从'ー'从 オトナの階段を上るようです(-_-)6日目−4



                       【四】

(,,・д・) 「大丈夫だったでちか?」

服を正したクーの横、ジョルジュは蒼白の表情で失神している。

∫λリ゚ -゚ノノ 「そ、その……ありがとう、ございました」

泡を噴き、白目を剥いた彼の身体は、そのところどころが氷結していた。
均一に、融解点以下まで温度を下げられた水分は、強い衝撃により、瞬間的に凍結・凝固する。
ジョルジュは、ちびギコの霊能力によって氷点下まで冷却された手水を、全身に浴びせ掛けられたのだった。

彼の口内から飛び出した絶望樹の種子を踏みつけると、黒い瘴気が立ち昇り、霧散する。
代わりに、その場に安堵の空気が広がった。

(,,・д・) 「あんたたちは、この道場にいる限り、ボクのかわいい弟子たちでち。
      弟子を護るのは、師匠として当然のことでち」

∫λリ;゚ -゚ノノ (くっ、私もまだまだ修行が足りないってことか……)

腕組みで胸を張り、えへんと咳払いする彼の容姿は、どこから見てもただの子供にしか見えなかった。

(,,・д・) 「年末の人手不足を補おうと、バッド○ィルから派遣で来て貰った術者だったでちが……。
      元々妖魔だったとは思えないでち。 おおかた、こいつも操られてたんでちよね?
      ということは、悪巧みをする本懐がいるってことでちよ」

∫λリ゚ -゚ノノ 「それには心当たりがある……あります。
        絶望樹っていう魔界の樹なんですが……」




そこまで告げた時、クーはハッとした表情で息を飲んだ。

Σ∫λリ;゚ -゚ノノ 「あっ! そう言えば、ペン達が……」

「クーさん、クーさぁん!」

刹那、まさに図ったようなタイミングで、一本のボールペンが飛来した。

ひゅーん………ぷに。

Σ∫λリ//-/ノノ 「ふぁ!?」

そのまま彼女の右胸をクッションにして止まると、元の形状に変容しつつ、着地する。

(; ^ω^) 「クーさん、大丈夫でしたかお!?」

(,,・д・) 「……」

(( ∫λリ# - ノノ )) 「ははは、お前は心配なさそうだな」

(; ^ω^) 「はいですお、偶然、ある人に助けてもら……って、あれ?」

激しい打擲の音色が、止まぬメロディとなって辺りに木霊する。

(;-_-) 「よかった、無事だったんだ……」

社務所の角から、困憊した様子のヒッキーがよろよろと顔を出した。





∫λリ゚ -゚ノノっ<;゚;ω(#;) 「痴漢野郎か……ま、お前も何事もなくてよかった」

(-_-) 「……はい。 こちらの人に助けてもらって」

続けて、彼の後方から、背の高い人物が姿を現す。

Σ∫λリ゚ -゚ノノ 「あ、あんたは!」

(´<_` ) 「よう」

痩身で、スーツの上に尺の長い白衣を着た男が、クーの姿を見止めて片腕を挙げた。

(,,・д・) 「おお、あんたも来てたんでちか」

(-_-) 「……お知り合いですか?」

当然の疑問を浴びせるヒッキーに、クーが伝える。

∫λリ゚ -゚ノノ 「Dr. オトー……霊媒科学の第一線で働く研究者だ」

流石音次郎、通称 ”Dr.オトー”。
クーがその身を寄せる、流石霊媒事務所。
その所長を務めるアニー流石の弟であるオトーは、
霊媒専門の国家機関に所属する科学者であり、一流の退魔師でもあった。








紹介されたDr.オトーは、柔和な笑みで口を開いた。

(´<_` ) 「どうも。 独身なのにオトーさんだ。以後宜しく」

∫λリ゚ -゚ノノ 「……」

( ^ω^) 「……」

(-_-) 「ヒッキーといいます、助けていただいてありがとうございました」

(,,・д・) 「……」

(´<_` ;) 「う、うん(渾身の持ちネタだったのに……)」

にっこり笑った顔のまま、時が停止する。
一陣の風が吹き、砂埃とともに枯葉が舞った。

∫λリ゚ -゚ノノ 「ところで、絶望樹はどうなった?」

(´<_` ) 「絶望樹って……さっきの樹木の妖魔だな。
       心配いらんぞ、こいつで灰にしてやった」

そう言うと、オトーは懐中からスタンガンのような機械を取り出す。

(´<_` ) 「対妖魔用実戦兵器S-072。
       通称、ハイパーギャラクティカワンダーミラクルスペシャルうっぴょろぴーガンだ。
       なんかよくわからんエナジーみたいなもんで妖気を吸収し、相手を無力化するスグレモノさ」




∫λリ゚ -゚ノノ 「ほう……」

(-_-) 「そう言えばさっきの樹、どんどん萎れて、枯れてしまいましたね」

(´<_` ) 「奴ら妖魔は、霊気や妖気というエネルギーを動力源として、
       こちらの世界での活動を果たしている。
       妖気さえ吸い取ってしまえば、あんなもんさ。土か魔界に還るほかない」

ハハハと笑いながらスイッチを入れる。
シャキンという金属音が鳴り、空間に螺旋状の歪みが生じたのを確認し、ポーズを決めて向き直る。
そして、その先端はペンのほうを向いていた。

( ^ω^) 「「あ」」(´<_` )

(((ヽ゚ω゚))) シナシナシナ

(´<_` ;) 「お、おお……すまん」

∫λリ゚ -゚ノノ 「……まあ、つまりはこうなるわけか」

一同が納得の表情で頷きあう。

(,,・д・) 「さすがは将来を嘱望される科学者でちねー」

(´<_` ) 「ははは、それほどでも。 あるけどな、うん」

(-_-) (科学者か……DATのことについて、何か知らないかな?)

彼らの会話を他所に、ヒッキーはそのような思索を巡らせていた。



(|||ヽ゚ω゚) 「まったくですお、所長の弟さんとは思えないですお」

∫λリ゚ -゚ノノ 「奴はただのロリコン野郎だからな」

(´<_` ;) 「……なんというか、すまんな、あんな兄で」

(,,・д・) 「しかし、なかなか役に立つ機械でち。ボクの道場にも一台欲しいくらいでち」

クーの真横、腰のあたりにぴったりくっついて、ちびギコが大仰に首を振る。

∫λリ゚ -゚ノノ 「……?」

そしてそのたびに、どこからか、かち、かち、という音が彼女の耳に留まった。

∫λリ゚ -゚ノノ (何の音だ?)

(,,・д・) 「それで今日はどうしたんでちか? あんたがこっちに来るなんて珍しいでちね」

かち、かち。

(´<_` ) 「いやあ、クーちゃんがこっちで修行してるって兄貴に聞いてな。
       ちょっとちびギコさんに相談があって……勿論そっちが本題なんだが、
       巫女さん姿のクーちゃんを拝んでいこうかなと」

(|||ヽ゚ω゚) 「おっおっおっ、雑用を任せられることはわかってたんですおね」



(,,・д・) 「まあ、そうは言っても、彼女とは今日初めて会ったわけでちけど」

かち、かち。

∫λリ゚ -゚ノノ 「……??」

(´<_` ) 「そうなんですかい?」

(,,・д・) 「祭祀の準備で忙しかったでちからね。
      道場のほうは、派遣で雇った術者に任せてたんでち。
      他の訓練生ともほとんど会ってないでちよ」

かち……ぱしっ。

(,,・д・) 「あっ」

∫λリ゚ -゚ノノ 「……なんだ、これは」

ちびギコが見上げた先、クーの右手には、彼の手に握られていたはずのデジカメがあった。



(,,・д・) 「か、返すでち!」

∫λリ - ノノ 「……ほう」

下から手を伸ばすちびギコの手を払いのけ、画面を覗き見る。
ディスプレイに映し出されていたのは、逆さになったデニムのスカートと、その先に踊る純白のそれ。
撮り立てほやほやの、クーのパンチラ画像がアップになっている。

(;,,・д・) 「ち、違うんでち、不可抗力でち」

∫λリ#゚ ー゚ノノ 「……ふーん、不可抗力ねえ」

ボタンを押してサムネイルを表示すると、華やかにして淫猥な肌色の画像群が、画面いっぱいに表示された。
その殆どが隠し撮りの類で、巫女の着替えや逆さパンチラが大半を占めている。

そして、今しがた会ったばかりのはずの、クーの画像の数々。
胴着の胸元を上から撮ったもの、サラシを巻いた着替え姿、タンクトップのランニング姿、
さらに、パジャマに下着、湯煙に包まれたシャワーシーンまでが収められていた。

∫λリ# - ノノ 「ひょっとして……
         今日まで私の前に姿を現さなかったのは、こっそり盗撮を続けるためだったのか?」

(´<_` ;) 「……」

(;-_-) 「……」

(|||ヽ゚ω゚)「……」



デジカメのメモリの最後のほうには、先刻、ジョルジュに陵辱されているときの画像がこれでもかと並んでいた。
ブラジャー姿の他にも、涙目でかぶりを振る顔のアップや、
絶妙な位置から捉えた立て膝のパンチラなどが至極鮮明に映っている。

∫λリ# ー ノノ 「……へええ、助けてくれたのも、ギリギリまで盗撮を愉しんでからか……」

(;,,・д・) 「……」

八つの視線に注視されたちびギコは、こほんとひとつ咳払いをして、踵を返す。

(,,・д・) 「さて、ボクはこれから祭祀の準備があるので……」

クーの全霊力の篭った右ストレートが炸裂し、曇り空に一筋の星が瞬いた。

−−−



(|||ヽ゚ω゚) 「……ところで、オトーさん。
       師範に相談って、一体何だったんですお?」

真昼の流星を見守ったあと、ペンが蒼い顔でしなしなと呟いた。

(´<_` ) 「ん、ああ、その事か」

その言葉を受け、オトーが向き直って告げる。
手に持ったスタンガンの先端がペンの鼻先に向く。

(((|||ヽ'ω`))) アアアアア

(´<_` ) 「どうにも最近、淫魔の増加が著しい傾向にあるんだ。
      平たく言ってしまうと、エロい妖魔が増えたってことだな」

彼の言によると、電車で痴漢を働き立件される妖魔や、公開露出を行う妖魔、
下着泥棒を繰り返す妖獣などが増え、それに伴う性的事件が急増したらしかった。

(;-_-) 「……やっぱり!」

∫λリ゚ -゚ノノ 「……やっぱりって? 何が『やっぱり』なんだ!?」

ヒッキーが語気を荒げた様子を見て、クーが眉を顰め詰め寄る。

(;-_-) 「……だ、だから! 貴方には説明したじゃないですか!
      DATっていう機械がですね……」



両手を振り一歩一歩下がりつつ釈明した。
もはや何度目かもわからない説明を繰り返したのち、腕組みしていたオトーが唸った。

(´<_` ) 「そんな物が……。 全く、科学者の風上にも置けん輩だな」

(;-_-) 「DAT-DRIVEは、DATの発する催淫電波と、エロ・エナジーの存在をキャッチし、
      その場所まで僕たちを誘導する次元移動装置です。
      僕がここに現れたってことは、近くにDATがあるってことなんです」

(´<_` ) 「そうか、これで話が繋がった気がするぞ」

頷きながら、オトーはぽんと手を叩いた。

(´<_` ) 「ここ数日の話なんだが……。
      この美賦山に存在する霊脈の、気の流れが、異常値を示していたんだ。
      ウチに所属する退魔師や霊媒師たち……、
      彼らが霊視を行っても、その原因がわからなくてな。
      俺はその調査を兼ねて、ここにやって来たわけなんだが」

∫λリ゚ -゚ノノ 「その原因が、DATにあると?」

(´<_` ) 「ああ。目的は霊脈自体か、DATのほうだかはわからないが、
      先ほどの妖魔たちも、その力に誘導されてこの場所に現れたんじゃなかろうか?
      太古から、霊脈は退魔師に重宝される霊磁場である反面、
      妖魔に狙われ易い場所でもあるからな。
      なにせ、霊脈が破壊されると近辺の霊的バランスが崩れてしまう。霊的急所ってやつだ」

(|||ヽ'ω`)「きっとそうですお。 さっきの絶望樹もどきはその布石ですお」



∫λリ゚ -゚ノノb 「話を要約すると……つまり、DATは近くにあるってことだな」

(;-_-) (だから、最初からそう言ってるじゃないですか……)

胸を張って自信たっぷりに結論づけるクーを見て、ヒッキーは短い溜め息を漏らした。
ペンがよろけながら言葉を続ける。

(|||ヽ'ω`)「絶望樹は、美賦山の霊脈に根を張る気かも知れませんお。
       絶望樹もどきを使ってきたのも、きっと……」

∫λリ゚ -゚ノノ 「おいペン、さっきから『もどき』『もどき』と五月蝿いが、
        さっき私が退治した奴は、”絶望樹”とは違うのか?」

(´<_` ;) (倒したのは俺なんだが……)

(|||ヽ'ω`)「コーチを操っていたのは、間違いなく奴の種子だと思いますお。
       ただ、さっき現れた樹木の化け物は、どうにも絶望樹そのものだとは思えませんお。
       本物の絶望樹は、もっと知能の高い妖魔ですお。
        あの程度の単純な妖魔ではないですお」

∫λリ゚ -゚ノノ 「なんだと……?」

クーはペンの頭部をむぎゅっと掴み、アイアンクローで宙へ浮かした。

∫λリ゚ -゚ノノ 「という事は、本物の絶望樹は……、あいつらなんかとは」

(|||ノシω`)ノシ 「比べ物に、ならない、はず、ですお」



∫λリ;゚ -゚ノノ 「……くっ」

奇怪な能力を知らず、術中に嵌ってしまった事が原因とはいえ、
その傀儡にすら歯が立たなかったという事実が、彼女に重く圧し掛かった。
掴む力が緩み、下方からびたんと軽快な音が響いた。

( -_-) 「……もし、その魔物がDATの力と結びついたら……。どうなってしまうんでしょう。
     事態は一刻を争います。 渡辺さんも心配です。
     絶望樹、とやらはどこにいるんでしょうか?」

(´<_` ) 「一応、妖気計なるものがここにあるわけだが……今のところ反応はないな」

∫λリ゚ -゚ノノ 「というか痴漢男。
        お前のほうこそ、DATを探す手がかりを持ってはいないのか?」

(;-_-) 「そ、それは……」

言いよどむヒッキーの言葉を遮るように、石段の方から男の声が響いた。

「た……大変です!!」

∫λリ゚ -゚ノノ 「!」

息を切らした胴着の男が二人、鳥居を抜け小走りでやってきた。

ハ;゚_r ゚リ 「コーチ、コーチ!! って、あれ!?」

(;´^ω^`)「お、折砂さんじゃないか。 コーチはどこか知らないか?」



∫λリ゚ -゚ノノ 「……お前たちか。あいつならそこに延びているが」

クーは、泡を噴いて仰向けに倒れているジョルジュを指で示した。
その身に張り付いていた氷は既に溶解している。

ハ;゚_r ゚リ 「げっ!? コーチ!? こりゃ一体!?」

∫λリ゚ -゚ノノ 「正義の鉄槌、ってやつだ。
        ときにどうした、そんなに慌てて?
        ただでさえ不細工な顔が、さらにひどくなっているぞ」

ハ;゚_r ゚リ 「……一番ひどいのは、お前の口だっての」

(;´^ω^`)「ゴブリンが、ゴブリンの奴が……」

∫λリ゚ -゚ノノ 「ゴブリン? ああ、お前らの仲間か」

焦燥ししどろもどろの男たちを、クーは容赦無く平手で黙らせる。

涙目で語る彼らによると、つるんでいる三人組のうちの一人の男が、
突如飛来した丸い球体を口にした途端変調をきたし、
神社へ向かって猛スピードで駆け出した、とのことだった。

(;-_-) 「え、それってまさか」

うつ伏せで痙攣していたペンが顔を上げ、震えながら口を開く。

(|||ヽ'ω`)「ぜ、”絶望樹”の種子に、ま、間違いありませんお!」



∫λリ;゚ -゚ノノ 「むぅ……!」

ペンの後頭部を踵で踏みつけながら、クーは驚嘆の声を漏らした。
その時、参道の一番奥、社殿のほうから響く轟音。

(;-_-) 「……!」

(´<_` ;) 「……この音は!?」

∫λリ;゚ -゚ノノ 「しまった! まさか、先刻の騒動に乗じて……」

突然の事態に、男たちは再びあたふたと狼狽する。
彼らをブーツのつま先で蹴り飛ばし、クーは白煙の発生源である神社の拝殿へと急いだ。

−−−


ちと休憩したい。十分程度おくれ。


この、誰もいないようで実はちょっとだけ居る、深夜〜朝方の空気が大好きだ。

投下を再開します。



∫λリ;゚ -゚ノノ 「……これは」

なおももうもうと煙が立ち昇る拝殿。
駆け寄ると、クー達は入り口の前で立ち止まった。

内部は酷い惨状だった。
横倒しの賽銭箱に落ちたしめ縄、赤く塗られた柱が倒れ、祭壇は粉々に破壊されていた。

∫λリ゚ -゚ノノ 「妖魔は? 奴はどこへ消えたんだ」

裏に位置する本殿へと回ってみたが、そちら側は無事だった。
妖魔の姿は影も形もない。

∫λリ゚ -゚ノノ 「おい、どこだ! どこにいる!!」

叫ぶ声が空しく響く。
ピピッ、という音とともに、オトーが腕時計を覗き込んだ。

(´<_` ) 「……クーちゃん、下だ。どうやら下のようだ」

∫λリ゚ -゚ノノ 「……下?」

(´<_` ;) 「妖気計に反応だ。 夥しい量の妖気が、この地下から感知されている」

∫λリ゚ -゚ノノ 「なんだと? どうやって地面の下なんぞに……」



こほんと一つ咳払いし、彼は続けた。

(´<_` ) 「この神社には、地下にもう一つの祭壇があると、ちびギコさんから聞いたことがある。
      御神体とは別に、霊脈の流れを司る意図で作られた祭壇が……」

(;-_-) 「あ、あれは何でしょう?」

ヒッキーは、拝殿の板張りの床へ土足で駆け上がると、一枚の和紙を拾い上げた。
比較的真新しい印象のそれには、墨でへたくそな文章が綴られている。

∫λリ゚ -゚ノノ 「なんだ、それ?」

(´<_` ) 「OK、見せてみてくれ」

紙を渡されたオトーの手元を全員が覗き込む。
筆書きの文章を目で追い、彼は眉間に皺を寄せた。

(´<_` ) 「字体といい紙の新しさといい、古くに書かれたものではなさそうだな。
      このミミズがのたくったような文字は……おそらく、ちびギコさんのか」

(-_-) 「これ、ひょっとして……」

∫λリ*゚ -゚ノノ 「暗号じゃないか!? 地下への行き方を記した、秘密の暗号文」

根拠もなく断言すると、クーは双眸を輝かせる。

(´<_` ) 「まあ、あの人ならやりかねんな、その可能性はある」

(-_-) 「確かに、意味不明な言葉の羅列ですもんね……」



∫λリ゚ -゚ノノ 「問題は、この文章を読み解かなければならない点だな」

暗号文を前にして、彼ら三人は頭を抱えこんだ。

(-_-) 「”けうなる光、黄金色の……?”」

∫λリ;゚ -゚ノノ 「うーん……どういう意味なんだ」

(´<_` ;) 「くそっ、ちびギコさんも、わざわざ遠まわしな事を……」

以下がその文章の全てである。


 かの者荒野に降り立つ時
 けうなる光黄金色の大地を照らす
 じげんだでぃ、その名を微意と発し
 くぎょうの果て権限を委譲する者也
 のっぴきならねえ
 うんこ
 らんらんらん
 を
 み
 ろ
                 
 解読之手助:縦読        』



∫λリ゚ -゚ノノ 「”じげんだでぃ”って、一体何なんだろうな?」

(-_-) 「”かの者”って、誰を表してるんでしょうか……」

(´<_` ) 「いや、俺は”うんこ”の部分に、この文章を読み解く鍵があると思う」

ひとしきり考えた後、やはり全員が首を捻る。

∫λリ;゚ -゚ノノ 「くそっ! わからん、全然わからんぞ!」

(´<_` ;) 「俺もお手上げだ……今まで見て来たどんな数式よりも難解だ」

∫λリ#゚ -゚ノノ 「ああもう、まどろっこしい! イラつく!」

(´<_` ;) 「おいおい、俺に八つ当たりはよせって……」

クーは、今にも暗号文を破り捨てそうな勢いでオトーに食って掛かる。
そんな中、ただ一人彼だけが、網の様に思考の糸を巡らせていた。

(;-_-) (落ち着けヒッキー、お前は探偵だろう?
      考えろ、もう少しで何かが掴めそうなんだ……
      できる、お前ならできるはずだ!)

誰もが忘れかけている設定であったが、彼と渡辺さんはともに事務所を経営する探偵仲間である。



(;-_-) (こうしている間にも、渡辺さんは……。
      ひょっとしたら妖魔に……)

想い人の事を案じ、今一度意識を集中する。
ひとしきり考えたあと、彼の頭上に裸電球が灯った。

Σ( -_-) 「……そうか!」

−−−


 ( <●><●>)  さて、みなさんにはこの謎が解けたでしょうか?
  (U      )つ  ここでもう一度暗号を見てみましょう
    u  u


 かの者荒野に降り立つ時
 けうなる光黄金色の大地を照らす
 じげんだでぃ、その名を微意と発し
 くぎょうの果て権限を委譲する者也
 のっぴきならねえ
 うんこ
 らんらんらん
 を
 み
 ろ
                 
 解読之手助:縦読        』



( <●><●>)この暗号を解く鍵は、一番下にある、『解読之手助:縦読』という部分にあります
         それを踏まえて、暗号の冒頭に注目してください

( <●><●>)お気付きでしょうか?
         この文章に仕込まれた、巧妙なロジック……
         これを解読したあなたは、きっと背筋が凍る思いをしたことでしょう

( <●><●>)では、読者の皆さんにもわかりやすいよう、暗号を区切ってみます


 か の者荒野に降り立つ時
 け うなる光黄金色の大地を照らす
 じ げんだでぃ、その名を微意と発し
 く ぎょうの果て権限を委譲する者也
 の っぴきならねえ
 う んこ
 ら んらんらん
 を
 み
 ろ
                 
 解読之手助:縦読        』


( <●><●>)今回の謎は、少し難しすぎたかも知れませんね
         それでは、物語の続きをお楽しみください

−−−



(;-_-) 「縦読みですよ、縦読み!」

ヒッキーは興奮気味に語気を荒げる。

(´<_` ) 「ん? 縦読み?」

∫λリ゚ -゚ノノ 「どういうことだ?」

( -_-) 「つまり、この文章そのものは特別な文意を持たないってことです。
      これは、縦に読むことによって意味を成すように作られています。
      すると……」

∫λリ゚ -゚ノノ ? 「”のうげぎっんん”? どういう意味なんだ?」

(;-_-) 「なんでそこなんですか、一行目ですよ、一行目!」

(´<_` ) 「一行目……か、け、じ、…く、のうら?」

オトーの言葉を受け、クーはハッと息を飲んだ。
渾身のポーズを決めながら、聡明なる少年名探偵がその事実を告げる。

( -_-)9m 「そうです! ”かけじくのうらをみろ” つまり”掛け軸の裏を見ろ”!
        掛け軸の裏に、祭壇への入り口があるはずです!」

∫λリ;゚ -゚ノノ 「な、なんだって───!?
        でも、掛け軸なんて、拝殿のどこに……?」



その時、横倒しになった賽銭箱の下を指差したオトーが、驚嘆の声を発した。

(´<_` ) 「見ろ、ここに地下への階段があるぞ!」

木製の蓋のような扉が半分開き、暗闇へと伸びる石段がそこから見えていた。

∫λリ゚ -゚ノノ 「何っ……! あ、本当だ」

(´<_` ) 「きっとこれが祭壇へ続く入り口だろう! 急ぐぞ!」

∫λリ゚ -゚ノノ 「よし、わかった!」

周りに散らばった木材や瓦礫をどかすと、クー達はその石段を注意深く下りて行く。

( -_-)9m 「……」

指差した姿勢のまま固まったヒッキーは、この数秒後、
目尻に一筋の煌めきをたたえながら二人の後を追った。

−−−




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