( ^ω^)ブーンは装術士のようです 六話
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第六話 「盗賊と兄貴と旅立ちと」
6 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/02/03(木) 21:51:47.34 ID:qAjCLhDh0
ブーンがエクストと戦っている頃、ドクオは――――――
(;'A`)「っくそ!」
盗賊を続けていた。
だが、ブーンと二人でやっていた頃より明らかに稼げる金額は減っていた。
('A`)(当たり前だ)
そもそも、盗賊が稼業として成り立っていたのはブーンの力による所が大きい。
勿論ドクオもただ見ていた訳ではない。
しかしナイフの腕も、足の速さもブーンには敵わなかった。
更に二人で分業していた事を一人でこなすのだから成功率が下がるのは当然と言える。
('A`)(こんなんじゃいつかは……)
現在少しは蓄えがあるが、このままの状態を続けていればいずれは金が尽きる。
ブーン達も仕送りをしてきてくれているがしばらくは安定した収入にはならないと思われる。
('A`)(もっと頑張んねえと)
孤児院の子供達の面倒を見ることが難しくなる。
それではここに残った意味がない。
8 名前:すみません慣れないもん使ってるんで時間かかります:2011/02/03(木) 22:03:18.37 ID:qAjCLhDh0
気を取り直し新しく標的を探す。
('A`)「あの人にしよう」
うまく財布をすったドクオは危なげなく逃げられる、
と思いきや、
警官「おい、君」
(;'A`)「っ!私服の警官か!」
(;'A`)「な、なんでしょう?」
警官「怪しい動きをしていただろ、ちょっとそれ、見せてみなさい」
(;'A`)「わ、わかりました」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/03(木) 22:16:10.00 ID:qAjCLhDh0
警官「財布か……ちょっと署までご同行願えるかな」
(;'A`)「!」
こんなときブーンなら逃げ切れたのだろうか。
そもそもブーンと二人なら捕まることもなかったかもしれない――――
そんな思考ばかりがぐるぐるとドクオの頭の中で巡っていた。
( A )(偉そうな事ばっかり言っておいて俺は一人じゃ結局――――)
?「あー!悪い!それ俺んだ!」
(;'A`)「えっ!?」
突然男の声が聞こえ、ドクオは驚いて顔を上げる。
男「俺が落っことしたのを拾ってくれたんだな!ありがとよ『ドクオ』!」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/03(木) 22:24:14.85 ID:qAjCLhDh0
何故かドクオの事を知っている男はそう警官に話しかける。
だがドクオが盗んだ場面を少しだが確認していた警官はそんな言葉を信じる筈がない。
警官「そんなわけ……」
言いかけた警官を遮り、男がなにかを取り出してさらに喋る。
男「俺はこういう者なんだがな」
それを見た警官の表情が強ばる。
男「偽造じゃないぜ?なんだったら確認してもいい。こいつの身分も俺が証明する」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/03(木) 22:29:06.47 ID:qAjCLhDh0
男(財布は返しとくからさ、悪いがここは見逃してくんねーかな。後できつーく言っておくから)
何やら耳打ちをする男。
それを受けた警官は渋々ではあるが、
警官「どうやらそのようですな。失礼しました」
と言い立ち去った。
とりあえずドクオの無事は確保された。
それを見たドクオはため息をついて、男に話しかける。
('A`)「どんな魔法を使ったか知らねえけど」
('A`)「助かったよ、『ジョルジュ』」
_
( ゚∀゚)「おう」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/03(木) 22:36:25.51 ID:qAjCLhDh0
_
( ゚∀゚)「久しぶりだなドクオ」
挨拶をされてドクオはうつ向きながら大声で言った。
( A )「……今までどこに居たんだよ!俺、ずっと待ってたんだ!」
_
( ゚∀゚)「ああ、悪いな。ずいぶんと待たせちまった」
言葉とは裏腹に顔はにやけていた。久しぶりに帰ってきたのが嬉しいのだろうか。
_
( ゚∀゚)「でさあ、いきなりで悪いんだけど歯あ食いしばってくれ」
('A`)「え?」
ドクオが間の抜けた声を漏らしたとき、既にジョルジュの拳は眼前にあった。
(# A )「うぐあっ!!」
何をするんだ、と非難しようとジョルジュの顔を見ると、先ほどのにやけ面は消え、真顔になっていた。
_
( ゚∀゚)「盗賊なんてやって稼いでやがったお前に鉄拳制裁だ」
_
( ゚∀゚)「ブーンもやってんだろ?」
(;'A`)「……」
_
( ゚∀゚)「沈黙は肯定と取るぜ」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 00:11:48.05 ID:7ymSzga/0
それを成したのはリリの荷物から飛び出した機械の腕のようだ。
少しづつジョルジュの体が持ち上げられていく。
⌒*リ´・-・リ「ふーん。私はひねくれ者って事ね」
_
(;゚∀゚)「き……聞こえてました?違うんですよ。リリちゃんのは美しいって事でしてね」
⌒*リ´・-・リ「なんにせよ女の子もいる場所で下品な話をした罰は受けてもらわないとね……」
_
(;゚∀゚)「ちょ、やばいですこの締め付け!なんか出る!なんか出るって!せめて素手にして……」
必死に喚きたてた甲斐があったか、ジョルジュの頭を締め付ける力が弱まった。
_
( ;∀;)「ああ!お慈悲をありがとうございます!」
が、グローブをはめるリリを見て顔面を蒼白にさせる。
_
(;゚∀゚)「そ……それ、怪物と戦う時の奴じゃないっすか」
⌒*リ´・-・リ「『なんか出る』と汚いと思ってね。手加減はするから大丈夫だよ」
_
(;゚∀゚)「素手!素手でお願いしますって言ったじゃないですかぁ―――っ!」
それに対するリリの返答は、
⌒*リ´^ー^リ
無言の微笑みであった。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 00:16:10.50 ID:7ymSzga/0
_
(; ∀ )「うわーっ!死にたくない!逝きたくない―――――っ!」
⌒*リ´・-・リ「さよなら」
リリのグローブがジョルジュに触れた瞬間、
_
( ∀ )
火の粉が爆ぜるような音がして、ジョルジュが痙攣しながら倒れていた。
自業自得とはいえ流石にカーチャンも若干引いている。
(;'A`)「な……何をしたんです?」
恐る恐る聞いてみたドクオに、
⌒*リ´^ー^リ「企業秘密」
と笑顔のまま答えたのを見たとき、ドクオは滅多な事を言わなくて良かったと心底思ったのであった。
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 00:35:50.04 ID:7ymSzga/0
⌒*リ´・-・リ「で、君のお友達は傭兵になったんだよね?」
唐突にドクオに話をふるリリ。
少々面食らったが、
(;'A`)「は、はい。そうです」
と答える。
するとリリが少し考え込むような素振りを見せた後、こう言った。
⌒*リ´・-・リ「なんで君はついていかなかったの?クールさんって娘は君も誘ってくれたんでしょ?」
('A`)「確かにそうですがここの子供たちの面倒を見ることとか色々あったんで……」
⌒*リ´・-・リ「へー、そんな事情が……それだけには見えないけどね」
そんなことを言いつつじろじろドクオを見つめる。
('A`)(参ったな……)
_
( ゚∀゚)「もうぶちまけちまえよ。どうせあの事なんだろ」
⌒*リ´・-・リ「思ったより立ち直り早かったね。もう一発いく?」
_
(;゚∀゚)「勘弁して……」
⌒*リ´・-・リ「まあこれも何かの縁と思って。話してくれるよね」
('A`)「仕方ない……」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 00:42:34.45 ID:7ymSzga/0
('A`)「話します」
そうして、ドクオはぽつりぽつりと理由について話しだした。
('A`)「ジョルジュと約束してたんです。10年ぐらい前、ジョルジュがここに居たとき」
―――――――――――
(#・A・)「いってー!なんだよちくしょう!」
_
( ゚∀゚)「お前また他の子と喧嘩したろ。まったくよ」
(#・A・)「ホントの事言っただけじゃねーかよ!俺は悪くねぇ!」
_
( ゚∀゚)「どう考えてもお前が悪い。喧嘩は喧嘩で両方悪いけどな」
俺は……まだ子供だったんでしょうね。
カーチャンの実の子である事をいいことに他の子を馬鹿にしては喧嘩になっていました。
それをいつもいさめていたのがジョルジュです。
_
( ゚∀゚)「お前もう少し大人になれよ。お前はみんなの兄ちゃんなんだぜ?」
(#・A・)「なんでだよ!俺より年上の奴だっているだろ!」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 00:50:04.86 ID:7ymSzga/0
_
( ゚∀゚)「そうじゃねえさ。お前自分で言ってるじゃねえか『俺はカーチャンの本当の子供だ』って」
(・A・)「それと今の話になんの関係があんだよ」
_
( ゚∀゚)「まあ聞けって。いいか、お前はカーチャンさんの『最初の子供』だ」
_
( ゚∀゚)「それはみんなの兄ちゃんって事だろう?」
(#・A・)「……訳わかんねえ」
正直今でもこの言葉の意味はよくわからないけど、少しは近づけたのかな?
『みんなの兄ちゃん』って奴に。そうだといいなと思う。
そんな訳でいつも俺の相談相手になってくれたりしたんだ。
俺はジョルジュを本当の兄ちゃんみたいに思ってた。
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 01:02:32.36 ID:7ymSzga/0
で、ジョルジュがここを出ていく前の日――――
(#・A・)「待てよ!なんだよいきなりここを出ていくって!聞いてねーぞ!」
_
( ゚∀゚)「そりゃ言ってないしな」
(#・A・)「俺はどうすりゃいいんだよ!」
_
( ゚∀゚)「どうもこうもねえよ。言ったろ?お前はみんなの兄ちゃんなんだ。その通りやればいい」
( A )「……自信ねーよ」
_
( ゚∀゚)「まったく……世話のかかる野郎だなお前も」
_
( ゚∀゚)「じゃあこうしようじゃねえか。俺がまたここに来たとき、
お前がちゃんとここの皆を守れる強い男になってたら、お前が言ってた“夢”を叶える手伝いをしてやる」
(・A・)「……ホントか?」
_
( ゚∀゚)「男に二言はねえ」
(・A・)「……わかった」
よく考えたらその約束の為に頑張るってのは他の奴らに失礼だと思うけど、とにかく当時の俺はそれでやる気が出たんだ。
――――――――――
('A`)「まあ、そんな感じです」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 01:20:36.66 ID:7ymSzga/0
⌒*リ´・-・リ「なるほどね」
('A`)「だから俺はここに居なければいけなかったんだ。約束を守る為に」
⌒*リ´・-・リ「で、どう?」
ジョルジュに視線を向けながらリリが聞く。
ドクオが約束通りになっているかジョルジュの判定を促したという事だろう。
_
( ゚∀゚)「駄目だな。全っ然駄目だ」
('A`)「…………」
薄々感じてはいたが全然とまで言われるとさすがに堪える。
⌒*リ´・-・リ「ま、そうだよね」
(;'A`)「!……ちょっと待って下さいよ」
ジョルジュに言われるのは仕方ないが見ず知らずのリリにそうまで言われる筋合いはない。
そう思いドクオは思わず声を張り上げてしまう。
だが、
_
( ゚∀゚)「端から見てるだけのリリちゃんにわかっちまうくらい今のお前じゃ駄目だって事さ」
と言われて黙るしかなかった。
50 名前:一応ながらではないんです……:2011/02/04(金) 01:24:39.15 ID:7ymSzga/0
(;'A`)「……なんで」
⌒*リ´・-・リ「私が思ったままを言うけどさ」
⌒*リ´・-・リ「なんでそんなに思い詰めてるの?」
('A`)「……!」
言われて見れば思い当たる事ばかりだった。
ブーンが居なくなってからは特に、ドクオの胸中は焦燥感ばかりが支配していた。
_
( ゚∀゚)「ま、そういう事さ。誰の目から見てもお前は窮屈そうに見える」
特に、子供達はそういう雰囲気を敏感に察知する。
ドクオが何かを抱えていた事に気付かずとも無意識の内に気を使わせていた事は間違いないだろう。
_
( ゚∀゚)「お前は確かに皆の兄貴として頑張ってきた。それはわかる。だけど今のままじゃ駄目だ」
( A )「……俺は」
_
( ゚∀゚)「だからさ、お前は、いや、お前も」
そこまで言ったときリリが遮るように言う。
⌒*リ´・-・リ「そのブーンって子を追いかけて旅に出たらどうかな?」
_
( ゚∀゚)「……もー、リリちゃん勘弁してよ。かっこよく決めるとこだったのにさ」
⌒*リ´・-・リ「あんたは勿体ぶるから駄目」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 01:28:18.05 ID:7ymSzga/0
_
( ゚∀゚)「……まあ、そういう事。お前はもっと世界を見るべきだと思うぜ」
そう言われても、ドクオには旅に出る決心はつかない。
子供達も、カーチャンも放っていく訳には行かない。
何より、自分自身が旅に出る事に臆病になっていた。
⌒*リ´・-・リ「なに?ここの事が気になる?心配ないよ」
そう言いながらジョルジュの背中を勢いよく叩き、
⌒*リ´・ー・リ「こいつがちゃんと面倒見てくれるからさ」
と言った。
J( '-`)し「あの、」
_
( ゚∀゚)「あ!す、すみませんカーチャンさん。勝手にこんな話を……」
J( '-`)し「いえ……結局ドクオが決めることですから」
どうやらカーチャンもドクオの様子には心を砕いていたようだ。
ある程度ドクオの好きにさせたいという事だろう。
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 01:33:03.55 ID:7ymSzga/0
だが、
( A )「行けないよ」
やはりドクオは拒否した。
ドクオとて、理解しているのだ。自分を自分で縛っている事など。
こればかりはいくら周りに言われても本人が踏み出さねばどうする事も出来ない。
( A )「俺には無理だ。旅に出る理由も勇気もない」
しかし、その結論が気にくわない者がいる。
_
(#゚∀゚)「ほおー、そうかいそうかい」
_
(#゚∀゚)「だったら無理矢理にでも奮い立たせてやんよ!カーチャンさん!」
(;'A`)「!……や、止めろ!」
_
(#゚∀゚)「こいつがなにやってるか知ってます?盗賊です!スリですよ!」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 01:37:48.32 ID:7ymSzga/0
J( '-`)し「……本当なの?」
( A )「…………はい」
J( '-`)し「ブーンもなのね?」
最早隠せる訳もなく、力無く頷くしかなかった。
大きな失望感がドクオを襲ったが、一方で肩の荷が降りたような気持ちもあった。
J( '-`)し「仕方ない……」
J( '-`)し「あなたとブーンはこの家から勘当します」
(;'A`)「っ!そんな……」
J( '-`)し「猶予は3日あげます。それまでに荷物をまとめて出ていきなさい」
カーチャンは一度口に出した事をほとんど撤回しない。そういう人なのだ。
ドクオは、従うしかない。
さすがにジョルジュもばつの悪そうな顔をしていたが、それを無視して部屋に戻る。
子供「おいドクオ大丈夫かよ」
子供達が何人か声をかけてきたのに適当な応答をし、ベッドに寝転がる。
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 01:42:36.57 ID:7ymSzga/0
('A`)「結局こうなっちまった」
呟く。
怒りはあったが、それよりもすっきりとした気持ちが大きかった。
旅に出る理由を探していたのか。孤児院の皆をそんなに重荷に感じていたのか。
('A`)(だとしたら最低だな俺は)
つい半月ほど前に出ていったばかりの友人の顔が浮かぶ。
('A`)(あいつは自分から出ていくと言った。俺は逃げ道を絶たれるまで動こうとはしなかった)
勿論それぞれの事情があるためドクオが間違っている訳ではないが、勝手にブーンと比べて劣等感を抱いてしまう。
('A`)(ひょっとしたら)
ふと頭に浮かぶ考えがあった。
('A`)(悔しかったのかも知れない)
ブーンに先を越されたことが。
それで意地になっていたのかもしれない。
ブーンとドクオは親友であり、ライバルである。
ブーンがどう思うかは別として、ドクオは少なくともそう思っていた。
そんな事を考えたら今まで思い悩んで来たことが馬鹿馬鹿しく感じられてくる。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 01:49:55.21 ID:7ymSzga/0
('∀`)(頼ろう)
ブーンもクールに助けられているのだ。
自分だってジョルジュに頼ってもいいではないか。
笑みが自然と浮かんでくる。
3日猶予があるならそれをたっぷり使わせて貰う。
それからブーンを追いかけよう。
子供達には申し訳ないが。
('A`)(悪いな、チビ達)
心の中で呟いて、ジョルジュの所に再び向かう。
ドクオの顔を見て面食らっていたが、頭を下げながらこう言った。
_
(;゚∀゚)「なんだ、その、やりすぎた。すまん」
謝る位なら最初からしなければいいのだ。そんな言葉を飲み込み、ドクオはジョルジュに頼み事をする。
('A`)「もうやっちまったもんは仕方ないからさ、家の事頼んだぞ」
_
(;゚∀゚)「あ、ああ、まかせろ」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 01:53:07.35 ID:7ymSzga/0
J( '-`)し「……そう。3日後ね」
('A`)「ごめん。準備もしたいし、出来るだけ長くここに居たいから」
J( '-`)し「いえ、こちらこそごめんね。無理やり追い出しちゃって」
('A`)「ううん。もとはといえば俺のせいだから。じゃ今日はもう寝るわ」
カーチャンはドクオが立ち去ったあと、暫く何事かをつぶやいていたが、自らも立ち上がり部屋に向かった。
――――――――――
あっという間に期限の3日は過ぎ、ドクオが旅立つ時がきた。
('A`)「じゃ、行くよ。ごめんなみんな」
子供たち「なんでドクオまで居なくなるんだよ!」「みんな出てっちゃうの?なんで?」
('∀`)「心配するな。また帰って来るからさ」
子供たちの頭を撫でながらそう言う。
またここに帰ってきたい。それは偽りのないドクオの気持ちだった。
みんなが泣いている中、ドクオは笑顔のままカーチャンちをあとにした。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 01:57:43.24 ID:7ymSzga/0
_
( ゚∀゚)「よう」
どこに居たかと思えば、こんな所でジョルジュと顔をあわせる事になった。
('A`)「今さら出てきてなんだよ。別れの挨拶ならいらないぜ」
_
( ゚∀゚)「ちょっとしたアドバイスと餞別だ。素直に受け取っておけ」
_
( ゚∀゚)「まずお前も傭兵になっておくべきだ。情報をギルドから手に入れやすくなる。
なるだけなら簡単なもんらしいからな」
頷くドクオ。
_
( ゚∀゚)「あと、お詫びもかねて」
ジョルジュは肩掛け鞄をドクオによこす。中にはお金と何枚かの紙が入っていた。
('A`)「こいつは……?」
_
( ゚∀゚)「フォックスって奴とそいつに与している奴の情報を出来るだけ集めてみた。実は俺達の方でもそいつはマークしてたんだ」
('A`)「そうだったのか……じゃあありがたく貰っておくよ。ブーン達にも知らせなきゃな」
_
( ゚∀゚)「おう。そうしてくれ」
しっかりと餞別を受け取ったドクオはあることに気づく。
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 02:01:23.57 ID:7ymSzga/0
('A`)「リリさんは?家にもいなかったけど」
_
( ゚∀゚)「湿っぽいのは嫌いなんだと」
('A`)「そうか……」
_
( ゚∀゚)「ま、悪く思わないでくれ。あれで本当は優しい娘なんだよ」
('A`)「別に悪くなんて思ってねえよ」
そんなことをひとしきり話したあと、ドクオはジョルジュに別れを告げ、歩き出した。
('A`)「うっし」
頬を叩き、気合いを入れる。
ここからだ。これからは本当に一人でやらなきゃいけない。そう思った。
しかしこの少し後、ドクオの旅の行く末を大きく左右する出会いがあるのだが、それはまた別の話。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/04(金) 02:08:15.12 ID:7ymSzga/0
そんなところで六話、と言うかドクオ編一話は終わりです。
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