( ^ω^)ブーンは装術士のようです 七話
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七話「赤毛女と『具象化』」
5 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 19:18:37.35 ID:Eo1FyIrg0
川; - ) (; ω )
(; ω )「はあ……はあ……」
<_フ ー )フ「ヒャハハハ!そんな女守ってなんになる?所詮他人!見捨てちまいな!」
(# ω )「ふざけるなお!」
<_フ ー )フ「おらぁ!!」
(# ω )「ぐあっ!」
男が剣を振りかぶりクーに斬りかかろうとする。
(;゚ω゚)「やめろぉ!」
止めに入ったブーンの腕に深々と刃が突き刺さった。
(; ω )「ぐあああああああっ!」
<_フ ー )フ「ほらな、なんの得もしねえ」
<_フ ー )フ「だから全部捨てて逃げ出しゃ良かったんだ」
( ^ω^)「なあ、『ブーン』」
ブーン達は地面から出現した石の槍に貫かれ、そこで意識が途切れた。
6 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 19:25:05.94 ID:Eo1FyIrg0
(;゚ω゚)「うわああああああああああああああああああ!!」
(´・ω・`)「やあ、お目覚めのようだね」
(;゚ω゚)「はあ……はあ……」
(;^ω^)「……ショボン、さん?なんで、ここに?」
(´・ω・`)「ま、いろいろあってね」
(;゚ω゚)「そうだ……クーさん、クーさんは!?」
(´・ω・`)「疲れてはいるようだが君程ではなかったからね。もう元気に動き回っているよ」
もう少し休んだ方がいいと言ったんだがね、と付け足す。
それを聞きひとまずは落ち着いたが、直接クーの顔を見ないことには安心できない。
そう思い立とうとするも、身体中に痛みが走って上手くいかない。
(; ω )「うぐっ……」
(´・ω・`)「無理はしない方がいい。君は身体中ガタガタなんだからね」
エクストにさほど手酷くやられた訳ではないので、やはり暴走とその後の山下りが原因だったのであろう。
エクストを倒し、クーが気を失ったあと、ブーンは彼女を背負いひたすらエスエススレに向かい走った。
どこをどう走ったのか全く覚えていないが、なんとかギルドまで辿り着いたらしい。
10 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 19:28:48.00 ID:Eo1FyIrg0
(;^ω^)「あ……」
それを思い出し、山賊達を放っておいたままだった事に気付いた。
身柄を拘束しなければ再び旅人等を襲う事もあるかも知れない。
(;^ω^)「さ、山賊は」
川 ゚ -゚)「大丈夫だ。エクストをはじめとしたほとんどの奴等は捕らえた」
二、三人は逃してしまったが、もはや今までのような行動は出来ないだろう、というのがクー達の見解のようだ。
川 ゚ -゚)「後は警察や他の傭兵に任せるしかなかろう。できれば私達がなんとかしたい所ではあるが……」
(;^ω^)「く、クーさん」
クーの姿を見て心の底からほっとしたブーン。
気が抜けたのか、ベッドに再び倒れこんでしまう。
川 ゚ -゚)「大丈夫か、ブーン君」
(;^ω^)「だ、大丈夫ですお。それよりクーさんの方は」
川 ゚ -゚)「こちらも問題ない。どうやら一日中眠っていたようだからな」
クーの弁からするとどうやら自分は二日程眠っていたらしい。
12 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 19:34:02.84 ID:Eo1FyIrg0
( ^ω^)「そんなに……」
川 ゚ -゚)「まあ事情が事情だ。仕方あるまい。元々ここには滞在する予定だったんだ」
自分が散々迷惑をかけたのに「仕方ない」の一言で済まされてしまっては立つ瀬がない。
そう思いブーンはクーに謝ろうと声を上げる。
(;^ω^)「あ……あn「お姉様ああああああああああああああああああ!!」」
だが入口の方から聞こえてきた女性の叫び声によってそれは遮られる。
(;^ω^)「!?」
ブーンは驚いて入口の方を見るが、クーとショボンは一瞥すらせずに耳を塞ぐ。
声のした方向には、赤い髪を長く伸ばした活発そうな女性がいた。
川 ゚ -゚)「ヒート、病室では静かにsノハ#゚听)「お姉様!お姉様!お姉様!うわああああああああああん」」
等とわけのわからない事を言いながらクーに抱き着く女性。
クーは半ば呆れながら彼女の口を塞ぐ。
川;゚ -゚)つ「……ここには私達以外にも病人や傷ついた人達が居るんだ。少し黙れ」
ノパつ゚)「もがっ!?」
13 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 19:36:55.08 ID:Eo1FyIrg0
ブーンもゆっくりであればなんとか動けるので、場所を変えて話をすることとなった。
ノハ;゚听)「も、申し訳ございません。お姉様が倒れたと聞いて居てもたってもいられず……」
川 ゚ -゚)「してしまった事は仕方ない。だがもうこんなことはするなよ」
ノハ*゚听)「はい……でも!お姉様が無事で良かったですうううううううううう!!」
そう言って再びクーに抱き着く女性。
クーは苦笑いしていたがどことなく嬉しげな印象を受ける。
(;^ω^)「あの……その方が?」
頷くクー。
どうやら彼女がクーの言っていた「ヒート」らしい。
彼女はブーンとショボンを一顧だにせずにひたすらクーにまとわりついている。
川 ゚ -゚)「……もうそろそろいいか?」
まとわりつかれている間ほとんど無表情だったクーがヒートを引き剥がしながらそう言う。
渋々ながらもクーから離れたヒートは、ようやくショボンとブーンに気付くと眉間に皺を寄せながら、
ノパ听)「なんだ、居たのかしょぼくれ……ん?少し太ったんじゃないかお前」
開口一番暴言を吐く。
15 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 19:40:46.48 ID:Eo1FyIrg0
(´・ω・`)「やれやれ。相変わらずご挨拶な女性だ。その様子じゃ治ってないだろうね」
「治ってない」と聞いた一瞬のみ、ヒートの表情が強ばった気がした。
だが、すぐに元に戻すと再びショボンに話しかける。
ノパ听)「お前こそお姉様になれなれしいのは変わってないようだな。少しはその不遜な態度を改めたらどうだ?」
(´・ω・`)「おいおい。クーとの付き合いは君よりよっぽど長いんだぜ?
それに僕は年上。なれなれしいのは当たり前だろう」
何度も説明していると言いたげな投げやりな態度でヒートに接するショボン。
それが勘に障ったか、ヒートは更に眉間の皺を増やす。
ノハ#゚听)「お前とはいつかケリをつけなきゃならないと思っていたんだ」
(´・ω・`)「そう?僕はどうでもいいけどね」
ノハ#゚听)「貴様……!!」
川 ゚ -゚)「ヒート、落ち着け。ショボンも煽るのは止めてくれないか」
ヒートの怒りが限界に達そうとしていたとき、クーが割って入り宥める。
ヒートはまだ納得のいかない様子だったが、渋々引き下がった。
ショボンは散々ヒートを煽った事などなかったかのようにけろっとしている。
16 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 19:44:52.90 ID:Eo1FyIrg0
川 ゚ -゚)「とにかく。ヒートに手紙を出した通り、この子の面倒を見てもらいたいんだが……」
言いながらブーンの方を向く。
だが、ヒートは穏やかでない視線をブーンの方に向ける。
ノパ听)「……お前か」
(;^ω^)「へ?」
ノハ#゚听)「お前がお姉様をこんな目にあわせたんだろうと聞いているんだ!」
ヒートに襟首を掴まれ持ち上げられてしまう。
(; ω )「!……!……」
川;゚ -゚)「やめろ、ヒート!!」
クーに言われ、手を離しはしたが宙吊りにされていたブーンは床に叩きつけられる。
(; ω )「げほっ、がっ!」
ノハ#゚听)「大した力も無いくせに自分を過信し、挙げ句周りを巻き込み迷惑をかける」
18 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 19:47:33.33 ID:Eo1FyIrg0
(; ω )「…………」
ノハ#゚听)「弱っちい癖に威勢だけは良くて自分より弱いものに勝ち、強いんだと勘違いする」
ノハ#゚听)「私はお前らみたいな男が「ヒート」」
川 ゚ -゚)「私は『やめろ』と言った筈だ。それ以上の勝手は許さん」
そう告げるクーは表面的には無表情であったが、
怒りや悲しみ等の様々な感情がないまぜになっている事がうかがえる。
(´・ω・`)「いいかい?」
険悪な空気を突き破るかのように割って入るショボン。
ヒートがイライラしていた遠因が彼にある事など気にせずに喋る。
(´・ω・`)「この際だ、もうブーン君とヒートで果たしあいでもすればいいんじゃないかな」
川;゚ -゚)「!?……何を言い出すかと思えば。そんなこと認めるわけ(´・ω・`)「今は君に話しているんじゃない。二人に提案しているんだ」」
(´・ω・`)「勿論、二人の意思を尊重するけど。このままじゃヒートとブーン君にわだかまりが残るよ」
19 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 19:51:34.15 ID:Eo1FyIrg0
川;゚ -゚)「しかしブーン君は病み上がりだ……」
(´・ω・`)「君もこのまま言われっぱなしじゃ悔しいだろう?いつまでもクーに庇われて満足なのかい?」
( ω )「!…………」
ショボンはクーの擁護を聞き流し、ブーンを煽る。
(´・ω・`)「ヒート、君はどうする?」
ブーンの返事を待たずにヒートの方に話をふる。
ノパ听)「貴様の提案に乗るのはしゃくにさわるが私はやるぞ。そこのそいつが逃げなければな」
川#゚ -゚)「いい加減にしろ!お前達よってたかって( ω )「……やる」」
( ω )「やりますお」
川;゚ -゚)「なっ……!」
更にブーンを挑発するヒートに怒るクーの言葉を遮り、ブーンが同意の言葉をあげる。
(´・ω・`)「合意とみていいね。場所は町はずれでいいか」
川;゚ -゚)「ま、待て!」
20 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 19:54:14.53 ID:Eo1FyIrg0
(´・ω・`)「どうしたんだい?止めても無駄だと思うけど」
川;゚ -゚)「さっきも言ったようにブーン君は病み上がりなんだぞ、回復を待ってからでも……」
(´・ω・`)「疲れているのはヒートだって同じ事さ。それを言ったらそもそも二人の間には実力差がある」
(´・ω・`)「それを考慮した上で彼はこの提案を受けたんだ」
(´・ω・`)「大体、君たちが相手しようとしている奴等は『疲れているから』なんて理由で手を抜いてくれるのかい?」
川;゚ -゚)「……くっ」
自分で戦うように仕向けておいてよくもいけしゃあしゃあと。
そうは思ったもののショボンの言うことが事実なのも確かだ。
特に最後の言葉。フォックスが――――敵がこちらの事情を考慮してくれる訳がない。
川;゚ -゚)「だが……」
(´・ω・`)「そもそも君はブーン君に稽古をつけてもらいたかったんだろう?
ならこれは君も望んだ事の筈だ」
なおも食い下がるクーをそう言って説き伏せる。
(´・ω・`)「君はね、過保護なんだよ。仲間が大事なのはわかるけど」
22 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 19:59:18.88 ID:Eo1FyIrg0
川;゚ -゚)「か、過保護!?」
(´・ω・`)「ヒートにしたってそうさ。彼女の境遇を考えてのことだろうとはわかるけど甘やかしすぎる」
川;゚ -゚)「だが、ヒートとは今は別行動を」
(´・ω・`)「僕の提案でね。現にヒートは君に依存してしまっているじゃないか」
だめ押しで放ったショボンの一言がクーにとっては衝撃的だったのだろう。
かなり動揺してしまっている。
川; - )「わ……私はそんなつもりでは……」
(´・ω・`)「自分に厳しく他人に甘い君は人間的には素晴らしいと思うよ。ただ師匠としてはどうだろうね」
川; - )「…………」
(´・ω・`)「まあ今回は静かに見守っておきなよ」
ショックを受けているクーはしばらく放っておき、再び二人に話しかける。
23 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 20:01:35.24 ID:Eo1FyIrg0
ノパ听)「もういいのか」
(´・ω・`)「珍しいね、君がクーのことでつっかかってこないのは」
ノパ听)「ここでまた私が暴れたら困るのはお姉様だ。それに」
(´・ω・`)「それに?」
ノパ听)「貴様の事は後だ。まずはこいつから先に」
本人の目の前でのあまりの言い草に呆れたショボンは降参だ、と言わんばかりに首を振る。
(´・ω・`)「さて、こっちからけしかけておいてなんだけど流石にブーン君はまともに戦えないよね」
少しためらっていたが頷くブーン。
(;´・ω・`)「自分で君に『無理はしないほうがいい』と言ったのを忘れていたよ。ハハハハハ」
ブーンのショボンに対する印象が『適当な人』に変わった瞬間だった。
25 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 20:05:45.11 ID:Eo1FyIrg0
ブーンが目覚めたのが昼頃だったため、結局翌日まで休息をとる事になった。
とりあえずは一旦解散し、思い思いに行動する。
川 ゚ -゚)「ブーンkノハ*゚听)「お姉様!!久しぶりに二人きりで食事しましょう!!」」
クーが何かを言いかけたがそれを遮るようにヒートがクーを引っ張って外に出ていこうとする。
邪魔するのも悪いと思ったブーンはいってらっしゃい、と手を振る事にした。
ノパ听)つ川;゚ -゚)「すまない!何か元気になる食べ物でも買ってくるから……」
引きずられながらクーはそんな言葉を残していった。
( ^ω^)「……こんな感じで一人になるのも久しぶりだお」
ショボンも仕事で出ていったため、ブーンは一人きりという事になる。
この間のように単独行動を行うことはあっても、一人きりで置いていかれることはほとんどなかった。
孤児院に居たときは周りに他の子供が常にいたため、彼の記憶に残っている限りではほぼないと言っていい。
( ^ω^)「寂しいなあ……」
なんとなく居たたまれない気分になり、布団を頭から被った。
26 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 20:08:54.55 ID:Eo1FyIrg0
「……ーン君、ブーン君」
( つω`)「……お」
川 ゚ -゚)「すまないな、こんな時間まで一人にしてしまって」
( ^ω^)「別にクーさんが謝る必要は……」
川 ゚ -゚)「おお、そうだ。これでも食べて体力を回復してくれ」
(;^ω^)「……流石に起きたすぐ後に肉はちょっと」
川;゚ -゚)「……確かに。ご飯はもう少し経ってからにしようか」
( ^ω^)「ヒートさんは?」
川 ゚ -゚)「私達とは別の宿をとっていたそうだ。……すまない。普段はもっと情に熱い、優しい娘なんだが」
(;^ω^)「いや、あれは……元はと言えば僕のせいで」
川 ゚ -゚)「いや、あれは私が君の気持ちを知らずに押さえつけてしまったことに責任がある」
27 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 20:10:56.88 ID:Eo1FyIrg0
そうきっぱりと言い放つクーを見て、ショボンの評価は全く間違っていない事を確信したとともに悔しさも感じた。
対等に、とはいかなくても少しくらいは追い付きたい、そんな気持ちを抱く。
川;゚ -゚)「……その、本当にやるのか?」
あらためて問われ、頷く。
ここで引き下がる事は出来ない。
ブーン自身のためにも。
川 ゚ -゚)「……そうか、ならば私から言えることは一つしかない」
川 ゚ -゚)「ヒートが女性だからといって遠慮したりするな。死ぬ気でやれ」
元より実力が上の相手に挑むのだから手を抜けるはずなど無いが、クーはそう言って念を押してきた。
相当に手強い相手なのだろう。
( ^ω^)「わかりましたお」
そこで話は終わり、その後は体を休める為に早めに眠る事にした。
28 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 20:17:42.82 ID:Eo1FyIrg0
(´・ω・`)「来たね。じゃ、始めようか」
二人が約束の場所につくと、既にショボンもヒートも待っていた。
(´・ω・`)「このコインが落ちたらスタート。ここからはどちらの手助けも無しだ」
ショボンがコインを弾いた瞬間、お互いに武器を構える。
( ^ω^)(弓……かお)
コインが地面に落ち甲高い音をたてた瞬間、両者は装術を発動させた。
(;^ω^)(なんだお、あれ!?)
ヒートの足元から銀色の光が溢れだすと同時に冷気が彼女から放たれる。
ノパ听)(氷のマナを見るのすら初めてなのか)
ブーンの経験不足に驚くヒートだったが、更に彼女を驚かせる事がある。
ノパ听)「まさかお前――『具象化』も使えないとはな」
30 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 20:24:48.98 ID:Eo1FyIrg0
(;^ω^)「?」
ノパ听)「まあ、いい。戦う相手にべらべらとアドバイスをするつもりはない」
疑問符を浮かべるブーンだが、その疑問には答えずヒートは再び弓を構える。
ノハ#゚听)「シッ!!」
息を強く吐き出しながら矢を放つ。
――――氷を纏った、矢を。
(;^ω^)「うわっ!!」
すんでのところでかわすブーンだったが、少しかすってしまう。
傷口が多少冷たいがそれを気にしている暇はない。
既に第二、第三の矢が放たれていたからだ。
(#^ω^)「くそおっ!!」
一つ目の矢を横に転がりかわす。そのままの勢いで立ち上がり二つ目もかわす。
装術を纏ったナイフを投げ、反撃するが――
ノパ听)「ふん」
ナイフに向け氷を纏った矢をそのまま投げつける。
それだけでナイフは叩き落とされてしまった。
31 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 20:27:45.07 ID:Eo1FyIrg0
(;゚ω゚)「え……!?」
ノパ听)(パワーには自信があったらしいな、だが)
具象化すら使えない奴に負ける気はしない、そう心の中だけで呟き再び弓を引き絞る。
ノハ#゚听)「シッ!!」
呆然としているブーンに再び矢が迫る。
川;゚ -゚)「ブーン君!」
クーの声で我に還ったブーンはなんとかナイフで矢を防ごうとする。
ノパー゚)
しかし、構えたナイフが腕ごと弾かれてしまう。
(;゚ω゚)「!!」
矢こそ防御出来たものののけぞってしまい、慌てて体勢を立て直す。
32 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 20:36:55.19 ID:Eo1FyIrg0
(#^ω^)(こうなったら……!)
一気に距離を詰めて矢が使えない間合いにするしかない、
そう考えて一旦後退する。
ノハ#゚听)「シッ!!」
そうはさせまい、と矢を連射されるが持ち前の足の速さで振りきる。
ノパ听)「!!」
(#`ω´)「おおおおおおおっ!!」
ナイフをすれ違い様に叩き込まんと猛烈な勢いでヒートに向かう。
弓矢では接近戦に対応出来ない。来ることがわかっていても防ぐ事は難しいはずだ。
ノパ听)「足が速いのが取り柄らしいが――」
ノパ听)「それがどうした?」
しかし。
そんなブーンの考えは突然現れた氷の剣により阻まれる事となった。
34 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 20:46:46.26 ID:Eo1FyIrg0
(;゚ω゚)「なっ!?」
ノパ听)(接近戦に対応出来ないなどと本気で思われていたのならなめられたものだ)
ヒートが持っている氷の剣の正体、それは氷を全体に纏った矢である。
彼女は『具象化』を使い弓矢で対応出来ない近距離での戦闘を可能にさせていた。
(#゚ω゚)「ぐ……ぐっ!!」
少しづつ押されていくブーン。
元より腕力に自信のある訳ではなかったが、
それでも女性に負けているという事実は彼を少なからず動揺させる。
ノハ#゚听)「はああああああああっ!!」
ヒートの気合いに押されたか、力負けしたかどちらかはわからないがブーンは後ろによろけてしまう。
先程とは違い、なんとかナイフは落とさずにすんだ。
だが、おかしい。
(;^ω^)(さっきから……力が入らないお)
ナイフを持っている手に力が入らなくなってしまっている。
先程矢がかすった方の腕に違和感が残る。
傷口を確かめようとそちらに目をやると――
35 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 20:53:34.81 ID:Eo1FyIrg0
(;゚ω゚)「う、うわあああああああっ!?」
ブーンの腕の肩から肘辺りまでが氷に覆われていた。
驚いてナイフを離してしまい、慌てて拾おうとするもやはり手に力が入らない。
(;゚ω゚)「くっ!!」
ナイフを諦め、腕をもう片方の手で押さえながら後退するが、
手持ちのナイフも残り少なく、明らかに不利な状況に追い込まれていた。
(´・ω・`)「……勝負あったね」
川 ゚ -゚)「……だが、彼はまだ」
(´・ω・`)「まだ、何だい?諦めなければ負けじゃないとでも?」
川 ゚ -゚)「…………」
(´・ω・`)「まあとりあえずきっちり決着がつくまで見守るけどね」
悔しそうに視線を落とすクーを見ながら、弟子は公平に扱うべきだよ、等と考えるショボンだったが口には出さない。
代わりにクーの故郷での言い回しを思い出し、それを呟いてみる。
(´・ω・`)「ホーガンビーチって奴かな」
36 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 21:01:31.73 ID:Eo1FyIrg0
川 ゚ -゚)「……それを言うなら判官贔屓だ」
突如謎の地名を呟いたショボンに突っ込みを入れるが、
そんな場合ではない、と再び戦っている二人に視線を戻す。
(;゚ω゚)「はぁ……はぁ……」
依然として氷はブーンの腕を覆っていて、それが彼の体温を奪っていく。
体は思うように動かなくなり、それが更に焦りを生む。
(;゚ω゚)「うぁあああああ!!」
なんとかしなければ、という気持ちでとにかく走る。
へこたれそうな自分を鼓舞するために大声をあげて。
ノパ听)「ずいぶんと……ふざけた野郎だ」
だがそんな行動がヒートの勘に障ったか、怒りをかう事になってしまった。
ノハ#゚听)「馬鹿にしてんのか?あぁ!?」
38 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 21:07:55.15 ID:Eo1FyIrg0
ノパ听)(とっとと終わらせてやる)
明らかに速度が落ちたがなおも速いスピードでヒートの周りを移動するブーンめがけて矢を投擲する。
勿論ブーンには当たらずに地面に突き刺さるだけだが構わず二本、三本と投げ続ける。
(;^ω^)(何を……)
するつもりだ。そう疑問を抱いた時には既に遅く、滑ったブーンは尻餅をついた。
更に、
(; ω )「っあ、足が……!」
転んだブーンに追い討ちで投げた矢が足に命中してしまっていたらしい。
もはや立つことすら出来なくなったブーンにヒートはゆっくりと狙いを定める。
ノパ听)「終わりだ」
(´・ω・`)「はい、そこまで。ヒート、君の勝ちだ」
ノハ#゚听)「邪魔をするな!」
決着がついた事を見届け、二人の間に割って入ったショボンに対し苛立ちをぶつける。
(´・ω・`)「何の邪魔だ?君の殺人の邪魔だって言うならいくらでもするよ?」
ノハ#゚听)「……チッ!」
39 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 21:12:25.70 ID:Eo1FyIrg0
自分が行おうとしていた事に気付いたか、ばつが悪そうな顔で舌打ちをしたヒートを見て、クーが声をかける。
川 ゚ -゚)「落ち着けヒート。今の君は少し不安定だぞ」
ノパ听)「……面目ありません」
ヒートが大丈夫な事を見届けたクーはブーンに駆け寄り、手をさしのべる。
川 ゚ -゚)「すまないブーン君。大丈夫だったか」
( ω )「…………」
装術が解け、氷もなくなったので立てる筈なのだが、黙ってうつ向いたまま動かない。
クーが再び声をかけようとしたその時、ブーンが口を開く。
( ω )「……僕は、弱い」
川 - )「……そんなこと!」(´・ω・`)「あるよ」
その言葉を聞き即座に否定するクー。だがショボンがブーンの言葉を肯定する。
(´・ω・`)「残念だけど君は弱い。ヒートの足元を見てみな」
(;゚ω゚)「あ……う……」
川;゚ -゚)「…………!」
言われて視線をそっちにやると、ヒートの足元には足跡がほとんどなかった。
40 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 21:21:11.55 ID:Eo1FyIrg0
ヒートは弓を使っているため立ち位置を頻繁に変える訳ではないが、これは流石に少なすぎると言える。
(´・ω・`)「意図したものかどうかは知らないが結果的にヒートにとって君は脅威ではなかった」
(; ω )「……っ!!」
歴然とした力の差。
その現実をつきつけられたブーンはその場から逃げ出すしかなかった。
川;゚ -゚)「ブーン君!!」
追おうとするクーを引き止め、首を横に振るショボン。
(´・ω・`)「駄目だよ、今は駄目だ」
川;゚ -゚)「何を言って……」
(´・ω・`)「今君が慰めに行ったところでどうなる。余計彼が辛くなるだけだ」
川;゚ -゚)「しかし、」
(´・ω・`)「こういうのは男がやった方が上手くいくのさ。君はもう一人の面倒を見なくて良いのかい?」
41 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 21:28:09.20 ID:Eo1FyIrg0
ショボンはヒートの方を見ながらそう言う。
クーはまだ納得はいっていないようだがヒートを放っておく訳にはいかないと思ったか、
川 ゚ -゚)「……わかった。頼んだぞ」
ショボンに託す事にした。
(´・ω・`)「まあ、まかせておいてよ」
――――――――――
( ;ω;)「う、うううぅぅぅう」
ブーンは、泣いていた。
悔しさのせいか。
敗北感のせいか。
ブーン本人にも、それはわからない。
42 名前: ◆tIPtMGfRl6 :2011/03/27(日) 21:34:50.43 ID:Eo1FyIrg0
(´・ω・`)「やれやれ、情けないね」
ショボンのその言葉にも言い返す気力は残っていない。
「ついておいで。ヒートに、彼女に勝てる術を与えてあげるよ」
その言葉を聞き、弾かれたように顔を上げる。
差し出されたその手は、救いの手か、それとも―――――
七話おわり
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