花火2( ><)は打ち上げ花火に願うようです
もしも願いが叶うなら、あなたは何を願いますか?
一瞬の輝きを見せ、はかなく消えゆく流れ星のような
夜空を彩る打ち上げ花火に。
( ><)は打ち上げ花火に願うようです
(* ><)「明日のお祭りのメインイベントといったら花火なんです!」
( ・∀・)「いやいや、女性の浴衣姿以外ありえないよ」
( ^ω^)「モララーは小学生なのにマセてるお」
( ・∀・)「なんだよ。どうせブーンは屋台がメインとか言うんだろ」
(;^ω^)「なぜバレたし」
( ><)「www」
僕はビロード。
VIP小学校に通う2年生なんです。
おマセさんなモララーくんと、食いしん坊のブーンくんと明日の計画を立てているんです。
何の計画かというと、明日あるお祭りについてなんです。
夏休み最後の日にお祭りとは、企画者も粋な計らいをするんです。
wktkが収まらない僕たちは、朝から公園に集まって明日の打ち合わせを進めていました。
(* ><)「楽しみなんです!」
(* ^ω^)「ぶひひ、明日の祭り用にカーチャンからお小遣もらったおw」
( ・∀・)「あ、僕ももらった! ビロードは?」
( ><)「僕はお父さんからもらいました!」
( ・∀・)「なるほど、みんな準備万端ということだな」
( ^ω^)「だおだおwww」
( ><)「あ、そういえば」
僕は盛り上がっている二人に、大事なことを確認しました。
( ><)「二人は打ち上げ花火に何をお願いするんですか?」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「……」
なぜか場の空気が固まったんです。
( ^ω^)「ぶっひゃひゃひゃひゃwww」
( ・∀・)「え、何ビロード、花火と流れ星を間違えてるの?」
一瞬の静寂を打ち破る二人の笑い声。
僕は何か変なことを言ったのでしょうか?
(;><)「お、お父さんが言っていたんです!」
( ><)「『打ち上げ花火が消える前にお願い事をすると叶う』って!」
( ^ω^)「ビロード、お前騙されてるおww」
( ・∀・)「嘘乙」
(;><)「嘘じゃないんです!」
(;><)「ぼ、僕は明日……」
((( 。><)))「打ち上げ花火に、お母さんが帰ってくるようにお願いするんです!」
三( 。><)「うわぁぁあぁぁぁん!!」
(;・∀・)そ「あ、ビロード!
(;^ω^)「どこ行くんだお!」
僕は涙を堪えながらダッシュで家に帰ったんです。
意地悪なモララーくんとブーンくんなんて大嫌いなんです!
( ><)「……」
( ><)「お父さんは、嘘吐かないんです」
( ><)「だってお父さんはとっても物知りなんです!」
< ただいま帰りましたよー
( ><)「! お父さんが帰ってきたんです!」
( ><)「お帰りなさい、お父さん!」
( <●><●>)「ただいまです、ビロード。おばあちゃんは?」
( ><)「夕飯の買い物に行ったんです!」
( <●><●>)「そうですか。今夜の夕飯は何でしょうね?」
( ><)「鯖の味噌煮って言ってたんです!」
( <●><●>)「ふふ、おばあちゃんの煮物が美味しいことはわかってます」
僕のお母さんは、3年前に重い病気にかかって死んでしまいました。
だから、僕の家でご飯をつくるのはおばあちゃんなんです。
おばあちゃんのご飯はとっても美味しいんです。
でも僕は、どの料理よりもお母さんが作ってくれた唐揚げの方が好きなんです。
( ><)「ねぇ、お父さん」
僕はおばあちゃんが作ってくれた鯖の味噌煮をつつきながら、お父さんに尋ねます。
( ><)「打ち上げ花火が消える前に三回願い事を言えば、お願いが叶うんですよね?」
( <●><●>)「えぇ、そうですよ」
( <●><●>)「流れ星よりも消えるまでの時間が長いので、のんびり屋なビロードでも
きっと願い事を三回言い切れるでしょう」
( ><)「はいなんです!」
お父さんが僕の頭を優しく撫でました。
僕はお父さんが大好きです。
('、`*川「ビロード、私からも明日のお小遣をあげますね」
(* ><)「わーい! なんです!」
( <●><●>)「母さんったら、ビロードに甘いんですから」
('、`*川「ワカッテマスほどではないですよ」
('、`*川「さぁ、ビロード。ご飯を食べたらもう寝て明日に備えなさい」
( ><)「はいなんです! お小遣ありがとうなんです!」
('ー`*川「ふふ。ビロードはいい子だから、明日は打ち上げ花火がお願いを叶えてくれますよ」
僕は急いでご飯を食べると、お風呂に入って寝ることにしました。
明日の花火には、お母さんの唐揚げがまた食べたいとお願いするんです。
そしたら、きっとお母さんは僕に唐揚げを食べさせる為に帰ってくるんです。
次の日。
( 。><)「うわぁぁぁん!! なんでお祭りやらないんですか!!」
('、`;川「泣かないでビロード、まだ花火大会もやらないと決まったわけじゃ……」
( 。><)「天気予報では今日一日雨なんです! 今年の花火大会は中止なんです!!」
外では朝から大粒の雨が降っているんです。
天気予報士のお姉さんが「今日の雨は明日まで続くでしょう」と言っていました。
僕の瞳からも大粒の雨がぽたぽたと落ちるんです。
( 。><)「うぅっ、打ち上げ花火にお願いできないんです」
( 。><)「もう、お母さん帰ってこないんです」
('、`*川「!」
おばあちゃんが僕の体をギュッと抱きしめます。
本当はわかっているんです。
打ち上げ花火は、僕の願い事を叶えてくれないんです。
『打ち上げ花火が消える前に三回願い事をすると、願いが叶う』
これは、流れ星に願いを言い切れなかった僕に、お父さんがとっさに吐いた優しい嘘。
そして、例え流れ星に三回お願いを言えたとしても、お母さんは二度と戻ってこないんです。
( ><)「……」
( 。><)ぶわっ
でも僕は信じていたかったんです。
夏の夜空を埋め尽くす大きな花火たちが、天国のお母さんに願いを届けてくれると。
( 。――)zzZ
そうして僕は、泣き疲れていつの間にか眠ってしまいました。
( ・∀・)「ビロード起きろ」
( ^ω^)「もう夜だお」
( 。><)「ふぇっ!」
寝ていた僕を起こしたのは、心の中で大嫌い宣告をしたモララーくんとブーンくんなんです。
外では相変わらず雨が降っています。
きっとまた、二人は僕を馬鹿にしに来たんです。
( ・∀・)「ほら、打ち上げ花火にお願い事するんでしょ」
( ^ω^)「はやく行くお」
(;><)「え、でも外は雨……」
( ・∀・)つ且「ほら」
( ><)「え」
( ^ω^)「これが本日の目玉、市販の打ち上げ花火ですお!」
二人が僕の手を引いて外に向かいます。
外は昼間ほどではないですが、まだ雨が降っています。
その雨の中、モララーくんとブーンくんは傘を差しながら打ち上げ花火をセッティングしているんです。
僕はそれを黙って見ています。
( ・∀・)「ビロード」
(;><)そ「はいなんです!」
( ・∀・)「雨が降ってるから花火が上がるかわからないし、
花火が上がってもすぐ消えちゃうかも知れないから急いで願い事しろよ」
( ><)「……」
( ^ω^)「失敗しても泣くんじゃないお」
ブーンくんが花火に傘を差し、モララーくんが導火線に火をつけます。
とっても危ないんです。
火は順調に導火線から花火の筒へ移動していきます。
そして筒へ到達した瞬間
(;^ω^)「!」
ブーンくんが花火から傘を遠ざけました。
ばひゅっと筒から音が鳴ると、光の球が漆黒の空を目指して昇っていきました。
( ・∀・)「いけ、いけ!」
白い煙を出しながら、光の球は上へ上へとどんどん昇っていきます。
( ^ω^)「おっおっw」
一定の高さまで昇ったそれは、雨の中でぱんっと弾けました。
( ><)
赤い光が四方へ広がり、綺麗な火の花を咲かせます。
僕はそれを眺めながら、また涙を零しました。
( ・∀・)「……」
( ^ω^)「ビロード、願いは言えたかお?」
( 。><)「……」
( 。><)「もう、お願い事はいいんです」
(;・∀・)そ「!」Σ(^ω^;)
( う<)ゴシゴシ
( ><)「……」
( ><)「二人とも、ありがとうなんです!」
( ・∀・)「……いいのか?」
(* ><)「いいんです! 僕は、二人が僕の為に花火を上げてくれたのが嬉しいんです!」
(* ><)「二人とも、大好きなんです!」
(* ^ω^)「ぶひ……」
(* ・∀・)「……」
('、`*川「あらあら、みんな濡れちゃって」
('ー`*川「今日は私がお祭りの御馳走を用意したから、みんな中にお入りなさいな」
( ^ω^)「ぶひ! 御馳走!!」
(;・∀・)「こら、ブーン!」
('、`*川「ふふ。お祭りの屋台と言ったら、タコ焼きにお好み焼きに焼きそば、
唐揚げですよね」
('ー`*川「りんご飴とかき氷も用意しましたよ」
(* ^ω^)「わーいだお!」
(;・∀・)「全部おばあさんの手づくりなんですか? ……すごいなぁ」
('ー`*川「さぁ、みんな体を拭いてご飯にしましょう」
( ><)「はいなんです!」
(* ^ω^)「ハムッ、ハフハフッ! 美味いお!」
( ・∀・)「りんご飴って家でもつくれるのか」
('、`*川「いっぱいあるからゆっくりお食べ」
(* ><)「♪」
みんなで食べるご飯はとっても美味しいんです。
( ><)「……」
(* ><)(実は、こっそり打ち上げ花火にお願いしたんです)
( ><)(“来年も皆で一緒に花火を見られますように”って)
おばあちゃんの唐揚げは、お母さんの唐揚げと同じ味がしました。
( ><)は打ち上げ花火に願うようです おわり
[花火1へ] 戻る [花火3へ] [コメントへ]