第十五話 「修羅場」
(;゚ω゚)「ぶおおおおおおおおお」
\ξ(^O^) ξ/「イヤ――――――――!!」
雄叫びを上げて空へと駆け出したブーンとツン。
眼下に広がるのは、長年親しんだ故郷『ツダンニ』の町並み。
目的地は、思い出のたくさん詰まった我が家。
本当なら、とても楽しい飛行なのだろう。
しかし、今はそんなことを言っていられない。
自分達には長年追いかけてきた夢の行方を左右する重大な任務が課せられている。
そんな彼らに、久しいぶりの故郷での飛行に郷愁をかみ締める余裕など無かった。
ξ;゚听)ξ「ブーン!十時の方向から来たわ!!」
(;゚ω゚)「おk」
指示された方向を見ずに、ブーンは返事をした。
来たのは間違いなくギコだろう。伝わる気配で何となくわかる。
しかし、彼の機影を見るわけにはいかない。
見てしまえば、間違いなく自分は躊躇してしまう。
そうなれば、『即』 撃墜される。
ジョルジュの言葉を胸に、少年はただ前を向いて我が家へと急いだ。
『Positive Mental Attitude』
先日、その男から教えてもらった言葉が浮かんだ。
まったくもって皮肉としか言いようがない。
ブーンは頭に浮かんだギコとしぃの顔を振り払って、ペダルをグッと踏み込んだ。
その後方では、ジョルジュとオカマを乗せた足の遅いカーゴ。
積み荷積載用のスペースに乗せられた二人は、設置された小さな窓から外を見る。
_
(#゚∀●)「……来やがった!!」
彼らの視線の先には、
空に浮かぶラウンジ艦隊旗艦「ジュウシマツ」の上部甲板から飛び出してくる黄色い点。
それがカーゴの目の前を駆けるブーン達の飛行機械めがけて一直線に降下していく。
_
(#゚∀●)「……ちっ!来たのは『黄豹』一機だけか?
舐められたもんだね、『海賊狩りのVIP』も!!」
('A`;)「相手も他国の領島内で戦闘を起こさないために必死なのよ。
必要最小限の戦力で目的の物を手に入れるつもりなんだわ。
その役目に選ばれたのが『黄豹』……あながち、舐められているわけでもなさそうよ」
そのまま彼らは視線を前方へと移した。
目の前を飛ぶブーン達の飛行機械の姿は、
ジョルジュ達を乗せた鈍重なカーゴをどんどん引き離し、ひたすら前へ向けて進んでいく。
_
( ゚∀●)「いいぞ、ブーン!
絶対に躊躇するなよ……『黄豹』は甘くねぇからな!!」
('∀`)「ブーンちゃんったら、なんて勇ましいの!……あたし、惚れなおしちゃった!!」
そう声を上げた後、二人は積載室へと戻り、
積み込んだ数々の武器の中から必要最小限の物を選び出し、突入の時を待った。
ξ;゚听)ξ「見えたわ!あたし達の家よ!」
飛行機械を飛ばしに飛ばし、ついに自宅上空へとたどり着いたブーン。
(;^ω^)「把握した!シートベルトを外すお!!」
着陸を待たず、彼らはシートベルトを外す。
瞬時に伝わってくる機体の振動が、二人の体を激しくバイブする。
感じる。
体の一部が何かを敏感に感じ取るのぉ!!
そんな状況でも、ブーンは自宅前の道路に飛行機械を華麗に着陸させた。
クーとモナーの訓練に感謝しつつ、着陸と同時に地面へと飛び降りた二人。
そのままブーンは玄関の扉を開けにかかる。
その後ろから、後方の空を見上げていたツンの叫び声。
ξ;゚听)ξ「ブーン!黄色い飛行機械が来るわ!!」
彼女の言葉に時間が無いことを悟ったブーンは、大急ぎで自宅の玄関の扉を開けた。
そんな幼馴染の横を走り過ぎ、ツンは自室の扉へと走る。
駆け抜けていく彼女を見届けたブーンは玄関の扉を固く閉ざした。
途端、あたりに響く飛行機械のエンジン音。
(;^ω^)「ツン!急いでくれお!!」
ξ;゚听)ξ「わかってる!!」
久しぶりの自室へと飛び込んだツンは、壁に張られた写真をすべてポケットに収めた。
『きっと、ここには戻ってこられない』
女の直感でそう判断した彼女は、
机の引き出しから家族の思い出の詰まった写真、その他の思い出の品々を引っ張り出した。
ほんの少しのロスタイム。
しかし、これが致命傷となった。
作業を終え、すぐさま自室から飛び出したツン。
そんな彼女のこめかみに、恐ろしくひんやりした何かが突きつけられた。
ξ;゚听)ξ「……」
血の気が一気に引いていく。
体中がひんやりと冷えていく。
それらの感覚を瞬時の内に知覚しつつ、少女はゆっくりと顔を横に向けた。
視線の先に広がるのは、銃口を自分の眼前に向けて突きつける男の姿。
( ,,゚Д゚)「ゲームオーバーだ、キティガール」
不気味にニヤリと笑うのは、『黄豹』の二つ名を持つ男。
その男の肩越しに見えるのは、地面にうつぶせに倒れている幼馴染の姿。
彼はうつぶせのまま顔だけを上げ、こちらを注視している。
おそらく腹を殴られたのであろう、顔に脂汗を浮かべ苦しそうな表情で言う。
( ´ω`)「ギコさん……止めて下さいお……」
( ,,゚Д゚)「……悪いな、少年。
こんな形で再会したくなかったが……これも仕事だ」
必死の声を上げる少年の方を振り向こうともしないで、冷徹に言い放つ『黄豹』。
彼は手に持った銃の引き金を、遊びの分だけ「カチャリ」と軽く引いた。
( ,,゚Д゚)「反論は受け付けない……早く『エデン』の地図を渡すんだゴルァ!!」
家中に響く怒鳴り声。
震え上がる少女。
彼女は震える手でポケットに詰め込んだ写真の束をギコに渡すと、そのまま力なく床にへたり込む。
脱力した彼女に銃口を突きつけたまま渡された写真の束をめくり、
その中から目的の一枚を見つけたギコは、残りの写真を地面にばら撒き、言葉をつむいだ。
( ,,゚Д゚)「任務……完……」
_
(#゚∀●)「待ちやがれ!!」
その言葉をさえぎって、突如玄関の扉をぶち破って入ってきた大小二つのシルエット。
ジョルジュとオカマだ。
(;^ω^)「ちょwwww僕ん家の玄関こわすなおwwwww」
('∀`)「あらやだ、ごめんなさいね!ぶほほほほほwwwwwwww」
ぶち破った玄関の扉を笑いながら見つめ、なんとかしてそれを元に戻そうと奮闘するオカマ。
一方、その前に立つジョルジュの手に握られているのはいびつな黒い光を放つマシンガン。
玄関の修復に必死なオカマとブーンを背に、
手にしたマシンガンをギコの方へ向けると、ジュルジュは静かに言った。
_
(#゚∀●)「会いたかったぜ……『黄豹』さんよぉ!!」
( ,,゚Д゚)「お前は……『桃色の乳首』……生きていたのか」
ツンに向けた銃口をそのままに、首だけ振り返った『黄豹』。
その男の瞳を、隻眼の副整備長は怒りの眼差しで射た。
第十五話 おしまい
第十六話 「ジオラマの花」
ブーン宅にて、銃を片手に対峙した二人の男。
その銃口の向く先は、
片方は床にへたり込むツン。
そしてもう片方は、そんなツンに対して銃を向けるギコ。
ギコに銃を向けるジョルジュの後ろでは、
無残に転がった玄関の扉を修理するオカマとブーン。
五者五様の思いを秘めて、彼らは同じ屋根の下にいた。
(#゚∀●)「覚えていたか……嬉しいぜ」
ギコの放った言葉にジョルジュは振るえあがった。
ツンのような恐怖からではない。
武者震いに似た感覚がジョルジュの全身を駆け巡ったのだ。
ギコの言葉に静かに答えたジョルジュだったが、その瞳からは殺気だけが漏れている。
下から見上げているツンには、その殺気が眼帯から中心に湧き出ていると感じられた。
マシンガンをガチャリと握り締め、照準を定めたジョルジュ。
その視線の先には、不適に笑う『黄豹』ギコ。
( ,,゚Д゚)「まさかこんなところで会うとはなぁ……お前のナビは元気か?」
_
(#゚∀●)「……死んだよ……てめえのせいでな!!」
( ,,゚Д゚)「……そうか……そいつは残念だ」
(;^ω^)「こ れ は ひ ど い ! 玄関の扉、粉々だお……」
('∀`)「ぶほほほほwwwww我ながら見事なタックルだわ!!」
ジョルジュの叫び声に一瞬、ギコの表情が硬くなる。
しかし、その表情はすぐにもとの不適な笑みに戻った。
一方ツンは、先ほどのギコの言葉に眼を丸くしていた。
ξ;゚听)ξ「ジョルジュが……『桃色の乳首』?」
彼女の故郷、ここ『ツダンニ』で語り継がれる伝説のパイロットの二つ名。
ギコはその二つ名を、目の前のジョルジュに向けて放った。
( ,,゚Д゚)「で、そのマシンガンで俺をどうするつもりだ、『桃色の乳首』?」
_
(#゚∀●)「てめぇを殺すに決まってんだろ!」
( ,,゚Д゚)「ほう?出来るのか?」
(;^ω^)「あーもう……どんな勢いでタックルしたら扉をここまで破壊できるんだお……」
('∀`)「ぶほほほほwwwwwオカマの力を舐めないでちょうだい!!」
ギコの銃口がツンの額に近づけられる。
その動作に、ツンの体、そしてマシンガンを持つジョルジュの腕が震える。
( ,,゚Д゚)「お前がその引き金を引いた瞬間、俺はこのお嬢ちゃんを殺す。
お前のナビのようになゴルァ!!」
_
(#゚∀●)ξ;凵G)ξ「「!!」」
( ´ω`)「……玄関の扉、修復不可能だお。
ここまで粉々にされたらもう買い換えるしかないお……」
('∀`)「ぶほほほほwwwwwwごめんなさいねぇwwwwwwww」
言葉とは正反対に高らかに笑うと、
オカマは両手に握り締めた二丁の銃のうち一丁をブーンに投げてよこす。
ズシリとくる黒い塊を受け取ったブーンは、オカマとともにその銃口をギコに向けた。
('∀`)「ぶほほほほwwwwこれで三対一!!
どっちにしろあんたの負けよ、『黄豹』!!」
(;^ω^)「ギコさん!ツンに向けた銃を下ろして、おとなしく降伏してくださいお!!」
銃を構えた二人の姿を見て、ギコは「ハァ……」と深いため息を一つ。
直後、ギコは自分の懐に手を突っ込み、
取り出した何かを地面に叩きつけ、叫んだ。
( ,,゚Д゚)「ここで死ぬわけにはいかんのだゴルァ!!」
瞬間、眼を覆いたくなるほどの強烈な閃光。
閃光はギコを中心に光速で広がり、四人の視力を奪っていく。
\ξ(^O^)ξ/「キャ――――!あたし死んだ―――――!!」
_
(#゚∀●)「しまった!閃光弾かよ!!」
( ゚ω゚)「ぶおおおおおおお!眼がぁ………眼がぁ――――――!!」
('∀`)「ぶほほほほwwwwwwバルス!バルス!!」
しばらくして閃光が引いた。
彼らの視線の先に、ギコの姿は無かった。
閃光弾を使いツンの部屋へと逃げ込んだギコは、
彼女の部屋の窓をぶち破って外へと転がり出た。
その直後、彼の眼の前に、
上空で待機していたしぃと彼女が操縦する黄色の飛行機械が下りてくる。
(*゚ー゚)「ギコ!『エデン』の地図は!?」
( ,,゚Д゚)「回収完了だゴルァ!!」
そう叫んで後部座席に飛び乗るギコ。
彼の搭乗を確認すると、操縦席のしぃは一気にアクセルを踏み込んだ。
垂直に飛び上がり、
グングン加速してラウンジ艦隊旗艦「ジュウシマツ」を目指す黄色の空の舟。
その最中、周囲を見渡したギコは、「チッ!!」と舌を打つ。
彼の視線の先には、味方の飛行機械と交戦する、赤と青、二つの飛行機械の姿。
( ,,゚Д゚)「『蒼風』と『レッドバロン』が出てきたぞ!
こりゃ、味方の飛行機械が撃墜されるのも時間の問題だぞゴルァ!!」
(*゚ー゚)「わかっているわ!飛ばすからしゃべるのを止めなさい!舌、噛むわよ!!」
しぃはギアを最高速にまで上げ、一直線に旗艦「ジュウシマツ」を目指した。
轟音とともに飛び去った黄色の飛行機械。
遠ざかる機影を見つめたジョルジュは、マシンガンを床に叩きつけて悔しがっていた。
_
(#゚∀●)「ちくしょう!もう少しだったのによ!!」
彼の傍らでは恐怖から開放されて泣きじゃくるツンと、
彼女を優しく抱きしめるオカマの姿。
一方ブーンは、目の前で起こったことにただ呆然としていた。
放心状態の彼に向かって、隻眼の副整備長は怒鳴り声を上げる。
_
(#゚∀●)「ブーン、お前の飛行機械を出せ!『黄豹』を追うぞ!!」
(;゚ω゚)「びびび、びっくりしましたユートピア!」
('A`;)「ジョルジュ!落ち着きなさい!!」
_
(#゚∀●)「うるさい!!」
叫び声とともに片眼を覆う眼帯を床に叩きつけたジョルジュ。
彼の隠された片眼には、まぶたを斜めに走る大きな傷跡。
そのまま床に転がったマシンガンを拾い上げ、彼はその銃口をブーンに向けた。
_
( #゚∀ナ)「やっと見つけたアイツのカタキなんだ……それを見逃してたまるか!」
('A`)「ジョルジュ!いい加減にしなさい!!」
_
(#゚∀ナ)「黙れオカマ!!
……俺はなぁ、『黄豹』を殺すためだけに生きてきたんだ!
空から堕ちたあの日から……生き恥をさらしてな!!」
('A`;)「ジョルジュ……」
(;^ω^)「長岡さん……」
_
(#゚∀ナ)「俺を乗せて飛べ!ブーン!!」
突きつけられた銃口の先、
怒りの中に悲しみの影を垣間見せるジョルジュをブーンは見つめた。
眼帯の下に隠された傷跡。
生々しく刻み付けられたそれを見て、少年は、なぜだかわからない、
わからないけど、この男を乗せて飛ばなければならないような気がした。
( ^ω^)「……おk」
ブーンはそう呟くと、
その言葉を合図に飛行機械へと走り出した『桃色の乳首』の背中を追った。
去り行く少年の背中を、懐にツンを抱いたオカマは悲しげな視線で見送った。
_
( ゚∀ナ)「いいか、ブーン!
今操縦しているのは『黄豹』じゃなく『ネコ耳』だ!!
あいつなら、お前の腕で必ず落とせる!!」
(;^ω^)「おK!」
ブーンの飛行機械の後部座席に手馴れた調子で飛び乗ったジョルジュ。
彼らの見据える先には、すでに小さな点となりラウンジ艦隊旗艦を一直線に目指す黄色い飛行機械の後姿。
_
( ゚∀ナ)「問題は追いつけるかどうかだが……
最高速で飛ばせば、甲板に着艦するあいつらを叩けるはずだ!!」
(;^ω^)「把握!!」
その言葉にアクセルを踏みつけるブーン。
後部座席からはジョルジュの強烈な殺気。
機体がガタガタ震えている。
空を無理やり引き裂いて飛んでいく感覚。
……こんな空、僕は好きじゃない。
生まれて初めて空への否定的な考えをめぐらした少年の視線の先には、
旗艦「ジュウシマツ」から飛び出してくる二機の飛行機械。
(;^ω^)「長岡さん!!」
_
( ゚∀ナ)「安心しろ!あいつらが来た!!」
ジョルジュの言葉に横を向くと、
そこには赤と青、見慣れた二機の飛行機械が近づいてくるのが見えた。
その片方、青の飛行機械から放たれる発光信号。
(;^ω^)「クーさんはなんて言っているんだお!?」
_
(#゚∀ナ)「……気にするな!進め!!」
(;^ω^)「……」
本当に……大丈夫なのだろうか?
ブーンには発光信号の解読は出来ない。
しかし、長年ツンとともに数多の発光信号を見てきたおかげで、
曖昧ではあるが大意はつかめるつもりだ。
その経験が、ジョルジュの言葉を否定する。
しかし、後部座席で隻眼を血走らせるジョルジュを見て、
「従うしかなさそうだ」と、少年は妙に冷めた頭で思考した。
( ,,゚Д゚)「……まいったな」
「ジュウシマツ」に向かう黄色い飛行機械。
その後部座席の『黄豹』は、後ろを見てため息をついた。
後方からは、グングンとスピードを上げて追ってくる銀色の飛行機械。
パイロットは恐るるに足らなさそうだが、その後部座席に乗っているのは『桃色の乳首』。
一方、味方の飛行機械が二機援護に出てきてくれたわけだが、
側面からやってくる『レッドバロン』と『蒼風』は、彼らには荷が重すぎるだろう。
( ,,゚Д゚)「こりゃ、着艦時にやられるぞ……」
何事においても言えることだが、物事の終わりが人間にとって一番無防備なときだ。
飛行機械の操縦においては着艦時がまさにそうである。
(;*゚ー゚)「どうするの、ギコ?」
心配そうな声でたずねるしぃ。
返答として沈黙を返し、しばし周りを注視する『黄豹』。
周囲の状況を探るその眼差しは『豹』の二つ名に違わない。
すると、眼前の『蒼風』から放たれる発光信号。
それを見た『黄豹』の眼に笑みが宿る。
( ,,゚Д゚)「ギコハハハwwwwwww相手は仲間割れをしてくれたようだぞゴルァ!!」
明滅する光を解読し、高笑いを浮かべる『黄豹』。
その声を聞いた『ネコ耳』は、静かに笑みを浮かべた。
『黄豹』に向かいグングン速度を上げるブーン。
彼の目の前に展開してきた二機の敵機に向かい、赤の飛行機械が飛び込んでいく。
一方、バックミラーから見えるのは後方に付けてきた青の飛行機械。
空を風のように舞う蒼は、両翼から接触回線用のワイヤーを放った。
途端、機体に響く金属音。
同時に開く接触回線。
川 ゚ -゚)「止まるんだ、ブーン。信号は解読しただろう?」
座席のスピーカーから聞こえる、いつもと変わらない落ち着いた声。
一方、後部座席からはいつもと違う男の怒鳴り声。
_
(#゚∀ナ)「解読したさ!何が『撤退する』だ!?
目の前に『黄豹』と『エデンの地図』があるのに、指をくわえて見送れってのか!?」
川 ゚ -゚)「勝算が無い。これ以上の交戦は無意味だ」
いとも簡単に数機の敵機を落としておいてよくもまぁそんなことを……
彼女のあまりの慎重さにブーンは少し呆れた。
_
(#゚∀ナ)「んなこたーない!このまま行けば着艦時に確実に落とせる!!」
川 ゚ -゚)「それで、『黄豹』に奪われた『エデンの地図』はどうなるんだ?」
_
(;゚∀ナ)「……」
正論だ。
仮に『黄豹』を落とせたとしても、『エデンの地図』を失えば本末転倒。
元も子もない。
_
(;゚∀ナ)「……う、うるさい!理屈をごちゃごちゃ並べやがって!!
目の前にアイツのカタキがいるんだ!理由はそれで十分だ!!」
動揺を隠せないジョルジュ。
間髪いれずにスピーカーから響く、耳をつんざく怒鳴り声。
川#゚ -゚)「任務に私情をはさむな!!
撃墜した後はどうするんだ!!敵艦隊の中で集中砲火を浴びるのか!?
貴様の私情でブーンを殺すのか!?アイツのようにブーンを死なすのか!!」
_
(;゚∀ナ)「!!」
その言葉に眼を見開くジョルジュ。
後にも先にも、ブーンがクーの大声を聞いたのはこの時だけであった。
_
( ゚∀ナ)「……了解した……撤退する」
しばしの沈黙の後、ジョルジュは力なく呟いた。
ブーンはバックミラー越しに彼の姿を見た。
呟いた隻眼の男は、肩をガックリと落としてうなだれていた。
少年の瞳には、その姿は触れれば壊れてしまうかのように脆く儚げに見えた。
(´゜ω゜`)「この大バカヤロウが!掘るぞこのヤロウ!!
ブーン君が死んだらどう責任を取るつもりだったんだ、貴様は!?」
_
( ゚∀ナ)「……すみません」
着陸した甲板の上に待ち構えていたショボン達。
飛行機械から降りたジョルジュに向かい、ショボンは開口一番に怒鳴り声を上げた。
(´゜ω゜`)「すみませんじゃ済みません!!
どうだ、このギャグ!?おもしろかったら笑え!!」
_
( ゚∀ナ)「……」
(´゜ω゜`)「黙ってないで何とか言え!僕がスベったみたいじゃないか!!
言わないならば尻を出せ!尻を差し出してブーン君に誠心誠意謝れ!!」
_
( ゚∀ナ)「……すまない、ブーン」
ショボンの言葉に、うなだれたまま静かに頭を垂れるジョルジュ。
極限まで弱った彼の無様な姿に、ブーンは何も声をかけられない。
ただ悲しそうにジョルジュの姿を見る少年に代わり、激昂した艦長はなおも続けた。
(´゜ω゜`)「尻も出さずに謝罪とな!?
貴様は公開くそみその刑に処す!!さあ、おとなしく尻を出しやがれ!!」
怒鳴りながらガチャガチャとズボムのベルトを外しだすショボン。
あわや、わいせつ物陳列罪の一歩手前。
いろんなところがいきり立つ彼を制して、ミルナは静かに、だがはっきりと言い放った。
( ゚д゚ )「ジョルジュ、お前には独房で三日間の謹慎を言い渡す。
そこで自分の行いをじっくり省みるんだな」
その言葉に合図に、ジョルジュの両脇を抱え彼をどこかに連れて行く「VIP」の乗組員達。
そんな彼らの後ろ姿を、遅れて着艦した真紅の飛行機械の上から、
赤い男爵モナーはただ黙って見つめていた。
第十六話 おしまい
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