('A`)は野球選手のようです 7-2



『5番、レフト、小和田。背番号6』


(^o^)「ドー……サプリメントコンソメスープだ……」

( <●><●>)(チャンスに小和田さん……怖いですね)

(;^ω^)(大丈夫だお。抑えるお)


ランナーは先ほどのプレーの間に京橋がすすんで1塁3塁。
まだまだ得点圏だ。そして現在本塁打王の小和田。
大ピンチ。しかし抑えれば波に乗れる。


(;^ω^)(……)


1球目。
フォークボール。


(#^o^)(むうん!)


あっけなく空振り。
しかしスイングは正に風を切るようなもの。
一滴の恐怖が内藤を包む。


(;^ω^)(……)


2球目。
内角に決まるシュート。
これにも小和田はバットを出す。


(;^o^)(ぐっ……)


これは自打球。ちょうど開幕戦と同じところだ。


左足の甲に勢いのついた硬球が当たる。
それだけで凡人ならば痛みに耐えきれないことだろう。


(^o^)(……)


かつての自分もそうだった。
しかし、自分は変わった。
開幕戦で怪我した翌日、小和田は歓楽街に出向いた。


その日出会った黒人は言った。


「オニイサン、オニイサン、ネムラナクテモ、ツカレナイ薬、ドウ?」

(^o^)「いただこう」


かくして小和田は鋼鉄の体を手に入れた。
時は4月、陽春の候であった。
そこから小和田は快進撃を続け現在本塁打王。眠っていた才能が開花したのだ。


(;^ω^)(心なしか小和田さんの目が飛んでるような……)

(^o^)(さあこい内藤。打ち砕いてやる)

(;^ω^)(……)


3球目。
内藤の腕から速球が繰り出される。
その球に和手枡は冷や汗をかく。


(;<●><●>)(真ん中……!)


ボールが少し抜けて、真ん中に入ってきたのだ。


(^o^)(もらったぁ!!)


小和田は当然、バットを出す。


(^o^)(捉えた!)


風を切るスイングで、内藤の球を捉える。
ボールは高くレフトスタンドに飛んでいく。


(;^ω^)(……)


確実にスタンドインするだろう。
内藤はそんなことを考えていた。


(;^ω^)(やってしまった……)


この大事な一戦で先制点、それも3点。
内藤は己の力弱さを恥じた。


その時、内藤にとって暁光とも言える出来事が起こった。
海に近い土地柄、突風が吹くことがある。
それが起こったのだ。ちょうど、小和田の球を押し戻す形で。


(;^o^)(うそん!)


結局ボールは押し戻され、レフトガイエルのグラブに収まる。
小和田は鋼鉄の体を手に入れてなお、ついていなかった。


J( ゚_ゝ゚)し「ホライゾン、取ったでー」

(;^ω^)「dだお、アーロン」


危なかった。普通なら難なくスタンドインだ。
しかし結果はレフトフライ。
助かった。ネクタイしているならすぐに緩ませただろう。
内藤は、安堵していた。


   123 456 789 RH
RW 0           01
V              00

RW 渡辺‐ビコーズ
V  内藤‐和手枡



『1番、セカンド、毒田。背番号37』


('A`)(……)


バットを振りながらマウンド上の渡辺を見る。
相変わらずトロいボールだ。
ヴィッバーズはここまで渡辺に1勝3敗 防0.33。
完全に封じられている。


从'ー'从


マウンド上の微かな笑みは余裕の表情にも見える。
きっと渡辺は自信を持って投げこんで来るだろう。


('A`)(それに……伊藤さんが来てんだ。シャキッとしねえと)


('∀`)(伊藤さん……)


思わず顔がニヤつく。
もしかしたら今夜は夜のシャンパンファイトも出来るかもしれない。


('∀`)(ふひひ……)

( ∵)(なにこのひとこわい)


毒田のキモさが、国境を超えた瞬間である。


('A`)(……)


妄想モードを解き、野球モードに入る。
右打席を足でならす。
バットを前後にゆらりと揺らし、構える。
さあ、対決の始まりだ。


('A`)(初球を狙うか)

从'ー'从(……)


渡辺は油断はしていないだろうが、まだ少し舐めているかもしれない。
渡辺のストレートは打てない球ではない。
初球にストレートが来るようなら、狙い撃つ。


从'ー'从(……)


渡辺の左腕からボールが繰り出される。
その球種は――


('A`)(ストレート!)


狙っていたストレート。
初球だが関係ない。迷わずひっぱたく。


从;'ー'从(!)


打球はピッチャー返し。
二遊間も抜け、センター前クリーンヒット。
俺のヒットに大歓声が沸く。


「どっくおっとこ! どっくおっとこ!」

('A`)「……独男ちゃうわ」


一塁コーチャーにも聞こえない程度に、呟いた。


『2番、センター、川島。背番号00』


(K‘ー`)(……)


ベンチを見る。
サインはバント。1点が重要な場面では当然だ。


(K‘ー`)(……ん)

(K;‘ー`)(んんん……?)


川島は目を疑った。
一塁の毒田がかつてないほど大きいリードをしていたからだ。


('A`)(……)

(K‘ー`)(毒田さん、何してるんだ……?)


一度牽制されれば戻るのに頭から行かなければならないほどの距離。
毒田は足が速いわけではない。ならなぜ?


从'ー'从(……?)


渡辺も訝しげな顔をしながら牽制する。
毒田は頭から戻る。ギリギリのタイミングだ。


(K‘ー`)(……走るつもりですか)


毒田の盗塁数は2。1番としてはもちろん物足りない。
しかし毒田にはそれをカバーするバッティングセンスがある。
さすがに今季の長岡には劣るが。


(K‘ー`)(……何か、考えがあるんだろう)


渡辺がもう一度牽制をする。
その時、川島が動いた。


(K‘ー`)「タイム」


(K‘ー`)(監督)


監督にサインを送る。
毒田のランをサポートすること。それの意志表示だ。


( ´∀`)(……)


喪名監督が頷く。
川島は一礼する。


(K‘ー`)(考えがあるんでしょう? 毒田さん。サポートしますよ)

いつもは、ちゃらけているが本心は毒田を尊敬している。
そんな先輩をサポートするのは当然だ。


('A`)(長岡には負けたくねー)


しかし毒田には大した思考はなかった。


('A`)(……)

从'ー'从(……)


左投手は一塁牽制が苦手とされる。
予備動作が右投手に比べてわかりやすいからだ。
そして、渡辺は軟投派。盗塁する要素は揃っている。


1球目。カットボールを見逃しストライク。
2球目はスローカーブが外れボール。
3球目もスローカーブ。これもボール。
毒田は、まだ走らない。


(K‘ー`)(早くしてくれないと……カウントが悪くなりますよ……)


4球目、スクリュー。
これは入ってストライク。カウント2‐2。


(K‘ー`)(追い込まれちゃったよ……)


从;'ー'从(……)


渡辺は合間合間に牽制を挟んでいる。
だからかどうかは知らないが、若干汗ばんでいるようにも見える。


(K‘ー`)(なんにせよ追い込まれた。次は振りますよ、毒田さん)

('A`)(……)


5球目。渡辺が右足を上げた時のこと。


('A`)(今だ!)

(K;‘ー`)(!)


毒田が、スタートした。


――しかし。


从'ー'从(かかった!)

( ∵)(ゴェェ)

(;'A`)(!)

(K;‘ー`)(ウェスト……!)


左打者の自分から遠く離れたところに投じられたボール。
足を踏み出してなんとかカットしようとする。


(K;‘ー`)(届け……!)


(K‘ー`)(かすった……!)


確かに手応えはあった。
バットの上っ面に僅かにかすった。
しかし、ボールは無情にもビコーズのミットに収まる。


「ストライクアウト!」

(K#‘ー`)(……っ!)


そして、ビコーズは素早く2塁に送球する。
球界屈指の強肩から投げられた送球は大きくリードしていた毒田をも刺した。


「アウト!」


二塁審が高らかにコールする。
三振ゲッツー。最悪のパターンだ。


('A`)「……すまん」

(K‘ー`)「いえ……」


揃ってベンチに帰る2人。
その顔は一様に暗い。


( ><)『先ほどのプレーどうですか』

にしこり『あまりいいものではありませんでしたね』

( ><)『そうですか。ツーアウトランナーなしでバッターは3番魔将です』


( ><)『三振!』


   123 456 789 RH
RW 0           01
V  0           01

RW 渡辺‐ビコーズ
V  内藤‐和手枡



('A`)ゴェェ


奇声を発しながら守備位置につく。
先ほどはなんともはやなルンバ走塁を見せつけてしまった。
内藤を援護するどころか邪魔してしまった。


(;^ω^)(……)


ベンチで休んでいたはずなのにまだ汗をかいている。
体質ゆえしょうがないがやはり心配だ。


('A`)(ごめんね、内藤。もう少し粘ってくれ)


そして内藤は俺の願い通りの展開を見せる。


/;^o^\(なんという投手有利……これは間違いなく三振)


期待の若手藤山をカウント2‐1からのフォークで三振。
続く7番十三をセカンドゴロ(少し手が滑ってエラーしかけたのは秘密だ)。
8番の放出をセンターフライに打ち取った。


(;^ω^)「よっしゃあ!!」


下位打線とはいえ三者凡退。
今日の内藤は安心できそうだ。


   123 456 789 RH
RW 00          01
V  0           01

RW 渡辺‐ビコーズ
V  内藤‐和手枡



『2回の裏、ヴィッパーズの攻撃は4番、ファースト、宝。背番号5』


( ^Д^) (……)


先ほどの攻撃は走塁ミスでチャンスを潰した。
先頭走者を見殺しにしてしまったのだ。


( ^Д^) (……塁に出るのを優先するか?)


宝はここまで『ホームランの打ち損ないがヒット』というポリシーでやってきた。
その理論からいくとここはホームラン狙いとなる。
それでいいのか? 大事な一戦でそれでいいのか?


( ^Д^) (いいに決まってるだろ)


いいも悪いも自分にはそれしかないのだ。
今更グダグダ言っていられない。


从'ー'从(宝か……とりあえず一発が怖いね)

( ∵)(ゴェェ)

从'ー'从(りょーかい)

渡辺が頷く。
長く持ったバットを構える。


从'ー'从(……)


1球目。いきなりのスクリュー。
思わず見送る。


渡辺は軟投派の名にふさわしく、あらゆる種類の変化球を持っている。
ただ単に変化球の種類の多さならビックバンズの兄者が勝る。
しかし実際に使える変化球となると渡辺の方が上だ。


( ^Д^) (渡辺はやっかいだ……本当に)

从'ー'从(次は……)

( ∵)(ゴワォ)

从'ー'从(把握)


2球目。
手元で少し動くツーシーム。
これも見送ってしまいカウント2‐0


( ^Д^) (次は外してくるか……)


セオリーならここで1球外すだろう。
とりあえず様子を見るか。


从'ー'从(ゴェェ)

( ∵)(ゴワォ)


3球目。スローカーブ。


( ^Д^) (!)


この球はストライクゾーンに入ってくる。
バットを出さなければ見逃し三振だ。


(#^Д^) (おらっ!)


バットを出す。
しかし、芯で捉えることはできない。
ボールは力なくショートへ。


( ゚∀゚)(……)


難なく長岡が処理して一塁へ。
簡単にショートゴロ。


(;^Д^) (……)


拙攻。
今日の渡辺は調子がいい。
内藤と渡辺の我慢比べになりそうだ。


( ^Д^) (すまんな内藤……)


キャッチボールをする内藤に目を向ける。
今日も内藤にはキツい戦いを強いることになりそうだ。


結局内藤に負けず劣らずの渡辺。
5番朴・6番擬古を三振。
1番の毒田以外には完璧な投球。試合は投手戦の様相を見せる。

   123 456 789 RH
RW 00          01
V  00          01

RW 渡辺‐ビコーズ
V  内藤‐和手枡


『3回の表、シベリアレールウェイズの攻撃は9番ピッチャー渡辺。背番号27』


3回はピッチャーの渡辺から。
渡辺は打つ気がないらしく、右バッターボックスの一番ホームから遠い所に立つ。


( <●><●>)(ワンアウトくれるとは……ありがたい)


1球目2球目とストライクゾーンにボールを入れる。
その間も渡辺はピクリとも動かない。


3球目。


(;^ω^)(……)


内藤がストレートを投じる。
その球に少し和手枡が焦る。


( <●><●>)(真ん中……)


しかし渡辺は打つ気ゼロ。
大丈夫だ。
――そう和手枡が思った矢先、渡辺が踏み込んできた。


从'ー'从(絶好球!)

(;<●><●>)(しまっ……)


完全に油断していた。自分も、内藤も。
渡辺はこれを狙っていたのだ。
ボールはセカンドの頭を越えライト前へ。
先頭走者を出してしまった。


( ゚∀゚)(……よしっ)


1番の長岡がバントを完璧に決めワンアウト二塁。
1回に続きまたもピンチを迎えた。


从'ー'从(さすがジョル、したたかだねえ)


(;^ω^)(……)


『2番、サード京橋』


そして、強打者を迎えることとなる。


1球目。
ストレートをファールされる。


( <●><●>)(今日のレールウェイズは早いカウントから打ってくる……要警戒です)

(;^ω^)(……)

( <●><●>)(次はカーブでタイミングを外しましょう)

(;^ω^)(把握)


2球目。
要求通りカーブを投げる。
和手枡の読み通りタイミングがあわず、京橋は空振り。


(;^ω^)(……よし)


額に浮かんだ汗を拭う。
これで2‐0。追い込んだ。


3球目はフォークを見られボール。
カウントが整って2‐1。


(;^ω^)(勝負!)

( <●><●>)(……ここです!)


ミットをアウトローに構える。
球種は左打者の外に逃げるシュート。
これで、打ち取る。


( <●><●>)(ナイスボール!)


自分が構えたところにボールが来る。
抜けずに変化もかかっている。


(;^ω^)(!)


しかし京橋はうろたえない。
足を踏み出し、シュートをしっかりと捉えた。
そして、体のすべての力を使い振り切る。


(;<●><●>)(!)


強烈な当たりは一二塁間へ。
もちろん渡辺は3塁に向かう。


('A`)(……っ!)


この当たりが抜ければどうなるだろう。
ライトは前進守備ではない。
だからもしかしたら渡辺は帰ってくるかもしれない。


(#'A`)「させるかぁ!」


一塁の宝さんは追いつけない。
一心不乱に白球に飛び込む。
グラブの先には確かにボールの感触を感じた。


(#'A`)(よしっ!)


すぐさま立ち上がりカバーの内藤に送球する。
俊足の京橋だがこれはアウト。
しかし渡辺は3塁に進んだ。


(;^ω^)「助かったお」

('A`)「気にすんな。次をしっかり抑えろ」

(;^ω^)「わかったお」


そう言って内藤のケツをはたく。
ツーアウト3塁。バッターは一癖も二癖もあるあいつだ。


『3番、レフト池沼』


「ほらほら、たかしちゃんの番よ」

(^q^)「やだやだ、もっとママのおっぱい吸うのれす!!」

「そんなこと言ったって……あ、ほら。たかしちゃんチャンスよ」

(^q^)「んんー? ほんとら! 行ってきます!」


(;<●><●>)(……)


ベンチでは通院が必要なほど重症マザコンの池沼。
しかし打席では途端に聡明になり格言を使い始める。


(^q^)「敵を知り己を知れば百戦危うからず。

   己を知った今我が眼前に壁はなし」

(;^ω^)(こういうときの池沼さんは怖いんだお……)


(;^ω^)(……)


1球目、インハイいっぱいのストレートを空振り。
2球目、カーブが抜けてボール。
そして3球目。


( <●><●>)(カウントを稼ぎましょう。ストレートです)

(;^ω^)(把握)


内藤がセットポジションからストレートを投げ込む。
低めへ決まるストレート。しかし。


(^q^)「甘いな……若僧」

(;<●><●>)(っ!)


和手枡は池沼の口が笑ったのを、確かに見た。


(;^ω^)(!)


低めに集めたボールをうまくすくい上げられた。
ボールはスライス回転を伴ってセンターへと向かう。


(K‘ー`)(くっ……)


センターの川島は躊躇する。
飛びこめばもしかするとキャッチできるかもしれない。


(K‘ー`)(でも、後ろに逸らしたら?)


池沼の足は遅いわけではない。
不用意に飛び込んでボールを後ろに転々とさせてしまえば最悪ランニングホームランもあり得る。


(K‘ー`)(くっ……)


結局川島が選択したのは飛び込まず、バッターランナーを一塁で止めること。
もちろん打球は川島の目の前にポトリと落ちた。
すぐさま捕球して中継の毒田にボールを渡すが当然本塁は止められない。


(;^ω^)(……)


与えてはいけない先制点。
与えてしまった。


RW 1‐0 V


レフトスタンドから割れるような声援があがる。
逆に意気消沈しているねはライトスタンドだ。
優勝を信じて観戦に来てしかし先制されればしょうがないのかもしれない。


( ^ω^)(……)


すうーっと深呼吸をする。
そいて右手で自らの頬をペチンと叩いた。


(;^ω^)(目が覚めたお)


『4番、キャッチャービコーズ』


( ∵)(ゴェェゴェェ)

( <●><●>)(……)


和手枡はインにミットを構える。
球種はストレートだ。


(;^ω^)(……)


一息ついて投げたストレート。
小和田のスイングのように風を切って18.44mを埋める。


「ストライク!」


球速は今日最速の156キロ。
敵味方関係なく場内が割れる。


2球目もストレート空振り。
3球目はストレートを外してボール。


( <●><●>)(3球続けてストレートを見せました……そろそろカーブで行きましょう)

(;^ω^)(……)


内藤が首を振る。


( <●><●>)(……シュート?)


また首を振る。


( <●><●>)(まさか……ストレートですか)

(;^ω^)(そうだお)


(;^ω^)(ビコーズさんに真っ向勝負でいくお)

( <●><●>)(……わかりました)

( ∵)(ゴェェ)


4球目、高めへのストレート。
その球威に、一番戸惑ったのはビコーズだ。


(;∵)(!?)


思わずバットを出す。
ボールが高く高く舞い上がる。
そしてそのボールは――茂等のグラブに収まった。


(;^ω^)(……)


スリーアウト。
しかし内藤の顔に笑顔はない。
スコアボードの『1』を忌々しく見つめるだけだった。


(^q^)(これでママのおっぱい揉み放題れすwwwwww)


   123 456 789 RH
RW 001         03
V  00          01

RW 渡辺‐ビコーズ
V  内藤‐和手枡


   123 456 789 RH
RW 001         13
V  00          01

RW 渡辺‐ビコーズ
V  内藤‐和手枡



一点を失った内藤に対して渡辺は安パイの下位打線を難なく打ち取る。


7番茂等。

(;・∀・)(くっ……)


カーブを引っ掛けサードゴロ。

8番和手枡・9番内藤は三振に倒れた。


(;<●><●>)(……)

(;^ω^)(……)


   123 456 789 RH
RW 001         13
V  000         01

RW 渡辺‐ビコーズ
V  内藤‐和手枡



(;^ω^)(……)


投球練習をこなす内藤。
内藤は自分の調子を自分なりに分析していた。


(;^ω^)(調子はいいお……でも)


心臓がドキドキする。
あの克服したと思った弱い自分が今にも出てきそうだ。


(;^ω^)(それでも)


体質故溢れ出る汗を拭う。
ロージンを手につけて打者を睨みつける。


(;^ω^)(やるしかないんだお)


『5番、レフト、小和田』


(^o^)(さっきみたいなラッキーは……二度は続かないぜ)


小和田も内藤に負けじと睨みつける。
どちらにも引く様子はない。


(;^ω^)(……)


さっきは神風が吹いたが、完全に持っていかれていた。
気をつけないと、簡単にスタンドに持っていかれる。


1球目。


( <●><●>)(インハイです!)


和手枡が要求した通りのストレート。
小和田は思わずのけぞるがゾーンにはギリギリ入っている。


(;^o^)(人良さげな顔して……なかなかどうしてエグいじゃないの)

(;^ω^)(勝つためだお)


2球目はフォーク。
小和田は対応できずにバットを出してしまう。


(^o^)(どうにもフォークは苦手なんだよな……)


小和田は鋼鉄の体を手に入れ、さらに動体視力も向上した。
しかし肉体改造前から苦手だったフォークは今も苦手なのである。
それは捕手の和手枡も見抜いていた。


( <●><●>)(1球外して、フォークでとどめです)

(;^ω^)(把握)


和手枡が構えたのは立ち上がるほど高めのストレート。
振らせるつもりはなく、ただ速い球を見せるだけだ。


(;^ω^)(……)


内藤が第3球を投げる。
その時、スタジアムにいた誰もが息をのんだ。


(;<●><●>)(!!!)

(;^ω^)(やばっ……!!)

(^o^)(もらった!!)


高めに外すはずが、抜けて力のない球が真ん中へ。
今日一番の失投。いや、今年まで範囲を広げても一番の失投だ。


(^o^)(バイバーイ!!)


小和田がバットを出す。
芯で捉えた音がスタジアムに響く。









はずだった。


(;^o^)(俺は……バカか)


小和田の手はジンジンと痺れていた。
真芯で捉えられなかった証拠だ。
あの球をスタンドに運べなかったとは――
うなだれて一応ダイヤモンドを回る。打球は、レフトに力なく飛んでいく。


J( ゚_ゝ゚)し「オーライオーライall right」


J( ゚_ゝ゚)し「オーライall right」


その時、またしても風が吹いた。
1回とは逆、小和田の球をスタンドに押し出す方向に。


J( ゚_ゝ゚)し「オーライall rightオー……あれ」


ボールを見ながら後退するガイエル。
その体が、フェンスについた。


J( ゚_ゝ゚)し(……やってもうた)


ボールはレールウェイズファンが待つ、レフトスタンドに飛び込んだ。


(;^o^)「うそん!?」


ホームランが凡打になった1回とは逆。
今度は、凡打がホームランになった。
俯いていた小和田が飛び跳ねながらダイヤモンドを回る。


(;^ω^)(ええー……)

J( ゚_ゝ゚)し(ごめん、ホライゾン)


小和田が2点目のホームを踏む。
追加点は、思わぬ形で入ってしまった。


RW 2‐0 V


レフトスタンドが沸く。
小和田コールに混じってガイエルコールも聞こえる。
ガイエルは居心地悪そうな顔をして、内藤に謝り倒すポーズをしていた。


( ・∀・)(あれはもうしょうがねえよ)


内野陣がマウンドに集まり、グラブで口を隠しながら話す。


('A`)(うん、気にすんな気にすんな)

(;^ω^)(把握だお)


内野陣の結論は『ガイエルならば仕方がない』で一致した。
三々五々、各々の守備位置に帰る。


その後内藤は逆に気持ちの整理がついたのか、6番藤山をセカンドゴロ。
7番十三をショートゴロに打ち取る。
そして8番放出にカウント2‐2からの6球目。


(;^ω^)(よし!)


シュートを引っ掛けさせてのショートゴロ。
小和田に打たれてからは三者凡退で打ち取った。


打ち取った、はずだった。


(;・∀・)(!!)


茂等がグラブから球を取り出しきれずお手玉。
守備の名手にあるまじきミスだ。
ベンチに帰りかけていた内藤も拍子抜けといった感じで帰ってくる。


('A`)(……)


茂等が前に言っていたことを思い出す。


『( ・∀・)「体の衰えを、感じたことはあるか?」』


きっと、茂等さんにはあるのだろう。
だから、諸本さんが引退しようとした時寂しそうな、それでいて諦めた顔をしていたのだ。


結局内藤は後続の渡辺を三振。
茂等さんのエラーは得点には結びつかなかった。


( ・∀・)「悪い悪い」

(;^ω^)「気にしませんお」

J( ゚_ゝ゚)し「すまんな、ホライゾン」

(;^ω^)「アーロンなら仕方ないお」

('A`)(……)


俺は、茂等さんを今までとは違う目で見ていた。
ちょうど親が倒れた時のような目。
強いものの弱さが垣間見えたような、目。


   123 456 789 RHE
RW 001 1       140
V  000         011

RW 渡辺‐ビコーズ
V  内藤‐和手枡

本塁打 小和田 43



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