( ^ω^)ブーンは装術士のようです1−2
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46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:36:45.22 ID:C3Vj1iJ4O
川 ゚ -゚)「先程私にブーン君を傷物にした責任をとれますかとおっしゃいましたよね?」
J( 'ー`)し「ええ」
川 ゚ -゚)「責任をとるつもりはあります」
(;^ω^)「ええ?」
川 ゚ -゚)「息子さん達を私に下さい」
(;^ω^);'A`)「えええぇぇぇぇぇええ!?」
J( ー )し ' `
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:38:20.02 ID:C3Vj1iJ4O
川*゚ -゚)「すみません、間違えました」
軽く咳払いして訂正し、
川 ゚ -゚)「息子さん達を私に預けて下さい」
J( 'ー`)し「それはどういうこと……?」
川 ゚ -゚)「それはですね」
ブーンとドクオの方を向き、
川 ゚ -゚)「ブーン君、ドクオ君」
川 ゚ -゚)「傭兵にならないか?」
――――そう、言った。
52 名前:ここから新規です:2010/11/20(土) 23:40:17.35 ID:C3Vj1iJ4O
(;'A`)(;^ω^)「え……?」
クールの問いかけに唖然とするブーンとドクオ。
川 ゚ -゚)「ふむ……やはり唐突すぎる話だったか?」
(;'A`)「あ、当たり前ですよ……いきなり傭兵にならないかなんて……」
ドクオの言葉にうん、うんと頷くブーン。
クールの予想外の持ちかけにやはり驚いたようだ。
(;'A`)「ま、まず見ず知らずの俺達にそんな話をする理由を教えて下さい」
川 ゚ -゚)「そうだな、一つづつ説明しなければならないと私も思う。」
その前に一つ君の言葉を訂正させてくれないか、とクールがドクオに対して言う。
川 ゚ -゚)「私と君たちは見ず知らずじゃない」
川 ゚ -゚)「確かに今日出会ったばかりの関係でしかないが、
浅い考えでこの話をしている訳じゃないんだ。それはわかってくれ」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:42:02.85 ID:C3Vj1iJ4O
その言葉と真剣な表情に気押されるドクオ。
(;'A`)「は、はい……」
J( 'ー`)し「それで、話の続きをお願いしたいのだけど」
川 ゚ -゚)「あ、すみません」
カーチャンも真剣な表情をしている。
自分の家族に関する話をしているのだから当たり前か。
川 ゚ -゚)「まず、君たちを傭兵にしようとする理由だったな」
川 ゚ -゚)「私は、フォックスという男を追って旅をしている」
川 ゚ -゚)「その男に、私は元々持っていた魔力のほとんどを奪われてしまったんだ」
川 ゚ -゚)「奴はその魔力を使って何かをしようとしているらしい。
私以外にも魔力を奪われた魔術士や装術士がいると聞いている」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:44:04.81 ID:C3Vj1iJ4O
川 ゚ -゚)「そんなわけで君たちにお願いしたいんだ。私を助けて欲しい」
ここまで話して、クールは立ち上がりブーンとドクオに向かって頭を下げた。
(;'A`)「と、とりあえず理解できました。でも、なんで俺達なんか?」
(;^ω^)「そうですお、何も僕達じゃなくてももっと強い人に……」
確かにクールの言う事が本当であるならば、軍隊や他の傭兵に助力を依頼したほうが早いように思える。
しかし、それができない理由がクールにはあった。
川 ゚ -゚)「駄目なんだ。軍隊は規模が大きすぎてこういった時には動けないし、
傭兵は基本的に利害が絡まない限りは動かない」
クールの言うように軍隊では大事にならない限りは表だって動けず、
傭兵及びギルドは金にならない仕事には極力関わらない、と言った具合だ。
川 ゚ -゚)「まあそれぞれに事情があるのだから仕方のないことだがな」
('A`)「そんなことが……」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:46:21.76 ID:C3Vj1iJ4O
( ^ω^)「でも協力してくれる人も他にはいるんじゃないですかお?」
川 ゚ -゚)「確かにいる。いるにはいるんだが……」
何故か言葉を濁すクール。
疑問に思ったドクオが訊ねてみる。
('A`)「どうしたんですか?」
川*゚ -゚)「いや、その、恥ずかしい話なんだが私は友人が少なくてな。」
傭兵となると余計に、と付け加えて恥ずかしそうにそう言った。
川 ゚ -゚)「こういう状況だと一人でも多くの手助けが欲しい。私の友人もがんばって助けになってくれているが……」
川 ゚ -゚)「さすがに私だけ何もせずに見ているということはできない」
( ^ω^)('A`)「なるほど」
いろんな意味で納得する二人。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:48:35.49 ID:C3Vj1iJ4O
だが、納得できない人間がいた。
「待って下さい」
J(;'ー`)し「今日偶然出会ったウチの子達をそんな危ない事に巻き込むんですか?」
と震えた声で問うカーチャン。心なしか顔も少し青ざめている。
そんなカーチャンを真っ直ぐに見据えてクールが口を開く。
川 ゚ -゚)「すみません。危険と知りつつこんなお願いをしてしまうのは、
私の不徳のいたすところだというのは承知しています」
クールは申し訳なさそうな表情でそう話し、けれど視線はそらさずに
川 ゚ -゚)「ですがもし二人が命の危険にさらされた時は」
川 ゚ -゚)「私の命をかけて守ってみせます」
ここまで喋ってからブーンとドクオの方に向き直り、
川 ゚ -゚)「とまあ、ここまでで一通りの話は終わりだ。もちろん強制するつもりはない、皆で話しあって決めてくれ」
私はしばらくこの町にいるから、と言って帰る為の支度をするクールをカーチャンが呼び止めた。
J( 'ー`)し「あの、もしよろしければウチに泊まっていってくれないかしら?」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:51:03.77 ID:C3Vj1iJ4O
この提案を不思議に思ったクールが
川 ゚ -゚)「何故ですか?私は無理なお願いをして貴女を困らせているんですよ?」
と問いかけるが、
J( 'ー`)し「そうね。でもだからこそあなたを見極めたいの」
あなたの真剣さは嫌でも伝わってきたから、というような事を言った。
なんとなくだが彼女はこの件にまだ納得がいっていない、
だけどちゃんと考えてみたいと思っているのであろうことはこの場にいる全員にも伝わっていた。
川 ゚ -゚)「許されるのであればこちらからお願いします。しばらくここに置いていただけませんか?」
クールの方から許可を求め、
J( 'ー`)し「もちろん」
カーチャンは当然承諾する。
というわけでクールはしばらくカーチャンちに滞在することとなった。
するとブーンが大声で言った。
( ^ω^)「じゃああらためてウチのチビたちにクーさんを紹介しないとだお!」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:53:47.20 ID:C3Vj1iJ4O
と言ったが、クールは何故かキョトンとしている。
と、ブーンは自分の過ちに気づいた。
(;^ω^)(し、しまった!“クーさん”って勝手に呼んじまったお!)
しばし驚いている様子だったクールだが突然、
川*゚ー゚)「……くくっ、ふふふふふふふ」
こうして笑いだしたので今度は逆にブーン達が呆然とすることになった。
川 ゚ー゚)「くくく、すまない。まさか君が私のあだ名を知っているなんて思わなくてな」
(;^ω^)「へ?」
ブーンはクールに呆れられているものだと思っていたので驚いた。
川 ゚ー゚)「私は普段仲間からクーと呼ばれているんだ。君たちにもそう呼んで貰えたら嬉しいよ」
(;'A`)「え、でも、いいんですか?そんななれなれしい呼び方で」
川 ゚ -゚)「ああ。どうも私の名前は堅い感じがするらしくてな」
少しでも親しみをもってくれるなら、ということでむしろ積極的に呼んでも構わないらしい。
川 ゚ー゚)「まああまり嘗められ過ぎるのも困るがな」
68 名前:やべ、『大声で言った』のとこ間違えました:2010/11/20(土) 23:55:56.44 ID:C3Vj1iJ4O
('A`)「……というわけであらためて今日飯作るのを手伝ってくれたクールさんだ」
川 ゚ -゚)「クールです、よろしく。あだ名はクーといいます。
どちらの名前で呼んで貰っても構いません」
と言ってお辞儀をするクールに
子供「どこから来たのー?」「髪キレーイ!」「何してる人ー?」
子供たちが詰め寄る。
これにはさすがのクールも困ってしまったらしく、うっすらと汗をかいていた。
J( 'ー`)し「はいはい、質問は一人づつね。クーさん困っちゃうから」
そう言って子供たちを落ち着かせる様は、さすが母親といえた。
川 ゚ -゚)「さて……質問はこれくらいか?」
大体の質問に答え、一段落ついた所で周りを見渡すと子供たちの中にまばたきが多くなったり、
目をこすったりしている子がいる。
('A`)「さて、そろそろ今日はお開きにしようぜ。みんな眠いだろ?」
それを聞いてまだ元気な子供たちから不満の声が上がるが、クーもドクオの意をくんで
川 ゚ -゚)「すまないが私も少し疲れてしまってな、
あと2日ほどこちらにいるので質問などはまた明日にしてくれないかな?」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:57:33.29 ID:C3Vj1iJ4O
本人にそういわれてしまっては仕方ないので、皆寝室に入って寝る準備をしにいった。
( ^ω^)「おっおっ、今日はいろいろありがとうございましたお」
川 ゚ -゚)「いや、ここに置いて貰っているんだ、これくらいはしないとな。
しかし元気な子供たちだな……圧倒されてしまった」
('A`)「まあ元気が取り柄の奴らですから」
川 ゚ -゚)「みんな楽しそうにしていた……辛いこともあったろうに」
強いな、とクールが漏らす。
( ^ω^)「そうだおね、みんな明るく楽しく毎日生きてるお」
( ^ω^)「それを守るために僕達は頑張らないといけないんですお。
正直褒められるような事をしてないけど」
川 ゚ -゚)「…………」
川 ゚ -゚)(やはり余計な事をしてしまったかな……)
( ^ω^)「でも、」
川 ゚ -゚)「?」
( ^ω^)「このままじゃ駄目だって……それはわかっていたんですお」
( ^ω^)「だから僕は今日クーさんに会えてよかったと思うお」
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:00:34.42 ID:edLaZVmJO
- ( ^ω^)「僕は傭兵になる」
この言葉に説得を半分諦めていたクーは心底驚き、ブーンに聞き返す。
川;゚ -゚)「ほ、本当にいいのか?そもそもそんなすぐに決めなくともいいんだぞ?」
ここまでの会話を黙って聞いていたドクオが口を開く。
('A`)「おい、ブーン。いくらなんでも決断が早すぎだ。
もう少し考えてからでもいいだろ?」
( ^ω^)「たぶん時間をおいても僕の気持ちは変わらないお」
('A`)「それでもだ。カーチャンにも相談しなきゃいけないだろ?」
川 ゚ -゚)「ドクオ君の言うとおりだ。
私から頼んでおいてこんな事を言うのはおかしいかもしれないが……」
( ^ω^)「お、二人がそういうなら……」
その日はそこで話を終え、眠りについた。
翌日、子供たちを起こし、朝ごはんを食べ終えたところで、クーが口を開く。
川 ゚ -゚)「さて、私はいろいろと準備があるから出かけるが、君たちはまた仕事をするのか?」
('A`)「うーん、昨日の今日ですからちょっと今日は……」
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:02:41.52 ID:edLaZVmJO
- ( ^ω^)「チビたちに家族サービスでもしますお」
川 ゚ -゚)「すまない、私がいろいろちょっかいを出してしまったせいで……」
('A`)「いや、今までもちょくちょくこんな感じで休んでたんで大丈夫です」
( ^ω^)「そもそも僕たちが悪いんだから謝る必要はないですお」
川 ゚ -゚)「そうか……じゃあ、行ってくるよ」
クーを見送り、子供たちと遊ぼうかとブーンが思っていると、
('A`)「……ちょっといいか」
こういうやりとりが最近多いなあ、なんて思いながらドクオについていく。
('A`)「……本当に傭兵になるのか?」
ドクオの言葉から少し間があいたが、ハッキリとブーンが答える。
( ^ω^)「なるお」
('A`)「……そうか、仕事はどうする?」
( ^ω^)「ドクオには悪いけど、廃業させてもらうお」
('A`)「まあ、確かにもうそろそろこんなことやめねーとなんて思ってたけどさ……」
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:06:11.06 ID:edLaZVmJO
- だったら、とブーンが、
( ^ω^)「ドクオも一緒に――――」
そう言いかけたのを遮るドクオ。
('A`)「おっと、それ以上言うなよ。俺は一人でも今の仕事を続ける」
先ほど言ったことと矛盾しているドクオの言葉に動揺する。
(;゚ω゚)「な、なんで」
('A`)「俺はお前みたいに、命を預けられる位にクールさんを信じることはできない、それと」
('A`)「俺には果たさなきゃいけない約束があるんだ」
('A`)「お前を引き止めるつもりはない、でも俺も引き下がる気はない。悪いな」
( ´ω`)「お……」
それきり黙ってしまう二人。
しばらくしてそれぞれ、子供たちの所、カーチャンの所に歩いていった。
子供「ブーン元気ねえなー」「どうしたのー?」「アメ食べるー?」
( ^ω^)「お!な、何でもないお!よし、かくれんぼするお!」
自分を励まそうとしてくれている子供に暗い顔を見せてはいけないと思い気を取り直したブーン。
いつもどおりの笑顔で遊ぶのであった。
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:08:10.71 ID:edLaZVmJO
- 夕方になり、クーが孤児院に帰ってきた。子供達はそれを笑顔で迎える。
子供達『おかえりなさい!』
その元気な様子にクーの方も笑顔になり
川 ゚ー゚)「ああ。ただいま」
と答える。
川 ゚ -゚)(ブーン君とドクオ君は……奥にいるのかな)
子供「ブーンなら俺達の部屋にいるぜ!」「なんかね、ブーンなんか元気ないの」「みんなで遊んであげたんだよ!」
まるでクーの心を読んだかのような言葉に少し面くらったが、
川 ゚ー゚)「そうか、わざわざ教えてくれてありがとう」
と子供達の頭をなでながら礼を言い、一緒にブーンのいる部屋に入る。
部屋の真ん中にブーンを見つけたが、確かに元気がなさそうにみえる。
と、ブーンがこちらに気づく。
( ^ω^)「おっ、クーさん。おかえりなさいお」
振り向いたブーンはいつもの通り笑顔だったが、どことなく無理をしている感じがある。
川 ゚ー゚)「君はわかりやすいな……」
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:11:25.48 ID:edLaZVmJO
- そのクーの言葉にいぶかしげな表情を浮かべるブーン。
するとまわりの子供達から
「みんなブーンが今日元気ないって気づいてたよー!」「隠すの下手くそなんだよ」
という声が上がる。だが、ブーンは何故ばれたんだ、と心底驚いたような顔をしていた。
川 ゚ -゚)「ふう、人の感情の機微に疎い私にすらバレバレなんだ。子供達が気づかんわけがない」
( ´ω`)「おー……僕ってそんなにわかりやすいのかおー……」
川 ゚ -゚)「そういうことだ。だから観念して事情を話すんだな」
子供達の前じゃちょっと、ということで部屋を変えて話す。
( ^ω^)「かくかくしかじか」
川 ゚ -゚)「まるまるうしうし……なるほど、ドクオ君はここに残るのか」
( ´ω`)「僕はドクオと一緒に旅をしたいんだお……でもドクオも譲る気はないって」
川 ゚ -゚)「……私が言えた事ではないかもしれんが、
ドクオ君もきっと君と旅をしたいと思っているんじゃないか」
( ´ω`)「え?」
川 ゚ -゚)「『約束がある』という事は約束がなければ旅に出たかった、ということだろ?」
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:14:23.32 ID:edLaZVmJO
- (*^ω^)「おお!ほんとだお!」
まったく根拠はないが、これで少しでもブーンが元気を出してくれたら……そんな考えで口に出した言葉だったが
思った以上に効果を発揮したようだ。
川 ゚ -゚)「さて、夕飯の手伝いに行ってくるよ」
前日と同じく、クーが夕飯の手伝いをしてくれるらしいという事で、子供達は大いに喜んでいる。
特にブーンは昨日の夕飯の味を思い出してよだれを垂らし、子供達に汚いと言われてしまった。
('A`)「ごちそうさまでした」
皆『ごちそうさまでした』
夕飯が終わり、それぞれ思い思いの行動をしている際、ブーンがクーに話しかける。
( ^ω^)「そういえばクーさんは今日何をしてたんだお?」
川 ゚ -゚)「ギルドに行って仕事に関する書類の整理とか……まあそんな感じかな」
( ^ω^)「おー、傭兵も大変なんだおー」
川 ゚ -゚)「そうだな、君も傭兵になればややこしい書類とにらめっこする羽目になるぞ」
(;゚ω゚)「おっ!?そ、そんなの嫌だお!」
川 ゚ー゚)「ふふっ、まあ基本的には私がほとんどやるから心配しなくていいさ」
(;´ω`)「おー……おどかさないでくださいお」
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:16:34.08 ID:edLaZVmJO
- ('A`)「おいブーン」
( ^ω^)「ドクオ?どうしたんだお?」
('A`)「もう一度聞くぞ。旅に出るんだな?」
そう問われてブーンはしっかりとうなずく。
('A`)「そうか、ならもうみんなに伝えとけ。明日になって突然、じゃあみんな混乱する」
ドクオは暗に『出ていくのであれば覚悟を決めろ』と言っているのだろう。
ブーンもそれがわかったのか、了解の意をしめし、みんなを集めた。
突然の招集にみんなざわついているが、それを断ち切るように話し出すブーン。
( ^ω^)「みんなごめんお。今から話をするから聞いてほしいお」
ブーンの真剣な眼差しを見てざわつきがおさまる。
( ^ω^)「ここにいるクールさんは傭兵なんだお。
……実は、僕はこの人についていって傭兵になることにしたんだお」
再びざわめきが起こる。よくわかっていない子供が大半だが、雰囲気を感じ動揺している。
( ^ω^)「だから、みんなとはしばらく会えなくなるお」
今度こそ子供たち全員に言葉の意味が伝わる。べそをかいている子供もいた。
- 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:18:34.54 ID:edLaZVmJO
- 「ぶーんいなくなっちゃうの?なんで?」「いつかえってくるの?」「やだよう……」
泣いている子供をカーチャンがなだめる。
川 ゚ー゚)「愛されているな、君は」
ブーンに向かい、クーが穏やかな表情で話しかける。
ブーンも泣きそうな顔をしていたが懸命に堪えて、言葉を続ける。
( ^ω^)「大丈夫だお。絶対に元気でかえってくるから」
('A`)「明後日の朝にここを出るらしい。みんな話したい事は言っておけよ」
ドクオのその言葉で話は終わり、子供たちが一斉にブーンの所に集まる。
いっぺんに話しかけられてブーンも困っているが、
子供たちと一緒の時間をかみしめるように丁寧に応対していた。
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:21:04.65 ID:edLaZVmJO
- その様子を遠巻きに見ながらドクオは語る。
('A`)「あいつはね、歳の割にガキっぽいんですよ。俺が『兄貴』ならあいつはみんなの『友達』なんだ」
川 ゚ -゚)「……すまない、友達を子供たちから奪うような真似を……」
('A`)「あ、いや、別にそんな責めるつもりは」
J( 'ー`)し「ブーンの自慢をしたかったのよね。
あの子たちがあんなに元気なのはブーンがいたお陰でもあるの」
川 ゚ -゚)「ええ、はたで見ていただけですがよくわかります。彼はみんなを元気にさせる」
その言葉を聞いたカーチャンは安心したような顔で言う。
J( 'ー`)し「……あの子のこと、お願いね?」
('A`)「俺からもお願いします。俺達の自慢の『友達』を……」
クーはしっかりとうなずき、
川 ゚ -゚)「はい、おまかせください」
と答えた。
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:23:25.53 ID:edLaZVmJO
- 翌日になってもまだブーンは引っ張りだこになっていた。
('A`)「こりゃ今日も休業だな」
そう言ってふとドクオは、これからの仕事についてじっくりと考える必要があると気づく。
('A`)(これからは俺ひとり、か……)
技術的にも、精神的にも頼れる仲間がいなくなることに大きな不安を覚えるドクオであった。
あっという間に時間は過ぎ去り、とうとうブーンが旅立つ前の最後の夜となる。
「お手紙出してね」「おみやげ買ってこいよ」「なでなでしてー」
いまだに子供たちがブーンにくっついていたが、さすがに疲れたのかほとんどが寝てしまった。
( ^ω^)「ふう……」
みんなを寝室に連れて行き、一息をつく。
川 ゚ -゚)「ここに居たのか」
( ^ω^)「お、クーさん。どうしたんですかお?」
川 ゚ -゚)「いや、ただ様子を見たかっただけさ」
そのまま二人とも黙り込み時間が過ぎる。
だが不思議と沈黙が苦になることはなく、そのまま寝入ってしまった。
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:25:04.38 ID:edLaZVmJO
- ('A`)「うートイレトイレ」
今トイレを求めて全力疾走している俺は、孤児院にいるごく一般的な男子。
強いて違うところをあげるとするなら盗賊をやってるってことカナー
('A`)「そんなわけで一階までやって来たのだ……って」
ドクオが見つけたのは、二人仲良く寝息をたてているブーンとクーであった。
('A`)「……ったく、妬けちまうねえ」
ドクオは二人が起きないように優しく毛布をかけてやる。
('A`)「おっと、漏れる漏れる」
自分がトイレに行ってないことに気づいたドクオは急いでトイレに行くのであった。
――――翌朝。
朝食を皆で摂り、とうとう旅立つ時間になった。
J( 'ー`)し「ちゃんと毎日宿題して、お風呂に入って、歯を磨いて、風邪なんてひかないようにね」
( ^ω^)「う、うん。わかったお、あれ?ドクオは?」
子供「なんか寝るっていって上に行っちゃった」
( ^ω^)「…………」
- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:26:57.16 ID:edLaZVmJO
- 川 ゚ -゚)「さあ、名残惜しいがそろそろ立つぞ」
( ^ω^)「……おkですお」
すでにまとめてあった荷物を持ち、別れの挨拶をする。
( ^ω^)「じゃあしばらくの間留守にするお。皆、元気でがんばるんだお!」
子供「お前こそがんばれよー!」「元気でね」「またね!またかえってくるよね!」
川 ゚ -゚)「すみません、じゃあ失礼します」
J( ;ー;)し「ブーン、くれぐれも無事で帰って来てね、お願いよ」
カーチャンは、泣いていた。
めったに涙を見せるような人ではなかったが、ぼろぼろと涙を流していた。
カーチャンを慰める子供もいたが、多くはカーチャンと一緒に泣いてしまっていた。
だがブーンは泣くことなく笑顔で
( ^ω^)「いってきますお!」
と言った。そして皆も泣きながら笑顔で
皆『いって、らっしゃい!』
ブーンを送り出した。
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:29:27.14 ID:edLaZVmJO
- 川 ゚ -゚)「さて、まずはギルドで君を傭兵として登録しなくてはいけない」
( ^ω^)「お!そうですかお」
川 ゚ -゚)「一応登録には書類と手数料がいるのだが、手数料は私が払おう」
( ^ω^)「いや、駄目ですお。ここは僕が」
川 ゚ -゚)「ん?どうした?」
( ^ω^)「いやあ、これくらい払えなくちゃこれからもっと大変になると思って」
川 ゚ -゚)「む、そうか。確かに言うとおりではあるな」
持ってきた荷物から財布をとり出そうとするブーン。ふと入れた覚えのない小包に気づく。
( ω )「これはまさか……」
包みを開き、中身を見る。ナイフとそれなりの額のお金が入っていた。
これを入れたのは……
川 ゚ -゚)「……我慢するな。君は今、泣いていいんだ」
( ;ω;)「ゔん゙」
- 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:30:46.30 ID:edLaZVmJO
- ――――孤児院、ドクオたちの部屋
( A )「かっこ悪くて、こんな顔、見せらんねえよ」
(;A;)「がんばれよ、バカ野郎」
―――――――――
川 ゚ -゚)「もう、いいのか?」
( ^ω^)「はい、大丈夫ですお。……よっしゃ!頑張るおおおおおお!」
大声で叫び気合いを入れる。
これがブーンとクーの長い旅の始まりであった――――
第一話終わり
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