('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです4-3 前のページへ] 戻る [次のページへ

342 :4−3:2011/06/02(木) 15:03:30 ID:OeLLN6Qs0

次の日、四人は再び日が完全に顔を出す前に動き出した。

早朝にも関わらず、ヘリカルもテキパキと積み荷を数える手伝いをしている。

*(‘‘)*「おとーさんはえらいんだ♪お日さまよりも早起きで♪お月さまより夜更かしさん♪」

昨日の雨のおかげか、いくらか気温は下がっていた。しかし、妙に空気が絡みつく。湿度が高いためか、ヘリカルを除く大人三人の口数は少ない。

いや、気候以上にもう一つ理由があった。

('A`)「……騒がしいな」

草食獣達の声が、昨日とは比べものにならない位多いのだ。

(,,゚Д゚)「あぁ、準備はしておいた方が良さそうだ」

ギコもこれを的確に感じ取っていた。背に担いでいた【大剣】ジークムントを手に取り、剣先を足で固定し万遍なく研ぎ始める。

草食獣の移動は、一部例外を除き、天敵が現れた時にのみ行われる。

天敵、つまり飛竜だ。

('A`)「フィレンクトさん、積み荷の内容を聞いていいか?」

(‘_L’)「良いですが、様々ですよ。一番多いのは、ユクモの祭りが中止になり余ってしまった“光虫”でしょうか。他にも、アオキノコや、不死虫等もあれば、素材玉等もあります。    しかし、今回の一番の目的は出荷ではなく入荷です。ギルドから大量の“カクサンデメキン”を依頼されたのです」

カクサンデメキン、という言葉にドクオの眉が釣り上がった。


343 :4−3:2011/06/02(木) 15:06:21 ID:OeLLN6Qs0

('A`)「それは……穏やかじゃないな」


カクサンデメキンとは、絶命時に爆散する極めて取り扱いの難しい魚である。 その性質故に生きたまま運ぶ事が絶対条件であり、もし大量のカクサンデメキンを運んでいる途中に一匹でも死んでしまえば、見るも無残なカクサンデメキンの連鎖爆発が起こる。


その使い道は一つ。


('A`)「大樽爆弾Gか……」


(‘_L’)「えぇ、恐らくは。しかし余りに大量の発注だったため、私としても戸惑っています。ギルドは戦争でも始める気なのでしょうかね」


フィレンクトは冗談のように言ったが、これをドクオは否定しなかった。


344 :4−3:2011/06/02(木) 15:20:51 ID:OeLLN6Qs0

(,,゚Д゚)「!!」

不意に地響きが聞こえた。方向は北東。嫌でも気が付く。なにせ木々が薙ぎ倒されながら此方に向かって来ているのだから。

ドス、ドスという継続的な足音。距離にして一キロ。真っ先に悲鳴を上げたのはヘリカルだ。

速い、いや大きいのだ。その一歩の幅が大きいからこそ速い。

足音の大きさ、向かってくる早さからして15mいや、20m級だ。

紛れもなく飛竜、それも成体の。

('A`)「皆荷台に捕まれ!弾き飛ばされるぞ!!」

目の前に差し迫った巨大な竜。フィレンクトとヘリカルは息を呑む。 ドクオは茫然自失して動けなくなったヘリカルを素早く、そして強く抱え込んだ。

次いで衝撃。

数百キロはあるガーグァが、葉っぱのように荷台の更に後方に飛ばされてきた。  荷台はへこみ、半分以上の荷物が地面に散乱してしまった。

厳重な鉄の箱に入れられた物以外は全てひしゃげてしまっている。

('A`)「ギコ、無事か!?」

(,,゚Д゚)「あっ、あぁ。俺は問題ねぇ。ヘリカルは?」

ヘリカルは、突然の飛竜の出現と地面に投げ出された衝撃を受け気絶してしまっていた。

しかし、ぱっと見て外傷は無い。


345 :4−3:2011/06/02(木) 15:22:19 ID:OeLLN6Qs0

『うぅ……ぐぅ……』

問題はもう一人、ガーグァを操っていたフィレンクト。苦しそうな呻き声をあげ、半壊した荷台の前部に挟まれている。

すぐさま狩人二人は己の得物を構え、荷台の前に踊り出た。

(,,゚Д゚)「コイツは……最悪だぞ」

('A`)「……」

二人の前に立ちはだかったのは、飛竜。それも飛竜の中の火竜。

曰く 【天空の覇者】

曰く 【飛竜の王】

曰く 【炎からの使い】


【火竜】リオレウス

深紅を纏う、その身体。
何物をも寄せ付けぬ、その翼。
犯し悶えさせる、その毒爪。

威風堂堂、翼を広げるその姿は正に天空の覇者。  どんな生物であろうとも、その姿を見れば、身を潜め通り過ぎるのを待つという。

吟遊詩人に唄われたその生物が、今にも四人に飛びかからんと迫った。


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