('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです5−3後編
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635 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:36:10 ID:tZ7fnqaMO
興奮しているのか、全身の黒毛が逆立ち、上下に身体を揺らしている。
しかし、獲物を見付けた飛竜が透かさず攻撃に移らない。いや、攻撃出来なかったのだ。
('A`)「……」
それは、自分の前に突如現れたこの狩人の所為だ。
草陰から飛び出してみれば、目の前に無機質な目をした狩人。
その目に、光はなく、慢心もなく、恐怖すらない。
一瞬、本当に瞬き程の間だ。
だが、確かに【迅竜】ナルガクルガの思考、そして本能は停止していた。
その一瞬を見逃す程、ドクオは生易しい男ではない。勿論、背後に控えているツンもだ。
('A`)「会いたかったぞ、ナルガクルガ」
636 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:37:09 ID:tZ7fnqaMO
両手の剣を揃えて頭上に振り上げ、ナルガクルガの顔面を撫で斬る。
そのままドクオは、ステップを踏んで更に距離を詰めた。
ドクオが一歩を踏み出した瞬間、ナルガクルガの眉間に通常弾Lv.2が命中する。
通常弾Lv.2とは、ハリの実を使って作られる、数ある弾丸の中で最も威力のある種類の物だ。
('A`)(ふむ。やはりデレの妹というだけあって、ガンナーとしての心得の基本は出来ているようだな)
637 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:37:51 ID:tZ7fnqaMO
飛竜の皮膚は、堅い。大抵の飛竜の表面は、強固な鱗で覆われていたり、剛毛を纏っているからだ。
そこに一発の弾丸を撃ち付けたところで、飛竜にとってみれば大したダメージにはならない。
効率良く飛竜にダメージを与える為には【剣士】ストライカーが付けた傷口を広げる様な形で、重ねるように狙うというのが理想だ。
ξ-听)ξ「………」
ツンは、姉であるデレから口酸っぱく言われていたので、その事を知っていたし、実行するのに必要な技量も充分持っていた。
ナルガクルガは、執拗なまでの顔への攻撃に、堪らず後退る。
奇襲は成功だ。
この成功は、ツンの眼があってこそ成し得た。
638 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:38:28 ID:tZ7fnqaMO
暗闇に潜むナルガクルガの気配を感じ取り、更にその居場所を的確に見抜く事の出来る【鷹の眼】。
ξ-听)ξ「………」
彼女には、突出した才能があるのだ。
しかし、ここからは小細工の通じない戦いとなる。
純粋に力と技量のぶつかり合い。
ナルガクルガは、身体を捻り、姿勢を低くして、力を溜める。
ドクオは、その様子を見てステップを止め、一度立ち止まった。
一瞬、月明かりが不自然に歪む。
振るわれた、鋭尾。
乾いた音を立てて、辺りの草花の上50cmが綺麗に切り取られた。
('A`)「相変わらず、良い切れ味だな」
何も知らない素人ならば、今の攻撃だけで上下一刀両断にされていただろう。
ドクオは、事前に範囲外に逃れていたため傷一つ無い。
639 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:39:12 ID:tZ7fnqaMO
だが、やはり飛竜の力は圧倒的だ。
【迅竜】ナルガクルガの爪、翼刃、尾、そして牙。そのどれもが人間を一撃で屠るだけの威力を有しているのだから。
('A`)「全く、相変わらずチョロチョロと鬱陶しい奴だ」
しかし恐怖は圧倒的な経験によって打ち消される。
('A`)「脚がお留守だぞ」
ドクオは、後ろ脚をドンドン切り刻んでいく。
ナルガクルガには、後ろ脚を用いた攻撃が無いのだ。
遠慮なく、躊躇もなく、ナルガクルガの後ろ脚には無数の傷が刻まれていく。
640 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:40:46 ID:tZ7fnqaMO
頭を狙うのはツン。
ツンの邪魔をしないように立ち回りながら、間断無くダメージを与えていくのはドクオ。
確かに二人の攻撃は、着実にナルガクルガに蓄積されているだろう。
だが痛みに鈍い飛竜は、まだ変化が見られない。
('A`)「!?」
もう一度、ナルガクルガは先程と同じように体を捻らせた。
しかし先程と全く違うのは、ドクオの体勢だ。
今、ドクオは完全に攻撃の姿勢を取っている。
先程と同じように、ナルガクルガの凪ぎ払いの範囲外から逃れる事は出来ない。
641 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:41:44 ID:tZ7fnqaMO
('A`)「……」
しかし、ドクオの身体は繋がったままだ。
傷一つ付いていない。
後方で見ていたツンは、今のドクオの挙動を理解出来なかった。
ドクオのした事は単純だ。
ただタイミングを合わせて、身体を伏せただけ。
だが、そんな簡単な事ではない。
少しでも姿勢が高ければ、首が飛ぶのだ。
('A`)「……一度目の攻撃の時、1m程の雑草が50cmを残して切られた。だから伏せれば充分に躱せるんだよ」
ξ;゚听)ξ「……」
絶句、ただ言葉を失う。
644 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:47:22 ID:tZ7fnqaMO
('A`)「さて、迅竜。お得意の尻尾振りは通じない。どうする?」
驚愕していたのはツンだけではない。【迅竜】ナルガクルガも、驚いていた。
そして、悟ったのだ。
相手の力量を。
爪を振れどスルリと躱され、尻尾を振れど逃げられる。
ナルガクルガの攻撃オプションは、それ程多くないのだ。
だからこそ、ナルガクルガは変化を付けた。
今までにない攻撃を選んだ。
一っ跳びで、二人から距離を取り
―――そして
645 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:48:25 ID:tZ7fnqaMO
('A`)「ツン!!!」
尻尾に生えた棘を、的確に飛ばしてきたのだ。
ツンへと。
ξ;゚听)ξ「クッ……」
それを前のめりに、突っ伏すように間一髪で避けたツン。
だが以前にも説明したように、それは最悪の避け方。無防備に投げ出された身体は、少しの間、何も出来ない。
ξ;゚听)ξ(はっ、早く……立たないと……)
避けてから立ち上がるまで。この間、凡そ4秒。
ツンとナルガクルガを隔てていた距離、凡そ50m。
飛竜最速、【迅竜】ナルガクルガにとって50mを4秒、それは余りに容易い。
646 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:49:39 ID:tZ7fnqaMO
ξ;゚听)ξ「!?」
急激に濃くなった‘死の臭い’。
地面から顔を上げたツンの目の前には
ξ;゚听)ξ「……!!」
ナルガクルガの紅い眼光。そして自分に向けて振り上げられた、余りに強靱な前脚。
ツンの視界が真っ白になる。
次いで柔らかな衝撃に吹き飛ばされる。大木が揺れるような、大きな音が耳を突く。
ξ;--)ξ「………」
647 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:50:07 ID:tZ7fnqaMO
しかし痛みは無かった。
ξ;゚听)ξ「……えっ」
身体に傷は無い。痛みも無い。
ξ;゚听)ξ「……どうして。私は、たった今ナルガクルガの前脚で吹き飛ばされたはずなのに」
答えは、自分の足元に落ちていた。
銀色の短剣。
あの人が、ずっと握り締めていた美しい双剣のうちの一つ。
それが意味するのは――――
648 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:50:33 ID:tZ7fnqaMO
('A`)『お前の一歩を、俺が護ろう』
649 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:51:09 ID:tZ7fnqaMO
頭の中で、滝で見たモノとあの人が重なる。
ξ; )ξ「ヴォエ……ウゥ……」
胃からせり上がってくる吐き気。
あの人が、私を庇ったという事なのか。
私みたいな、村の人達に貢献出来ない新米を。
どうして、私なんかを。
私に、そんな価値なんて無かったのに。
650 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:51:42 ID:tZ7fnqaMO
ξ; )ξ「……違う」
まだ死んだとは決まったわけじゃない。運が良ければ、助かっているかもしれない。
吹っ飛ばされたであろう草村の中から、あのやる気の無い気怠い表情で、颯爽と現れないのは、きっと何らかの怪我で歩けない状態になっているのかもしれないじゃないか。
自分の中に浮かんでくる、〜〜かも、という希望的観測に今は全力で縋り付く。
ξ゚听)ξ「……だから、私がコイツを倒せば」
そうすれば助けられるかもしれない。
あの人を。
途端に、全ての音が少女の中から消えた。
此処にいるのは、私と眼前のコイツだけ。
コイツを倒せるのは、私しか居ないのだ。
あの人を助けられるのは、私しか居ない。
651 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:52:17 ID:tZ7fnqaMO
ツンは全力で走った。逃げるのではない。
自分の距離に持ち込む為には、やはり離れなければならない。
ナルガクルガは、一人を倒せた事に気を緩めたのか追撃する素振りすら見せない。
40m程離れた所で、一度だけ深呼吸をする。
酸素を全身から取り入れ、そして留める。
姉のデレが、集中する時によく行う癖である。
652 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:52:49 ID:tZ7fnqaMO
ここから弾を撃ち切るまで、一切息をしない。
装填した弾丸は、通常弾Lv.3。
通常弾Lv.3は炸裂式の弾丸だ。目標に命中すれば、それが弾け、跳弾を繰り返して複数回に渡りダメージを与える。
その分、一発のダメージは通常弾Lv.2よりも低いが、跳弾を利用すれば最大威力の弾丸となる。
勿論、この弾丸は玄人向けだ。
しかし、ツンは迷わずそれを選んだ。
ξ-听)ξ「……やってみせる」
653 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:53:23 ID:tZ7fnqaMO 心に浮かべるのは、姉から教わった【狙撃手】ガンナーの心得『F・E・L・P・S』だ。
【Fulmetal Heart】
何にも左右されない‘鉄の心’を持て。どんなに危機的状況でも、クールに対処しろ。
【Speedy Finger】
ツンは、冷静に、そして素早く引き金を引き絞った。
ガンナーにとって、機敏に動いてくれる指は財産である。
放たれた弾丸は、真っ直ぐにナルガクルガの眉間の上に命中した。
ドクオが付けた傷口に。
翼に一発、前脚に一発、そして胴体に一発。
三回の跳弾、計四発の弾丸がナルガクルガを襲う。
しかし、それを気にする事もなくツンの指は淀み無く動く。
654 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:53:59 ID:tZ7fnqaMO
【Eagle Eye】
ナルガクルガの些細な動きも見逃すな。
何処にダメージが蓄積されているのか。敵がどう動くのか。
それを見極めるのは、全て己自身の眼だ。
鷹の様な眼で、何時、どこに、撃ち込めば良いのかを判断しろ。
ξ-听)ξ「………」
無言で弾丸を撃ち続けるツン。
その全てが弱点である頭部に命中している。
驚くべき早業、そして正確性。凡そHR2の新米とは思えない。
655 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:54:29 ID:tZ7fnqaMO
しかし、相手は【迅竜】ナルガクルガ。そう易い相手ではない。
断続的に自分を傷付ける痛みに耐えて、死力を尽くしてツンに跳躍する。
そしてナルガクルガの十八番、鋭尾振りを見舞う。
しかし‘鉄の心’が揺れる事はない。
ドクオが示してくれた様に、姿勢を低くしてそれを回避する。
――――そして
656 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:54:52 ID:tZ7fnqaMO
ξ#゚听)ξ「こんのおぉぉおお!!!!!!クソ野郎ォォオオッ!!!!!!!!!」
657 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:55:33 ID:tZ7fnqaMO
自らのボウガンを、ナルガクルガの頭上に叩きつけた。
【Preparation Carefully】
ガンナーの戦いは、モンスターと遭遇する前から始まっている。
弾丸の調合、ボウガンの整備。
その全てを自らの手で入念に行う。
だからこそ、こんな使い方をしても壊れない。
【迅竜】ナルガクルガも、この攻撃には目を回した。まさか打撃によってダメージを受けるとは思っていなかったのだ。
今まで、ドクオから受けた斬撃による蓄積。ツンから受けた射撃による蓄積。
それら全てが、最後の打撃で遂に溢れだした。
658 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:56:08 ID:tZ7fnqaMO ξ゚听)ξ「!!」
結果【迅竜】ナルガクルガは、後ろ足を引き摺りながら、必死に逃げだした。
ξ-听)ξ(行ける、かもしれない)
それでもツンは、撃つ事を止めない。
何度も何度も、引き金を絞る。
ここで仕留められなければ、ナルガクルガは跳んでしまう。
あのダメージでは遠くまでは、行けないだろう。
しかし自分の体力的にも、ここで決着を付けるのが賢明だ。
659 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:57:01 ID:tZ7fnqaMO
――――だが無情にもナルガクルガは跳んでしまった
660 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:58:01 ID:tZ7fnqaMO
ξ;゚听)ξ「クッ……」
これで又、振り出しに戻った。
ナルガクルガを探す所から始めなければいけない。だが、それよりも今は、あの人の状態を確認するのが先決だ。
ξ゚听)ξ「……ふぅ」
ここで息を付いてしまった。溜めていた息を抜いてしまったのだ。
――――ナルガクルガの最大の脅威とは、その【狡猾さ】にある
ξ;゚听)ξ「……ぁあ」
ナルガクルガは跳んだ、確かに跳んでいた。
しかし去っていなかった。
661 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:58:39 ID:tZ7fnqaMO
ナルガクルガが跳んで来たのは私の真上。
迅竜の最大威力攻撃【尻尾落とし】だ。
跳躍によって落下スピードを付けたナルガクルガの尻尾。その先からは、鋭利な棘が飛び出している。
ξ; )ξ「………」
最早此処まで。先程助けてくれた人はもう居ないのだから。
迫り来る尻尾はコマ送りの様に、ゆっくりと、そしてはっきりツンに向かっている。
ξ; )ξ(……お姉ちゃん、ゴメン)
走馬灯の様に、様々な想いがツンの胸に去来した。
ξ;;)ξ(……もっと、ブーンと、一緒に居たかったな)
そして、少女は目を閉じた。
662 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:59:21 ID:tZ7fnqaMO
―――言っただろ
('A`)「お前の一歩を、俺が護ろう」
悲鳴があがった。ツンの物でも、誰の物でもない。
ナルガクルガが、悲鳴を挙げたのだ。
次いで、何かが音を立てて落ちてきた。
それは、ナルガクルガの尻尾だった。
ξつ;)ξ「……ふぇ?」
目を擦り、いつの間にか溢れだしていた涙を拭う。
そこに‘光’が見えた。
663 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:00:09 ID:iEQdeEDkO
('A`)「すまない。ちょっと出てくるのが遅れたな」
ξつ;)ξ「………」
ツンには理解出来ない。どうしてドクオが、此処にいるのかを。
('A`)「よく頑張ったな」
ξつ;)ξ「バッ、バカじゃないのっ!!生きてるのなら、もっと早く出てきなさいよっ!!!」
怒鳴る少女に、男は照れ臭そうに頬を掻きながら答える。
('A`)「余りに綺麗だったんで、見惚れてたんだ」
ξ////)ξ「……あぅ」
轟沈した。
664 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:00:55 ID:iEQdeEDkO
ドクオは、ポンポンとツンの頭を優しく叩き、言った。
('A`)「ツン、よく見ていろ。今から、お前等の目指す事になる頂点、その一端を見せよう」
ツンは静かに頷いた。
尻尾を斬られ、身体中には弾痕が残る。
だがナルガクルガも必死だ。
その眼の闘志に翳りは見えない。
そこに悠々と近付いていく男。
('A`)「よぉ、ナルガクルガ。お前のお陰で良い物が見れた。礼を言う」
言いながら、ドクオは器用に地面に落ちていた銀色の剣を蹴り上げた。
恐怖を感じた。
ナルガクルガに、一番ダメージを与えたのは、ボウガン使いだったが、この剣士には得体の知れない物があると、本能が悟っていたのだ。
('A`)「お礼に、俺も一つお前に教えよう」
クルクルと空中で回転していた剣が、綺麗にドクオの手に納まる。
『格の違い、って奴をさ』
665 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:01:21 ID:iEQdeEDkO
ドクオの身体が紅く発光する。
ツンは、一目でそれが鬼人化だと分かった。
ξ゚听)ξ(……そういえば、ドクオは一度も鬼人化せずに迅竜と戦ってたわよね。でも、あれは私の知ってる鬼人化とは違う)
余りの発光に、辺りが明るく照らされる。
そんな強い発光を、ツンは見たことが無かった。
666 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:01:44 ID:iEQdeEDkO
('A`)「鬼人化改【天ノ型】」
667 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:02:32 ID:iEQdeEDkO
それは、一瞬の出来事。
ツンには、何も見えなかった。
気付けば、背後に双剣を納めたドクオが、普段の表情でこちらに帰ってきていたのだ。
ナルガクルガの尖爪、六本を持って。
668 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:03:30 ID:iEQdeEDkO そして彼は言う。
('A`)「ツン!【狙撃手】ガンナー最後の心得は?」
手は自然と動いていた。
装填していた通常弾Lv.3を抜き取り、再装填したのは貫通弾Lv.2。
ガンナーの心得『F・E・L・P・S』
最後の一つ。
ξ#゚听)ξ「こんのおぉぉおおお!!!!!!」
【Last Finish】
最後の仕上げは、ド派手にブチ込め!!!!!
弾丸は、ナルガクルガの左眼を貫き、天へと昇った。
669 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:04:01 ID:iEQdeEDkO
「ふむ、全力で駆け付けてはみたものの。余計なお世話だったかな」
どこからともなく聞えてきた独り言は、風に流され森の奥へと消えていった。
670 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:05:08 ID:iEQdeEDkO
帰る道すがら、ツンはドクオに、あの時の事を尋ねた。
ξ゚听)ξ「あの時、ドクオは私の事を庇って、ナルガクルガに吹き飛ばされたと思ったんだけど」
('A`)「ん、あれは単純にお前を押しただけだぞ?」
ξ゚听)ξ「はぁ?じゃあ、なんで片っ方の剣を落としたのよ?」
ドクオは照れ臭そうに頬を掻いた。
('A`)「急いでたから、落としちゃった」
ξ;--)ξ「ちょっと……。急いでいて武器を落とすって、新米でもやらないわよ。本当に、凄いのか、ドジなのか分からないわね」
671 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:05:36 ID:iEQdeEDkO
ふと、ここでツンはある事に引っ掛かった。
あの時、ドクオとナルガクルガは割りと近い位置にいた。
それで、私をナルガクルガの攻撃が届く前に押したという事は
ξ;゚听)ξ「あっ、あんたっ!それって、ナルガクルガよりアンタな方が……」
('A`)「ん?」
そこまで言って、ツンは言うのを止めた。
聞こうと思ったが、この人なら平然と頷くだろうと、分かってしまったからだ。
ξ゚听)ξ「ドクオ、ありがとね」
('A`)「ん、気にするな。先輩が後輩を指導するのも仕事の内だよ」
―――そういう意味じゃないんだけどな
その言葉も、少女は自分の胸に留めた。
672 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:06:47 ID:iEQdeEDkO
('A`)「おっ、ツン。お前の“道標”と“支え”が来たぞ、って。見えてるよな、お前なら」
ξ*゚ー゚)ξ「ふんっ、当り前よ。私を誰だと思ってるの」
ずっと先。まだ小さな点だか、確かに見慣れた二人が此方に走ってきてる。
ξ゚ー゚)ξ「ねぇ、ドクオ。でも、貴方が居たからこそ、私は本当の意味で一歩踏み出す事が出来たのよ?」
少し間があって
「……いや、そんな事はないと思うぞ」
少女は、言ってから恥ずかしくなり男の顔を見れなかった。
だが、一つだけ分かる事がある。
それは、きっと今ドクオは頬を掻いているという事だ。
673 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:08:18 ID:iEQdeEDkO
帰ったドクオを待っていたのは、ギコだった。
(,,゚Д゚)「ドクオ、ギルドマスターがお呼びだ」
ギコが、ギルドマスターと呼んだ時点で、何か切迫した事態が起こったのだと、ドクオは確信した。
('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです
第五話 END
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