【人物紹介】
('A`) 毒田剛 ドクタ・タケシ
25歳 7年目 二塁手
以前は3割に到達したことがあるが最近は不調気味。
しばらくやる気を失くしていたがトレードを機に心機一転。
彼女なし。彼女持ちを闇討ちする癖があるがいずれも撃退される。
プロ入り時童貞。当時の監督に命令され風俗で脱童貞したため素人童貞。
( ^ω^) 内藤地平線 ナイトウ・ホライゾン
25歳 7年目 投手
即戦力右腕として期待されプロ入りするが、ピンチになると弱くなる。
そのため今までパッとした成績を残せず。
高校から8年付き合っている彼女がいる。もちろん非童貞。
毒田に影響され今年こそはと奮起を誓う。今年成績を残せなければ首が寒い。
(´・ω・`) 諸本信彦 モロモト・ノブヒコ
36歳 13年目 外野手
かつては三冠王を獲った主砲。
しかし顔面死球によるイップスでインコースに目を瞑ってしまうようになる。
それ以来2軍暮らしが長くなる。
ダジャレ親父。しかし野球に対しては真摯。
( ・∀・) 茂等和弘
36歳 14年目 遊撃手
諸本と同い年のため仲がいい。
毒田の守備の悪さを見かねてキャンプでは守備練習をともにした。
守備の名手。しかし打棒はパッとせず。通好みの選手。
次期監督に一番近いと言われ、本人もそれを否定していない。
( ゚∀゚) 長岡譲二 ナガオカ・ジョウジ
24歳 2年目 遊撃手
シベリアレールウェイズ所属の期待の若手。
毒田・内藤とは高校時代1学年下のチームメイト。
走攻守すべてで高い次元のプレーを見せる。
めっちゃかわいい彼女がいるので毒田にたびたび闇討ちされるが本人はあまり気にしていない。
从 ゚∀从 高岡理非 タカオカ・リヒ
29歳 7年目 投手
昨年20勝を達成したニュー速ヴィッパーズの大投手。
渡辺とは小学校からの同級生でライバル。
精密なコントロールが武器だが最近はすっぽ抜けが多い。
从'ー'从 渡辺綾 ワタナベ・リョウ
29歳 11年目 投手
安定したピッチングで5年連続2ケタ勝利を記録しているシベリアレールウェイズのエース。
高岡とはライバル関係だが本人はあまり気にしていない。
素手で掴めそうな球速のスローカーブが武器。
('、`*川 伊藤さん イトウサン
25歳
野球専門誌・「週刊プロ野球」の記者。
毒田のファンでうっかり毒田に連絡先を教える。
ξ゚听)ξ 津村麗華
25歳
内藤の彼女。それ以外は特になし。
ミセ*゚ー゚)リ ダン・ミセリ だん・みせり
23歳
長岡の彼女。浅草観光が趣味。
( ^Д^) 宝笑児 タカラ・ショウジ
27歳 10年目 一塁手
不振の諸本に代わって4番を任されている。
<ヽ`∀´> 朴荷駄 パク・ニダ
33歳 6年目 三塁手
韓国から来た国民的打者。
最初こそいい成績を放つも最近はサッパリ。
性格はいい人。
(K‘ー`) 川島慶三 カワシマ・ケイゾウ
26歳 4年目 外野手
実在の選手とは関係ない。
J( ゚_ゝ゚)し アーロン・ガイエル あーろん・がいえる
37歳 3年目 外野手
登録名「魔将」。時空間とか魔空間とか磁界とか色々操る。
実在の選手とは関係ない。
( ´∀`)
/ ,' 3
N| "゚'` {"゚`lリ
( ゚∋゚)
( ><)
上から順に
ニュー速監督・喪名
ニュー速守備走塁コーチ・荒巻
ニュー速打撃コーチ・阿部
テレビ解説・鳥谷敬
テレビ実況・稚内弘人。
('∀`) 「うふふ……もらったでござる……連絡先をもらったでござる……」
プロ野球がセ・パ同時開幕してから1か月が経過した。
俺こと毒田剛は開幕から2番セカンドに定着。
ここまで打率.278 本塁打3 打点9 を記録している。
( ^ω^) (こいつ高校の時よりきもちわりいな……)
このへちゃむくれ顔は内藤地平線。
去年までチキンがあだになりずっと2軍付近をうろうろしていた奴だ。
内藤はここまで0勝1敗 防御率4.37。
いいピッチングをしていたのだが援護に恵まれず、先発初勝利はまだだ。
('∀`)
さて、俺がこんなしまりのない顔をしているのには理由がある。
先日初めて女性から連絡先を教えてもらったのだ。
(K‘ー`) 「毒田さん、よかったですね!」
('∀`) 「ありがとう、慶三! チューしてやる! 幸せいっぱいの俺がチューしてやる!!」
(K‘ー`) 「それはいいです」
俺の恋路を祝福してくれているのは川島。
4年目の若手だが、外様選手の俺にも優しく接してくれている。
('∀`) 「うふふ……おれにもついに球春じゃない春が到来やで……」
連絡先をみつけたのは今日の朝。
週刊プロ野球の記者・伊藤さん→('、`*川 からいただいた俺のインタビューが掲載された週プロを読んでいると。
('∀`) 「こう、隅にな? メルアドと携番がかいてあったんや。わかるか慶三?
それを見つけた時の俺の興奮ぶりが」
(K‘ー`) 「わかんないです」
その興奮は試合にもしっかりと反映された。
今日の俺は5打数5安打2本塁打7打点。
これが……俗に言うLOVEパワー……!!
( ^ω^) 「単純なドクオらしいお」
そしてニュー速寮に帰り、ロビーで川島と内藤に自慢をしているというわけだ。
正直このままいくと打率日本記録(.389)とか本塁打日本記録(55本)とか打点日本記録(163)とか更新してしまうかもしれない。
('∀`) 「おうおう、なんとでも言えや……今の俺は無敵やで……」
( ^ω^) 「まあ調子がいいならいいお。で、伊藤さんはなんて言ってたんだお?」
('∀`) 「……」
('A`) 「え?」
( ^ω^) 「え?」
(K‘ー`) 「え?」
('A`) 「え?」
……え?
( ^ω^) 「いやいや、連絡先が書いてあったんだから連絡したんだろ?」
('A`) 「してませんが……」
(K‘ー`) 「なんでやねん!!」
('A`) 「えー、もう連絡先が書いてある時点で」
('、`*川 『私を好きにしてしゃぶってあげるわチュパチュパチュパカブラ』
('A`) 「ってことじゃないの?」
( ^ω^) 「……」
(K‘ー`) 「……」
あれ、何この間。
( ^ω^) 「なんという童貞の発想……」
('A`) 「どどどど、童貞ちゃうわ!」
(K‘ー`) 「いや、連絡先がかいてあったならそういうこともあるかもしれませんが……」
( ^ω^) 「取りあえず連絡しなきゃ話が始まらないお。ほら、連絡しろ」
(;'A`) 「え!? 今、ここで!?」
嫌だ。俺は高校時代から女子に蔑まれて生きてきたのだ。
野球が上手かったのがせめての救いで生きてきた人間がいきなり女性と会話なんてレヴェルが高すぎる。
( ^ω^) 「ほら、携帯貸せよ」
('A`) 「アッー」
(K‘ー`) 「うわあ……」
川島が俺の携帯の待ち受けに心底引いている。
けいおん! の澪ちゃんのフェラチオ画像の何が問題だと言うのだ。
( ^ω^) 「アドレス帳の……うわ、登録が(ハート)伊藤ちゃん(ハート)になってるお」
(K‘ー`) 「うわあ……」
内藤が俺の携帯をあれよあれよという間に凌辱していく。
そして内藤の手から俺に携帯が投げ渡された。
電話はプルルル、と無機質な音を立てている。
内藤と川島はニヤニヤと笑っている。
('A`) 「え、何これなんでプルプル鳴ってんの」
画面を見ると『呼び出し中 (ハート)伊藤ちゃん(ハート)』となっている。
これが意味するものは。
(゚A゚) 「おい、なにてめー勝手に電話かけちゃってんだよ!」
( ^ω^) 「いいじゃん、どうせ掛けるんだし」
(゚A゚) 「心の準備というものがなあ!」
(K‘ー`) 「いいから早く電話耳に当てろよけいおん厨が」
(゚A゚) 「おまえ、先輩に対する敬意というものがなあ!」
そうこうしているうちに電話機がブツッという音を放った。
相手の電話につながった証拠だ。
光の速さで電話機に耳を当て、会話態勢に入る。
(゚A゚) 「あはははは、伊藤さんこんばんは! 本日はお日柄もよく非常に過ごしやすい一日でした!」
(K‘ー`) (かなりテンぱってるな……)
( ^ω^) (川島は嫌けいおんかお……メモメモ)
(゚A゚) 「それでですね、こんどもしよかったら僕と一緒に愛のバンド活動を」
『この電話番号は、現在使われておりません……』
(゚A゚) 「ですね、できれば僕のアナルにドラムスティックをですね……ん?」
『番号をお確かめの上、もう一度……』
電話の向こうから聞こえてきたのは無機質なお姉さんの声。
学生時代にはこの声で抜いたことはあるが今聞きたいのはこの声ではない。
(゚A゚) 「……おい」
( ^ω^) 「なんだお? 振られたかお?」
(゚A゚) 「通じねーんですが」
( ^ω^) 「え? 僕はアドレス帳に登録されてる番号にかけただけだお」
('A`) 「あれー、おっかしいなあ……」
電話をいったん切り、もう一度アドレス帳から電話をかける。
登録でも間違ったのだろうか。
『番号をお確かめの上……』
('A`) 「……んんー??????」
(K‘ー`) 「wwwwwwwwwwwwwwwwww」
(K‘ー`) 「wwwwwwwwwwwwwwwwww」
( ^ω^) 「wwwwwwwwwwwwwwwwww」
('A`) 「待て待て、失礼な奴だなお前らは。こっちにはメールもあるんだぜ」
そう言ってメール作成画面に入る。
俺が不慣れな入力作業に没頭している間、2人はロビーのテレビでスポーツニュースを見ていた。
('A`) 「……」めるめるめるめる
( ^ω^) 「慶三、今日は1打点だから映るんじゃないかお?」
(K‘ー`) 「僕ですか? 映りませんよ、そこのけいおんが無駄に活躍しましたから」
('A`) 「……」めるめるめるめる
(K‘ー`) 「相変わらずアクアリウムは弱いですね」
( ^ω^) 「油断はしちゃだめだお」
(K‘ー`) 「そうですね、ごめんなさい」
('A`)「よっしゃ、できたぜ……!!」
( ^ω^)(あ、まだやってたんだ)
(K‘ー`)「あ、できたんですか。じゃあ見せてください」
川島にそう言われたので携帯を渡す。
俺が30分かけて打った名文だ。
かつ目してほしい。
――――――――――
やっほ(>_<)ドクオだにゃんにゃん(^ε^)
さっき電話したんだけど番号変わっててチョベリバ(#`ε´#)
早速なんだけど、デートしない?(^〜^)もち、俺の奢りでヾ(≧∇≦*)ゝ笑
ぢゃあ、お返事待ってるね笑笑三 (/ ^^)/
――――――――――
('A`)「自信作だ」
( ^ω^)(wwwwwwwwww)
(K‘ー`)(wwwwwwwwww)
(K‘ー`) 「いwwwwいwwwwwwんwwwwじゃwwwwwないですwwwwwかwwwww」
( ^ω^) 「うんwwwwwwwはやくwwwwwwwwwww送れwwwwwwwwwwwwwww」
('A`) 「なに笑ってんだお前ら。言われなくても送るっつーの……送信っと」
大笑いする2人を尻目にメールを送信する。
この思いは電波に乗って彼女の元へと届くのだろう。
多分こいつらは嫉妬しているだけだろう。全く寂しい奴らだ。
('A`) 「あ、もう帰ってきた」
( ^ω^) 「はやっ」
(K‘ー`) (あれを見て即返信とは……伊藤さん、できる……!)
返ってきたメールを見る。
さすが女性、俺が30分かかる文面も数分で返してしまうのだろう。
('A`) 「おお……」
( ^ω^) 「まさか、好感触……?」
(K‘ー`) (伊藤さん……ゲテモノ好きか、あるいは相当なアレ専か……)
返ってきたメールを見る。
さすが、記者、英語もたしなみのひとつなのだろう。
しかし俺は日本を出たことがないため英語を碌に読むことが出来ない。
('A`) 「なあ内藤、これなんて読むんだ?」
( ^ω^) 「どれどれ……グッwwwwwwwwww」
(K‘ー`) 「な、なんですか……ブッwwwwwwwwwww」
('A`) 「なあなに笑ってんのお前ら。俺にはメーラーダエモンって読めるんだけど。おーい」
日付は変わって5月1日。
この日は試合が組まれていない。とはいっても完全休養ではない。
チーム内での合同練習が組まれているのだ。
長いシーズンだが、調整の意味でも練習を欠かすことはできない。
( ・∀・) 「うーし、お前ら集まれー」
時計がぴったり集合時間を指した時、茂等さんの号令がかかった。
今の一軍にはキャプテンの諸本さんがいない。だから今は代理として茂等さんがキャプテンを務めている。
( ・∀・) 「じゃあ輪になってストレッチー」
「「「うぃーい」」」
チームメイトの掛け声が室内練習場にこだまする。
その輪に、俺は入れないでいた。
( ・∀・) 「えーと……あれ」
茂等は訝しがった。
いつもストレッチの相手をしている毒田の姿が見当たらなかったからだ。
( ・∀・) 「おーい、内藤。毒田は? 休みか?」
川島とストレッチをしていた内藤に毒田の場所を問いただす。
怪我か病気でもしているならチームにかかわる。
代理とはいえキャプテンとしてそれは見過ごすことができないものだった。
( ^ω^) 「毒田ですかお? ……あ、あそこですお」
内藤が指さした先には練習場の隅でひとりさみしくストレッチを行っている毒田の姿だった。
いつもは自分と普通にストレッチをするのだが……とりあえず毒田に近づく。
('A`) 「ニクイ……カノジョモチガ、ニクイ……チキュウナンテ、ホロビテ、シマエ……」
そこには人生に絶望した男の姿があった。
いつも鬱々としたオーラをまとってはいるが、これはしゃれにならない感じだ。
( ・∀・) (おい、内藤。毒田の奴、何があった?)
( ^ω^) (女の人に、連絡先を教えてもらったんだけど、それが嘘だったんですお)
( ・∀・) (wwwwwwwwwwwwwwwwww)
( ・∀・) 「まあ、そんなにクヨクヨすんなって」
茂等さんが俺に話しかけてくる。
さすがキャプテンだ。こんな傷心の俺でもこんなに良くしてくれる。
('A`)
結局、俺の携帯が伊藤さんにつながることはなかった。
もらった週プロを引っ張り出して連絡先を丹念に確認したが結果は同じだった。
( ^ω^) 「wwwwwwwwwwwっうぇえええwwwwwwwwww」
(K‘ー`) 「……ぅwwwwwwだめwwwwwがまんwwwwwwできないwwwwwwすいませんwwwwwww」
そして、内藤と川島の2人にさんざん笑われた。
もし俺にギャリック砲を撃つ力があればニュー速寮は消し飛んでいただろう。
(;A;) 「あ、ありがとう、茂等さん……おで、俺、内藤と川島に散々笑われて……」
( ・∀・) 「ああ、わかるわかる。辛かったな。さ、ストレッチをしよう。後ろから押してやるよ」
(;A;) 「うっうっ……おねげえしまず……」
そうして俺と茂等さんは普通にストレッチをした。
後ろから押し殺した笑い声が聞こえてきたのと、振り返ったとき茂等さんの口角が引きつっていたのはきっと気のせいだ。
(;A;) 「……うわあああああああ!!」
その練習の日、俺はマシン相手に特打をした。
もう人は信じられなかった。その日俺のパワーは恐らく4割増だったに違いない。
('A`)は野球選手のようです 5.ニュー速ヴィッパーズVS東京ビックバンズ
季節も5月を迎えると、各チームの力量差が浮き彫りになる。
チームごとの力が順位によって明らかになるからだ。
わがニュー速ヴィッパーズは12勝11敗1分の3位。
2位はシベリアレールウェイズ。こちらは13勝11敗だ。
( ・∀・) 「今日の相手は手強いぜ。気合い入れてけよ」
「「「うぃーっす!!!」」」
そして、今現在首位に立っているチーム。
東京ビックバンズ。前年度もリーグ制覇を成し遂げたチームだ。
現在ビックバンズは17勝7敗。圧倒的な差で首位を独走している。
( ・∀・) 「そろそろあいつらに一矢報いようぜ!」
「「「うぃーっす!!!」」」
そんなビックバンズとは今シーズン既に3回対戦した。
しかし3連敗。頼みの高岡さんもビックバンズの強力打線に沈んだ。
ヴィッパーズが優勝するためにはどうしても取り除かなくてはならない障害だ。
既に3敗を喫しているが、勝たなくてはいけない。
試合の場所は東京ビックバンドーム。相手の本拠地だ。もちろんビックバンズのファンが大勢いる。
(;^ω^) 「おお……」
そんな相手のファンがいっぱいいる球場、そのグラウンドでなんだかプルプル震えている男がいる。
('A`) 「よう、先発投手。生まれたての小鹿か?」
( ^ω^) 「うっ……」
内藤は今にも吐きそうな表情で虚空を見つめている。
流石のチキンっぷりはなんだかこちらまで吐いてしまいそうだ。
('A`) 「そんなに緊張することがあるか?」
(;^ω^) 「ドクオにはわからんお……あのビックバンズの打線が醸し出すプレッシャー……」
腹をさすりさすりしながらバックスクリーンに表示されている名前たちを見つめる。
なるほど、これは圧巻な打線だ。
('A`) 「まあ、わかるっちゃわかるかな……」
スターティングメンバー
後攻 東京ビックバンズ
1 右 亀井
Av.289 HR 3
2 遊 坂本
Av.309 HR 5
3 一 マーク [ヽ゚∀゚]
Av.346 HR 12
4 中 松井 にしこり
Av.357 HR 11
5 左 高橋 ノノ ´⊇`)
Av.333 HR 9
6 三 田中
Av.298 HR 5
7 二 小坂 (・ヘ・)
Av.243 HR 0
8 捕 盛岡 (´・_ゝ・`)
Av.233 HR 3
9 投 流石 ( ´_ゝ`)
3勝 0敗 防2.07
('A`) 「……」
見るも豪華なメンバー。
球界を代表する選手がずらりと並んでいる。
本塁打王3回の松井を皮切りに絶好調の新外国人マーク。
さらに不調から復活の高橋、好守強肩好リードの盛岡、さらに負けなしのエース流石。
('A`) 「ビックバンズすげー」
他人事と思いたくなるほどのメンバーだ。
優勝するにはこいつらを粉砕しなくてはならない。
( <●><○>) 「あばばばばばばばばあばばばばばばばばば」
(;^ω^) 「!?」
(;'A`) 「!?」
……なんか、もうひとりおかしい奴がいる。
試合表
スターティングメンバー
先攻 ニュー速ヴィッパーズ
1 遊 茂等 ( ・∀・)
Av.267 HR 0
2 二 毒田 ('A`)
Av.278 HR 3
3 左 魔将 J( ゚_ゝ゚)し
Av.200 HR 5
4 一 宝 ( ^Д^)
Av.321 HR 6
5 三 朴 <ヽ`∀´>
Av.287 HR 6
6 右 川島 (K‘ー`)
Av.265 HR 1
7 中 山本
Av.256 HR 2
8 捕 和手枡 ( <●><●>)
Av.000 HR 0
9 投 内藤 ( ^ω^)
0勝 1敗 防4.37
( <○><●>) 「ぼ、僕が、ビックバンズ戦のスタタスタメンマスクあばばばば」
(;^ω^) 「落ち着くお! わかったお、ちゃんと投げるから!」
(;'A`) (なんという初々しさ……)
和手枡は3年目の期待の若手だ。
内藤とは相性がいいらしく、よく行動を共にしている。
対してヴィッパーズの正捕手である比木さんは内藤と相性があまり良くない。
性格上ではなく、野球的な意味で。
「ええと……君が毒田くん?」
そんな内藤と和手枡の夫婦漫才を見ていると後ろから声をかけられた。
あまり聞いたことのない声だ。
('A`) 「はい、なんですか」
男の声だったので特に女性を意識したキャラは作らず自然に対応する。
そして振り向いた先には思いがけない人物がいた。
にしこり 「ああ、やっぱり毒田くんか。はじめまして、松井です」
(゚A゚) 「ええー!?」
にしこり 「いや、君の噂は聞いているよ。主に野球板で」
('A`) (松井さん2ちゃんねらかよ……)
2ちゃんねるの野球板に自分の応援スレが立っているのは知っていた。
その内容は主に彼女がいないだとか、プロ入り時童貞で風俗で脱童貞したとかホントのことばかりだ。
にしこり 「僕も野球板でAV博士として通っててね。まあホントなんだけど」
('A`)「あ、そうなんすか」
にしこり 「なんだか親近感感じちゃって。じゃ、お互い頑張ろうね」
('A`)「ちょっと待ってください!」
バット片手に去ろうとした松井さんを呼び止める。
松井さんは面食らったような顔でこちらを見た。
その顔に俺は兼ねてから気になっていたことを訪ねた。
('A`)「イチオシのAV女優は……誰ですか?」
それを聞くと松井さんは面食らった顔からニコリ、と微笑んだ。
そして、子供のような笑顔を浮かべた。
にしこり 「柚木ティナ……今はRioかな」
('A`)「いいこと聞いたな。今度借りよう」
松井さんと魂の契りを交わし、内藤の元に返る。
内藤と和手枡はなにやら観客席の女性と話していた。
「じゃ、あんたら頑張りなさいよ!」
('A`)「誰だ……?」
見たことのない女性だ。
クルクル巻き髪の金髪がカクテルライトによく栄える。
( <●><●>)「いやー緊張がほぐれました」
( ^ω^)「それならよかったお」
('A`)「よう」
( ^ω^)「あ、ドクオ。松井さんとなに喋ってたんだお?」
('A`)「いや、ちょっとな」
魂の会話をやすやす他人に言うわけにはいかない。
( <●><●>)「羨ましいです。松井さんに話しかけられるなんて」
('A`)「へへ。……で、さっきの人は?」
( ^ω^)「さっき……ああ、僕の彼女だお」
('A`)
(゚A゚)「ふーん……」
先ほどの女性の顔を思い出す。
きれいな顔立ちをしていた。モデルと言われても遜色ない。
すらっとした足。それでいてミニスカから覗く少し肉感のある太もも。
「厚い唇、小ぶりだが自己主張を忘れない胸。
全てが彼女の美を引き立てている。そんな彼女がこんなチキンにはもったいない。
できるなら俺が引き取って汚したい性的な意味で」
( ^ω^)「おい」
('A`)「ン?」
内藤に話しかけられ、心の内で思い描いたことを悟られないように
( ^ω^)「声に出てるんだけど」
('A`)
( <●><●>)(毒田さん、気持ちはわかります……)
(メ#A##)「……」
(;<●><●>)(南無……)
( ^ω^)「さて、そろそろ肩を作らなきゃ。ワカ、ブルペン入るお」
( <●><●>)「は、はい!」
(メ#A##)「…………」
やはり、画面の中の人間は俺を裏切らない。
松井さんにもらった「最強AV10傑リスト」を握りしめ、俺は泣いた。
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