
VIP高校史上最強の番長と呼ばれる彼は、凄まじい迫力を持っていた。
うわさではあのラウンジ高校の番長とも互角に渡り合ったという。
しかし、振り向いたドクオの顔はキモかった。
('A`)「……」
(;^ω^)「……」
ドクオが不細工な顔でにらみつけてくる。
ブーンも負けじとにらみ返す。
ここで目をそらしたら殺されるかもしれない。
そんな防衛本能だけが、今のブーンを支えていた。
('A`)「……おい」
(;^ω^)「な、なんだお?」
ドスの聞いた低い声でドクオは聞く。
('A`)「てめぇ……」
(;^ω^)「な、なんだお!」
('A`)「その髪、どこで切ってもらった?」
予想外のことに一瞬とまどったが、素直にブーンは答える。
(;^ω^)「お? 駅前の美容室『サーセン』だお。」
('A`)「そうか……」
そう言い残すと、ドクオはブーンの入ってきた扉をとおり、校内へと消えていった。
( ^ω^)がアフロにしたようです
その三
( ><)「やい!内藤!ドクオさんが呼んでるんです!
今から屋上に行くんです!」
翌日の平和な昼休み。
ブーンはまたしてもドクオに呼び出しを食らった。
今日は学校にドクオは来ておらず安心していた彼には寝耳に水のことだった。
(;^ω^)「今度は一体なんだお…」
しぶしぶ階段を上り、ブーンは屋上の扉を開けた。
__,, , , , _ 、 ,,, ... ,, _ ..,_
ー=、 、ー-、`ヽ、、ヽ`!i' , ,i",r'",-'"=ミ
`ヽ`ヾ`、 ! ヽ ! l! i! !_i_/_<'"``
`,ゝ、iliー'" "、,"、', i, リ
!/!,li ,;;-=o=-,ッィ=。ゥィ
__ i、`!', '; `ー /;;!i、''; ,! <よう、ブーン。
ー''`ヽ`,ーi'`''"!、ヽ , `一'、 / __
`il `i ! ヽ、  ̄ ̄ / iヽ、/ ,.ヽ_
i! !` `ーァ、-ー' ! ノ!トi,!'",ノ-、
,..=、i! iヽ-、 rィ',;'!ヽー-、! `/_,i' _,.!'、
ーニー-、._ `ヽゞニ-、.;' i! ! , `ト_ノ`x-'" ノ
=ニヽ、 , `, /ヾ=ソ ノ !/ !、`ー`''イ、
-ー-、 `i, / / ヽ `イ_, i -'" ̄`! ! ヽ
ゝノ /-'" ` ' ! ヽ !
(;^ω^)「……」
なぜかそこには、ガイルがいた。
ドクオに呼び出されたはずが、なぜか目の前にはガイルがいる。
信じられない光景に頭の中が真っ白になる。
しかし、ガイルはよく見るとドクオだった。
___
\ /
('A`)「どうだ、最高にクールな髪型だろ?」
ドクオは心底嬉しそうに、
真っ平らな百人乗っても大丈夫そうな頭頂部をさすりながら言う。
( ^ω^)b「……ドクオ、最高にいかしているお!」
('A`)b「お前も最高にファンキーだぜ」
男二人は、春の日差しの祝福の下で抱き合った。
この瞬間、二人の間には確かに友情が芽生えていた。
ブーンとの熱い抱擁を交わした後、ドクオはブーンに背を向けた。
そして、ブーンの方を振り返って言った。
('A`)「しかし、俺とお前は戦わなければならない」
(;^ω^)「ちょwwwなぜにwwww」
('A`)「俺の中に流れるアメリカ人の血がよ、俺以上にファンキーな奴の存在を許さないのよ!」
(;^ω^)「……」
('A`)「さあ、ブーンよ。俺と勝負だ」
ドクオの目は真剣だ。
なにしろドクオが初めて自分から仕掛けた戦いだからだ。
これは男同士の威厳と尊厳をかけた勝負。
ここで断れば、男とアフロが廃る!
( ^ω^)「……受けてたつお」
赤コーナー
VIP高校史上最強のガイル
『ドクオ』 __
. { | `7
. l! ̄l{
l! ,ハ
j酉 ,ノ
. } ', 、─‐- 、
い lヽ」ry'^ヽ,>
. { 八\__/
|`ーr '゙ \,ノト、
. ', Y⌒7ヽ,.jィ゙
. ',. f´`7 .// .j __
j  ̄ 円‐|__'⌒'ーl」 .!
/ .! しヘ,ー─‐.┴┘
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f´ !| .|
|、 j. | ノ
. l ` 7´ r' ̄〔
}H{ `' 、 へ,
{. }  ̄
パシャ パシャ ガイル パシャ パシャ パシャ ガイル パシャ パシャ パシャ
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ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ
青コーナー
ライトニング・アフロ
『ブーン』
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} >'´.-!、 ゞイ! ヽ 二゙ノ イゞ‐′
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ノ ,二!\ \___/ /`丶、
/\ / \ /~ト、 / l \
/ 、 `ソ! \/l::::|ハ/ l-7 _ヽ
/\ ,へi ⊂ニ''ー-ゝ_`ヽ、 |_厂 _゙:、
∧  ̄ ,ト| >‐- ̄` \. | .r'´ ヽ、
,ヘ \_,. ' | | 丁二_ 7\、|イ _/ ̄ \
i \ ハ |::::|`''ー-、,_/ /\_ _/⌒ヽ
パシャ クール パシャ パシャ パシャ アフロ パシャ パシャ パシャ イイヨー
パシャ モウチョイ アフロ モット ワラッテ パシャ パシャ 最高 パシャ パシャ
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( )】 ( )】 ( )】 【( ) 【( ) 【( )
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ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ
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`,ゝ、iliー'" "、,"、', i, リ
!/!,li ,;;-=o=-,ッィ=。ゥィ
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`il `i ! ヽ、  ̄ ̄ / iヽ、/ ,.ヽ_ ∧∧∧ (::::::::::::::人:::::::::ノ
i! !` `ーァ、-ー' ! ノ!トi,!'",ノ-、 < V S > (:::: (^ω^):::::: )
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ーニー-、._ `ヽゞニ-、.;' i! ! , `ト_ノ`x-'" ノ ||
=ニヽ、 , `, /ヾ=ソ ノ !/ !、`ー`''イ、 ┛┗
-ー-、 `i, / / ヽ `イ_, i -'" ̄`! ! ヽ
ゝノ /-'" ` ' ! ヽ !
DOKUO BOON
( ><)「皆さんコンニチワなんです!実況のわかんないですなんです!」
川 ゚ -゚)「解説のクーだ」
( ><)「ドクオとブーンのファンキーをかけた対決が始まったんです!」
川 ゚ -゚)「二人ともファンキーだ」
( ><)「おっとここでドクオ選手、しゃがみこんで何かを叫びだしたんです!」
('A`)「俺のこの手が真っ赤に燃える!
勝利をつかめと轟き叫ぶ!」
( ><)「おっとこれは!灼熱ゴッドフィンガーの構えなんです!」
川 ゚ -゚)「彼はガノタだったのか」
('A`)「くらえ!ソニックブーム!」
( ><)「それは違うんです!」
川 ゚ -゚)「ヨソウガイデス」
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,. -─rヘ. |__/ /5Tヽ
/ ,.ィ'Tヽ.{_`|`ヾァ . |
| l ヽ ,ノ `二´ リ _____
|. ` - _,>─‐r‐-- イ `" '' ‐ - 、 ~"'' 、
j`'ー一'゙L.._ └ 、__ノ ノ ,ノ
{ `' `'ー一 '´
', l_ ヽ
>、 !`7'´ /
_/ ` _,ノ !`丶/
/´ Y ""´ .r'7 (´
\f三ヽ `丶(二コ
,.:::.⌒⌒:::::ヽ
(:::::::::::::::::::::::::::)
(:::::ヽ:::::::人:::::::::ノ
(:::: (^ω^)┐:::: ) < そうはいかんざき!
┌ヽ ノ
┛ └┓ ぽいーん
ミ
三三三◎←ソニックブーム
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/// /// /// ///
( ><)「かわしたんです!ブーン選手、華麗なジャンプでかわしたんです!」
川 ゚ -゚)「うむ。十点満点だ」
(;^ω^)「体が……軽いお」
('A`;)「俺のソニックブームをかわすとは…」
( ><)「それにしてもブーン選手のこの身のこなしはなんなんですか!?」
川 ゚ -゚)「アフロだな」
( ><)「どういう意味なんです!?」
川 ゚ -゚)「歴代のボクシングチャンピョンにはアフロが多い」
( ><)「つまり、ブーン選手はアフロにすることで
ボクシングチャンピョン並みのテクニックを身につけたんですか!?」
川 ゚ -゚)「うむ」
( ><)「ご都合主義です! 作者出てきやがれなんです!」
( ^ω^)「今度はこっちから行くお!」
('A`;)「むむ!」
( ><)「おっとブーン選手、おもむろにズボンを脱ぎだしたんです!」
川 ゚ -゚)「F5F5F5」
( ><)「クーさん、更新しないでくださいなんです!」
川 ゚ -゚)「冗談だ」
( ><)「アッ――!下半身を露出したんです!おまわりさんに通報なんです!」
川 ゚ -゚)「ジ―――」
( ><)「クーさん、ビデオカメラを回さないでくださいなんです!」
,.:::.⌒⌒:::::ヽ
(::::::::::::::::::::::::::::)
(::::::::::::::人:::::::::ノ <アフロ百烈脚!
(:::: (^ω^):::::: )
/⌒ ヽ
/ / ノヽ _ー ̄_ ̄)', ・ ∴.' , .. ∴.'.' , .
( /ヽ | ) --_- ― = ̄  ̄`:, .∴ ' ((( #'A`;) .∴ '<ひでぶ!
\ / _, -'' ̄ = __――=', ・,' .r⌒> _/ / ・,' , ・,'
( _~"" -- _-―  ̄=_ )":" .' | y'⌒ ⌒i .' . '
| /,,, _―  ̄_=_ ` )),∴. ). | / ノ | ∴.'∴.'
| / / ―= _ ) ̄=_) _), ー' /´ヾ_ノ
( ) ) _ _ )= _) ,./ , ノ '
| | / = _) / / / , ・,'
| | |. / / ,' , ・,'
/ |\ \ / /| |
∠/  ̄ !、_/ / )
|_/
( ><)「クリーンヒットです!ドクオ選手立てないんです!」
川 ゚ -゚)「立派なものをお持ちで」
('A`;)「ちくしょ……うっ……」
カンカンカーン!
( ><)「ドクオ選手ダウンなんです!
ブーン選手、ユーウィンパーフェクトなんです!」
川 ゚ -゚)「あんなものをくらったら私でも腰が立たんよ」
( ><)「おっと、ここでお別れの時間なんです!」
( ><)「実況はわかんないですと」
川 ゚ -゚)「クーでお送りした」
( ><)川 ゚ -゚)「またお会いしましょう!」
('A`;)「…ここは……」
ドクオは気が付くと、空は茜色に染まっていた。
夕焼けの空を寂しげにカラスが渡っていく。
('A`;)「そうか……おれは負けたのか…」
今までドクオは負けたことが無かった。
そうでなければ彼は今ここにはいない。
なぜなら、スラム街では負けは即、死につながっていたからだ。
('A`)「……へへ……負けるってのも悪かねぇな……」
ひんやりとしたアスファルトの冷たさが、なぜかドクオには心地よかった。
( ^ω^)「気が付いたかお?」
屋上に倒れたまま夕焼け空を見ていたドクオの視界がアフロで埋め尽くされた。
驚いて上半身を起こすと、そこにはブーンがいた。
( ^ω^)「大丈夫かお?」
('A`)「……へへ、敵に心配されるなんてざまあねぇな」
( ^ω^)「……」
ドクオはブーンに背を向けて、夕日を眺めた。
('A`)「俺の完敗だ。約束どおり、このガイルヘアは切ってくるよ」
そう言ってドクオはよろよろと立ち上がる。
そんなドクオの体を、ブーンは支えた。
( ^ω^)「髪は切らなくていいお」
('A`;)「何?俺をバカにしているのか!?」
ドクオはブーンの顔を見た。
ブーンのその瞳は、決して人をバカにしているものではなかった。
( ^ω^)「いい勝負だったお。一歩間違えれば僕が負けていたお」
('A`)「……」
( ^ω^)「僕とドクオは真剣に、こぶしとこぶしで語り合ったお。
だから、髪を切らなくて言い代わりに、僕と友達になって欲しいお」
ブーンとドクオは見詰め合った。
夕焼けに染まる校舎の屋上で、男二人は目と目で通じ合ったのだ!
('A`)「お前とならファンキーでジューシーな学校生活が送れそうだぜ」
( ^ω^)「おっおっお。それはこっちの台紙だお」
後に伝説として語り継がれるコンビの誕生の瞬間だった。
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