【第23話:正義の鼓動】






ξ゚听)ξ「ん・・・・・んん?」

ツンが記憶を取り戻したものの、若干の違和感を覚える。
それもそのはずだ、四肢を縄で縛られ、身動きが出来ない状態なのだから。
ゆっくりと、視力を取り戻していくと、まず見えたのは、汚らしい化け物だった。


ξ゚听)ξ「って、人間だったわ、びっくりしたー」

<;`∀´>「何か、いきなり馬鹿にされた気がするのは気のせいニダ?
     ・・・・・まぁ、それより、ようこそお姫様。具合はどうニカ?」

ξ゚听)ξ「アンタがいなけりゃ、それなり・・・・・でもないか」

襲われたときよりも、更に男の取り巻きは増えていた。
軽く見積もっただけでも、30は優に超えているだろう。
どれもが、一見しだだけで、ろくな育ちはしていないだろうと思えるような者ばかりだった。



どうやら、ここは、何処かの工場らしい。
古びた鉄の臭いや、そこらにある用途の分からない機械がそれを指し示している。
壁の間から、僅かに零れてくる光を頼りにしているせいか、薄気味が悪い。

ξ゚听)ξ「・・・・・で、アンタら誰よ?
   いくら私が可愛いからって、ストーカーの果てに誘拐とは引くわよ」

<ヽ`∀´>「・・・・・ウリのタイプは、お前みたいなビッチじゃないニダ」


ξ#゚听)ξ「今、私の容姿を馬鹿にするヤツは、処刑するわよ」

<;`∀´>「何があったのか知らないけど、自分の立場を考えろニダ」」

軽いトラウマになっているらしい。
それなりの外見を所有しているため、貶されるのは不慣れなのだろう。

男はペースに飲まれているのに気付き、コホンと咳を吐いて、一息ついた。



<ヽ`∀´>「ウリの名前はニダー。
      樹鞭高校の3年4組、趣味は嘘をつくことだニダ」

ξ゚听)ξ「最高にどうでもいい情報をどうも。
      それで、何で私を連れ去ったっていうのよ?」

<ヽ`∀´>「・・・・・ウリ達は全員、ジョルジュに用があるニダ」

ξ゚听)ξ「ジョルジュに・・・・・・?」

ジョルジュ、という名前が出された途端、工場内には異様な雰囲気が流れた。
それは恐怖であり、怒りであり、妬みであり、様々な感情が入り混じっているものである。
目の前にいるニダーも、複雑な表情を浮かべている。


ξ゚听)ξ「ジョルジュが、アンタ達になんかしたっての?」

<ヽ`∀´>「あの悪魔は、恐ろしいニダ・・・・この中には病院送りになったやつだっているニダ。 
       ウリだって、その内の一人・・・・・・」

ニダーは治療費の領収書を突き出した。
脅しのつもりなのかは知らないが、その行為にはまるで意味がない。



ξ゚听)ξ「なるほど・・・・つまり、喧嘩に負けて仕返しをするつもりなんだ」

<ヽ`∀´>「仕返し、なんかじゃ済まないニダ。
      これは、ウリたちの怨念の篭った復讐なんだニダ」

ξ゚听)ξ「・・・・どうでもいいけど、ジョルジュは滅多に自分から喧嘩は売らないよ?
      どうせ、調子に乗って、アンタ達から、吹っ掛けてボコボコにされたんでしょ?」

<;`∀´>「う、うるさいニダ!
       あんな目つきで歩いているのは、喧嘩を売っているのと同じだニダ!」

ちなみに、ジョルジュは普段からの目つきも悪い。
ドクオだって、未だに10秒間以上、彼の瞳を見続けることが出来ないのだから。


ξ゚听)ξ「情けなさすぎ・・・・・逆恨みもいいところじゃない。
     しかも、人質をとって脅しをかけるようにって・・・・・何年前の展開よ」

<;`∀´>「ま、まともにやって勝てるようなやつじゃないんだニダ!」

既に、負けは認めているようである。



ξ゚听)ξ「男なら、タイマン素手喧嘩でやってナンボでしょうが。   
      なのに武装で固めて、複数で取り囲むように・・・・・それで勝って嬉しい?」
  
<ヽ`∀´>「うん」

ξ;゚听)ξ「え?あ、そ、そう・・・・・なら、しょうがないか」

説教でなんとかなるかと思ったツンが、甘かったようだ。
ニダーの根底には、卑怯と自己愛の固まったものが、築かれているのだから。


<ヽ`∀´>「既に、ジョルジュの携帯には、お前の携帯から連絡済みニダ。
      そろそろ、この場所に現れるはずニダ」

ξ;゚听)ξ「そ、そんな・・・・・私の携帯に勝手に触っただと!?
      余計な物を見たりはしていないだろうな!?」

<;`∀´>「だからジョルジュ・・・・・・まぁ、見てないニダ」

ξ゚听)ξ「良かったー、それに、データの方にはロックかけてたっけ、びっくり」

ここまで能天気なのは稀であろう。



ξ゚听)ξ「てかさ、なんで私なのよ。
      そりゃ、関係ないとは言わないけど」

<ヽ`∀´>「なんでって、それはお前がジョルジュの女だからに決まってるニダ。
      これ以上ないってくらいの人質だと、思ってるニダ?」

ξ゚听)ξ「・・・・・あ・・・・・そっか」

男達は勘違いしていた。
ツンとジョルジュに、そういった関係は一切無い。

しかし、違うと言えば人質としての価値が薄れてしまう。
それはつまり、人質として確保されている安全すら失ってしまうことになるのだ。
傷物にはなりたくないので、ここは同意することで話を進める。


<ヽ`∀´>「愛する女を守るため、無抵抗で殴られるジョルジュ。
       ホルホルホル、考えてただけで涎ドバドバだニダ」

ξ;゚听)ξ「そ、それは良かったですねー」


ここで問題になるのは、果たしてジョルジュが来るのかどうかである。
それに来たところで、ツンを助けるとなれば、無抵抗で殴られなければならない。

もし、人質が上手く助け出したとしても、この人数である。
いくらジョルジュであろうと、無事では済まされない。
それどころか、返り討ちに遭う可能性のほうが、むしろ高いだろう。


ξ゚听)ξ「・・・・・・思ったより、やばいかも」

隣で呑気に鼻歌を歌うニダーに対して、ツンは絶望の欠片を感じ始めた。
この場を切り抜けるには、どうしても、何らかの犠牲を伴わなければならない。

夢を見てもいいというなら、正義のヒーローを望む。
だが、思っている以上に冷静な頭は、そんな事は起こらないと分かりきっている。

パシリを作ろうとしたバチが当たった―――







そう考えた時だった。




『そこまでだ!!』




颯爽と現れた男は、堂々と言い放つ。
開かれた、入り口から送られる逆光を浴びて、まるで輝いているかのように。






『天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ!』

それはジョルジュではなかった。
声で分かる、違いだけではなく、それが本当は誰なのかさえも。

『俺の右手が真っ赤に燃える。悪を倒せと轟き叫ぶ!』

まるで、どこかのヒーローを気取るかのように、男は叫ぶ。
同じような言葉を繰り返しているのは、格好よさ重視にして、失敗した結果なのだろう。


『あるときは普通の高校生。
 あるときは引かれるほどのキモオタ。
 しかし、しかし、その実態は・・・・・・!!』

太陽の光に慣れたのか、少しずつ正体が明らかになっていく。
そう、そこにいたのは。


('A`)「お助け仮面ドクオ、見★参!!」

とある生徒会長仕込みの、荒ぶる鷹のポーズをとった、ドクオであった。



ξ;゚听)ξ「・・・・・・ええー」


('A`)「フゥハハハーハァー!!この悪党共が!!
    妄想の中では、少林寺拳法の使い手の俺が、直々に相手してやるぜ!!」

ドクオは、意気揚々と一歩踏み出す。
ニダー達は、溢れる闘士に、少しだけ怖気つく。

しかし、ドクオは情けなくも躓き、転んだ。
それも顔面から思い切り倒れ、ピクリとも動かなくなった。


<ヽ`∀´>「な、なんなんだ・・・・・コイツ・・・・・・」

( ^ω^)「まったくですお」

<ヽ`∀´>「やれやれ、ジョルジュは結局こn・・・・・・」



<;`∀´>「って、お前誰ニダぁああああああああああああああ!!」

何故か、内藤が男達の集団に溶け込んでいた。
彼らが真相に気付くときには、全てが手遅れである。



( ゚∀゚)「ドクオちゃーん、お疲れーっ!」

( ゚д゚ )「後は、我々に任せておくといい」

川 ゚ -゚)「内藤からの呼び出しに歓喜してみれば・・・・・。
      か弱い女子である私に、喧嘩をしろというのは酷な話だな」


(;^ω^)「ごめんだお、人数が足りなかったんだお。  
       それに喧嘩が強そうな人っていったら、クーかなって・・・・・・」

川 ゚ -゚)「いやいや、どんな内容だろうと君に頼りにされるのは嬉しいさ。
     この身果てようと、全力で悪をぶちのめそうぞ」

( ゚∀゚)「いちゃついてる場合か・・・・・・」

頬を赤らめ照れるクーと、否定しながらも少しだけ嬉しそうな内藤と。

ジョルジュ、ミルナ、クーの三人はたった3人なのに頼もしく佇んでいる。
何故だか場違いな集団が、ドクオを蹴飛ばしながら参上していたのだ。



<;`∀´>「おま、一人で来いとは確かに書いては無かったけど!
       こっちには人質が・・・・・・」


<;`∀´>「いねええええええええええええええええ!!」

ツンがいた場所には、切り刻まれた縄だけが残されていた。

それは、ドクオが現れた時のことである。
全員が彼に注目している最中、裏口から進入した内藤が、ツンを救い出していたのだ。
誰も気付かなかったのは、奇跡か、それともニダー側の男達があまりにも無能だったと言うべきか。


ξ゚听)ξ「さて・・・・・よくも可憐な乙女の肌を傷つけてくれたわね。
      シルクの布で縛るくらいの待遇が欲しかったものよ」

( ^ω^)(無茶言うなお)


( ゚∀゚)「さてと・・・・・お仕置きタイムだよな?」

ポキポキと、拳を鳴らす生徒会コンビwithジョルジュ。
ちなみに、ドクオは今現在、ツンの椅子と化している。



<;`∀´>「く、くそ、だがこっちの方が数は圧倒的に上ニダ!
      たかだか5人そこらの奴ら・・・・・・やっちまうニダぁああああ!!」

ニダーの指揮で、一斉に男達が襲い来る。
だというのに、内藤達は、仕事の合間の一服のようにリラックスしていた。


( ^ω^)「怪我は、させちゃダメだお?」

川 ゚ -゚)「ううむ・・・・・この場合は少し難しいと思うのだが」

( ゚∀゚)「大丈夫、大丈夫、骨なんて簡単にくっつくからさ」


( ゚д゚ )「神よ、暴力を振るうことを今、一時だけ許してください。
     これは正義を貫く為には、どうしても必要なことなのです」

ξ゚听)ξ「服が汚れたんだけど、弁償してもらえるよね?」

酷い有様である。
目と鼻の先には、男達が迫ってきているというのに。


( ゚∀゚)「ブーンとやって以来だなぁ、喧嘩なんて久しぶり」

しかし、ジョルジュはそんな軽口を叩きながら、真っ先に来た男に拳を振るう。
そんなたった一発の裏拳で、先頭にいた男は吹き飛び、頭をぶつけ、地面に伏せた。
びくびくと痙攣はしているが、立ち上がってくる気配は無い。


( ゚д゚ )「ふむ、お前も少しは成長したものだな」

ミルナは足技中心である。
ローキックにで動きを止めることから入り、閉めは雷鳴の如く放たれたハイキック一閃。
当然、その蹴りを受けたものは、周囲の者を巻き込むような形で、意識を奪われる他無かった。


川 ゚ -゚)「喧嘩は良くないぞ、これはお仕置きだからしょうがないのだが」

クーの存在は、それだけで反則である。
男達の中に、女子に迷わず拳を震えるような外道は、ニダー以外にはいなかったのだから。

しかし、彼女はそんな迷いを浮かべる者の喉元に、遠慮なく手刀を放つわ、金的を打つわ。
どこで習ったのかは知らない。だが的確に急所を狙っていることだけは確かだった。


次々と倒されていく男達。彼らは皆一同に
『復讐なんて考えるんじゃなかった』『アイツ等は化け物だ』
と遺言を残してから、意識を失っていくのだ。


そんな地獄絵図を前に、首謀者であるニダーは。


<ヽ;∀;>「ちくしょおおおおおおおおおおおお!!
       ウリは、ウリは、負け犬なんかじゃないニダぁあああああああああ!!」


男らしく特攻した。
結果は、言うまでもないだろう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・

しばらくした後、工場には屍の山が築かれていた。
その中には、何故か、ドクオも勘定に入れられていた。

ξ゚听)ξ「助かった、ありがとさん」

( ゚∀゚)「・・・・・いや、すまん。これは俺の招いた事態だよな。
      俺が、長い間、ふらふらしてたから・・・・・・」


ξ゚听)ξ「いいって、今のジョルジュは悪くないんだし。   
    それな、悪いのは、全部ここにいる奴等ってことになるでしょ?」

( ゚∀゚)「いや、でも・・・・・そう、だな」

納得しきれないものはあるが、ジョルジュはツンの好意に甘える事にした。
彼女は、満面の笑みを浮かべてそれに応える。

ちなみに、ミルナはドクオの介抱中、
内藤はクーを自宅まで送り届けている最中である。



ξ゚听)ξ「いやさぁ、一時はどうなることかと思ったけどね。
   ホント、皆、無事で済んで良かったよ」

( ゚∀゚)「全くだな、ドクオがいなかったらどうなってたことか」

ξ゚听)ξ「ドクオ・・・・・・?」

ツンが、疑問に思うのは当然のことである。
このメンバーの中で、最も役に立っていないのがドクオだというのは、火を見るよりも明らかだったのだから。


( ゚∀゚)「いや、一見、何しにきたって感じに思えるけどさ。
     メールが来て、慌てるだけの俺たちに、指示をくれたのはアイツだったんだ。
     生徒会長を呼ぶように提案したのも、ドクオだしな」

更に、と続け。

( ゚∀゚)「自分が囮になるから、その内にツンを救いだせとも言った。
     真っ先に狙われそうな立場なのにな、それを進んでやりやがったんだ。
     なかなか、骨のあるやつだと思わないか?」


ξ゚听)ξ「へぇ・・・・・ドクオがねぇ」

彼は今、ミルナの前で、気絶している状態だ。
幸せそうな顔を浮かべているのは、二次元の夢でも見ているからだろう。


最低だという考えは変わらない。
カッコイイとは絶対に思えない。
間違いなく、人間の屑だという考えも続行だ。


だが、少しだけ、小さじ一杯分くらいは見直してやってもいい。


少し頬を緩ませ、そんな風に考えるツンであった。



・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・

ニダーが起こした事件から、2週間が過ぎた頃だろうか。
ドクオの家に、内藤とジョルジュとミルナの姿、つまりいつものメンバーが集結していた。


( ゚∀゚)「なぁ、あれからツンと何回かデートとかしてるんだろ?
      お前等、どういうとこに遊びに行ってるんだ?」

('A`)「デートじゃねぇよ、ツンが勝手に付いて来てるだけ。
    アニメイト、秋葉、あとは大体俺の家でダラダラーっと」

(*^ω^)(『さん』付けじゃなくなってる・・・・・進展してるじゃないかお)

ニヤニヤと笑みを浮かべる内藤。
ドクオは相変わらず、ゲームに熱中しているので気付いていない。


( ゚д゚ )「ツンは、不満たらたらなんだろうな・・・・・・」

('A`)「どうなんだろう」



( ゚∀゚)「今度、俺、話聞いてみてもいいか?  
      ツン視点から見ると、それはそれで面白そうだ」

(*^ω^)「一緒にいるだけで幸せ、なんて惚気られたりして、キャアアアー!!」

(*゚д゚ )「は、破廉恥である!!」

それぞれの妄想を膨らませる3人の男。
対して、ドクオは面倒くさそうに口を開いた。


('A`)「今日、ツン来るぞ・・・・ってか、もう来てる」

3人が疑問を浮かべる間もなく、唐突に窓が開かれた。
入り口まで、2階の窓からになっているところを見ると、気に入ったのだろうか。
そして、侵入者―――ツンは入るなり、こう言ったのだ。



ξ*゚听)ξ「ドクオ、これ、ひ○らしの漫画版の新作!!
      今日、発売って言ってたから、早速買って来た!
      原作は終わったけど、やっぱり永久に不滅だよね〜〜」


(;^ω^)「・・・・・・・・・・・」

(:゚д゚ )「・・・・・・・・・・・」

(;゚∀゚)「・・・・・・・・・・・」


ξ;゚听)ξ「・・・・・え?私、何か白けること言った?」


('∀`) ニヤリ




朱に交われば赤くなる、とはよく言ったもので。

もしかしたら、ドクオの方が一枚上手だったのかもしれない。


【第23話:おしまい】

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