('A`)は地図に無い島へ行くようです
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739 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 11:23:44.61 ID:uK3GRbrIO
ξ゚听)ξ「……あら、懐かしいわね」
少女が部屋を掃除していると、一枚の色褪せた写真が出てきた。
ξ゚听)ξ「……」
セピア色のフィルム上に焼き付かれた、3人の笑顔。
少女はそれを見て、回想を始める。
――それは、今よりちょっとだけ昔の、とある島での物語――
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740 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 11:25:25.56 ID:uK3GRbrIO
〜 〜 〜 〜 〜
( ^ω^)「おいすー、ツン。今日もいい天気だお」
我が家に、1人のぽっちゃりした男の子が入ってきた。
ξ゚听)ξ「あら、ブーンじゃない。おいすー」
見慣れたブーンの笑顔を見て、自分も自然と顔が綻ぶ。
彼は同じ村で共に月日を過ごしてきた、いわゆる幼なじみである。
( ^ω^)「ツン、今日も可愛いんだお」
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741 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 11:26:47.55 ID:uK3GRbrIO
ξ////)ξ「ば、馬鹿! そんな事言ったって、何も出ないんだからね!!」
ζ(゚ー゚*ζ「ハイハイごちそーさま」
私がブーンと話していると、家の奥から可愛い女の子が出てきた。
――そう、私がブーンと同じくらいに愛する、それこそ自分の「女神」にすら思えてくる程に、可愛いがってきた妹――
( ^ω^)「デレ、おいすー」
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744 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 11:29:25.02 ID:uK3GRbrIO
ζ(゚ー゚*ζ「おいすー。ブーンおにぃちゃん、相変わらずだね」
デレがブーンを見て無邪気に笑う。
( ^ω^)「おっおっ、ツンはいつだって可愛いんだお。だから僕はツンが好きなんだお」
ξ////)ξ「ちょ、やめてよ、デレのいる前で!」
彼とこういった関係になったのは、いつからだろうか。
小さい頃から一緒にいて、気がつけば互いに惹かれ合っていた。
ブーンは私が綺麗なのと優しいところが好きだと言ってくれ、普段素直になれない私は彼のそういう正直な性格に惹かれていっていた。
――まぁ、幼なじみのカップルなんて、いつの間にかくっついていたなんて話は度々あるようだし――
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746 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 11:31:46.72 ID:uK3GRbrIO
ζ(゚ー゚*ζ「おねぇちゃんも、ちゃんとブーンおにぃちゃんに好きって言ってあげればいいのに」
(*^ω^)「そうだお! 僕ばっかツンに言っていて、ツンは自分の気持ちを少しも伝えてくれないお!」
ξ;゚听)ξ「う、うるさい! 別にいいでしょ、今更私の気持ちなんか、言うまでもないモノであって……」
ζ(゚ー゚*ζ「いいえ、それはケフィアです」
( ^ω^)「right、その通り」
ξ゚听)ξ「は?」
( ^ω^)「いや、時代の流れに乗ったんだお」
ζ(゚ー゚*ζ「おねぇちゃん知らないんだ〜? 全く、いっつも鍛冶場に籠もってばかりいるから流行りも知らないんだよ〜」
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748 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 11:33:08.70 ID:uK3GRbrIO
出会う度に私へのアプローチをし続けるブーン。
彼を見て、まんざらではないものの、どこか踏み出せなくてはぐらかす自分。
そんな私をからかいながら、無邪気に笑う妹のデレ。
そうやって、昔はよく3人で仲良く騒いだものだった。
そして、ある日の事。
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751 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 11:35:41.20 ID:uK3GRbrIO
ζ(゚ー゚*ζ「……とうとう行くんだね」
( ^ω^)「……お、みんなとはしばらくお別れだけど、元気でやってくれお」
14歳になったブーンは、家の家計を助ける為、遠くの街へ傭兵に行く事になった。
もともと、背も高いし体格もいい。
考えるより先に体が動くタイプの彼には、ピッタリの仕事だ。
ξ゚听)ξ「……」
しかし、頭ではわかっていても、どこか素直に彼の出征を歓迎できていない自分がいた。
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752 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 11:38:07.29 ID:uK3GRbrIO
( ^ω^)「……じゃ、行ってくるお。ツン、僕が次に帰ってくるまで元気にしてるんだお!」
彼はそう言うと、振り返りもせずに行ってしまった。
ξ )ξ「……」
ζ(゚ー゚*ζ「……おねぇちゃん……」
私は彼の見送りの際、何も話しかけなかった。
最初の方は、そんな私の様子に戸惑いながら、ブーンとデレが色々と気遣ってくれていた。
しかし、それでも何も喋らないでうつむいている私を見て、デレは何も言わなくなり、ブーンは一言だけ私に声をかけて去っていったのだった。
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753 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 11:39:21.41 ID:uK3GRbrIO
ブーンがいなくなってから、私の側にはずっとデレがいた。
ζ(゚ー゚*ζ「おねぇちゃん、今日の夕飯、おねぇちゃんの好きなオムライスだからね!」
ζ(゚ー゚*ζ「おねぇちゃん、手芸の本見ながらセーター作ったよ! どうかな?」
ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ見て見て! 窓のところにカタツムリがいるよ!」
ブーンがいない生活に落ち込んでいた私を、妹は側でずっと支えてくれていた。
ブーンの旅立ちの日に何も声をかけられなかったような、薄情な自分の為に、妹は励ましてくれた。
気が利いて、利口で、可愛いい良くできた妹。
そんな妹は私を救ってくれた「女神」。
私の誇りであった。
それなのに。
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758 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 12:14:27.92 ID:uK3GRbrIO
ある嵐の夜だった。
その日は雨が酷い事もあり、早めに仕事を終えた私は家に帰ると、妹と共に我が家に風対策の補強を施すと、はたして疲れていた私は早めに寝床に着いていた。
――あの時、隣りの部屋に響いた妹の悲鳴に気づけていれば――
私の枕元に、何者かが近づいていた。
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760 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 12:18:15.66 ID:uK3GRbrIO
妙な気配がして目を覚ますと、自分のベッドのすぐ側に、見知らぬ男が立っていた。
ξ;゚听)ξ「……!? だっ、誰!?」
( Д )「チッ」
私が気がついたのを見て、男が舌打ちをする。
……そして、私は男が何かを抱えているのに気がついた。
ξ;゚听)ξ「で、デレ!?」
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761 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 12:20:28.84 ID:uK3GRbrIO
( Д )「……面倒な事になったなぁオイ。本当はヤるつもりだったんだがなぁ……」
ξ;゚听)ξ「ちょ、誰だか知らないけど、デレを離しなさいよ!!
それに、ヤるって何をよ!?」
私がそう言ったのを見て、男がニヤリと笑った。
( Д )「……こういうこった」
男はそう言うと、私が見たことの無い、鉄で出来た小さな筒のようなものを私に向けと、指先の金具を引いた。
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763 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 12:23:28.97 ID:uK3GRbrIO
乾いた音と共に。
私の頬を、何かが高速で切り裂いていった。
ξ;゚听)ξ「……!!」
鍛冶屋の娘の私が見たことの無いその鉄の塊、後に聞いた話では、彼らはそれを「銃」と呼ぶらしいようだった。
そんな無知な私でも、その場でそれが殺傷能力のある武器だというのは十二分に察知できた。
ξ;゚听)ξ「……何が目的なの?」
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764 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 12:25:57.70 ID:uK3GRbrIO
( Д )「ほう、話しが解る奴で良かったわ。
コイツ、お前の妹さん? お前と違って、無駄な抵抗をしてきてな、五月蝿いから眠らせて貰ったよ」
ξ;゚听)ξ「御託はいいわよ!! サッサと要件を言いなさい!! そしてデレを返して!!」
興奮した私を、その男は鼻で笑った。
( Д )「まぁ、落ち着けよ。
――要は取引だ」
その男は私にその旨を伝えると、デレを連れて去っていった。
翌日、久しぶりに、村にブーンが帰ってきた。
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765 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 12:28:47.96 ID:uK3GRbrIO
(*^ω^)「おっおっ、久しぶりだお! ツン、元気だったかお?」
彼は旅立ちの日のわだかまりなどお構いなしに、私に話しかけてきた。まぁ、そういう人間だ。
ξ゚听)ξ「……まぁね、ほどほどに」
私がボソリと呟くのをよそに、彼は満面の笑みで私の家の中を見渡すと、ポツリと呟いた。
( ^ω^)「……デレはどこにいるのかお?」
私は、嘘をついた。
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768 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 12:32:13.82 ID:uK3GRbrIO
- 〜 〜 〜 〜 〜
手に持ってしばらく眺めていたその写真を、元の引き出しへと戻す。
私が嘘をついたあの日、彼は私に向かってこう言った。
( ^ω^)「――デレは僕が見つけてみせるお!
僕はいつだって、自分の愛するツンやデレ達の笑顔が消えない事を願っているお。
だから、僕からその笑顔を奪っていく奴を僕は許さないんだお!!」
彼なら大丈夫。
私の愛するブーンなら、きっとどんな困難も乗り越えて、私の元へと帰ってきてくれる。
――そんな勝手な期待を彼に寄せて、私はブーンを売った
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769 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 12:35:53.37 ID:uK3GRbrIO
いくら妹を人質に取られたからといっても。
愛する者を取引の為に売った自分の業の深さは、語るまでもない。
現に、約束を果たした今でも、デレは自分の元へ戻って来てはいない。裏切られたのだから。
しかし、やはりどう足掻いても、自分のした事は許される事ではない。
いつか、必ずこの所業を裁かれる時が来るだろう。
しかし、自分のやった事を棚の上に上げてでも、必ず彼女を取り戻す。
偶然か必然か、彼の知らずに裏切ったブーンが、「神の遣い」と共に帰ってきた。
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772 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 12:38:31.76 ID:uK3GRbrIO
笑えるではないか。
神の教えに背き、裁かれるべき私の元へ、神は彼を返しに来てくれた。
神はまだ、私がこの世でやるべき事があると言うのか。
――面白い。
私にまだ生きろと言うならば、やるべき事は言われるまでも無く、だった1つ。
ξ゚听)ξ「……待っててね、デレ」
私は引き出しを静ずかに閉めると、いつもの様に仕事場へと向かっていった。
〜ゲリラ特別編・完〜
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773 : ◆ZB7B4XJvSk
:2007/12/06(木) 12:41:37.45 ID:uK3GRbrIO
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人がいないのを言い事に、新人合作便乗して自分の現行の番外編などという作者オナ垂れ流しに支援くれた方、本当にありがとうございました!
1時間でこさえた文故、はしょってるとこが多々あるのは見逃して下さいまし
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