( ^ω^)ブーンは装術士のようです 三話
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三話「怪物と陰謀と」
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- 3 名前:>>1様ありがとうございます:2010/11/27(土) 20:07:56.26 ID:xjmKvYIcO
- 朝食を食べ終えた二人は、荷物をまとめながら話をしていた。
( ^ω^)「……そういえば、どうしてあれで出来たんですかお?」
川 ゚ -゚)「?……ああ、じゃがいもの事か。
好きな物ならイメージしやすいといった話を聞いた覚えがあってな」
川 ゚ー゚)「しかし、まさか野菜のイメージで発動できるとは思っていなかったがな」
クーが笑いながら言う。
( ^ω^)「僕も思ってなかったですお」
川 ゚ー゚)「ふふっ、それはそうだ。よし、これでいいな」
出かける準備を終えた二人は宿の主人に挨拶をしに行く。
宿主人「もういいのか」
川 ゚ -゚)「はい。ありがとうございました」
( ^ω^)「ありがとうございましたお!」
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 20:09:38.21 ID:xjmKvYIcO
- 宿をあとにした二人は、ようやく国境まで辿り着いた。
川 ゚ -゚)「遂に来たな。いや、ようやくと言うべきか」
(*^ω^)「おっおっ、早く入りましょうお」
川 ゚ -゚)「ちょっと待て。国境を越える為にも書類を書く必要があるぞ」
(;゚ω゚)「うえぇぇええええ!?」
川 ゚ -゚)「まあ心配するな。傭兵登録の時ほどじゃない」
受付「……はい。これで書類は受理されました。これを持って国境をお通りください」
警備員「おはようございます。ああ、国境ね、はい、どうぞ」
(;^ω^)「案外……すんなり通っちゃったお……」
川 ゚ -゚)「そんなものだ。さあ、行こう」
VIP側の国境も同じようにあっさり通り、とうとうVIPに到着した。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 20:12:24.89 ID:xjmKvYIcO
- (*^ω^)「お?お?お?シベリア側と全然違うお!」
VIP側のガイドラインは確かに道は整理され、街並みは綺麗で、ブーンが驚いたのも無理はないと言える。
しかし、
川 ゚ -゚)「表向きはな」
( ^ω^)「お?どういうことですかお?」
川 ゚ -゚)「あそこにいる客引きの女の子、どういう仕事をしてるかわかるか?」
( ^ω^)「へ?食堂のお姉さんとかじゃ……」
川 ゚ -゚)「娼婦だ」
( ^ω^)「しょうふ……?」
川 ゚ -゚)「簡単に言うと男を捕まえてエッチな事をする仕事だな」
(;^ω^)「おー……」
VIP側のガイドラインは風俗の類いが栄えていて、
噂を聞いた人間達が集まってシベリア側とは比べ物にならないくらい賑わっていた。
シベリア側とは違う理由ではあるが、VIP側のガイドラインもまた、健全な街であるとは言い難かった。
川 ゚ -゚)「さあ、国境は越えたんだ。すぐにでも次の―――と言いたい所だがすまない、少し情報収集をさせてくれないか」
情報収集、と言えばおそらくはフォックスと言う男の事に関してであろう。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 20:17:08.95 ID:xjmKvYIcO
- ( ^ω^)「お、わかりましたお。でもどこに?」
川 ゚ -゚)「こちら側のギルドにもとりあえず行ってみよう。後もう一つ心当たりがある」
先にギルドの方に足を運ぶことにしたのだが、
受付嬢「……うーん。こちらではそういう人を見たとかいう話は聞いてないですね」
川 ゚ -゚)「そうですか、ありがとうございます」
受付嬢「あ、この仕事やりませんか?オススメですよ」
川 ゚ -゚)「いえ、今は別の依頼を受けているので」
受付嬢「そうですか、残念です。また来てね」
やはり有力な情報を得ることはできなかった。となると―――
川 ゚ -゚)「さて、仕方ない。あいつの所へ行くか」
( ^ω^)「あいつって、もう一つの心当たりとかいう?」
川 ゚ -゚)「そうだ。ギルドより少しは期待できる筈だが……」
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 20:21:27.85 ID:xjmKvYIcO
- (´・ω・`)「やあ、ようこそ、バーボンハウスへ。このテキーラは」
川 ゚ -゚)「未成年に酒をすすめるのは止めてくれないか」
(´・ω・`)「やだなあ。ちょっとしたジョークだよ。君こそ僕の決まり文句をぶったぎるのは止めてくれないか」
川 ゚ -゚)「それはもう聞き飽きた。それでな」
(´;ω;`)「…………」
クーにばっさりとやられたバーテンダー。見ればうっすら涙を浮かべている。
(;^ω^)「ちょ、クーさん、言い過ぎですお!この人泣いちゃってるお!」
川 ゚ -゚)「嘘泣きはやめろ。まるで私が悪いみたいじゃないか」
クーがそういうと男はぴったりと泣き止む。
(´・ω・`)「やれやれ、この手も通じなくなったか。成長したね、クー。僕は嬉しいよ」
確かに彼は嘘泣きをしていたようだが、この場合「まるで」ではなく実際に悪いのはクーであろう。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 20:25:47.53 ID:xjmKvYIcO
- (´・ω・`)「……なるほどね、そいつを追っているわけか」
一通りの事情を説明する。
本題に入るまでにいささか無駄なやり取りがあったが、話に入ってからはスムーズに進む。
(´・ω・`)「……そういえばそれらしき男がVIPの首都方面に向かったらしいという話を聞いた事があるようなないような」
川 ゚ -゚)「随分アバウトだな」
(´・ω・`)「世間話の断片だからね。そもそも半分酔ってるお客さんの話だし」
川 ゚ -゚)「まあ、いい。ありがとう」
そういって席を立とうとしたクーをショボンが引き留める。
(;´・ω・`)「ちょ、ちょっと。情報もらっておいて何も飲まないで帰るとか駄目だよ」
クーは内心で面倒だと思ったが、さすがにブーンの手前、ショボンを振りきるわけにもいかず、
川 ゚ -゚)「仕方ないな、ならウイスキーをもらう」
(´・ω・`)「銘柄は?」
川 ゚ -゚)「高くなければなんでも」
(´・ω・`)「君が友人でなければぼったくってもいいんだけどね……まあいいや」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 20:33:42.54 ID:xjmKvYIcO
- (´・ω・`)「そういえば、そのフォックスって奴に魔力を奪われたんだって?」
ウイスキーをクーに出したショボンは、そのまま世間話を始める。
ブーンは出されたおつまみを食べながら聞いていた。
川 ゚ -゚)「ああ、九割以上取られてしまった」
(´・ω・`)「君自身は何もされなかったのかい?」
川 ゚ -゚)「ああ。背を向けて逃げ出したからな。さすがに逃げた奴を追っている程暇ではなかったようだ」
(´・ω・`)「君程の魔術師がねぇ……。奴が使った魔法機械ってのは相当な代物だね」
ショボンが感心した様子で語る。そこへブーンが疑問をさしはさむ。
( ^ω^)「その魔法機械ってのも魔法の一種なんですかお?」
川 ゚ -゚)「そうだ。前に貞子さんが言っていた『素質が関係ない魔法』とはこれにあたる」
(;^ω^)「ふーん……えっと、つまり魔法ってどんなものなんだお?」
(´・ω・`)「なんだ、クーは教えてなかったのか。『魔法』とはマナを使った技術の総称だよ」
(;^ω^)「まな……ってなんですかお?」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 20:38:29.00 ID:xjmKvYIcO
- (´・ω・`)「マナというのは自然界に存在するエネルギーの事を言うんだ」
ショボンの言うように、マナというのは自然現象を起こす為のエネルギーである。
火、水、風、土、雷、氷、光、闇の八つがあり、そのそれぞれに特性がある。
( ^ω^)「じゃあ属性っていうのは……」
川 ゚ -゚)「ああ。それぞれのマナに近い特性を持っているということだ」
(´・ω・`)「その種類のマナに好かれている物がそのマナの属性を持っていることになるね」
(;^ω^)「好かれている、ってどういうことですかお?エネルギーなんじゃ……」
(´・ω・`)「ああ、それはn川 ゚ -゚)「確かにマナというのはエネルギーだが、どうやら意思を持っているらしいと言われているんだ」
(´;ω;`)「…………」
川 ゚ -゚)「まあ単に似たような物に集まるという性質なだけという説もあるがね」
( ^ω^)「なるほど……」
この世界には、精霊というとんでもない魔力を持った生物がいる(らしい)のだが、それはマナの集合体だと言われていて、
マナが意思を持っているという説はそれを根拠にしている。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 20:42:14.35 ID:xjmKvYIcO
- 川 ゚ -゚)「さあ、話も済んだし、酒も飲んだし行くか。ほら、お代だ」
(´・ω・`)「ほんとに図太くなったね君は。会ったばかりの頃とは大違いだ」
川 ゚ー゚)「お陰さまで、な」
(´・ω・`)「まあ、頑張りなよ。また旅先で会うこともあるだろう」
それを聞いたブーンは疑問符を浮かべる。するとクーから
川 ゚ -゚)「ああ、この人は色んなところに支店を構えているんだ。それの応援に各地を回っている」
と説明があった。それに驚いたブーン。
(;^ω^)「え?じゃあけっこう凄い人じゃないかお!」
(´・ω・`)「店がいっぱいあるだけさ。実際は貧乏暇なしだよ」
(´・ω・`)「だけど、いつか僕はバーボンハウスの名を世界に轟かせてみせるよ」
川 ゚ -゚)「そうか、頑張ってくれ。情報があったら……」
(´・ω・`)「ああ。フォックスに関する情報をこちらでも集めてみるよ。ただし情報料はもらうけどね」
川 ゚ -゚)「ありがとう。またな」
( ^ω^)「ありがとうございましたお」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 20:47:34.59 ID:xjmKvYIcO
- 川 ゚ -゚)「さて、とりあえずの目的地はVIPの首都に決まったな」
( ^ω^)「歩いて目指すんですかお?」
川 ゚ -゚)「まさか。さすがに全ての道のりを歩いて行く訳にはいかないよ」
フォックスが歩きで首都を目指しているとは思えない、ということだ。
川 ゚ -゚)「最低でも馬車には乗る筈だ。
勿論ずっと乗っている訳ではないだろうからこちらも所々で降りながら進もう」
( ^ω^)「今からは馬車で?」
川 ゚ -゚)「いや、ちょっとした依頼を受けていてな。歩いて行った方が手っ取り早い」
( ^ω^)「依頼?」
川 ゚ -゚)「怪物の討伐だ」
怪物とはマナの影響によって凶暴化した動物の事で、場合によっては人に害をなすこともある。
傭兵は基本的に怪物の脅威から人間を守るために作られた職業であり、
よって怪物の討伐は傭兵の仕事の中でも一番ポピュラーとなっている。
川 ゚ -゚)「この先の街道に怪物が出没するらしい。力が強い為に馬車も車も襲撃されてしまうようだ」
馬車と車が襲われてしまうということは、歩いて通るなどもってのほかということ。
一刻も早く討伐しなければこの街道は使えなくなってしまうだろう。
(;^ω^)「馬車はともかく車まで……どんな怪物なんだお……」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 20:54:01.44 ID:xjmKvYIcO
- しかしそんなに力のある怪物を自分達だけで倒す事ができるのか、疑問に思うブーン。
川 ゚ -゚)「大丈夫。それを成すための力が魔法なんだ」
魔法を使えば力の弱い人間でも怪物と対等以上に渡り合う事が可能だ。
怪物を生み出すのもマナだが、それを打ち倒すのもまたマナによる力なのである。
そうこうしている内に、目的の街道まで着いていた。
川 ゚ -゚)「この辺りに出没するそうだが……」
周辺にそれらしき動物は見当たらないようだ。
まだこの辺りでの活動時間ではないということか。
怪物をしばらく待つ間、ブーンは装術の講釈を受けることになった。
川 ゚ -゚)「発動はもう問題ないから、次は維持するための練習をする。
疲れるから、あまり長くは出来ないが」
( ^ω^)「おkですお!」
川 ゚ -゚)「やり方は単純だ。発動までは同じ。あとはその状態を続けるだけ」
しばらく練習を繰り返したが、ブーンが装術を維持出来るのは最大でも一分程度のようだ。
川 ゚ -゚)「よし。これくらいにしよう。
発動時は体力と精神力を一番消費するからなるべく長く維持できるようにしておきたいな」
( ^ω^)「うす」
- 21 名前:鯖復活したかな?:2010/11/27(土) 21:58:04.90 ID:LF1rYqPFO
- 二人が休憩を取ろうと、買った弁当をあけた時だった。
(・(エ)・)「クマー」
(*^ω^)「お?小さな熊かお?可愛いお!」
川 ゚ -゚)「確かに子熊のようだな。しかしこんなに人里に近い所に……」
どうやら子熊は人になれているらしく、二人が食べている弁当を欲しがっている。
しかし小さな熊でも人間とは比較にならないくらいの力を持つために、餌付けをするのは良くない。
それをわかっているので、どちらも食べ物をあげることはしない。
(;^ω^)「ごめんお。あげられないお」
(´(エ)`)「クマー……」
子熊はすごすごと森の方へ帰っていく。だがかわりにとても大きな熊が森の方から出てくる。
熊「ガアアアァァァアア!」
川;゚ -゚)「な……にっ……!?まさかあれが……?」
(;^ω^)「あの子の親かお!?」
川;゚ -゚)「そして噂の怪物でもあるようだな……!」
目は血走っていて、普通の熊よりも更に筋肉などが発達している。
確かにあの熊に襲われてはいくら車といえどひとたまりもない。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 22:00:15.44 ID:LF1rYqPFO
- 川;゚ -゚)「来るぞっ!!」
熊「ウガアアアァァァアア!!」
熊が雄叫びをあげながら腕を振り下ろしてきた。
(;^ω^)「どおわっ!」
なんとかかわした二人であったが、腕が地面に叩きつけられた衝撃で砂や石がまきあがり少々ダメージを受けた。
それだけで腕の一撃を受けたらただではすまない事がよくわかる。
川;゚ -゚)「チッ!……これでは接近戦は難しいな」
( ^ω^)「クーさん、僕が囮になりますお。その隙に魔術を」
川 ゚ -゚)「いや、しかし、君にはまだ戦い方すらほとんど教えてない」
( ^ω^)「大丈夫。逃げるのは得意なんですお。危なくなったら二人で逃げればいいお」
クーは少し考え込んだ後、
川 ゚ -゚)「……わかった。危なくなったらすぐ逃げろ。後、殴られそうになったら装術を発動させるんだ」
装術の発動になんの意味があるかはよくわからなかったがとりあえずクーの言う通りにしよう、そう考えた。
(;^ω^)「おkですおっ!!」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 22:02:03.90 ID:LF1rYqPFO
- 実のところ、ブーンはあんな大きな怪物と対峙するのが恐くて恐くてたまらなかった。
だが、自分がやらなければクーが酷い目にあう。そして他の一般人も被害にあうかもしれない、そんな気持ちが彼を奮い立たせていた。
熊の腕がギリギリ届かない間合いまで詰め寄り、せわしなく動き回る。
(#^ω^)「こっちだお!こっちみろお!」
少しでいい。クーが魔術を使うための隙を作れればそれでいい。
狙い通り熊はこちらに攻撃してくるが、なんとかよけることができる。
何度目かの攻撃をかわしたとき、クーから声がかかる。
川#゚ -゚)「よし、いいぞ!離れろっ!」
火の玉が二つ、熊に向かって行き、見事に頭と脇腹に直撃した。
熊「ギャアアアアアアアッ!」
川;゚ -゚)「やったか……?」
――――しかし。
熊「グルルルルルァァ……!」
熊は毛皮こそ真っ黒に焦げてはいたものの、それを意に介していない様子だ。
川;゚ -゚)「大したダメージになっていなかったか……!」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 22:03:44.59 ID:LF1rYqPFO
- (;^ω^)「クーさん、もう少しでかい魔術はないんですかお!?」
川;゚ -゚)「あるが、おそらく奴を倒せるものとなると少々時間がかかる!大丈夫か!?」
( ^ω^)「なんとかやってみますお!」
先ほどと同じくギリギリ腕の一撃が届かない間合いから牽制する。
クーへの気をそらすために予備のナイフを頭めがけて投げるが、はたき落とされてしまう。
左からの攻撃が来る。右後方に下がってかわした、と思いきや
川;゚ -゚)「駄目だ、ブーン君!それはフェイントだっ!」
熊は攻撃すると見せかけて間合いを詰め、動いた先にいるブーンにあらためて攻撃をしかける。
このままでは死――――
そう思った瞬間、クーが言っていた事を思い出し、必死になって装術を発動させようとする。
(;゚ω゚)(じゃがいもじゃがいもじゃがいもじゃがいも)
腕の一撃を食らう寸前、無意識の内に頭を防御していた手になんとか黄色い光が宿る。
が、衝撃によって吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
川;゚ -゚)「ブーン君!!」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 22:05:56.73 ID:LF1rYqPFO
- ( ´ω`)(僕は……どうなったんだお?)
腕を食らったのは確かだが、その後がよくわからない。
どうやら吹き飛ばされたようだが……
川;゚ -゚)「ブーン君!大丈夫か!目を開けてくれ!」
(;´ω`)「痛てて……」
なんとか腕をついて立ち上がる。
打撃をもろに食らったはずの腕は、痛みはあるものの普通に動かすことができた。
おそらく装術の何らかの効果であろう。
川;゚ -゚)「よかった……」
一安心するクーに熊が攻撃しようとしていたので、先ほどはたき落とされたナイフを再び投げ、注意をそらす。
クーは魔術の使用を止めてしまっていた。
川;゚ -゚)「すまない、もう一度やってみる!」
( ^ω^)「お願いしますお!もし次僕が吹っ飛ばされても……」
川 ゚ -゚)「ああ、次は止めない!」
その言葉を聞いたブーンは熊に向かって突撃していく。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 22:09:25.40 ID:LF1rYqPFO
- 再び、クーの魔術発動までの時間を稼ぐために熊とまみえる。
今度はフェイントに引っかからないように慎重に相手の出方をうかがう。
熊「グルルゥ……」
魔術でのダメージがまったくなかった訳ではないらしく、ゆっくりとこちらに歩いてくる。
( ^ω^)「そらっ!」
落ちていた石を投げ注意をそらし、その隙に横に回る。
(;^ω^)(この手が何度も通用するとは限らないお……)
おそらくは隙をみせればすぐにでもクーの方へ攻撃を開始するはずだ。
なんとかして奴を釘付けにしなければならない。
そう思い熊に走って近づく。念のために装術は発動させておく。
(#^ω^)「はあっ!」
ナイフをすれ違いざまにかすらせる様にして攻撃する。
ダメージはほぼないが、何度も繰り返す事で完全に注意を引き付ける事になるはずだ。
だが一つ間違えればブーンもあの腕に捕まって無事でいられる保証はない。
熊「グァオゥ!」
ちょこまかと動き回るブーンに業を煮やしたのか、ブーンを無視して先にクーの方を仕留めようとしている。
まずいと思ったブーンは奴の足を止めようとナイフを思いきり突き刺すが、それでも止まらない。
(;゚ω゚)「クーさん!!」
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 22:11:22.00 ID:LF1rYqPFO
- その時、集中していたクーが突然目を見開く。
川 ゚ -゚)「待たせたな怪物、これでも食らえ!」
川#゚ -゚)「『炎の壁(ファイア・ウォール)』!!」
そう言った瞬間、熊の足元から物凄い勢いで炎が噴き出した。
炎は熊の足元だけでなく、その横方向からも噴き出し、まさしく壁の様にクーの前方を守っていた。
熊「グギョオオオオオ!」
さすがにこれは堪えたらしく、全身を炎に包まれながらのたうち回った。
やがて動きを止めた熊は、すでに虫の息で生きているのがやっとと思われる程であったが、それでも立ってクーに向かってくる。
川;゚ -゚)「くっ、まだ立ち上がるのか!?」
クーの方も大きな魔術を使った代償は小さくなく、立っているのが精一杯であった。
(#^ω^)「うおおぉぉぉぉおおっ!」
だがブーンが熊に追い付き、先ほど突き刺したナイフを引っこ抜きもう一度、今度は熊の心臓あたりをめがけてふりおろす。
熊はもはや防御する余裕がなかったため、簡単に突き刺さった。
熊「グルアアァァァアアアア!」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 22:14:55.04 ID:LF1rYqPFO
- (;^ω^)「ハァ……ハァ……」
もはや熊は倒れ伏し、ぴくりとも動かなかった。
だが、森の方から逃げたはずの子熊がやってきて、熊の体を必死に舐めていた。
(;(エ);)「クマー!クマー!」
( ^ω^)「…………」
川 ゚ -゚)「可哀想だが、二度と人間に近付かないように追い払うか、」
川 ゚ -゚)「もしくは殺すしかない……私が( ω )「僕がやりますお」
川 ゚ -゚)「……そうか、すまない」
熊のそばから離れようとしない子熊に対して、ブーンはナイフで軽く切りつける。
(;・(エ)・)「クマ!?」
無言で睨み付け、更にナイフを振り下ろそうと構える。
それを見た子熊は怯え、森の方へ逃げていった。
( ^ω^)「そう、それでいいんだお。もう帰ってきちゃ駄目だお……」
それを見届けたブーンはナイフを下ろし、そう呟いた。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 22:17:41.29 ID:LF1rYqPFO
- 川;゚ -゚)「……すまなかったな、最初からこんな仕事になってしまった」
そう謝るクーに、首を横に振って応えるブーン。
( ^ω^)「大丈夫ですお」
きっと、こんなことを色んな傭兵が経験してきたんだろう。
おそらく、目の前の彼女も。
少しだけやりきれない気持ちはあったが、納得することはできた。
(;^ω^)「ところでこの熊はどうすれば……」
川 ゚ -゚)「最寄りのギルドに仕事の報告と一緒に回収を頼もう」
受付「――――そうですか、わかりました。怪物の死体は処理しておきますので。報酬の方は後日最寄りのギルドで受け取ってください」
川 ゚ -゚)「すみません、もう一つお願いがあるんですが」
受付「なんですか?」
彼女が頼んだのは動物に餌付けしないようにという注意書きと、
森の入口に柵を作ってどちらも干渉しないようにしろという事であった。
受付「私の一存では決めかねますが、要請をしておきます」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/27(土) 22:21:20.93 ID:LF1rYqPFO
- 川 ゚ -゚)「とりあえず、これで君の初仕事は終わりだ。お疲れ様」
( ^ω^)「クーさんもお疲れ様でしたお。次はどこに?」
川 ゚ -゚)「あの街道が使えるようになったから、明日にでも馬車を使って首都方面を目指そう」
( ^ω^)「今日はまだ無理なんですかお?」
川 ゚ -゚)「まだ怪物の死体も残っているからな。今日はあの街道は通れないみたいだ」
( ^ω^)「そっか、じゃあ今夜も」
川 ゚ -゚)「ああ。ガイドラインで足止めだな。宿を探そう」
そう言って二人は歩きだした。
――――一方その頃、
男「くそったれ!あの女、許せねえ!」
クーにボコボコにされた男が、酒場でくだを巻いていた。
そんな状態の男を相手する人間はほとんどいなかったが、逆に男に近づく影があった。
?「やあ、その話詳しく聞かせてくれないか?」
男「ああ!?俺は今サイコーに不機嫌なんだ!失せろ!」
?「つれないねえ。……もし『あの女』を倒せる方法を僕が持っているとしたらどうする?」
その言葉を聞き、男は目を見開く。
第三話終わり
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