今日は、人生で1番輝く日のようです
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381 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 21:20:11.30 ID:oS87I5yW0
今日は、人生で1番輝く日のようです
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383 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 21:21:44.40 ID:oS87I5yW0
- はいカメラ回してー
撮影いきまーす
ξ゚听)ξ「ほっとHOTらうんじ!
このコーナーでは、地域の心温まるニュースをお届けします!」
ξ゚听)ξ「…というわけで今日は、ラウンジ第三小学校に来ておりまーす」
「「「「わーー!!!」」」」
⊂ニニ( ^ω^)ニニニ⊃「うわ゛ァァアアアアアーーーーー!!!!!!!!!!」
( ^ω^)「う゛あわああ゛ぁああ゛っぁああああっあ゛あ゛あ゛!!!!」
ξ゚听)ξ「元気だねーキミ! 何年生かな?」
( ^ω^)「6年生だお!」
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384 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 21:23:51.97 ID:oS87I5yW0
- ξ゚听)ξ「ありがとう! 体育館に集まってるのは、みんな6年生かな?」
( ^ω^)「そうだお!」
( ´_ゝ`)「私が先生です」
ξ゚听)ξ「先生! 子供たちは何の練習をしているんですか?」
( ´_ゝ`)「劇ですね。今週末に学芸会があるんです」
( ^ω^)v「そのためにれんしゅーしてんだお! ぴーすぴーす!!」
ξ゚听)ξ「なぁるほど! キミは何の役かな?」
( ^ω^)「通行人A」
ξ゚听)ξ「…」
( ´_ゝ`)「…」
ξ;゚听)ξ「れ、練習がんばってねー! それでは!」
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387 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 21:32:01.52 ID:oS87I5yW0
- ※
ξ゚听)ξ「校長のモナーさんです」
( ´∀`)「もなー」
ξ゚听)ξ「この学校には、毎月不思議なお手紙が届いているという情報を聞いたのですが…」
( ´∀`)「こちらをご覧下さいモナー」
ドサッ
( ´∀`)「”くせ字おじさん”が今まで本校にくれた手紙の一部ですモナ」
ξ゚听)ξ「こ、これで一部なんですかー!?」
( ´∀`)「はいモナ、大小合わせたら、あともうちょっとありますモナ」
ξ;゚听)ξ「うわぁ…」
( ´∀`)「お手に取ってどうぞご自由にお読みください。モナ」
ξ゚听)ξ「それでは手前にあったこの茶色い便箋を…」
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389 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 21:40:31.32 ID:oS87I5yW0
- 第三小学校のみなさんへ。
月日の流れは早く、もう九月の下旬に近付いております。
今月の頭にあった運動会はどうでしたか?
大事なのは勝ち負けではなく、その行事を笑顔で楽しめたかどうかだと、おじさんは思います。
おじさんもコッソリ影からみなさんを応援したかったのですが、残念。
今年も仕事が入って見に行けませんでした。
最近冷えてきました。昼間は暖かい日もあるのですが、夜は非常に寒いです。
風邪も流行っているらしいので、どうかお気をつけて。
追伸
今回は2冊の絵本を一緒に送らせて頂きました。
「まんじゅうぶーん」と「カカシのどくお」の2冊です。是非読んで見てください。
くせ字のおじさんより
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391 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 21:47:40.58 ID:oS87I5yW0
- ξ゚听)ξ「ぜ…ひ…よんでみて… ください」
ξ゚听)ξ「クセ字のおじさんより」
ξ゚听)ξ「ぷはー! やっと読み終えました」
ξ゚听)ξ「この方… 凄い達筆ですよね」
( ´∀`)「アハハハ。だから子供たちの間じゃ”クセ字おじさん”と呼ばれているのですモナ」
ξ゚听)ξ「なぁるほど、この方はどこのお住みで?」
( ´∀`)「差出し人の欄を見てみれば分かりますモナ」
ξ゚听)ξ「いや、でも書いてないですよ」
( ´∀`)「そうなんですモナ」
ξ゚听)ξ「え?」
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393 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 21:49:10.53 ID:oS87I5yW0
- ξ゚听)ξ「差出し人不明で、住所は分からないんですか?」
( ´∀`)「そうなんですモナ」
( ´∀`)「ハガキや封筒には、宛先しか書いていないんですモナ」
ξ゚听)ξ「謎ですね…」
( ´∀`)「はいモナ。現在6年生の子供たちが入学した年から」
( ´∀`)「月に必ず2通は送ってきてくれるのですモナ」
( ´∀`)「たまに、児童書なども一緒に…」
ξ゚听)ξ「学校の子供たちを気遣う”クセ字おじさん”とは一体誰なのでしょうか?」
( ´∀`)「さっぱり見当がつきませんモナ。さしずめ卒業生の父兄の方なんでしょうかねえ」
ξ゚听)ξ「なるほど」
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395 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 21:52:13.59 ID:oS87I5yW0
- ※
ξ゚听)ξ「図書館です! こちらをご覧ください」
ξ゚听)ξ「クセ字おじさんの蔵書による、”おじさん文庫”のコーナーです」
ξ゚听)ξ「…すごいですねー」
ξ゚听)ξ「そこのぼくー、おじさんの本は、面白い?」
( ゚∀゚)「マジおもしれえ!!!!!!!」
ξ゚听)ξ「クセ字おじさんは好き?」
( ゚∀゚)「だいすき!!!!」
どわっ
ξ;゚听)ξ「あらら! 児童たちが一斉に押し寄せてきました」
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397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 21:53:35.06 ID:oS87I5yW0
- 「ぼくもすきー!」
「あたちもー!」
「あのねー! きょうのきゅうしょくねー! デザートねー!」
「おじさんがりんごおくってきてくれたのー!!」
ガヤガヤ
ξ゚听)ξ「と、いうわけでおじさんは児童から大人気のようですね!」
ξ゚听)ξ「ねえねえ、おじさんの正体、気になる?」
( ゚∀゚)「…えっ?」
( ゚∀゚)「あー、うーん…? べつに」
ξ゚听)ξ(あら意外だわ)
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401 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 21:57:38.67 ID:oS87I5yW0
- ( ´∀`)「子供たちはおじさんに不思議や疑念は、何も求めていないのですモナ」
ξ゚听)ξ「なるほど…」
( ´∀`)「ただ」
ξ゚听)ξ「ただ?」
( ´∀`)「色々なものを贈ってくれたり、丁寧に手紙をくれたりで」
( ´∀`)「児童たちはおじさんに一言”ありがとう”と伝えたくてたまらないのですモナ!」
ξ゚听)ξ「でも、伝えたくても、伝えようがないですよね」
(;´∀`)「そうなのですモナ。こんなにこの学校に尽くして頂いているのに」
(;´∀`)「どこの誰だかも分からなければ… モナッ」
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404 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 21:58:52.79 ID:oS87I5yW0
- ※
( ´_ゝ`)「よーし、みんな今日の練習はこれまでー」
「あー! またカメラがきたよー」
( ´_ゝ`)「そのまま! そのままステージにいるんだ」
(´・ω・`) 「ああ〜 朝の会で言ってたアレをやるんだね」
(*゚ー゚)「おじさん… テレビ見てくれてるかなあ」
( ^ω^)「大丈夫だお!」
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406 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:00:04.70 ID:oS87I5yW0
- (´・ω・`) 「クセ字のおじさぁああーーーーん!!!!!」
「「「「「学芸会に、きてねーーーー!!!!!」」」」
⊂( ^ω^)⊃「だおーーーーー!!!!!!」
===============================
「はいオッケイ!」
ξ゚听)ξ「収録は以上ですー。有難うございました!」
( ´_ゝ`)「いえいえ。テレビの向こう側にいるおじさんに届けば幸いです」
( ^ω^)「本番はタマシイのえんぎをするお!!!」
( ^ω^)「台詞1個だけだけど」
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408 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:02:50.48 ID:oS87I5yW0
- *
*
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| \
| ('A`) クセ字おじさん… 不思議な人ですねー
/ ̄ノ( ヘヘ ̄ ̄ 当日には、おじさんが顔を見せてくれるといいですね!/
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409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:06:13.91 ID:oS87I5yW0
- ('A`)「なぁにがおじさんだいすきでぇ」
('A`)「行ったところで俺がおじさんだとは、誰も信じてくれないだろうな」
('A`)「まぁ別にいいんだけどよ」
('∀`)「見てくれこの醜い顔!」
('A`)「心ももちろん醜いぜ」
('A`)「手紙なんて… 」
('A`)「俺はただ… ただ…」
('A`)「ただの自己満足なんだっ!! こんなもん!!」
( A )「…」
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412 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:08:01.98 ID:oS87I5yW0
- 彼は醜かった。
死相を浮かべているような暗い頬の色。
突き出た前歯。
だらしなく垂れ下がった眉尻。
彼は恵まれなかった。
その外見によって周囲は彼を避け、
彼もまた周囲との関わりを自然に拒んでいった。
心も狭くなっていく。よくあるダメな人間。
同じような毎日が、
毎日毎日続いた。
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413 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:09:14.49 ID:oS87I5yW0
- 働きに出て数年が経ったときだった。
彼の周囲は皆、家庭というものを持っていた。
彼には無縁の言葉。
しかし、一つ奇なる事柄があった。
彼は子供が好きだったのである。
人は自分の持っていないモノを持っている存在に憧れる。
子供たちは自分が持っていない全てを持っていた。
輝く将来、綺麗な瞳、真っ白な心。
とある日、下校する子供たちを見て、彼は気紛れにふと思いついた。
('A`)(このままただ死んでいくのなら)
('A`)(―――うん)
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415 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:12:28.01 ID:oS87I5yW0
- 最初は本当に気紛れのつもりだった。
だがしかし段々とクセになっていった。
('A`)「来月はどんな絵本送ってやろうかな…」
良いことをするのも、悪くないと思った。
('A`)「仕事場でもらった果物、子供たちに食わしてやろうか」
('ー`)「ふふっ」
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418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:15:58.40 ID:oS87I5yW0
- *
*
( ´∀`)「さてさて、学芸会が始まりましたモナ」
( ´∀`)「みんながどんな素敵な踊りや劇を見せてくれるのか非常に楽しみですモナ」
( ´∀`)「ここで一つクイズです」
( ´∀`)「先生や、君たちの親じゃなくて、この学芸会を楽しみにしている人がいます」
( ´∀`)「さて誰モナ?」
「えー? だれー?」
「わかんねー」
( ´∀`)「ふふ」
「わかった!! 手紙をくれるおじさんだ!!!」
-
420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:19:05.46 ID:RATjFnFy0
- ( ´∀`)「当たりモナ!」
( ´∀`)「昨日、手紙が届いたのですモナ」
( ´∀`)「ちょっと読んでみるモナ」
小学校のみなさんへ
先日のテレビ見ました。皆さんがそんなに私を好いてくれるとは、全然知らなかったです。
手紙を書いている今、非常に嬉しい気持ちでいっぱいです。
今度の土曜日は空いています。間に合うかわかりませんが、行ってみようと思います。
おじさんより
( ^ω^)「やったお!」
(*゚ー゚)「見てくれたんだね!」
(´・ω・`) 「うん!」
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423 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:21:42.22 ID:RATjFnFy0
- ※
('A`)「行くか…」
('A`)「それとも…」
('A`)「仕事はない…」
('A`)「でも…」
「4年生の劇 ”ももたろお”でした」
( ^ω^)「さあー、迫ってきたお!」
(*゚ー゚)「ねえ、おじさんいるみたい?」
(´・ω・`) 「わからないよ〜 だって顔も何も知らないんだもん」
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424 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:24:41.39 ID:RATjFnFy0
- ( ^ω^)「あのハンサムな人だお!」
(*゚ー゚)「えっ、だれだれ?」
( ・∀・)
(´・ω・`) 「人良さそうだし、そうかもしんない!」
⊂(・∀・)⊃「パパ―」 (・∀・ )「おう、頑張ったな」
(*゚ー゚)「違うじゃない!」
(;^ω^)「不覚・・・」
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426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:26:37.02 ID:RATjFnFy0
- ('A`)「――よし、行こう」
がらっ
ξ^ω^ξ「わっ!」
('A`)「あ… すいません」
ξ^ω^ξ「キャー 目が合っちゃった。今日の運勢天中殺だわっ・・・ げろげろ☆」
(#'A`)「…」
('A`)「いや、そんなことより、急ごう」
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429 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:31:13.16 ID:RATjFnFy0
- 「15人の少年少女たちは、無人島に流れついたのでした」
(´・ω・`) 「もう無理だ!!! 僕たちみんな死ぬんだーー」
(*゚ー゚)「あきらめちゃダメよ! まずは食べ物を探しましょ」
(´・ω・`) (やばー。もう劇始まっちゃった)
(´・ω・`) 「嫌だね! 僕はここにいるからね!」
( ^ω^)(僕の出番はまだかお)
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431 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:35:13.12 ID:RATjFnFy0
- 人で埋まった入り口をすり抜けるように、
醜い男は体育館に入った。
息を切らし、汗で髪がじっとりと額につき、何年も着込んでいる古いジャンパー姿
人々の何人かは、彼をいぶかしげな視線で見つめた。
ステージの上では、劇が続いていた。
( ^ω^)「それは 木 です!!」
スタスタ・・・
( ^ω^)(ふっ、決まったお)
川;ω;)「ブーンちゅわあああん!! 名演技よぉん!!」
('A`)(よかった・・ 今が最中か)
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434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:38:21.96 ID:RATjFnFy0
- (´・ω・`) 「ブリアンの馬鹿ヤローーーー!!!」
( ゚∀゚) 「なにをーーー!!」
('A`)(・・・・・・・)
彼は一度だけ学校の周辺に赴いたときがある。
手紙を送り始めた年だ。
ちょうど1年生が親と帰っていくところだった。
あのときのチビたちが、こんなにこんなに大きく成長したなんて。
俺は何一つ変化していないのに。
彼の心に熱いものがこみあげた。
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436 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:42:37.21 ID:RATjFnFy0
- ――劇は終わりを迎える。
( ゚∀゚)「ぼくたちの!」
(´・ω・`) 「未来に向かって!」
「みんなで生き抜いていこう―――!!!!」
華々しく拍手が巻き起こり、
ステージに子供たちが集まってくる。
役を演じた子供だけではない。
合唱隊や、楽器隊や、ナレーター。
ちょうどひと学年分くらいが集まったようだった。
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437 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:44:35.40 ID:RATjFnFy0
- ('A`)「…? 何が始まるんだ」
主役を演じていた子供が、一歩前に出て、
ステージを見まわして、叫んだ。
(´・ω・`) 「せーーーの!!!」
『おじさん!!!!!!!!!! ありがとう!!!!!!!!!!!!!!』
体育館にいた全ての子供が、
その言葉を口にした。 建物が揺れるほどに、その声は轟く。
そして、彼の心に突き刺さった。
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442 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/05(水) 22:49:40.28 ID:RATjFnFy0
- ( A )「あ、あ…」
パイプ椅子に座った父兄の面々が、皆にこやかな表情をする中、
入り口付近に突っ立っていた一人の男が、嗚咽を漏らす。
特大の涙の粒を落としながら。
口を大きく開き、鼻水も垂れ流し、青白かった頬を真っ赤に紅潮させて。
しかし、不思議とその顔はいつもの彼のように醜くは見えなかった。
―――――ステージの上の子供たちから見ても分かるくらいに、輝いていた
(おしまい)
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446 : ◆ps3CKPkBXI
:2007/12/05(水) 22:52:28.35 ID:RATjFnFy0
- お目汚しすいませんでした
スーパーモンキーモンキータイムになりながらもなんとか最後まで投下できました。
引き続き合作をお楽しみください。
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