('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです6−4 前のページへ] 戻る [6−5へ

149 :6―4:2011/12/19(月) 22:43:14 ID:f.54VduIO

アイルーの体毛は非常に敏感である。特に、電気という物に対しては顕著にそれが表れる。

(*゚∀゚)「ニャっ!」

(;*゚ー゚)「みゃっ!?」

二人と二匹。まだ山頂には遠いが、ツーとしぃの敏感な毛は、ジンオウガの発する電気を受けてパチパチと音を立てている。

(,,゚Д゚)「ドクオ、何か心構えみたいなもんはあるか?」

('A`)「G級と対するに当たってか?」

ギコとドクオ、そしてツーとしぃは、ゆったりとした足並みで山を登る。


('A`)「そうだな。G級というのは、言われている様に“災害指定”だ。それをモンスターと考えるのはナンセンス。名の通り一種の災害と考えろ。それにこれから戦うのは未知の相手。何の予測も立たない。だからこそ、今までの知識を捨て、柔軟に対応する事が必要となる」

(,,゚Д゚)「なるほど」

('A`)「加えて知識を捨てろと言ったが、経験を捨てる訳じゃない。そのモンスターを見れば、骨格や、体付きから、ある程度予想がつく。それは、今までの自分の経験から導かれる物だからな」

ギコは、その言葉に頷く。ドクオとは先のリオレウス討伐戦以来、狩りには出ていない。しかし、ドクオの実力は充分に理解しているし、彼が話してくれる事は、G級に成ったばかりのギコにとっては有益な事ばかりだ。


151 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 22:45:22 ID:f.54VduIO

(,,゚Д゚)「………」


ギコは少しブーンを羨ましく思った。最近ではドクオに師事し、その腕をメキメキと上げているらしい。出来る事ならギコもドクオに教えてもらいたい事が一杯あった。
だが、ギコが狩りに出なければユクモのギルドの運営に支障を来す。HR2の新米であるブーンだからこそ許されるのだ。


デレも事ある毎にドクオに付き纏っているようで、遠くないうちにHR5に昇格するだろう、と言われている。


('A`)「………」


他人と積極的に関わろうとしないドクオだが、相手から話し掛けられると意外と熱心に話していた。
良い事だと思う。狩人発祥の地、ドンドルマでの経験はぬるま湯に浸かっていたユクモの狩人達には、良いカンフル剤になっている事だろう。


152 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 22:46:57 ID:f.54VduIO

ドクオが来てから、ユクモの狩人の質は確実に上がっている。ブーンしかり、ツンしかり、デレしかり、そしてギコもだ。加えて他の狩人達もドクオと狩猟に行く事が増えた。


(,,゚Д゚)(楽しみだゴルァ)


これから、ユクモの狩人達は強くなる。未だHR6となるとギコしかいないが、HR5にはビロード、ワカッテマスというギルド生え抜きの若手がいる。そこにデレが加わるのも、そう遠い話ではないだろう。


それにブーンとツン。彼らには何より、強き血と恵まれた環境があった。ベーンさんから受け継いだ血、狩人の姉と鍛冶屋の父を持つツン。それを指導するドクオ。


(,,゚Д゚)(俺もうかうかしてらんねぇぞゴルァ)


あの二人ならばHR4くらいまでならば、一足飛びでなってしまいそうだ。


それに【騎士派】ではあるが、モララーもいる。


ロマネスク、ベーンがユクモから居なくなり、フォックスが引退して以来、世代交代に失敗したユクモに、黄金時代が到来する。


そんな予感が、ギコにはしていた。


153 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 22:50:21 ID:f.54VduIO

(*゚∀゚)「ドクオ」

('A`)「ん、どうした?」

山頂までは、まだ遠い。ツーは足を止め、ドクオに呼び掛けた。

(*゚∀゚)「なんでドクオは、この狩りにオレっちを連れていこうとしなかったんだニャ?」

('A`)「あぁ、その事か」


そう、ドクオは今回の狩りにツーを伴うつもりはなかった。ツーにそれを伝えれば、確実にゴネるだろうと予測したドクオは、ツーには何も伝えずユクモを出た。


しかし、村人からも狩人からも慕われているツーに隠し切れるはずもなく、ユクモから全速力で追ってきた彼女に捕まり、連れていく事になってしまった。


154 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 22:51:15 ID:f.54VduIO

('A`)「いや、G級のモンスターは荷が重いと思っただけだ」

(*゚∀゚)「そんじょそこらのヒヨッコよりは使えるニャ」

(*゚ -゚)「ツーは誰の事を言ってるのかにゃ?」


すぐさま喧嘩を始める二匹。溜息を吐いて、ドクオとギコが間に入った。

('A`)「全く、こうなると分かっていたから連れてきたくなかったんだが」

(,,゚Д゚)「お前ら、仲良くしろゴルァ!」


頬を膨らまし不満そうな二匹。


('A`)「足手まといだと思えば、置いていく。忘れるなよ、皆」

(*゚∀゚)「……ニャー」

(*゚ー゚)「ふんっ、しぃの御主人はギコ様なのにゃっ!」


155 :幕間:2011/12/19(月) 22:52:36 ID:f.54VduIO
ドクオとギコが出発した後、ギルドは未だ静寂に包まれていた。
集まっているのは、ざっと数えて五十人程。殆んどのユクモの狩人が集まっている。

( ^ω^)「……」

ζ(゚、゚*ζ「……」

そこにはブーンやデレの姿もあった。
皆、一様に無言。彼らの心にのしかかっているのは、『ジンオウガを相手に、彼ら二人だけで送り出してしまった』という、罪悪感にも似た事実だ。


156 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 22:53:39 ID:f.54VduIO

ζ(゚、゚*ζ「そういえば、ブーン君。ツンちゃんはどうしてるの?」

( ^ω^)「……帰ってから眠ったきりですお。本当に起きてなくて良かったですお」


こんな時、ツンならばどうするのだろうか。
きっと彼女は激怒するだろう。
彼女にとっては、G級だろうがギルドの掟だろうが、そんな小さな柵など関係ない。

『何故二人だけで行かせたのか』

『どうして誰も付いていこうとしなかったのか』


先程のブーンやデレの様に「私が行く」と言うだろう。

そして『自分では、まだ足手まとい』という事実に、何より自分を責める。


( ><)「……ボクも付いていきたかったんです」


そう呟くのは、ビロードだ。HR5の彼は、ギコが猟団長を勤める【荒鷲団】に所属している。ユクモの狩人達の中では、一番ギコと一緒に狩りをこなしてきた。
現に、彼も「ボクを連れていって下さい」と願い出ていた。しかしギコは優しく笑うだけで、頷く事はなかった。


157 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 22:55:25 ID:f.54VduIO

( ^ω^)「……ビロードさん」

( ><)「でも仕方ないんです。ボクが行ってもギコさんの足を引っ張るのは事実ですから……」

ビロードの拳が、ギュッと硬く握られた。



狩人の寿命というのは、蝉の様に短い。勿論狩りで命を落とす、という理由もあるのだが、どんな凄腕の狩人でも30歳辺りで引退するのだ。
ドンドルマには40歳になっても現役という化け物もいるのだが。


今、このギルドに集まっている顔ぶれを見れば、殆どが20代前半だ。


158 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 22:56:31 ID:f.54VduIO

これには、一つ原因がある。


以前語った【騎士派】の興り。狩人という存在に疑念が湧いた時、狩人にならず騎士になるという人間が増えた。
今となってはギコの活躍により狩人になる若者が増えたが、ギコの世代の時は殆どが騎士になった。


空白の世代、そう呼ばれている。今、25〜28までの年齢の者達だ。


( ><)「……」

( ^ω^)「……」

ζ(゚、゚*ζ「……」


新たなる芽は、確かに芽生えていた。だが、未だに新芽。その花を咲かせるには至っていない。


ζ(゚、゚*ζ「そういえば、ビロード君。ワカッテマス君はどうしてるの?」

( ><)「……ワカ君も、ギコさんに付いていきたいって言ったんですけど。やっぱり断られちゃって」




159 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 22:57:06 ID:f.54VduIO




















( <●><●>)『私には、まだまだ力が足りないのは分かってます』









_


160 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 22:58:23 ID:f.54VduIO







( ><)「多分、外で素振りをしてるんだと思います」

ζ(゚、゚*ζ「そっか……」

それきり会話は途切れ、再びギルドを沈黙が支配した。


前のページへ] 戻る [6−5へ