〜l从・∀・ノ!リ 妹者が夢を届けるようです〜
1 : ◆QGVrMyUvvQ
:2007/12/02(日) 20:41:53.84 ID:KuGLjS1r0
- 今日で早くも3日目となりました今合作!
「願いは叶う」を全員共通のお題に据え、
更に各グループ毎に貰ったお題でもって書かれるいくつもの短編!!
昨日までは「黒猫」グループの物語が紡がれましたが、
今日からはグループチェンジにバトンタッチ、たすきを繋いで勝利の方程式!!
貰ったグループお題は「もう一度言って」
どんな話なのか、語り手の2人にwktkして読んでいこうではありませんか!!
なお、まとめサイトは以下のようになっております!
http://boooonbouquet.web.fc2.com/desire/mokuji.html
http://boonneet.web.fc2.com/gassaku.htm
http://hoku6363.sakura.ne.jp/sinjin-gasaku.html
実はお題にはある秘密があるようでして、何かと言うと
おっとすいません来客です。これにて失r
-
3 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 20:45:35.75 ID:nOMu5+EqO
- 大富豪さん乙!!
『もう一度言って』グループだよー\(^o^)/
-
5 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 20:46:23.79 ID:nOMu5+EqO
真っ白。
地面も、そこに生えているであろう草も。
道路も、屋根も、遠くに見える木々だって。
見渡す限り、白一色。
ふわふわと優しく。
この街を染め上げた雪は、舞い降り続ける。
そんな純白の世界で、生垣に身を隠す人物が二人。
l从;・∀・ノ!リ「よーく、よーくねらうのじゃー……」
(;´_ゝ`)b「OK妹者、任せておけ……」
手袋にニット帽、厚めのコートにマフラー。
防寒具でモコモコな、妹者と兄者だ。
兄者の右手には、真っ白な雪玉が握られている。
-
7 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 20:47:46.09 ID:nOMu5+EqO
(´<_` ミ彡 ´_>`)「兄者ー、妹者ー、どこだー」
そして二人の視線の先には、キョロキョロと辺りを見回す弟者の姿。
(;´_ゝ`)dkdk
l从;・∀・ノ!リdkdk
生垣から顔だけを覗かせ、弟者の動きを観察する。
やはり、雪が積もった日にすることなんか決まっている。
(<_`; )「くそっスネークごっこを始めて1時間か……
流石だな、兄者」
弟者が反対側を向くと同時。
雪玉を握る兄者の右手に、力が漲った。
その長い腕がしなり――
-
10 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 20:49:11.75 ID:nOMu5+EqO
l从>∀<ノ!リ「いまなのじゃ!!」
( ´_ゝ`)「ていっ!!」
(´<_` )「ん?」
ひゅーん
べしゃっ
( <_ )「わぷっ」
-
13 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 20:50:58.47 ID:nOMu5+EqO
l从・∀・ノ!リ「おみごとなのじゃー!!」
( ´_ゝ`)「ふははは!! 弟者め、油断していたな!!
敵地で気を緩めるなんて、貴様はスネーク失格だ!!」
l从>∀<ノ!リ「しっかくなのじゃー!!」
弟者の頭に当たって弾ける、白い雪玉。
きゃっきゃと騒ぐ、兄者と妹者。
(´<_`#)「……OKお前達、調子に乗るなよ」
( *´_ゝ`)「わーい、逃っげろー」
l从*・∀・ノ!リ「なのじゃー」
-
16 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 20:52:28.99 ID:nOMu5+EqO
〜l从・∀・ノ!リ 妹者が夢を届けるようす〜
-
17 :タイトル間違えた……
:2007/12/02(日) 20:54:02.86 ID:nOMu5+EqO
ころころ、ころころ
l从・∀・ノ!リ「うーん、まだまだいけるのじゃ」
ころころ、ころころ
しゃがんで転がし、雪玉を育てる妹者。
自分の頭くらいの大きさの雪玉を、ころころころころ。
ゴロゴロ、ゴロゴロ
(´<_` )「おーい、妹者まだかー」
( *´_ゝ`)「うふふ……幼女が玉転がし……うふふ……」
ゴロゴロ、ゴロゴロ
l从・勍ノ!リ「もーちょっとなのじゃー」
妹者から少し離れた場所で、二人で雪玉を転がす兄者と弟者。
彼等の腰くらいの高さの雪玉を、ゴロゴロゴロゴロ。
-
21 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 20:55:59.84 ID:nOMu5+EqO
l从*・∀・ノ!リ「うむ、これくらいなのじゃ!!」
一回り大きくなった雪玉に満足するように、大きく頷く。
両手でそれを抱えると、腕の中にはずっしりとした重さ。
そのままよたよたと、おぼつかない足取りで兄弟のもとへ。
(´<_` )「おお、妹者大丈夫か?」
l从・∀・ノ!リ「だいじょーぶなのじゃー」
持って来た雪玉を地面に置き、改めてそれを見る。
目の前にあるのは、兄者と弟者の巨大な雪玉。
-
23 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 20:57:46.83 ID:nOMu5+EqO
l从・∀・ノ!リ「おおー!! でっかいのじゃ―!!
おっきい兄者もちっちゃい兄者もさすがなのじゃー!!」
兄者と弟者の胸にも届きそうな雪玉。
まんまるなそれは、自分よりもずっとずっと大きくて。
( ´_ゝ`)「はっはっは。当たり前だよな、弟者?」
(´<_` )「その通りだな、兄者。やっぱり……」
ビシィッ
( ´_ゝ`)b「「流石だよな、俺ら」」d(´<_` )
ビシィッ
l从*>∀<ノ!リ「か、かっこいいのじゃー!!!!」
-
26 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 20:59:42.31 ID:nOMu5+EqO
( *´_ゝ`)「そうだろうそうだろう」
(´<_` )「よーし妹者、仕上げだぞー」
そう言って弟者が取り出したのは、みかん2つとにんじん1本。
受け取った妹者は、自分の雪玉にそれをめり込ませる。
まんまるだった雪玉に、黄色い目と赤いお鼻がくっついた。
l从・∀・ノ!リ「できたのじゃ」
(´<_` )「うんうん、綺麗な顔してるじゃないの」
表情を手に入れた妹者の雪玉を、弟者が大きい雪玉の上に乗せる。
最後に下段の雪玉の両脇に枝を刺して、完成。
-
27 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:02:40.86 ID:nOMu5+EqO
l从*・∀・ノ!リ「ゆきだるまさんなのじゃー!!」
( *´_ゝ`)「スゴイぞー!! カッコいいぞー!!」
(´<_` )「立派だな」
出来上がったのは、大きな大きな雪だるま。
威厳たっぷりにドッシリと構えて、今にも動き出しそうだ。
( ´_ゝ`)「ふふふ……なあ弟者、妹者。
こんな立派な雪だるまを作れるとは、やはり……」
l从・∀・ノ!リ「なのじゃー」
(´<_` )「そうだな、兄者。やっぱり……」
( ´_ゝ`)b「「「流石だよな、俺ら」」なのじゃー!!」d(´<_` )
d l从>∀<ノ!リ b
-
28 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:04:55.98 ID:nOMu5+EqO
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
l从>凵λ!リ「くしゅんっ」
ぱちぱち。
暖炉にくべられた薪が弾け、室内に柔らかな光が溢れる。
真っ暗な窓の外を、深々と降り続ける雪が染め直していく。
( ´_ゝ`)「ちょっと昼は遊び過ぎたな」
l从>凵λ!リ「たのしかったのじゃあっくしゅんっ」
(´<_` )「はいティッシュ」
l从>凵λ!リ ちーん
-
32 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:07:01.73 ID:nOMu5+EqO
朝から日が暮れるまで遊んだ3人。
長く遊び過ぎて、妹者は身体が冷えてしまったようだ。
(´<_` )「風邪引かないように、今日はお風呂に入って早く寝なさい。
夜更かしする悪い子にはサンタさん来ないんだぞー?」
l从;・勍ノ!リ「は、はいるのじゃ!! 妹者はいいこなのじゃ!!」
そう、今日はクリスマスイブ。
世界中の子供達がサンタさんを待ち望む日だ。
( *´_ゝ`)「よーし妹者、いっしょに暖まろうねぇ」
l从・∀・ノ!リ「なのじゃー」
(´<_`;)「……いっしょに入るの?」
( ´_ゝ`)「え? なんで聞くの?」
l从・∀・ノ!リ「なのじゃ?」
(´<_`;)「あ……いやごめん」
-
34 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:09:03.21 ID:nOMu5+EqO
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
(´<_` )「よーし今日はこの本を読んであげよう」
本を片手に、ベッドで横になっている妹者の近くに腰掛ける。
子守歌代わりの朗読。
弟者が今日選んだのは、古い絵本。
表紙では、赤と白の服を着たピザ男と、
真っ赤な鼻のトナカイが、星空を背に肩を組んでいる。
l从*・∀・ノ!リ「サンタさんなのじゃー!!」
( *´_ゝ`)「おお、懐かしいなそれ!!
『あわてんぼうサンタとレッドバロンシリーズ・粉雪旅立ち編』
じゃないか!!」
(´<_` )「ああ、押し入れの奥から出て来たんだ。
せっかくだから妹者にも読んでやろうと思ってな」
-
35 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:10:42.20 ID:nOMu5+EqO
(´<_` )「むかーしむかーし……」
l从*・∀・ノ!リdkdk
( *´_ゝ`)dkdk
""""""""""""""""""""""""""
むかーし むかーし あるところに
サンタさんと トナカイが いました
( ^ω^)『どうも!! 僕がサンタだお!!』
('Å`)『高貴なる朱鼻【レッドバロン】とは俺のことさ』
""""""""""""""""""""""""""
-
37 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:12:55.83 ID:nOMu5+EqO
l从*・∀・ノ!リ「このひとがサンタさんなのじゃ?」
( *´_ゝ`)「ああそうだよ。かっこいいだろ?」
""""""""""""""""""""""""""
まいとし クリスマスのひ
ふたりは こどもたちに プレゼントを くばります
('Å`)『世界中を一晩で駆け巡る俺様……かっこいい……』
( ^ω^)『wwメリーwwwwwクリスマースwwwwww』
""""""""""""""""""""""""""
-
41 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:14:52.72 ID:nOMu5+EqO
""""""""""""""""""""""""""
ふたりは こどもたちの えがおを みるだけで まんぞくでした
( ・□・)『プレゼントだ!! やったぁ』
从'ー'从『わぁい、サンタさんありがとぉ』
('Å`)『礼には及ばねーぜ』
( ^ω^)『メリークリスマスだおwww』
""""""""""""""""""""""""""
l从・∀・ノ!リ「サンタさんえらいのじゃー」
( *´_ゝ`)「小さい頃は俺もこんな大人になりたいって思ってたなぁ……」
(´<_` )「それが今や自宅警備員だもんなぁ……」
(;´_ゝ`)……
-
43 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:16:37.01 ID:nOMu5+EqO
""""""""""""""""""""""""""
だけど こどもたちは おおきくなるにつれ
えがおを みせて くれなくなって しまいます
( ^ω^)『メリーwwwwクリwwwスマー……ス……?』
( <●><●>)『サンタが想像上の人物であることくらい分かってます』
( ´ω`)『……メリークリスマスだお……』
あるこどもは ゆめをみることを やめて しまいます
""""""""""""""""""""""""""
-
45 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:19:05.18 ID:nOMu5+EqO
""""""""""""""""""""""""""
( ^ω^)『メリクリだお!! ほーら、プレゼントを持ってき……』
( ><)『ちんぽっぽちゃん、君が欲しいプレゼントは何ですか?』
(*//ω// *)『ち、ちんぽ……おちんぽっぽ……』
( *><)『げっへっへ……ホワイトクリスマスにしてやるんです……』
(;^ω^)『プレゼント……』
またあるこどもにとって クリスマスは
サンタさんのひでは なくなって しまいます
""""""""""""""""""""""""""
-
50 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:21:07.37 ID:nOMu5+EqO
(´<_`;)「……こんなストーリーだったっけ」
( ´_ゝ`)「聖夜に街でイチャつくカップルはブチ殺すべきだよな……」
""""""""""""""""""""""""""
サンタさんは すっかり じしんを なくして しまいました
( ´ω`)『……皆の心の中に……僕はもういないのかお』
(;'Å`)『お、おい何弱気になってんだよサンタ!! おい!?』
( ´ω`)『もう、サンタなんか辞めたいお……』
""""""""""""""""""""""""""
-
53 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:23:11.47 ID:nOMu5+EqO
( *´_ゝ`)「まさかこれが幼女が全力を尽くす編の伏線だとは思わな……ん?」
l从━、━ノ!リ「うーん……サンタさんかわいそうなのじゃー……」
(´<_` )「あらら、もう寝ちゃったのか」
朝から遊び通した疲れもあったのか、すぐに妹者は寝てしまった。
今日読めたのは、最初の数ページだけ。
(´<_` )「続きは明日だな」
( ´_ゝ`)「えー今からが面白いのに……」
(´<_`;)「兄者は自分で読めば良いだろう常考」
-
55 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:24:53.11 ID:nOMu5+EqO
読みかけの絵本にしおりを挟み、妹者の枕元に置く。
ゴネる兄者を宥めながら窓の外を見ると、
みんなで作った雪だるまが、寒空の下にポツリと立っていた。
彼の周囲にふわふわと舞う雪がやむ気配は無い。
一人取り残された彼の、みかんで出来た目が寂しそうに見えて、
もう一人くらい作ってあげれば良かったかな、と思う。
(´<_` )「明日も積もりそうだな……」
( *´_ゝ`)「明日もいっぱい遊ぶぞー」
(´<_` )「良いよなぁ毎日がエブリデイで」
(;´_ゝ`)……
-
57 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:27:30.77 ID:nOMu5+EqO
( ´_ゝ`)「それよりだ、弟者。妹者はちゃんと寝てるか?」
d(´<_` )「ああ、ばっちりだ。完全に寝てるぞ兄者」
l从-、-ノ!リ「うーん……」
( ´_ゝ`)「よしよし……と」
弟者が妹者の寝息を確認すると、兄者が背伸びしてタンスの上に両手を伸ばす。
引っ張り出したのは、白い包装紙に赤のリボンが結ばれた箱。
それを本と同じく、妹者の枕元に置く。
(´<_`;)「……それ頭ぶつけるんじゃないか、兄者?」
( ´_ゝ`)「いいや、プレゼントは枕元以外認めない」
(´<_`;)「そうか、ならいい。なにはともあれ……」
( *´_ゝ`)「「メリークリスマス、妹者」」(´<_` )
-
58 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:29:05.44 ID:nOMu5+EqO
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
こんこん
l从-、-ノ!リ「……うーん……」
こんこん
l从う匆ノ!リ「……うーん?」
みんなが寝静まり、しばらく立ってから。
窓を叩く乾いた音に、妹者は目を覚ました。
目を凝らしても、何も見えない。
窓の外も部屋の中も真っ暗だ。
-
60 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:31:15.40 ID:nOMu5+EqO
l从・勍ノ!リ「でっかい兄者ー? ちっちゃい兄者ー?」
しーん
l从・勍ノ!リ……
反応が無いことから、兄弟がまだ寝ていることを理解する。
そのままもう一度寝ようとしたけれど――
こんこん
l从う勍ノ!リ「……むう。なんなのじゃ?」
気になって眠れなくなった妹者は、音の原因を見に行くことにした。
見えない足元に気をつけながら、そろりそろりと窓へと足を運ぶ。
-
62 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:33:34.94 ID:nOMu5+EqO
ところどころつまづきながらも、慎重に進んで行く。
目的地に着く頃には目も慣れて、辺りがよく見えるようになった。
こんこん
「へーい、キュートな妹者ちゃーん」
l从・∀・ノ!リ !!!!
だから、窓の向こうもちゃんと見える。
窓を叩く、枝の手が。
こちらを覗く、生き生きとしたみかんの目が。
( ・≧・ )「開けちくりー」
l从*・∀・ノ!リ「ゆ、ゆきだるまさんがうごいてるのじゃー!! すごいのじゃー!!」
-
64 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:35:48.21 ID:nOMu5+EqO
動く雪だるまを見て、妹者はすぐに窓を開けた。
室内の暖かい空気が外へ逃げ、代わりに外の冷たい空気が入ってくる。
l从;・Д・ノ!リ「うう……さむいのじゃ……」
( ・≧・ )「HAHAHA!!
そりゃあパジャマじゃあ寒いのも当たり前だぜシスター。
いろいろ着込んでから外に出て来ておくれ?」
l从・∀・ノ!リ「りょーかいなのじゃ!!」
急いで準備をして玄関から外に出る。
だって、雪だるまが動いているのだ。
早くしないと逃げてしまうかも知れない。
l从*・∀・ノ!リ「ほんとーにうごいてるのじゃー!!!!」
-
67 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:37:21.02 ID:nOMu5+EqO
目の前で、自分より頭ひとつ大きな雪だるまが動いている。
間違いない。
今日、みんなで作った雪だるまだ。
( ・≧・ )「HAHAHA!!
君達が一生懸命に作ってくれたおかげで、
急に動けるようになっちまったぜ!!」
l从*・∀・ノ!リ「おお!! やっぱり流石なのじゃ、あたしたち!!」
( ・≧・ )「それでだ、シスター?
君達は僕に素晴らしい生命と、立派な身体をくれた!!
僕はそのお礼がしたいんだ!!」
l从*・∀・ノ!リ「おおー!! ありがとうなのじゃー!!」
雪だるまの感情の籠った声に、妹者も自然とテンションが高くなる。
肌を刺す寒さも、もう感じない。
-
71 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:39:09.18 ID:nOMu5+EqO
l从*・∀・ノ!リ「おれいってなんなのじゃ?」
( ・≧・ )「HAHAHA!!
そう焦っちゃダメだぜ、妹者ちゃん。
プレゼントは俺の故郷、冬の国に用意してるんだ!!
そうれ、開け冬の国への扉!!」
雪だるまが叫びながら枝の手を振ると、
ふわふわと舞い落ちるだけだった雪が、意思を持ったように集まっていく。
妹者のまばたきの内に、大きな純白の扉が完成した。
半開きになった扉から溢れる光が、暗い辺りを照らす。
l从・∀・ノ!リ「おぉー!!」
( ・≧・ )「本当は部外者は入れちゃダメなんだけど、
妹者ちゃんだけはト・ク・ベ・ツ!! にご招待!!
この扉をくぐれば到着さ!! さあ、レッツゴーだ!!」
l从>∀<ノ!リ「レッツゴーなのじゃー!!」
-
73 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:40:48.36 ID:nOMu5+EqO
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
( )『なあどうしたんだよ!?
お前の夢は、みんなに夢を配ることじゃなかったのかよ!!』
( )『もう良いんだお。僕は……もう疲れたんだお……』
""""""""""""""""""""""""""
l从*・∀・ノ!リ『すごいのじゃー!! キラキラなのじゃー!!』
( ・≧・ )『HAHAHA!!
妹者ちゃんが冬の国を気に入ってくれたようで何よりだぜ!!』
扉をくぐったかと思うと、既に冬の国に到着していた。
空から零れる粉雪が太陽の光を反射させ、空までもが輝いて見える。
-
74 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:42:11.23 ID:nOMu5+EqO
二人が立っているのは、なだらかな丘の上。
眼下には雪だるまやトナカイや小人など、様々な人々で賑わう街が広がる。
レンガ作りの家が建ち並び、その煙突が吐き出す白い煙は空に消えていく。
( ・≧・ )『今日はクリスマス!! そんな特別な日に、特別な妹者ちゃん!!
君は冬の国の国王、サンタ・クロースに会えちゃいまーす!!』
l从*・∀・ノ!リ『サンタさんなのじゃ!? すごいなのじゃー!!!!』
mg( ・≧・ )『HAHAHA!!
みんなの憧れ、夢と希望を司る冬の化身!! サンタ・クロース!!
彼の家はあそこだぁ!!』
びしりと枝が指差す街の中央には、一際立派な、工場のように大きな建物。
そのすぐ横の綺麗に装飾されたモミの木の下には、
何人でも乗れそうなくらいに大きなソリが置いてある。
-
76 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:43:55.42 ID:nOMu5+EqO
( ・≧・ )『さあ妹者ちゃん、あそこまでどっちが早く付けるか競争だ!!
ヒァウィーゴォー――!!!!!』
l从;・勍ノ!リ『あー!! ズルいのじゃー!!』
""""""""""""""""""""""""""
( )『子供達は笑ってくれないお……
煙突だってみんなもう付けてないお……』
( )『それがどうしたってんだよ!? 俺達を待ってる子供だっているんだ!!
ほら、気合入れやがれ!!!!』
( )『……もう、辞めようお。僕達なんて……
僕達なんて、もう誰も必要としてないんだお』
-
79 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:45:45.36 ID:nOMu5+EqO
( )『おい……てめぇもう一回言って見やがれ!?
あんまりふざけたこと言ってると俺の蹄が火を吹くぜ!?』
( )『……ああ言ってやるお!! 僕はもう!!』
""""""""""""""""""""""""""
l从・∀・ノ!リ『とーちゃーく!! 妹者のかちなのじゃー!!』
(;・≧・ )『いやあ、やっぱり雪だるまは走るもんじゃないね。
頭と身体が離れるかと思ったぜ!!』
街の中央、サンタの家に二人は到着した。
丘の斜面を利用して加速した雪だるまだったが、
街に入ってからはピョンピョン跳ねることしか出来ずに失速してしまった。
-
80 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:47:22.05 ID:nOMu5+EqO
( ・≧・ )『よーし、サンタさんが中で待ってるはずだ。
さあ扉を開けるんだシスター!!』
l从>∀<ノ!リ『サンタさんおじゃましますのじゃー!!』
ガチャ
(♯^ω^)『僕はもう!!
サンタなんか!!
辞めてやるお!!!!』
l从・∀・ノ!リ ?
('Å`)『本当に腐っちまったんだな、サンタ……』
-
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/12/02(日) 21:49:08.18 ID:nOMu5+EqO
妹者が扉を開けると、赤と白の洋服に身を包んだ男が叫んでいた。
あの男がサンタであろうことくらい分かる。
しかし、サンタは何故かサンタを辞めると叫んだ。
妹者は状況を把握出来ずに、固まることしか出来ない。
l从;・∀・ノ!リ ?
(;^ω^)『あ……子供を連れて来たのかお……』
(;・≧・ )『ちょ、サンタさん、何言ってるんですか!?』
('Å`)『そいつはもうサンタじゃねぇよ、雪だるま。
……よし決めた。おいそこの幼女。
お前が今日からサンタだ』
-
83 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:51:34.65 ID:nOMu5+EqO
(;^ω^)『何言ってるんだお、レッドバロン!?』
(#'Å`)『うっせぇ、てめぇは黙ってろ!!
世界中でサンタを待ってる奴がいるんだ!!
俺はサンタとプレゼントを世界中に運ぶ義務がある!!
さあ行くぞ、サンタ!!』
l从;・∀・ノ!リ『!? !? !?』
未だに状況を飲み込めない妹者を、外に連れ出す赤鼻のトナカイ。
後に残された、太めの男と雪だるま。
( ´ω`)『レッドバロン……』
(;・≧・ )『い、妹者ちゃん!? ちょっとレッドバロンさーん!?』
-
84 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:54:34.94 ID:nOMu5+EqO
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
('Å`)『どうだぁーサンタ? 空飛ぶなんて初めてだろ!!』
l从・∀・ノ!リ『はじめてなのじゃー!!』
あのまま妹者を連れて外に出たトナカイは、モミの木の下に置いてあったソリに、
これでもかと言うほど荷物を積み上げた。
ソリを引く準備を完了させると、オロオロとしたままの妹者に手綱を握らせ、
有無を言わさぬ間に飛び立ってしまった。
l从・∀・ノ!リ『たかいのじゃー!! さすがなのじゃー』
('Å`)『はっはっはぁ!!
高貴なる朱鼻【レッドバロン】の名は伊達じゃないぜ!!』
-
87 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:56:27.76 ID:nOMu5+EqO
l从・∀・ノ!リ『つぎはどこなのじゃー!?』
最初はオロオロするだけだった妹者も、今はすっかり楽しんでいる。
('Å`)『よーし、あの家だサンタ。さあ行くぞ!!』
空飛ぶソリから見える世界。
真っ白な地面にぽつぽつと明かりが灯り、真っ暗な空から白が落ちてくる。
進む道は、ぴかぴかの赤い鼻が照らしてくれる。
l从>∀<ノ!リ『メリークリスマスなのじゃー!!!!』
-
89 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:58:02.91 ID:nOMu5+EqO
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
l从・∀・ノ!リ『なかなかすくなくなったのじゃー』
順調にプレゼントを配っていき、積み上げられた荷物が一回り小さくなった頃。
トナカイの足が急に止まった。
l从・∀・ノ!リ『? どうしたのじゃ?』
('Å`)『なあ、サンタ……お願いがあるんだ』
""""""""""""""""""""""""""
( ・≧・ )『サンタさん、元気出そうぜ?』
一方、ソリが飛び立った冬の国。
未だにサンタは落ち込んだままだ。
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91 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 21:59:33.35 ID:nOMu5+EqO
( ´ω`)『本当に僕はダメダメだお。子供達からは見捨てられ……
親友までも失ってしまったお』
あの赤い鼻のせいで、いつもみんなの笑い者だったトナカイ。
彼とはずっと一緒だった。
彼に高貴なる朱鼻の名前をプレゼントした。
彼の鼻が照らしてくれる空を走った。
彼といっしょにプレゼントを、夢を配った。
( ´ω`)『レッドバロン……』
しゃんしゃんしゃん
( ^ω^)『? この音は……』
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93 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 22:01:21.11 ID:nOMu5+EqO
深い溜め息を吐いたサンタの耳に、聞き慣れた鈴の音が届く。
毎年手綱を握っている、あの赤鼻のトナカイが引くソリの音。
ソリの音に誘われ外に出ると、赤鼻のトナカイと幼女がソリから降りて待っていた。
( ^ω^)『……どうしたんだお?』
l从*・∀・ノ!リ『ふっふっふっふっふ。
サンタさんのゆめをかなえにきたのじゃ!!』
目の前の幼女は、胸を張ってそう答えた。
「どういう意味?」と聞く前に、幼女なサンタが宣言する。
l从・∀・ノ!リ『サンタさんのゆめは【みんなに夢を届けること】なのじゃ!!
それをかなえるには、サンタさんはサンタさんをやめちゃダメなのじゃ!!』
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95 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 22:03:08.81 ID:nOMu5+EqO
そしてもうひとつ、と。
妹者はさらに言葉を繋げた。
l从・∀・ノ!リ『レッドバロンのゆめをかなえてあげてほしいのじゃ』
高らかにそう重ねた妹者の後ろから、真っ赤な鼻のトナカイが歩いてくる。
サンタの目の前まで近付くと、トナカイは大きな声で叫んだ。
('Å`)『俺の夢は【お前と一緒に子供達へ夢を届けること】だ!!
サンタよ、俺の夢を叶えてくれ!!』
( ^ω^)『レッドバロン……』
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97 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 22:06:02.69 ID:nOMu5+EqO
('Å`)『今年もよ、ソリからお前の声を聞かせてくれよ』
( ^ω^)『……おっおっおwww
妹者ちゃんにレッドバロン、素敵なプレゼントありがとうだお』
l从・∀・ノ!リ『いっしょにプレゼントくばるのじゃー!!』
( ^ω^)『りょーかいだお!! 子供達が待ってるお!!』
('Å`)『ようしお前ら、出発するぞ!! 早くソリに乗りやがれ!!』
ソリは小さなサンタと大きなサンタを乗せ、再び飛び立つ。
鈴の音を響かせ、子供達に夢を配るソリは世界中を回って行った。
( ^ω^)『メリーwwwクリスマースwww』
l从・∀・ノ!リ『メリークリスマスなのじゃー』
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98 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 22:07:32.88 ID:nOMu5+EqO
( ^ω^)『妹者ちゃん、本当にありがとうだお』
l从*・∀・ノ!リ『いやいやそれほどでもなのじゃ……』
( ^ω^)『君のおかげで、僕達はまた頑張れるお!!』
('Å`)『来年もまた――
( ^ω^)『僕達といっしょに――
l从・勍ノ!リ『? どうしたのじ――――
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
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101 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 22:09:37.52 ID:nOMu5+EqO
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「妹者、妹者」
l从う匆ノ!リ「んー……」
( ´_ゝ`)「妹者朝だよー」
l从;・勍ノ!リ「……!! 兄者!! サンタさんが!!」
( ´_ゝ`)「うんうん、妹者が良い子だったからね。
サンタさん来てくれたよ」
l从;・勍ノ!リ「違うのじゃ、サンタさんとレッドバロンといっしょだったのじゃ!!」
( *´_ゝ`)「おっ、妹者も
『あわてんぼうサンタとレッドバロンシリーズ』
に興味が沸いたのか!?」
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102 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 22:11:02.93 ID:nOMu5+EqO
ああ、話が通じてない。
幼いながらも、兄者との長い付き合いからそれを理解した妹者は、
兄者に昨晩の出来事を伝えることを諦めた。
同時に頭が少し冷静になり、現実を見れるようになる。
l从・勍ノ!リ(ゆめ……だったのじゃ……)
なーんだ。
雪だるまとかけっこをしたことも。
赤い鼻のトナカイといっしょに空を飛んだことも。
サンタといっしょに、世界中に夢を届けたことも。
ぜんぶ、夢だったのか。
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105 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 22:13:28.42 ID:nOMu5+EqO
(´<_` )「もうすぐご飯出来るぞー」
( ´_ゝ`)「はいはーい。妹者も早く来るんだぞ?」
キッチンでフライパンを振るう弟者の声に、兄者が答える。
部屋に残ったのは、ベッドに潜ったままの妹者だけ。
l从・勍ノ!リ(そういえば……サンタさんのプレゼントはなんなのじゃ?)
サンタさん。
共に世界を巡った夢の中のサンタさんとは、きっと何の関係も無い人。
ちょっと悲しくなりながらも、枕元にある箱の包装紙を解いてみる。
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107 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 22:14:57.51 ID:nOMu5+EqO
l从・勍ノ!リ「これ……」
出て来たのは、赤と白の2色で彩られた小さな洋服。
女の子用の、サンタさんの衣装だ。
そして箱のすぐ横では、
『あわてんぼうサンタとレッドバロン』の絵本が数枚捲れ、
最後の方のページが開かれている。
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('Å`)『今年はありがとう!!』
( ^ω^)『来年もまた、よろしくだお!!』
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l从・∀・ノ!リ !!
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108 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 22:18:43.25 ID:nOMu5+EqO
l从*・∀・ノ!リ「いただきますのじゃー!!」
(´<_` )「? どうしたんだ妹者、えらく上機嫌だな」
( ´_ゝ`)「妹者はサンタさんが来てくれて嬉しいんだよねー」
l从・∀・ノ!リ「ちがうのじゃ。それもあるけど、だけどちがうのじゃ」
(;´_ゝ`)?(´<_`;)
窓の外にいる雪だるまは、昨日よりずいぶんと楽しそうな表情。
妹者を見るみかんの目が、ほんの少しだけ笑ったように見えた。
l从・∀・ノ!リ「妹者は、サンタさんになったのじゃ!!」
〜l从・∀・ノ!リ 妹者が夢を届けるようです〜終
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112 : ◆b9GMyAdwDA
:2007/12/02(日) 22:20:34.21 ID:nOMu5+EqO
以上で終了です。ありがとうございました。
次は『ノハ#゚听)ヒートが全力を尽くすようです!!』のヒー全さんだよ!!
やったあ!!
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