('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです6−5
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161 :6―5:2011/12/19(月) 23:00:29 ID:f.54VduIO
ドクオ達が山に入って四時間が経った。大体山の中腹辺りまで来ていた。そこから、風景が一変する。
('A`)「どう思う、ギコ」
(,,゚Д゚)「分からんが、これは多過ぎるぞ」
(*゚∀゚)「こんな数、今まで見た事ないのニャー」
(*゚ー゚)「異常発生ですかにゃ?」
そこには異様な数の雷光虫がいた。虫の習性からか数ヶ所に集まるように浮遊しているが、数が数だけに一つの大きな塊に見える。
(,,゚Д゚)「これが【雷狼竜】ジンオウガの影響だとすれば、近いぞゴルァ」
その言葉にドクオも同意する。
('A`)「雷狼竜に雷光虫、お誂え向きだな。この山に登る最中感じていた小型種達の気配も消え失せているし、居るな。この近くに」
一番最初に武器を構えたのは、しぃだった。
162 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:01:52 ID:f.54VduIO
(*゚∀゚)「でも不思議だニャー。いつも大型が近くに居るなら威圧感を感じるのに、今は全然感じないのニャ」
(*゚―゚)「ジンオウガは未知のモンスターですにゃ。何があってもおかしくないですにゃ」
しぃが言うのも最もだ。それにドクオは、この感覚に覚えがある。
('A`)「自分の強さ故に、俺達に警戒すら払っていないか。相変わらず、竜種というのはナメてくれるな」
(,,゚Д゚)「ここでやるのか、ドクオ」
ギコが尋ねたのは、観察に回るか戦闘に入るか、という事だ。
('A`)「勿論様子見だ。先に見つけて気配を殺し観察する。……だがこういう奴は得てして」
ドクオの言葉は、最後まで紡がれなかった。ユクモ山の頂から少し下がった場所。その岩場から、ヤツが遂に顔を出したのだ。
('A`)「自分から現れちまうもんなんだよな」
163 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:04:05 ID:f.54VduIO
【雷狼竜】ジンオウガが威風堂々、遂にドクオ達の前に姿を見せた。金色の角を持ち、周りに無数の雷光虫を引きつれるその姿は、まさにユクモの神。長い尻尾の先は鎚の様になっており、堅そうな甲殻が備わっている。
また見た目は竜というより狼、獣に近い。翼は見たところ生えておらず、代わりに恐らく翼が退化したのであろう強靭な前脚が備わっていた。
のそりと、住みかと思われる洞窟から顔を出すと
『Waohooooooooo!!!!!!』
吠えた。
('A`)「!!」
(,,゚Д゚)「!!」
164 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:07:24 ID:f.54VduIO
唐突の遠吠えに、思わずドクオとギコは耳を押さえる。だがこの距離から、あの声量。翼こそないので、飛竜ではないが、間違いなく飛竜に比肩するバインドボイスだ。
そこから一跳。助走を付けたわけでもないのに、奴はドクオ達の目の前まで跳んだ。
(;,,゚Д゚)「……コイツが【雷狼竜】ジンオウガ」
(;*゚ー゚)「………おっきいのにゃ」
165 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:08:44 ID:f.54VduIO
実際の所、ジンオウガはそれ程大きなモンスターではない。比べるまでもなく飛竜種の方が大きい。だがジンオウガの持つ神々しさ、威圧感がジンオウガを大きく感じさせる。
ジンオウガは、見定めるようにドクオとギコに視線を向けた。
('A`)「ギコ、流石にこの状況だと様子見は無理だな。コイツ、なかなか気配に敏感らしい」
(,,゚Д゚)「おう。覚悟は出来てるぞゴルァ!」
距離は凡そ50m。ジンオウガの脚力を持ってすれば二秒と掛からず詰められる距離だろう。
166 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:09:25 ID:f.54VduIO
('A`)「良いだろう。なら戦おう、ジンオウガ。互いの存在を賭けて」
今ここに、後のユクモに大きく名を残したジンオウガとの戦い。その序章が幕を開けた。
167 :幕間:2011/12/19(月) 23:11:53 ID:f.54VduIO
もう一度、場面をユクモギルドへと戻そう。
心配そうにウロウロと立ち歩く者や、目を瞑り何かを考える者、様々だが共通して言えるのは皆狩りに出た二人を心配しているという事だ。
( ^ω^)「……」
ζ(゚、゚*ζ「……」
嫌な沈黙が包むギルド。
( ^ω^)「!?」
そこに突如として響き渡った大声。
『ブゥゥウウウーーーーン!!!!!!!』
(;^ω^)「おっ!?」
余りの大声にブーンは、反射的に立ち上がって、直立不動の体勢をとった。
168 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:13:04 ID:f.54VduIO
声の主は
ξ#゚听)ξ「……ふぅ」
ツンだ。
(;^ω^)「ツン!もう起きて平気なのかおっ!?」
余りにも予想外の登場に、ブーンは驚くが、ナルガクルガの討伐から帰ったばかりのツンの体調を心配する。
ξ゚听)ξ「なに言ってんの?アンタ、バカァ?あー、バカだったわね」
だが、ツンはそんなブーンの心配を一蹴する。
ξ#゚听)ξ「なんでアンタがここに居るのよッ!!ドクオに付いていってると思ったのにッ!!」
見ればツンは完全武装。先程まで眠っていたとは思えない。具足を身に付けるだけでも相当時間が掛かるというのに。
169 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:13:52 ID:f.54VduIO
ξ#゚听)ξ「アンタ!なにバカの癖に、こんな時だけ賢くなってるのよッ!こっちはアンタを追いかけようと思って、速攻で準備してきたのよッ!!!
そしたら、ギルドに居るって言うじゃない!!なんでドクオとギコだけで行かせたのよっ!!!」
これにはブーンもカチンと来た。自分の気持ちも知らないで、何を勝手な事を。
―――ボクだって
(#^ω^)「ボクだってドクオに付いていきたかったおッ!!!でも『お前にはまだ早い』って!!!そう言われたんだおっ!!!!!」
170 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:15:16 ID:f.54VduIO
二人の興奮したやり取りを聞きながら、一番心揺さ振られたのはデレだった。
ζ( 、 *ζ「………わ」
ξ#゚听)ξ「だからッ!!アンタは、一体どうしたいのよッ!!!力が足りないのだって、そんなの初めから分かり切ってる話よッ!!!」
(#^ω^)「だからッ!!!そんな状態のボクが行ったって足しか引っ張らないお!!!」
ζ(゚、゚*ζ「私、追い掛ける……」
ξ#゚听)ξ「だからぁ!頭悪いくせに、なんで今だけ賢くなってんのよッ!!いつもみたいに………え?」
(#^ω^)「余計なお世話だおっ!!ボクも考えて、考えて、考えたんだおっ!!!それでも、やっぱり……え?」
ξ゚听)ξ「あるぇ?」(^ω^ )
171 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:16:28 ID:f.54VduIO
ζ(゚、゚*ζ「そうよね。ドクオさんには、ああ言われてしまったけれど、やっぱり彼に付いていたいし。確かに、私はまだHR4の中堅だけど、そんなの関係ないわ。いっそのこと、ギルドマスターを脅して、私のHRを上げて貰えば解決だわ。というか【雷狼竜】とか、所詮オオカミ。言ってしまえば、ただの犬だわ。うん、決めた!私、やっぱり追いかけるね!」
172 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:17:49 ID:f.54VduIO
じゃ、と手を上げて軽く挨拶し、デレは風のように去っていった。
取り残された面々は口を開ける他ない。
( ^ω^)「……ツン」
ξ゚听)ξ「なによ」
大きく息を吸い、ブーンは静かに話始めた。
( ^ω^)「ボクには、まだ全然経験が足りないお。飛竜となんて戦った事ないお」
ξ゚听)ξ「私だって昨日初めて戦ったわ」
ツンは、何も問題ないというように気軽に言う。
( ω )「ツン、ボクバカだから。やっぱり、こんなの納得出来ないお」
ξ゚听)ξ「ふんっ。知ってるわよ、そんな事」
ブーンの自虐を、ツンは鼻で笑った。
173 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:18:54 ID:f.54VduIO
―――でも、そんなバカなブーンの事が、私は好きなんだから
_
176 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:21:57 ID:f.54VduIO
( ^ω^)「行くお」
ξ゚ー゚)ξ「うん!」
ユクモの新芽は、開花の時を迎えられるのか。
ドクオとギコの知らない所で、もう一つの物語が始まろうとしていた。
177 :6―6:2011/12/19(月) 23:23:55 ID:f.54VduIO
開戦の狼煙を上げたのは、意外にもしぃだった。
(*゚ー゚)「にゃー、狩りの基本はコレですにゃ」
真っ赤なペイントボールが、ジンオウガに命中する。モンスターの習性を充分に理解しているベテランになればなるほど忘れがちなペイントボールだが、未知とのモンスターと戦う時には必須な道具だ。
ペイントは、【彩鳥】クルペッコ戦でも登場したが、あの時とは状況も意義も全く違う。クルペッコの時は的として使われたが、今回はジンオウガが大きく移動した時に、見失わないようにする為の物だ。
ペイントボールは、弾けると三日は洗っても取れない特殊な染料がモンスターを赤く染め、そこから強烈な臭いを発する。これにより、少し遠く離れた位でモンスターを見失う事は無くなる。
(,,゚Д゚)「まずは一撃だぞゴルァ!!」
ギコが振りかぶった一撃。狙いは頭部。ギコの新たな相棒【焔剣】リオレウスが、唸るようにジンオウガへと襲い掛かる。
178 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:25:16 ID:f.54VduIO
だが、その一撃を
(,,゚Д゚)「んなっ!?」
ジンオウガはバク転の要領で躱した。ジンオウガを捉える事なく大地に突き刺さるギコの大剣。飛竜種には見られない獣特有のトリッキーな動きだ。
ジンオウガは、大剣を引き抜こうとしているギコに透かさず襲い掛かる。
179 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:26:38 ID:f.54VduIO
しかし、これをドクオもまた読んでいた。
背後から取り出したるは、彼の【鋼竜】クシャルダオラ。その最上位種を討伐せし者にのみぞ与えられる双剣【鋼龍双】ラファール=ダオラ。
('A`)「先手は譲ってやれんな」
後ろ脚に斬り込む。ドクオの一振りで、ジンオウガの周りをたゆたう雷光虫達が散る。後ろ脚の爪を抉る様に斬撃を繰り出す。ドクオの繊細な双剣捌きが成せる技だが
('A`)「ふむ。やはり堅いな」
ジンオウガの爪が、剥がれる事はなかった。それどころか、ジンオウガはその体勢から一歩も動かずに反撃を繰り出したのだ。
('A`)「!?」
鞭の様にしなるジンオウガの尻尾。身体は全く動いていないのに、尻尾だけが意思を持っているかの様に激しくドクオを打ち抜かんと動いた。
180 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:27:42 ID:f.54VduIO
(#*゚∀゚)「ニャーアアアア!!!!」
それを防いだのはツーだ。【旗元】ネコ合戦旗でジンオウガの尻尾を、ねじ伏せる様に叩き付けた。だが、大型種の力に勝てる訳もなく、尻尾の軌道をずらすだけに留まる。
(;*゚∀゚)「ニャッ!?」
吹き飛ばされるツー、それを受け止めたのは、しぃだ。
(*゚ー゚)「まったく、しっかりするのにゃ」
(*゚∀゚)「すまんニャー」
ここまでツーの攻撃を入れれば計三回。まともに入ったのはドクオの一撃だけだ。
('A`)「戦い辛い奴だな」
181 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:28:54 ID:f.54VduIO
ギコの攻撃をバク転で躱した様に【雷狼竜】ジンオウガは、飛竜種とは違い、どちらかと言えば牙獣種に近い動きを見せる。ドクオもギコも、やりづらさを感じていた。
特にギコは、牙獣種と戦った経験が少なかった。
ユクモの牙獣種と言えば、ドクオがユクモに来て初めて遭遇した【青熊獣】アオアシラ、凍土の洞窟に縄張りを持つ【白兎獣】ウスクスス、砂漠や火山という暑い場所を縄張りとする【赤甲獣】ラングロトラの三種だ。加えてドスファンゴも数えられるが、この場合は違いが大きいので考えない。
この三種に共通して言える事は、比較的低レベルの狩人に任せられるモンスターだという事だ。確かにどのモンスターも一癖あるモンスターだが、飛竜種に比べれば力不足なのだ。
飛竜種が自分の縄張りに現れれば、この三匹達は身を潜める。それは種としての差であり、なによりも長年の食うか食われるかの関係が今尚色濃く受け継がれているからだ。
182 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:29:41 ID:f.54VduIO
しかしドンドルマの牙獣種は、これに当て嵌まらない。勿論【桃毛獣】ババコンガや【雪獅子】ドドブランコと言ったユクモの牙獣種に近いモンスターもいるが、ドンドルマには例外がいるのだ。
【金獅子】ラージャン、【響狼】カム・オルガロン、【雌響狼】ノノ・オルガロンという飛竜種に比肩する三獣がいる。
この三匹と戦った事があるからこそ、ドクオはある程度【雷狼竜】ジンオウガの動きを予測出来ている。
だがユクモから出た事のないギコには【雷狼竜】ジンオウガが、とんでもない化け物に思えた。
未だ悠然と座し、尻尾だけを振り回すジンオウガ。まるで『お前達に興味はない』という様に。放っておけば、毛繕いでも始めそうだ。
183 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:31:52 ID:f.54VduIO
ギコは折れそうな心に必死で活を入れる。そんなギコの背中を押したのは、やはりドクオだった。
('A`)「ギコ、先に俺が仕掛ける。チャンスがあればお前も来い」
(,,゚Д゚)「お、おう」
ゆっくりとした動きでジンオウガへと近づくドクオ。一歩、二歩、ドクオは歩幅を変えることなく、一定のリズムで歩を刻む。
そしてジンオウガまで、あと五歩の距離まで近付いた時、今まで威嚇する様に激しく動くだけだった尻尾がドクオへと襲い掛かる。
しかしドクオの体勢は万全。ジンオウガの尻尾を、一歩下がる事でなんなく躱す。
('A`)「ふむ。ここまでがお前の間合いか」
数秒でジンオウガの間合いを測ったドクオ。そのギリギリの距離、そこにドクオは立つ。ジンオウガは動かない、尻尾もドクオに攻撃をしていない。
そこからドクオは、円を描く様にジンオウガの周りを歩いた。距離を崩さない様にゆっくりと。
後ろ脚辺りまでドクオが回り込んだ時、ジンオウガの尻尾の動きに変化があった。そこでドクオは、再び一歩“前に”踏み出した。
尻尾は襲ってこなかった。
184 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:33:59 ID:f.54VduIO
ドクオはニヤリと笑みを浮かべて言った。
('A`)「なるほど。そして、ここがお前の視野の限界か」
更に分かった事がある。ジンオウガは触覚でも聴覚でもなく“視覚”で敵を捉えているという事だ。この事実は、かなりのアドバンテージとなる。
(,,゚Д゚)「………」
(;*゚―゚)「………」
それを見ていたギコとしぃは、言葉を失う。
確かに理屈は理解出来る。だが、それを実行する気にはならない。確かにドクオの動きは、ゆっくりだ。万全の体勢で敵の攻撃を躱す事になる。しかし、だからと言って確実に躱せるかと言われればNOだ。
(;*゚―゚)「ご主人様、あの人少しおかしいですにゃー」
185 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:37:01 ID:f.54VduIO
この中でドクオの戦いを初めて見るのは、しぃだけだ。以前に酒場でドクオを目にしていたが、しぃは正直ドクオの実力を疑っていた。確かに己の主人であるギコとドクオを見比べれば、体付きには大きな差がある。
それにドクオの目。
しぃは『生きているのか、死んでいるのか分からない』と思った。少なくとも、しぃが見てきた狩人達は、もっと生き生きとした、生に貪欲な目をしていた。
それを理解したしぃが感じたのは恐怖だった。
どうして今の状況で平然としていられるのか、自分の理解出来ない事に恐怖を抱く。それはヒトもアイルーも同じだった。
186 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:38:08 ID:f.54VduIO
(,,゚Д゚)「……」
(*゚ -゚)「……」
ギコとしぃが、ドクオの存在に戦慄する中、ツーだけは彼をサポートすべくジンオウガへと向かって行った。
(*゚∀゚)「ニャー!」
嵐の様な尻尾に突っ込むのは下策。だからと言って、未だジンオウガが使っていない前脚等に攻撃を加えるのも予想外の反撃を食らうリスクを考えれば避けたい。
やはり、一番無難なのは先程ドクオが死角と見抜いた後ろ脚付近だ。
ドクオのゆったりとしたステップとはちがう、四足歩行生物独特の細かく刻まれた動き。
剣斧が唸りをあげた。突き刺さりはしないが、ジンオウガの後ろ脚に、傷を付ける事に成功したのだ。
(*゚∀゚)「まだまだ行くのニャー!!!」
透かさずツーは前脚と後脚の隙間を縫うように走り、ジンオウガの顔面を抉る様に斬撃を放った。
187 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:39:00 ID:f.54VduIO
(;*゚∀゚)「ニャッ!?」
今度の攻撃は当たらず。先程ギコの攻撃を避けた時と同じように、ジンオウガはバク転でツーの斬撃を躱した。
余りにもトリッキーな動きにツーも一瞬惚けるが、直ぐに持直しジンオウガを見据える。
追撃の気配は無いようだ。
('A`)「やはり後脚だな。それにコイツ、向こうから攻撃する様子が見られない」
(*゚∀゚)「ニャー、今の内に出来るだけ弱らせたいニャー」
ドクオとツーは、再び攻勢をかける。今度は左右に別れて同時にだ。
ここでのツーの攻撃は目を見張る物がある。ユクモ合戦旗で三連撃を食らわせる。透かさずジンオウガの尻尾が飛んでくると見るやいなや、後に跳び退きブーメランをぶつける。
流れる様な攻撃が、確実にジンオウガにダメージを与えていく。
だがドクオは更に上を行った。ツーと同じように攻撃をしているが、手数が段違い。凡そ、ツーの四倍から五倍は攻撃しているだろう。
それに加えてジンオウガの尻尾攻撃。
('A`)「尻尾だけは、活きが良いな」
それを自らの双剣で挟み込む様に防いだ。
圧倒的な冷気がジンオウガの尻尾を襲う。【夫婦剣】コウリュウノツガイが、火を司る火竜と雌火竜の双剣ならば【鋼龍双】ラファール=ダオラは、低気圧を司る【鋼龍】クシャルダオラの双剣だ。その属性は氷。
188 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:39:51 ID:f.54VduIO
堪らずジンオウガが後脚で地団駄を踏むと、ドクオは先程のツーと同じようにジンオウガの頭部へと身を滑り込ませた。
しかし二番煎じ。いくらドクオが速かろうと、ジンオウガは再び軽々と巨体を躍らせた。
('A`)「ふむ。確かに俺の今の攻撃は二番煎じだ」
189 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:40:41 ID:f.54VduIO
―――だが お前のソレは三番煎じだ
着地地点。先程までと変わらずキッチリ8m。その着地地点には
(#,,゚Д゚)「ゴルァアアアアアアアア!!!!」
【焔剣】リオレウスを全開まで振りかぶったギコ。
190 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:42:16 ID:kgc9ZLp60 おお
191 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:42:49 ID:f.54VduIO
地震が起こった。そう勘違いしてしまうような一撃だった。
ギコの一撃は、ジンオウガの頭部を的確に捉えていた。
(,,゚Д゚)「どうだゴルァ!!」
狩人の武器の中でもトップクラスの重量を誇る大剣。その一撃は、如何な【雷狼竜】ジンオウガと言えども目を回した。
(#*゚ -゚)「にゃああああ!!!!!」
しぃも鎚を振りかぶり、ジンオウガの頭部へと追撃を加えた。
しぃのネコ轟鎚は、オトモの持つ武器としては規格外の重量を誇る武器だ。それがジンオウガの頭を上から叩きつける。
(*゚ -゚)「やったのかにゃ?」
動きを止めたジンオウガにゆっくり近付く。先程のギコの一撃に、自分の追撃、頭部がカチ割れていてもおかしくない重さの攻撃だった。
192 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:43:25 ID:f.54VduIO
―――しかし
(;*゚ο゚)「ふにゃああああ!!!!!」
しぃは、吹き飛ばされた。何が起きたか理解出来なかった。
しぃを吹き飛ばしたのは、ジンオウガではなくドクオだったからだ。
先程まで彼女がいた場所には、ジンオウガの前脚が突き刺さっていた。少しでも回避が遅れていれば、今頃しぃは串刺しになっていた事だろう。
193 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:44:03 ID:f.54VduIO
('A`)「……」
(,,゚Д゚)「やっと敵さんもやる気を出したみたいだぞゴルァ」
今まで尻尾でしか攻撃していなかったジンオウガが、遂に前脚で攻撃してきたのだ。
『Waohooooooooo!!!!!!』
ユクモの神と崇められる【雷狼竜】ジンオウガ。その力の片鱗が、遂に明らかになる。
『………』
ジンオウガは一吠えすると、ゆっくりとドクオ達へと視線を向ける。
('A`)「……」
(;,,゚Д゚)「……」
この時、初めて二人はジンオウガと見つめ合った。今までの一方的な観察とは違い、初めて睨み合ったのだ。
ギコは、それだけでさっきまでの勢いが雲散していくのを感じた。
今までに感じた事のない威圧感だ。
以前戦ったリオレウスも【空の王】足る威圧感があった。だが今回の相手は神である。全てを見透かされる様な視線にギコは怯んだ。
194 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:45:59 ID:f.54VduIO
変化はそれだけではない。
(*゚ -゚)「ご主人!雷光虫がっ!!」
先程の攻防で散った雷光虫が、再びジンオウガを包む様に集まっている。
そして
『Waohooooooooo!!!!!!』
今までの咆哮よりも、もう一段上の雄叫び。ドクオとギコは耳を押さえた。
するとジンオウガ身体に、またもや変化。
('A`)「蓄電……か?」
雷光虫から電力を借りる様に、ジンオウガと雷光虫の間に回線が出来ていた。光の線は、バチバチと歪んだ音を立て光となってジンオウガへと吸い寄せられていく。
196 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:50:14 ID:f.54VduIO
幻想的な光景。ジンオウガと雷光虫、雷を司る二種による光の嵐。
だが今のジンオウガは全くの無防備。攻撃の絶好のチャンス、とも思えた。
しかし、あの光の奔流の中に突っ込む事は、やはり躊躇われる。
(,,゚Д゚)「……今度は俺が行くぞゴルァ」
ギコは、躊躇う自分の心を押さえつけ駆け出した。ここまでの攻撃は、全てドクオが好機を作りだして成功してきた。
自分も、Gの狩人として後れを取る訳にはいかない。そんなプライドからの行動だった。
(,,゚Д゚)「行くぞっ!」
ドクオが示した様に狙いは後脚だ。【焔剣】リオレウスのリーチならば、ジンオウガの尻尾の完全に射程外から攻撃を与える事が出来る。
(#,,゚Д゚)「うおぉぉおお!!!!」
しかし、それは今までの話だ。動く事を躊躇わなくなったジンオウガにとって、今まで死角だったその場所は、首を少し捻るだけで途端に視認出来るようになる。
横薙に飛んできた尻尾。ギコは攻撃を慌てて止め、前転で躱した。
197 :名も無きAAのようです:2011/12/19(月) 23:51:26 ID:f.54VduIO
(;,,゚Д゚)「………」
この前転一回分、距離にすれば1m強。それがギコに絶望をもたらす。
そこから見る【雷狼竜】ジンオウガの大きさ。今までよりも桁違いに大きく見えた。
静かにギコを見つめるジンオウガは、さながら断罪人の様であった。
(;,,゚Д゚)「……」
前脚が、後脚が、尻尾が、全てがギコを狙っている。
――――避けられない
そう内心思いつつも、身体が動いたのは、今まで何体もの飛竜種と戦ってきたギコだからだ。
己の身体を守るように、大剣を眼前に突き立て姿勢を低くした。
次の瞬間、ギコの目は光に包まれた。
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