('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです 幕間
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255 :幕間:2011/12/20(火) 23:26:10 ID:3OkAeC82O
デレ、ツン、ブーンが無許可で山に登った。その報は、すぐにギルドマスターであるアラマキの元へ届いていた。
言うまでもなく、ドクオ達を手伝いに行ったのだろう。
ギルドに届け出をせずに、狩場に入るなど、本来ならば絶対に許される事ではない。すぐにでも連れ帰らねばならない。
だが、アラマキは今回の事をどう処理しようか迷っていた。
規律を乱す訳にはいかない。分かってはいるのだが、それを決断出来ずにいるのは
ミセ*^ー^)リ「………」
アラマキの目の前で真っ黒なプレッシャーを放つ、ミセリの存在があるからだ。
256 :名も無きAAのようです:2011/12/20(火) 23:26:52 ID:3OkAeC82O
/;,' 3「……じゃから、勝手にあの三人は行ってしまったんじゃろ?」
ミセ*^ー^)リ「い い え。私が不注意で許可を出してしまいました」
三人が山に入ったと聞いたミセリは、疲れていた身体に鞭を打ち、全力で偽装工作を行った。
一昨日は騎士達の独断専行、昨日はツンの【迅竜】ナルガクルガの討伐。今日のユクモ初となるG級の認定。
異例、特例となる処理を、ミセリは一人でこなし続けた。
この三日間、一睡もしていない。彼女の本来であればパッチリと可愛い目の下にも、真っ黒い隈が出来ている。
ミセ*^ー^)リ「……」
/ ,' 3(どうしよ、儂。マジ怖ぇよ……)
257 :名も無きAAのようです:2011/12/20(火) 23:27:55 ID:3OkAeC82O
勿論一部始終を見ていた狩人達には、ミセリが三人を庇っている事など百も承知だ。
だが、このギルドに伝わる不文律。
―――受付嬢は絶対に怒らせるな
その杭が、彼らを動かせずにいた。
258 :名も無きAAのようです:2011/12/20(火) 23:28:34 ID:3OkAeC82O
それもそのはず、以前ミセリに年齢を尋ねた者が居た。二十歳そこそこの中堅狩人だった。
自分の想い人が、ミセリに見惚れているのを見て、少し意地悪を言いたくなったらしい。
ミセ*^ー^)リ「なーいっしょ♪」
次の日、その狩人は狩りに出た。ハチミツ採集という、小銭を稼ぐのには丁度良いクエストだった。
採集用に装甲の薄い、動きやすい格好で孤島に渡った彼女が見たものは、森を食らうほど大きな【尾鎚竜】ドボルベルクの姿だった。
これは堪らない、と全力で逃げ帰ってきた狩人は、文句の一つでも言ってやろうと、クエストを手配したミセリの元へ詰め寄った。
ミセ*^ー^)リ「あれれぇー、私ったら言い忘れちゃってたわぁ!ごめーんねっ★」
狩人全員が引いた。
259 :名も無きAAのようです:2011/12/20(火) 23:29:23 ID:3OkAeC82O
しかも質が悪いのは、ミセリはドボルベルクの討伐も既に手回ししていたのだ。万が一、ハチミツを採りに入った狩人がドボルベルクと遭遇しない様に。
確かにギルドマスターは絶対的存在だ。しかし狩人にとっては、自分達の命を指先だけで左右するミセリの方が恐かった。
ミセ*^ー^)リ「みんなー!皆も“ちゃんと”見てたわよね?」
全力で首を縦に振る狩人。
もうこれはお手上げ、と溜め息を吐くアラマキ。
/ ,' 3「ふぅ。では今回だけは罰則を与えないでおくぞぃ。ただ、危険なのは確かじゃ。すぐに連れ戻すよう何人か送る。それでええか?」
ミセ*゚ー゚)リ「えぇ。私が間違えて了承の判を押しちゃったのが悪いんです」
/ ,' 3「よく言うわ」
ミセ*^ー^)リ「こんな簡単なミスをしてしまうくらい、私を酷使したギルドが悪いんです」
/;,' 3「ほんとうに、よく言うのぉ……」
260 :名も無きAAのようです:2011/12/20(火) 23:30:17 ID:3OkAeC82O
しかしこれにて一件落着。すぐに追っ手を差し向ければ、三人が山を登る前に捕まえられるだろう。
しかし事態は、そう上手く転ばない。
ここで更なる混乱を生み出す人物が表れたのだ。
乱暴に開かれたギルドの扉。明らかに明確な敵愾心が籠もっていた。
( ^Д^)「………」
人を馬鹿にした様な目、騎士の証であるマントを身につけた男。
プギャーであった。
261 :名も無きAAのようです:2011/12/20(火) 23:30:54 ID:3OkAeC82O
ユクモの狩人達の反応は早かった。己の得物を抜き、構え、プギャーを取り囲む様にして立ち塞がる。
( ^Д^)「……はぁ。相変わらず狩人って奴は野蛮ですね。丸腰で入ってきた男一人に、そんな殺気立たないで下さいよ」
そんな狩人達など、目に入らないという様に、プギャーは真っ直ぐアラマキへと近づいていく。
( ^Д^)「そちらも、勝手に突っ走った馬鹿が出たそうじゃないですか」
/ ,' 3「ふぉふぉ、なんの事かのぉ」
周りの狩人達は、プギャーが現れた理由を理解出来ないでいた。何故このタイミングで騎士である奴がギルドにまで、わざわざやって来たのか。
( ^Д^)「先程、フォックス様とキュート様からの命を受けました。我々騎士が、山に入った三人の捜索を行います」
262 :名も無きAAのようです:2011/12/20(火) 23:31:36 ID:3OkAeC82O
ギルドが揺れた。あの頭の堅い騎士派が、狩人の捜索を行うというのだ。こんな事、今まで一度も無かった。
( ^Д^)「狩人の方々は結構。私達が全力を以て三人を救いだします。それを皆様に伝えに来たのです」
静まり返ったギルド。そこから拍手が波紋の様に広がっていく。
( ^Д^)「……よろしいでしょうね、ギルドマスター」
/ ,' 3「……勝手にせい」
その言葉に、プギャーの口が厭らしく釣り上がった。
( ><)「プギャーさん!三人をお願いします!!」
差し出された手を、悟られない様に無視し
( ^Д^)「……えぇ、任せて下さい」
プギャーは小さく言った。
『汚ねぇ手で触れんじゃねぇよ、獣臭ェ……』
263 :名も無きAAのようです:2011/12/20(火) 23:32:18 ID:3OkAeC82O
―――
――
―
( ^Д^)「……」
「プギャーさん、見事な演技でしたね」
264 :名も無きAAのようです:2011/12/20(火) 23:33:08 ID:3OkAeC82O
ギルドの外に出るなり、駆け寄ってきた若い騎士。
( Д )「ククッ……ヒハッハハハハハ!!!!!!!」
突如、プギャーは笑だす。腹を抱え、顔を歪めて、彼は心の底から笑った。
m9( ^Д^ )「見たかよwwwwアイツらの顔をwwww何が『三人をお願いします』だwwwwwwww助ける気なんて最初からねーよwwwwプギャーwwwwwwww」
「しかし、これからどうするんですか?我々も山に……入りますか?」
プギャーは、不安そうな騎士を、うざったそうに見た。
( ^Д^)「当たり前だろ。俺達も入るぞ。馬鹿三人は、見つけたら殺せ。少しでも、狩人派の戦力を割けとの命令だからな」
「でもっ!我々だけでは……うっ!?」
反論しようとした男の胸ぐらを掴み、ドスを利かせた声で言う。
265 :名も無きAAのようです:2011/12/20(火) 23:33:53 ID:3OkAeC82O
(#^Д^)「殺すんだよ、それがあの御方の命令だ。それに、先に入った二人もだ。
特にギコはなっ!絶対俺の前に連れてこいっ!!直々にぶっ殺してやるからよぉ!!!」
後を付いていた三人は、余りの剣幕に言葉を失うが、すぐに『はいッ!!』と答えた。
( ^Д^)「……ここで一気に狩人派の戦力を削る。ギコさえ居なくなれば、後は雑魚しかいねぇからな。
ハハハッwwwwwwwwwwww」
狩人達を出し抜いた。そして敬愛する“あの御方”の望みを遂に果たす事が出来る。
プギャーは浮かれていた。
266 :名も無きAAのようです:2011/12/20(火) 23:34:21 ID:3OkAeC82O
―――だから
( ・∀・)「ふむ、これは困ったねぇ」
茂みの向こうで影が動いた事に、彼らは気が付かなかった。
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