('A`)は野球選手のようです 6シーズン終盤



('A`) 毒田剛 ドクタ・タケシ
25歳 二塁手

今作の一応主人公。
3割経験者。しかし最近は不調気味。
しかし弱小アクアリウムからのトレードを期に心機一転。
現在打率3割を上回り、不調の茂等に代わって1番を任されている。
ドクオの成績
率.312 本 4 点 24


( ^ω^)内藤地平線 ナイトウ・ホライゾン
25歳 投手

7年目の右腕。
即戦力として期待されたがピンチになるとあがる性格で未完の大器に。
5月にプロ初先発勝利を上げてからは好調。

成績
6勝 4敗 防3.84




(´・ω・`) 諸本信彦 モロモト・ノブヒコ
36歳 外野手

かつての三冠王を達成した主砲。
しかし顔面死球によるイップスでインコースに目を瞑るように。
チームをまとめるキャプテンだが、最近は荒れている。
妻子あり。ダジャレ親父。しかし最近はダジャレより暴言を吐くことが多い。

成績
一軍出場なし


( ・∀・) 茂等和弘
36歳 遊撃手

ヴィッパーズを諸本と共に支えてきた守備の人。
面倒見も良く守備に難を抱える毒田とキャンプ中行動を共にした。
打撃があまり良くなかったが近年はさらに悪化。
長年守ってきた1番打者を毒田に譲る。
守備はまだまだ一流だが本人は……?

成績
率.213 本1 点12


( ゚∀゚) 長岡譲二 ナガオカ・ジョウジ
24歳 遊撃手

シベリアレールウェイズ所属の期待の若手。
走攻守すべてで次元の高いプレーを見せる。
オールスターファン投票では茂等を抑えて遊撃手部門1位に。
成績も堂々たるものを現在残している。
めっちゃかわいい彼女がいる。毒田に妬まれたびたび闇討ちされる。

成績
率.378 本11 点51


从 ゚∀从 高岡理緋 タカオカ・リヒ
29歳 投手

昨年20勝を達成したニュー速ヴィッパーズの大投手。
渡辺とは小学校からの同級生でライバル。
精密なコントロールが武器だが最近はすっぽ抜けが多い。
そのため今年度は不調気味。

成績
4勝 6敗 防4.18


从'ー'从 渡辺綾 ワタナベ・リョウ
29歳 11年目 投手

安定したピッチングで5年連続2ケタ勝利を記録しているシベリアレールウェイズのエース。
高岡とはライバル関係だが本人はあまり気にしていない。
素手で掴めそうな球速のスローカーブが武器。
今年度も安定した投球を見せ、現在ハーラートップ。

成績
11勝 4敗 防2.71


( ^Д^) 宝笑児 タカラ・ショウジ
27歳 10年目 一塁手

不振の諸本に代わって4番を任されている。
諸本の影を追いかけ続けていたが自分の4番の形を模索中。

成績
率.299 本23 点89

<ヽ`∀´> 朴荷駄 パク・ニダ
33歳 6年目 三塁手

韓国から来た国民的打者。
最初こそいい成績を放つも最近はサッパリ。
性格はいい人。マッコリを馬鹿にされると切れる。酔うと脱ぐ。

成績
率.267 本17 点43

(K‘ー`) 川島慶三 カワシマ・ケイゾウ
22歳 4年目 外野手

実在の選手とは関係ない。
酔うと脱ぐ。
前スレで毒田たちより年上なことに気づき、今日年齢を変えたわけではない。

成績
率.280 本8 点 47


J( ゚_ゝ゚)し アーロン・ガイエル あーろん・がいえる
37歳 3年目 外野手

登録名「魔将」。時空間とか魔空間とか磁界とか色々操る。
実在の選手とは関係ない。
流暢な日本語を喋る。この打者になると描写が激減するともっぱらな噂。
酔うとメチルアルコールを飲む。

成績
率.213 本33 点68

(,,゚Д゚) 擬古音子 ギコ・ネコ
31歳 9年目 外野手

女性ではない。
俊足好打・不動のセンターだったが持病の首痛で最近はめっきり出場機会が減る。

成績
率.244 本0 点22



(;'A`) 「暑い!」


時は8月、猛暑の時期である。
世の皆様は夏休みに明け狂いセックスセックスする時期だ。
学生たちは海や山なんかでセックスセックスするのだろう。
そんな人はぜひ野球場に来てほしい。叩き殺してやるから。


(;^ω^) 「おおー、あっちい……」


この額から汗を垂らしているボンレスハムは内藤。
ここまで6勝を挙げているピッチャーだ。
俺の隣でジョグをしながら汗を流す姿はなんとも暑苦しい。


(;K‘ー`) 「あばばばばばばばばば」


さらにその隣では奇声を発する外野手川島。


( <☆><●>) 「ワカッテマス! ワカッテマス! 35℃以上あるのはワカッテマス!」


さらにさらにその隣では若手捕手の和手枡が煙を吹いていた。


('A`)ウボァー


思わず変な声を上げてしまうほどだ。
今俺達がいるのはヴィッパーズの室内練習場。
今日の夜からはニュー速スタジアムで試合がある。
それの調整で今俺達はジョギングをしているというわけだ。


从;゚∀从 「暑い! 熱い! ああ、もう髪の毛邪魔だ! くっそ!」

(-_-) 「ごちゃごちゃ言うな。剃るぞ」

从;゚∀从 「お前坊主だからって! ああ、もう邪魔! 切ってもいいよ! あ、やっぱダメ!」


あそこで走りながら口論しているのは今日先発する高岡さんと比木さんだ。
室内練習場は気温もあいまってサウナのようになっている。
このままでは誰かが倒れるのは時間の問題かも知れない。


N| "゚'` {"゚`lリ 「よーし、練習終わりー」


そんな馬鹿なことを考えつつケージ打ちなどをこなし、練習時間は終わりを告げた。
阿部打撃コーチは汗が滴る高岡さんをじっと見つめている。
正直、怖い。


N| "゚'` {"゚`lリ 「……」


ああ、もう、この目。
現役時代から噂はあったがまさかこれほどとは。
仮にも現役コーチが現役選手に手を出すなんて……
阿部×高岡……いや、高岡×阿部……?


N| "゚'` {"゚`lリ 「高岡」


俺がまたもアホなことを考えていると阿部コーチが高岡さんに話しかけた。
まさか、本当に口説くつもりじゃないだろうな……?


从 ゚∀从 「なんすかー? 口説くなら他の男にしてくださいねー。

       俺彼女いるんでー」

N| "゚'` {"゚`lリ 「肩、見せろ」

从 ゚∀从 「……」

('A`) 「……」


俺は長い間妄想に浸っていたため、室内練習場に残っているのはこの3人と比木さんだけだ。
俺はぎょっとした顔をするが、高岡さんと比木さんは意外にも思っていない様子だ。


从 ゚∀从 「……なんですか」

N| "゚'` {"゚`lリ 「見せろ。コーチ命令だ」


从 ゚∀从 「……」


高岡さんはしぶしぶといった様子でユニホームを脱ぎ、アンダーウェアも脱ぐ。
そうしたら誰もがうらやむトロフィーのような体のお出ましだ。


N| "゚'` {"゚`lリ 「……」


コーチはその体をペタペタと触る。
特に肩を重点的に。しかし俺の見た限りでは異常らしい異常は見当たらない。
肩が腫れてるでもない、内出血を起こしているでもない。
コーチの意図は俺には掴みがたかった。


N| "゚'` {"゚`lリ 「……悪かったな、手間取らせて」


コーチはそう言うと高岡さんから手を放した。
なんだろう、本当は高岡さんの体を触りたかっただけなんじゃないだろうか。
しかし、先ほどまでのコーチの口調は真剣そのものだった。


从 ゚∀从 「……ふう、まあいーっすけど。服脱ぐくらい」


そう言って高岡さんは地面に落とした服を拾おうとする。
その瞬間、コーチはまた高岡さんの体に手を伸ばした。


从; ∀从 「づぅっ!!」


刹那、高岡さんが叫んだ。
コーチはその右手を高岡さんの肩をポン、と叩いただけだ。
それにも関わらず、高岡さんは痛みを訴えた。


N| "゚'` {"゚`lリ 「……やはりな」

从 ゚∀从 「……」


高岡さんはバツの悪そうな様子で明後日の方を見ている。
ちょうど悪いことをした子供が怒られてるような態勢だ。


N| "゚'` {"゚`lリ 「開幕からおかしいおかしいとは思っていたが……やはり肩か」

从 ゚∀从 「……すんません」

N| "゚'` {"゚`lリ 「それで4勝できたのが奇跡だよ……医務室に行くぞ、もちろん俺付添だ」

从 ゚∀从 「……うぃす」


そういうやり取りのもと、2人は医務室へと消えていった。
最後に、コーチは比木さんに向って、


N| "゚'` {"゚`lリ 「今日の高岡は回避だ。誰になるかはできるだけ早く伝える。よろしく頼む」


そんな言葉を残した。
比木さんは一言二言コーチたちと会話を交わし、俺の方へやってきた。


(-_-) 「……いたのか」

('A`) 「すいません。盗み聞きしちゃいました」

(-_-) 「構わん。どうせすぐ公になる」


('A`) 「比木さん……高岡さんのこと」


気づかなかったんですか、とは言えなかった。
もし気づいていなかったら非難することになってしまうからだ。


(-_-) 「……気づいてたさ」

('A`) 「……!」

(-_-) 「普段よりも横から投げている、肩をかばっている、

     横から投げるから変化球の曲がりが大きくなっている、その代りコントロールが悪くなっている……」

('A`) 「……気づいてたなら、どうして」


(-_-) 「……あいつの性格上、な」

('A`) 「……」

(-_-) 「あいつが入ってきた時、専属捕手になったのは当時2番手の若かりし俺だった。

     どちらにも経験を積ませたかったんだろうな。俺達は犬猿の仲で全然機能しなかったが」

('A`) 「犬猿の仲……」


先ほどの2人の言い争いを思い出す。
しかし、あれはただの和気あいあいとした言い争いだ。喧嘩ではない。
物静かな比木さんが犬猿の仲だったと言うならそれはそれはすごいものだったのだろう。


(-_-) 「当時は殴り合いのケンカもした。試合途中に激突するのもざらだった」

('A`) 「……」

(-_-) 「そんなことを繰り返してたら2軍に落ちた。2人仲良く、な」


比木さんは昔を懐かしむように目を細める。


(-_-) 「そこで、俺達は心機一転していつも行動を共にした。最初は死ぬほど嫌だったがな。

     着替え、移動、部屋、バス、トイレ……本当に四六時中一緒にいた」


(-_-) 「そんな生活をしていたらな、わかってきたんだ。あいつの性格が。

     完璧主義者で、わがままだが、チームのことを中心にも考える。完投をしたがる。

     リリーフを休ませたがる。その当時はそんな力も無いのにな」

('A`) 「……すげえっす」


高岡さんが入団したのは大卒22歳。
その時比木さんは25歳だった。22歳の時俺は何をしていただろう。
ただ漠然とぼうっと球を追いかけていただけだ。
チームとか、そんなの考えもしていなかった。


(-_-) 「すごかないさ。ただの利己的なわがままだ。

     ……それでその性格を心がけたリードをしたらすこぶる良かった。

     すぐに1軍に揃って返り咲いた」


(-_-)「……それからかな。なんとなくわだかまりが取れたのは。

    ……すまんな、何の話だったか」

('A`)「高岡さんの怪我を隠していた理由、です」

(-_-)「ああ、そうだったな……責任感、かな」

('A`)「責任感……?」


(-_-)「ああ。責任感。今うちの先発は駒が足りてるとは言い難い」

('A`)「……ですね」


事実だった。
今規定投球回数を達成しているのは高岡さんと内藤のみ。
あとは入れ替わり立ち替わりでなんとかやりくりしているのだ。


(-_-)「そんな中、自分が離脱する。あいつには耐えがたい失態だろうさ」

('A`)「……」

(-_-)「だから、異常に気づいても俺はあいつと何ら変わらず接した。

    あいつの意志を尊重しようとした」


(-_-)「結局のところ……自分勝手だがな」

('A`)「そんなこと……」


ないです、とは言えなかった。
確かに今季の高岡さんは不安定すぎる投球をしていた。
勝ちよりも負けが多いのも高岡さんらしくない。


(-_-)「『そんなことないです、とは言い難い』……そんな顔だな」

('A`)「……すいません」

(-_-)「謝らなくていいさ。当たり前のことだ。

    プロなら、休むべきだった。4月で異常に気づいた時点で休ませるべきだった」


(-_-)「結局、甘いのさ……俺も、あいつも」


そういって比木さんは荷物を左肩にかけ歩き出す。
俺もそれに続く。


(-_-)「……あいつは、今季は厳しいかもしれん」

('A`)「えっ……」

(-_-)「これからは、厳しい戦いになるかもしれん。投打の軸がいないからな」

('A`)「……諸本さん、ですか」


諸本さんは未だ二軍で苦しんでいるらしい。
たまに練習場ではち合わせたりもするが、いつもと変わりなく接してくれる。


('A`)「……諸本さんがいないのは、大きいです」

(-_-)「それが、今度は投手陣にも出てくる。

    斉藤はまとめるタイプじゃないし、杉浦は寡黙だしな」

('A`)「ううん……」


現在ヴィッパーズは首位に立っている。
2位とは9ゲーム差。
気の早いファンからは、優勝のカウントダウンも聞こえてくる。


('A`)「……優勝しましょうね」

(-_-)「当然だ」


しかしそれが厳しいのはわかっている。
先発陣が苦しい分、中継ぎ陣に疲労がたまってくる。
いかに屈強なプロでも、この暑さに疲れは否応なく出る。


('A`)「……」


9ゲーム差が、ひどく心もとないものに見えた。


結局この日の試合は代役の中山さんが炎上。
完投ながら12失点。
高岡さんは二軍に。
ゲーム差も8に縮められ、安定していたヴィッパーズに暗雲が立ちこめた。


8月12日
ニュー速ヴィッパーズ対大阪ジャガース

            RH
J 240001302 1221
V 000013001 59

J 能美・筒居・安倍‐加納
V 中山‐比木

本塁打
金木 24 荒井 26


( ^ω^)「……」


あれから2週間。
ヴィッパーズは案の定中継ぎ陣に疲れが見え始め8月を負け越し。
2位のレールウェイズについに2ゲーム差まで詰め寄られた。


('A`)「……」


明日からは9月。
この日デーゲームを勝利で終えた俺たちはいつものごとく寮のロビーに集まっていた。


(K‘ー`)(すっげえ、こいつが同い年かよ……)


ロビーのテレビに映るはレールウェイズの長岡。
現在打率が日本記録ペースらしい。
俺と内藤は長岡の同じ高校の一つ先輩だ。
しかしかたや今までやる気なしの男、かたややっと活躍し始めた男では長岡に顔向けできない。


('A`)「しかも……」


開幕戦でスタンドにいた、あのかわいい、
あの、可愛い……


(゚A゚)「こっ、殺すぞ長岡っ!」


そうなのだ。
メアドや携番をゲットしたにも関わらず俺は未だ伊藤さんを口説き落とせていないのだ。


(K‘ー`)「嫉妬も大概にしろや。だいたいもう9月だぞ? 中学生か」


慶三も奥手の俺に呆れてもはやタメ口だ。
いや、でもこれはシメた方が……


('A`)「いや、でも……」


背後から俺の携帯を内藤が狙っているのはわかった。
しかし携帯の機能を使いこなした俺に敵はない。


( ^ω^)「おらっ! 取った!」


俺のジャージから内藤が携帯を抜き取る。
そしてスナップスローで内藤が慶三に携帯を投げた。


(K‘ー`)「ナイススロー、内藤さん!」


慶三が俺の携帯を開く。
そして固まった。計算通り。


( ^ω^)「どうした? 待ち受けがキモイのかお?」


失礼な。
咲‐saki‐の咲ちゃんの「私のイーピンをリンシャンカイホウしてください///」
という画像のどこがキモイのだ。


(K‘ー`)「いや、キモイですけど違います」

( ^ω^)「じゃあなに……ああ、オートロックかお」

(゚A゚)「へっ……いつまでもてめえらにユートピアのチケットを破られてたまるかよ……」

( ^ω^)「そのチケット期限切れてるんじゃね?」


( ^ω^)「心配すんなお、慶三」

(K‘ー`)(?)

( ^ω^)「ドクオ、誕生日は?」

(゚A゚)「8月22日」

( ^ω^)「0822」

(K‘ー`)「解除来ました!」

( ^ω^)「よっしゃ!」

(゚A゚)「UWAAAAAA」


( ^ω^)「さあ何を送ろうかグフフ」

(K‘ー`)「朴さんのソウルタワー(9KB)でも送ろうかグフフ」

(゚A゚)「やめろぉ……やめろぉ……」


悪魔が、悪魔2人が俺の桃源郷を潰そうとしてやがる!
誰か、誰か助けて……!


( ^ω^)「いや、ダメージ的にはセクハラの方が……」

(K‘ー`)「いや、やはり直接的に……ん」


悪魔たちがそんな会話をしていると俺の携帯が震えだした。
慶三がそれを見てニヤニヤ笑う。


(K‘ー`)「助かりましたね」


そう言って慶三が俺に携帯を投げ返す。
ディスプレイには伊藤さんの名が踊っている。


('∀`)


('∀`)「見たかいやお前ら……ピンチの後にチャンスありやで……」

( ^ω^)「いやーしかし長岡はすごいおー」

(K‘ー`)「高校からあんなにすごかったんですか?」

( ^ω^)「高校からセンスはあったけど開花したのは大学だと思うお」

(K‘ー`)「はあー。僕も大学行けばよかったなあ」

( ^ω^)「一足早くプロの世界に入れたんだからよしだお」


もはや悪魔たちは俺の話を聞いていなかった。
涙をこらえながらメールを確認する。


('A`)「……え?」


――――――――――
to:毒田剛
from:伊藤紅
title:緊急!

本文
毒田さん、大変です!
今雑誌の編集部に届いたFAXなんですけど……
多分、明日の朝の新聞に載ると思うんですが……
諸本さんが、引退表明しました……
今確認も兼ねて編集部はてんやわんやです!
詳しいことがわかり次第追って連絡します!
――――――――――



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