从'ー'从 オトナの階段を上るようです(-_-)3日目-3






さすがに手慣れた様子でギコは縄を操り、しぃを後ろ手に縛り上げた。
うつ伏せの達磨のようなその姿を橙色のベットランプが照らし出し、淫猥なことこの上ない。
そんな姿勢のおかげでアヌスやら陰毛やら、その他諸々の恥部は丸見え状態。
最早筆舌尽くしがたい姿態であり、むしろ書かない方が想像をかき立てるのではないかと思うのであまり詳しくは記さない。

しぃは恍惚とした吐息を何度もつき、早く嬲って欲しいと言わんばかりに口の端から涎を垂らし、
だらしのない表情でギコを見上げた。
そんな彼女に、ギコはアイマスクを被せた。視界を奪われ、彼女は身をよじらせる。
ギコは鞭を片手にベッドの上に直立する。
そして、しぃの肉付きの良い尻に向かって、勢いよくそれを振り下ろしたのである。

ヒュウ、と空気を切り裂いた直後、肉の弾けるような音が響く。
あまりの音量にモララーは思わず目を細めたが、
見かけほどには痛くないようで、しぃは押し殺したような声を漏らした。

それからギコは立て続けに二度、三度としぃの尻をひっぱたく。
最初は小さかったしぃの叫びも次第に大きくなり、十回目辺りになると絶叫へと変わった。
それは嫌悪、拒絶の声ではなく、愉悦、快楽を表現するそれであることはモララーにもわかる。

そして今や、モララーのペニスは阪神ファンのごとくいきり立ち、
ズボンを突き破る勢いで股間にテントを張っている。
無様な妻の姿に何よりも興奮していた。それが例え他人の手によるものであろうとも、だ。



ギコは次に言葉責めを始めた。
白豚。淫水女郎。恥垢。ビッチ。汚物。変態。便器。腋臭。家畜。色魔。
顔面障害者。きちがい。不細工。阿婆擦れ。色狂い。種馬。阿呆。ゴミ。クズ。ゲロ。

ある事無い事様々な罵詈雑言が飛ぶ。
だがそんな単語が突き刺さるたび、しぃはぴくりと身体を震わせ、熱い吐息を漏らすのだから世話無い。

傍から見れば完全に異常であるのだが、幸いな事に現状、
ここには異常者しかいないので何もかも正常である事として話を進める事が出来るのである。

さてモララー。
彼最早我慢することままならず、自分が理性を持った高等生物であるということを忘れ、
やおらズボンとパンツを脱いで、そのままベッドの上のしぃに飛びかかった。

そしてそのまま怒張した陰茎をバックの姿勢でしぃの中へ突っ込む。
ずるり、と音がしそうなほど滑らかに、彼のイチモツは挿入された。
ただし、その穴が前の穴か後ろの穴かは定かでない。

(,,゚Д゚)「お前、セックスのやり方知ってるのか?」

ギコがせせら笑うがこれはもう知識云々の問題ではない。
彼の中の、種の保存を第一義とする本能が芽生え、それがそのまま腰の前後運動へと変換されているのだ。
しぃは抗議の声をあげない。この際誰でもいいのだろう。



(  ∀ )「オウ、オウオウオウウオウ、おう、王欧応黄桜往央」

白痴の猿みたいな顔をして、モララーは奇妙な声を出し続ける。
それと同時にピストン運動。子宮を探る藤岡探検隊。廻る巡るその核へ。
「案餡安暗」としぃが呻けばモララーの腰の動きは更に加速。
その速さ、およそアルファベットZ。モララーは正義のヒーローになれますか。

カウパー腺液出し切って、後は射精を待つのみと。
ここに来て最終局面に突入。朝焼けが来れば世界も終わる。
所詮男女の最終兵器は、チンコとマンコに違いない。
「暗暗餡暗案安」「央往桜凹鴎」只今富士山九合目、もう、ゴールしてもいいよね・・・?

(  ∀ )「うほほほう、うほほほ、うほほ、うほ」

ついにモララーの亀頭から、白濁とした数億の兵団が、今初めてしぃの内部へと突入成功。
しぃはグイと首を上げ、獣のような咆吼を吐き出す。
萎れた陰茎抜き取って仰臥。生まれて初めての快感。
モララー、齢三十余年にして童貞投棄に成功。

しぃの、前か後ろかよくわからない穴から一億の兵団が垂れて落ちる。

およそ二千年が経過して、やっとモララーが正気を取り戻したとき、
ギコの笑い声が耳の中で爆発した。



(,,゚Д゚)「ヒャッヒャッヒャヒャ、ヒャヒャ。
     こりゃすげえな、まるで畜生の交尾だぜ」

返す言葉もない。確かに、今までの中でも最高クラスの快感の波が押し寄せた。
なぜ今まで自分は、これほどすばらしい行為を受容しなかったのだろう。
短絡的に不潔と決めつけ、避けてきた事があまりにも馬鹿馬鹿しい。
ただそれを表だって認める事はあまりにも恥ずかしく、彼はてらてらとぬめっている陰茎そのままに、
ギコの言葉を聞いていた。

ギコは持っている鞭を両手で軽く曲げながら言う。

(,,゚Д゚)「今日は、これ以上は無理みたいだなあ。
     やれやれ、さすがの俺でも、たまには休みが必要ってもんだ」

そう言って鞭を持ったまま、モララーの服を身につけたまま、彼は消失していった。
モララーとしぃの二人だけがぽつねんと存在する。青臭い残り香が漂う。
しぃの手首を縛っている縄をほどいてやりながら、モララーはおずおずと尋ねた。

( ・∀・)「良かったのか」

(* ー )「ええ、良かったわ。まあまあ、ね」

一定の評価が下り、モララーの表情に歓喜が満ちた。



一瞬視界がぐにゃりと歪んで、元通りになったときには、モララーは自室の真ん中に突っ立っていた。
パソコンを目に付けて、彼は考える。今ならば、よりリアリティに溢れる性描写が書けるに違いないと。

しかし、現実はそういうわけにもいかなかった。
そもそも現実と小説の間には途方もない乖離性がある。
事実は小説よりも奇なりとはよくいったもので、実際その通りなのだ。
現実に起こった事が必ずしもリアリティ溢れるものではないのだ。

三十半ばの男が、他の男に見られながら結婚数年目の妻を相手に童貞を捨てる。
これのどこに現実性があるというのか。皆無である。
性行為にしても、始終脳みそが痙攣していたものだからよく覚えていない。
覚えている事といえば肌色肌色安案暗鴎凹黄白濁ぐらいのものであり、
それだけの情報から性行為を描くなど余りにも危険すぎる。

だが、せめて、今この感触を、できるだけ生のままで保存しておきたい。
そんな一心からモララーはパソコンの電源を入れる。
ジリジリと小さな音を立てて起動。

メモ帳を開き、とにかくダイレクトで、センシブルに文字列を並べていく。
そうしてすらすらと記述されてできあがった物は、
放送禁止用語連発だわ、差別用語全開だわ、そもそも文法が成立していないわでもう滅茶苦茶。

それでもモララーはある種の愉悦を伴いながらその文章を、
性描写のどこかに挿入する事を決意した。

それから、本編を少しだけ書き進めて彼は大きなあくびをした。
活動時間の限界である。中国人から買った粉薬を服用して、彼はベッドに潜り込んだ。

この日の、モララーの自慰回数は六回。
パワプロでいうとピンク色の顔が飛び跳ねているレベルだ。


日常にまた新たな変化が加えられ、しかし同じ軌道を巡り続ける。
しぃのSM好きが発露してからしばらくは、彼女の寝室に鞭の音が響かない日は無かった。
日が増すごとにその回数と威力は上昇し、しぃの嬌声は絶叫の域に達している。
それでも気持ちよいと言うのだから、まったくマゾヒストとは理解できない。

モララーはと言えばこちらは日が増すにつれてより一層獣として進化していた。
彼らの性行為の過程はこうである。

まずギコが鞭やら言葉を使ってしぃを嬲り、彼女を興奮させる。
モララーはそれを見て自家発電。無論射精に至らぬよう努めるが、時々叶わぬ場合もある。
だがすぐに蘇生するので何も問題はない。

しぃの鼻息が荒くなってきた頃を見計らい、モララーはしぃにのしかかる。
そしてマンコにフォーリンチンコ。そのままピストンゲットアロング。
事が終わり、もしもしぃが満足していない場合は、ギコが続きを引き受ける。

こんな具合だ。
想像力豊かな人ならば、これが如何にシュールかつアンビリーバブル、
ナンセンスであるかは容易にわかっていただけると思う。
だが別に想像しなくても良い。

一方でモララーは、粉薬を順調に消費していた。

そんな折。どれほど時間が経ったかはもはや不明。
モララーが【浪漫S区】から家へ帰宅する場面から、話は再開する。



彼がマンションの廊下を歩いていると、家の方から
「ンォウ! フゴッ! ゴヘァッ!」
という、牛が屠殺されているかのようなうなり声が断続的に聞こえてきた。

すわ獣姦かと、モララーは慌てて家の中へ。
流石に妻が獣に犯されているのには抵抗がある。
だが彼女の寝室に飛び込んでみると、何のことはない。
しぃの姉、つまりモララーの義姉がギコに犯され、ギョホギョホと喘いでいたのだ。

川*゚;ё;゚*)「オオゥン、オオゥン、いいのぉ、ギコにゃんいいのぉ! フゴッ」

まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。
その醜女は鼻や口や皮膚から諸々の体液を垂れ流し、
それが今、大便を煮詰めたかのような凄絶な臭気を放っている。

樽のような胴体に、頭がちょこんと乗っているその姿は、まさにリアル黒ヒゲ危機一髪。
そういえば、シミやニキビに混じって、鼻の下にうっすらとヒゲが生えているのが確認できる。

ギコが腰を振るたびに、脂肪にまみれた臀部やら腹部やらがボゥンボゥンと大きく震える。
そういえば――モララーは、自分の作ったギコの設定を思い出す。
『どのような女性とも出来るだけ関係を結ぶ』
今だけは、ギコに同情せねばならなかった。
しかし、紅潮したギコの表情を見ていると、まんざらでもないのかもしれない。

川*゚;ё;゚*)「ギョヘェ、ギョヘェ、グエ、グエ、ゴエエエエエエエエエエエ」

女がウシガエルのように泣き叫び、果てた。
全身の力を抜いてゴヒィゴヒィと激しい呼吸を繰り返している。



( ・∀・)「……」

モララーの表情からは、すでに色が失われている。
この世のありとあらゆる業が凝縮されているかのような光景。
そういえば、しぃはどこへいったのだろうかと目玉を動かして探す。
居た。部屋の隅で、茫然自失とした顔で座り込んでいる。充満する毒ガスにやられたのだろう。

(,,゚Д゚)「フゥ……」

対照的にギコは、満足げに陰茎を抜きとった。

(,,゚Д゚)「……おう、どうした。放心状態じゃねえか」

( ・∀・)「ど、どうしたもこうしたもあるか。いつからここは養豚場になったんだ」

(,,゚Д゚)「お前みたいな、ついこの前まで童貞だった野郎にわかるはずもねえ。
    デブにはデブなりの楽しみ方があるんだよ」

川*゚;ё;゚*)「フヒヒィ、フヒヒィ、ねぇ、ギコにゃぁん……もっとぉ……」

女がおねだり口調で懇願する。
切なげに潤んだ双眸が、まっすぐにギコを捉えていた。
モララーは吐き気を覚えた。

(,,゚Д゚)「よしよし、もう一度可愛がってやろう」

ギコがそう言った瞬間、この世界を構成しているDATに、余りある醜悪さによってヒビが入った。



ギコは彼女に迫って、まずは片手で恥丘に触れた。
フヒヒィン、と女が奇妙な音で嘶く。
それからギコはあまりにも短すぎる両足をもう一方の手で愛撫する。
恥垢にまみれ、発酵したような臭いを放つ陰唇にギコが舌を這わせると、
女はギョホゥと呻いてドカンの身体をのけぞらせた。

肥大した乳輪を弄びつつ、ギコは今度は上半身を攻めにかかる。
順番が逆であるような気がするのは、二度目だからだろうか。

モギュウと音がしそうなほどの濃厚なディープキスが演じられる。
それはおよそ三十秒間継続し、ギコが口を離すと糸を引いていた。
それが唾液の糸か、納豆の糸かは不明のままである。不明のままで良い。

胃液がこみ上げてくるのをなんとか抑えながら、モララーはその一部始終を見ている。
目を離さないのではない。離せないのだ。
女の肢体は、そのままメデューサなのである。

だがついにたまりかねて、モララーは叫んだ。

(#・∀・)「いい加減にしてくれ! ここは俺の家なんだ!」

巻き戻し。



ギコは彼女に迫って、まずは片手で恥丘に触れた。
フヒヒィン、と女が奇妙な音で嘶く。
それからギコはあまりにも短すぎる両足をもう一方の手で愛撫する。
恥垢にまみれ、発酵したような臭いを放つ陰唇にギコが舌を這わせると、
女はギョホゥと呻いてドカンの身体をのけぞらせた。

肥大した乳輪を弄びつつ、ギコは今度は上半身を攻めにかかる。
順番が逆であるような気がするのは、二度目だからだろうか。

モギュウと音がしそうなほどの濃厚なディープキスが演じられる。
それはおよそ三十秒間継続し、ギコが口を離すと糸を引いていた。
それが唾液の糸か、納豆の糸かは不明のままである。不明のままで良い。

胃液がこみ上げてくるのをなんとか抑えながら、モララーはその一部始終を見ている。
目を離さないのではない。離せないのだ。
女の肢体は、そのままメデューサなのである。

だがついにたまりかねて、モララーは言った。

(#・∀・)「……おかしいな、同じことが繰り返されている気がする」

巻き戻し。



≠〃⊃レ£彳皮女レニ迫ッτ、ма£〃レ£片手τ〃恥丘レニ角虫яёT=★
フヒヒィ冫、`⊂女ヵゞ奇妙Tょ音τ〃嘶<★
ξяёヵゝら≠〃⊃レ£ぁмаレ)レニм○短£(≠〃ゑ両足をм○ぅ一方σ手τ〃愛撫£ゑ★
ち<レニмаゐяё、発酵UT=∋ぅTょ臭レヽを放⊃陰唇レニ≠〃⊃ヵゞ舌を這ゎ世ゑ`⊂、
女レ£≠〃ョホゥH呻レヽτ├〃ヵ冫σ身体をσレナξ〃ら世T=★

肥大UT=乳輪を弄ひ〃⊃⊃、≠〃⊃レ£婚忸レ£半身を攻めレニヵゝヵゝゑ★
順番ヵゞ逆τ〃ぁゑ∋ぅTょ汽譟階£ゑσレ£、二度目T=〃ヵゝらT=〃Зぅヵゝ★

м○≠〃ュゥ`⊂音ヵゞUξぅTょレま`⊂〃σ濃厚Tょ〒〃ィ→┐o≠スヵゞ演U〃らяёゑ★
ξяёレ£ぉ∋ξ三十秒間継続U、≠〃⊃ヵゞ口を離9`⊂糸を引レヽτレヽT=★
ξяёヵゞ唾液σ糸ヵゝ、納豆σ糸ヵゝレ£不日月σмамаτ〃ぁゑ★不日月σмамаτ〃良レヽ★

胃液ヵゞ⊇ゐレナ〃τ<ゑσをTょω`⊂ヵゝ抑ぇTょヵゞら、м○ララ→レ£ξσ一部始糸冬を見τレヽゑ★
目を離5Tょレヽστ〃レ£Tょレヽ★離・TょレヽσT=〃★
女σ肢体レ£、ξσмама乂〒〃ュ→廾Tょστ〃ぁゑ★

T=〃ヵゞ⊃レヽレニT=маレ)ヵゝЙёτ、м○ララ→レ£言ッT=★

(#・∀・)「これじゃあ誰も読めないだろう!」

巻き戻し。



擬古迫彼女、片手触恥丘。
不狒狒狒狒狒狒陰。女嘶音奇妙也。
其後擬古愛撫短過両足。
擬古舌這大量恥垢陰唇発酵臭放散。
女呻魚砲土管身体起立礼。

弄肥大乳輪、擬古第二段階上半身攻城戦。
順番逆於二度目故也。

音色喪牛濃厚接吻実演中。
約三十秒間継続、擬古離口引糸吐瀉。
彼唾液糸乎、納豆糸乎詳細不明也。現状継続賛成。

胃液逆流注意報、喪螺羅亜一部始終観察中。
視線固定、視線離脱不可。
肢体等号符石化魔女。

我慢不可能。喪螺羅亜絶叫。

(#・∀・)「勘弁してくれ! ここを繰り返して誰が得するんだ!」

再生。



いつしかモララーは自分の部屋へと逃げ込んでいた。
今日ばかりは下腹部も精力を失い、垂れ下がったままである。

( ・∀・)「いや……俺は貴重な体験をしたのかもしれない」

確かに、あれほど凄惨な場面を目の当たりにする事は、もう二度と無さそうだ。
最も、この体験はどこにも活かす余地がないのであるが。
目を瞑れば沸々と湧き上がるあの光景。

流石に、小説を書き進める気力は湧いてこなかった。
こんな日は早く寝てしまって、記憶を払拭してしまうに限る。
とはいえ、一夜かそこらで消失するほど生半可なインパクトではなさそうだ。

( ・∀・)「……ん」

いつものように薬袋をのぞき込み、モララーは愕然とした。
もう一つも粉薬が残っていなかったのだ。昨日のうちに気付かなかった事は大きな失態である。
だが、彼はそれほど問題視していなかった。
一日ぐらい飲まなくても大丈夫だろう……そう安直に考え、彼は就寝した。

そして地獄を見た。




夢の中で、モララーは自分の口から十数匹のゴキブリが飛び出てくるのを見た。
それらは地面に這いつくばると、超スピードで蠢き始める。
カサカサカサカサと走り回りながら、ゴキブリたちはそれぞれ小さな卵を産み落としていく。
それらはたちまち孵化して小さなゴキブリが誕生する。
そして、一瞬のうちに成虫ほどの大きさへと進化するのだ。

たちまち、あたり一面ゴキブリの、茶褐色の海となった。
モララーがわめこうとした時、一匹のゴキブリが羽を広げて飛び立った。
それにつられて、彼らは一斉にモララーにとびつきはじめる。

カサカサと脚を上っていく。腕の表皮やその舌の筋繊維をゴキブリが食い破っていく
こめかみにはり付いたゴキブリが、鋭利な前脚をモララーの耳に突っ込んで、
鼓膜をガリバリガリバリと引っかき回した。

何か叫ぼうとして口開くとゴキブリが侵入してふさがれてしまう。

そのうち、モララーは尻のあたりに違和感を覚えた。
違和感はすぐさま激烈な痛みへと変貌する。
一匹のゴキブリが、肛門から体内へと侵入を試みているのだ。

脚の爪でアヌスを無理矢理広げて頭を突っ込む。
あまりの痛みにモララー、失神しそうになる。ゴキブリが侵入に成功した。
大腸から小腸へと、彼は突き進んでいく。その過程で幾十もの卵が産み付けられ、
再び大量のゴキブリが口から……

目覚めたとき、
彼は汗でぐっしょり濡れていた。と同時に、彼に対して無数の罪悪感が叱責を始めた。



自分は今まで何をしていたのだろうか。
せ、性行為などというけ、汚らわしい行為を、それも好きこのんで何度も何度も……・。
それに、いつの間に自分はギコの存在を許してしまったのだろう。

彼は所詮虚構の存在なのだ。それも、モララー自身が作り上げた小説の登場人物だ。
そんな輩が妻を幾度となく鞭でひっぱたき、犯したのだ。
それに対して自分は何も思わなかったのか。

後悔。邪念。恨み。嫉妬。種々の負の感情がモララーを蹂躙した。
死への渇望さえ彼を襲っていた。
それらはどうしようもないほどに大きく、また、複雑に絡み合っている。

モララーは叫んだ。
血反吐を吐き、身体が裏返りそうなほどの勢いで咆吼した。
そしてそのまま部屋を駆け出る。身支度をしたかどうかも分からない。

ただ彼は、迫り来る自分の感情から逃げるように、家を飛び出した。



その夜。彼はまた【浪漫S区】にいた。

小綺麗な店内をざっと眺望して、モララーはすでに飲み始めている友人を発見した。
相手も気付いたらしく「おう」と片手を挙げてモララーを隣席へと呼び寄せた。
モララーは狭い通路をすり抜けて辿り着く。
座りながら彼は店の主人に、なれた調子で日本酒を注文した。

('A`)「よう、久しぶりだなあ」

友人――ドクオからそんな言葉をかけられる。
しかしモララーのキオクが正しければ、昨日もこの時間にドクオと会い、
同じように酒を飲んでいた。一昨日も、一昨昨日も。
ゆえに無視して、出された酒を軽く呷った。
しばらくして、ドクオが「つれねえなあ」とどこか情けない声を出す。
吐く息が酒臭い。もう随分飲んでいるようだった。

('A`)「で、どうよ。最近は」

その瞬間、モララーはわあと泣き叫んだ。

('A`)「なんだなんだ、どうしたよ、オイ」

慌てるドクオに、モララーがわあわあ泣き喚きながらなんとか事情を説明していく。
しぃのこと。ギコのこと。虚構。自分の性的観念。諸々。何もかもをドクオに吐き出した。


('A`)「ふうん……」

やけに冷静な表情で、ドクオは酒を呷った。

(  ∀ )「俺……お、俺ぁ、どうすればいいんだ!?」

('A`)「いやでもなあ、それはもう、どうしようもないよ。
    DATって知ってるか?この世界を構成している核みたいなもんだ。
    そいつがある男を動かして、この虚構世界を創造させているわけなんだが。
    そのDATは、どうもアダルティな物事がお好みらしくてなあ。
    お前が主人公に選ばれた以上、お前がそういう色事に巻き込まれるのは仕方ない事なんだよ。
    おそらく、この物語が終わるまで続くだろうな。考えてもどうしようもねえ」

(  ∀ )「……なな、なんだ、そ、それは。
      な、なんでお前がそんなことを知っているんだ!?」

('A`)「お前と、書き手以外はみんな知ってるぜ。
    まぁ……俺に伝える役目が与えられたという事は、この物語もそろそろ終わるってことだろうな。
    想像以上に性描写が稚拙すぎて、DATに狂いが生じたんだろうよ」

(  ∀ )「で、でも、それじゃあ何のか、解決にもなならないじゃないか!」

('A`)「だから、もうすぐ終わるから……
    どうしてもなんとかしたいって言うなら、ここから出てすぐのところにある路地に行ってみな。
    そこで中国人が薬を売ってる。それを買って、飲めば解決だ」



( `ハ´)「お、また来たあるね。そろそろ来ると思てたよ。薬切れたあるね?」

ドクオの言ったとおり、確かに一人の中国人の男が地面に筵を敷いて商売をしていた。
なぜ彼は知っていたのだろう。なぜだ。俺は知らなかったのに。
そんな愚痴が頭の片隅を過ぎったが、今はそれどころでない。
モララーはその男を、泣き腫らした目で睨み付けた。

( `ハ´)「お、お。どうしたある。目つきが普通違うあるよ」

(  ∀ )「いいから、いいから早くく、くく薬をくれ、薬を、薬……」

そして、男のアクションを待たずにモララーは筵の上から薬袋を一つ強引に取り上げた。
覚束ない手つきでそれを開く。薬包紙がいくつか地面に転がり落ちる。
男は呆気に取られたといった風に彼の狂態を眺めていた。
やがて一つの薬包紙を、モララーは開いて粉をそのままざぁと流し込んだ。

当然ながら咳き込む。白い粒状の集団が気管に侵入して噎せ返る。
食道内で針が飛散したような痛みが襲う。
だが、瞳からさらなる涙を落としながらも、モララーは二つ目の薬包紙を掴んだ。

(  ∀ )「なおら、なおらん。なおらない。治らない。薬が足りていない。薬が。薬が」

二つ目、三つ目。口の端から白色の粒がぼろぼろと零れる。
だが彼は飲み続けた。精神が平坦に帰するまで粉薬を服用し続けた。

やがて彼の視界をグランドピアノが飛び交いはじめた。
六つ目の粉薬を飲み込んだあたりで、「はっははあ!」と破顔一笑。
モララーは小躍りを始めた。



頭の中がくるくるくるりんと回転している。
耳の中に棲んでいるネガティブアバターが戦い始めた。
ぐわんぐわんと反響音。頭蓋の中をどこまで駆ける。
心臓がズコバコズコバコまるで犬の交尾の如き勢いで震動反復反転七転八倒。
心持ちは最高にハイな状態になり、今ならばオーバーエクシードだろうがオーバーゼニスだろうが余裕で発動できる勢い。

ハッハハァ、楽しいな! 楽しいな! たーのしーいな! ここは天国かなー?
わーい、わーい、棺桶売ってるよー安いよー安いよー大特価だよー!
あー、そこにいるのはかの有名な桃たろおだなー!? セイヤ、セイヤ、かかってこいやあ!

あああああああああ、待って、いじめないで、いじめないで、このか弱いボクちゃんをいじめないで!
三丁目にはすんでないけどボクちゃん猫みたいにか弱いの。だからいじめないでええええええええ。

この場合要するに私が述べたい事は即ちここに存在する全ての事象が、
量子学的科学的非科学的空間的結合を果たしているという事でありまして、
あらゆる存在観念はつまり一時のそこにある全ての何かしら特別な問題も来さないならば
ならばなぜあらあらまぁまぁ、卵が落ちちゃったわ。

ってゆぅかぁ、さぃきんさぁ、まじちょ→だりぃんだょねぇ(ー。ー;)
なに、だっとぉ? なにそれちょ→むかつくぅヾ(`Д´*)ノ
ぁたしのカレシさぁ、まじつょぃから(ワラ
だっととかってのもぃっしゅんでヤッちゃゥから、そこんとこ、ょろしく→☆(*´艸`)

あ、助けてくれお! 僕なんか変なの書かされてるお!
僕こんなつまんない話書きたくないお! 僕もっと面白い話が書きt



( `ハ´)「落ち着いたあるか?」

しばらくして、男にそう尋ねられた。
モララーは慌てて落ちている数少ない粉薬を拾い集めた。
それから、恥ずかしそうに財布を取り出し、千円札を男に手渡す。

( ・∀・)「……ああ、はい。いや、これは失礼しました。目の前で随分な醜態を晒してしまい」

( `ハ´)「そんなことどでもいいことよ。
     それより兄さん、あんなにいっぺんに飲んでだいじょぶか」

( ・∀・)「全然大丈夫です。逆に、気力が湧いてますよ」

モララーはその場で屈伸運動やスクワットをしてみせる。
男は心配げにモララーを見上げていたが、やがて「それはよかたある」と笑顔を作った。

( `ハ´)「それじゃあ、また用命の時にはいつでも来るあるよ」

( ・∀・)「ええ、ありがとうございます。失礼しました」

男に手を振り、背中を向ける。
路地を出たところでモララーは、背中に生えた翼を羽ばたかせて飛び上がり、そのままマンションへと向かった。



いつものようにしぃの寝室へ入ると、そこには今日は二人の男がいた。
一方はしぃの口に自らの陰茎を咥えさせている。
そしてもう一方はバックでグイグイ押していた。

典型的な3Pの恰好である。モララーの立ち位置から、前方にいるのがギコであるとは確認できた。
だが後方がわからない。やがてその男は振り向いて、ニッコリとモララーに笑いかける。

(´・ω・`)「やぁ、これはどうも、お邪魔しております」

( ・∀・)「おやおや、しょぼんさんでしたか。それはどうも、ご無沙汰しておりますでありますです」

その紳士風な面をひっさげている男は、かのしぃの姉の旦那、つまりモララーの義兄にあたる人物だ。
第二の谷佳知とも言えるその人物。
意外にも、普通の美人に対しても性欲が湧くらしい。

(´・ω・`)「只今、あなた様の奥さまを犯させていただいております」

( ・∀・)「それはそれは。どうぞごゆっくり」

(´・ω・`)「ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて」

セイヤソイヤソイヤッサセイヤッサ。
「つまらねえなあ……」とギコが誰にともなく呟いた。
最近アブノーマルなプレイばかりしていたせいか、例え3Pでも退屈に思えてしまうのだろう。
同様に、しぃもあまり楽しそうではない。
嬌声こそあげているものの、顔はいつもほど紅潮しておらず、心なしか息づかいもおとなしい。



やがて行為を終えたしょぼんとギコが煙のようにたち消える。
しょぼんは最後、モララーに向かって丁寧にお辞儀をした。
彼も虚構の存在だったようだ。モララーには一つだけ心当たりがある。
あの日、義理の甥であるまたんきが残した、彼のお父さんを描いたという絵だ。
そういえば、どこか身体の造形がオリジナルよりもおかしかった気がする。気がするだけだろう。

( ・∀・)「いやああああっははあ! やっほう! いいやっふううううううううううううううううう!」

ハイテンションを持続しつつ、モララーは自室に戻ってパソコンの前に座った。
電源を入れる。ジリジリと小さな音を立てて起動。
彼は怒濤の勢いでキーボードを叩き始めた。

出てくる、出てくる、湯水のように文章が湧いてくる!
ああ、ペンが進まないなんて日々が懐かしいよ!
キャラクターが勝手に動く! 世界観が自在に構築されていくよ、ああ、なんて楽ちんなんだろう!
いつもこうであればいいのに、いつもこうであればイイのに!


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